<知ってますか?二種類の養子縁組>少子化対策としての「新しい家族関係」の築き方

Japan In-Depth 2014年4月7日

 「特別養子縁組」という言葉をご存知だろうか。実は、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別」の2種類がある。

「普通養子縁組」とは…
 子ども側が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のこと。

「特別養子縁組」とは…
 子ども側が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいう。

 養子に2種類あることを知っている人は少ないだろうし、そもそも日本では養子について社会の理解度が乏しい。そんな現状を憂いて、「特別養子縁組」についての理解を深めようというシンポジウムが4月4日、東京・赤坂の日本財団で開かれた。
 この制度を最初に始めたのが、愛知県の児童福祉相談所に勤務していた矢満田篤二氏。子どもを産んでも育てられない側と、不妊治療などを続けながらも子どもを授からない夫婦、さらに生まれてくる子どもの三者がウィンウィンの関係を築けるとして、その“仲介”を始めたのだという。
 シンポジウムには、矢満田氏のほか、日本赤ちゃん学会理事長の小西行郎氏、首都大学東京教授の宮台真司氏、タイガーマスク基金代表理事の安藤哲也氏、誕生学協会代表理事の大葉ナナコ氏など7氏がパネリストとして参加。
 また、今後の立法を見据え、自民党からは塩崎恭久・政調会長代理、結いの党からは椎名毅衆院議員が挨拶をした。超党派的に、与野党から議員が来場したのは喜ばしいことだが、一方で議員の参加が少ないことに物足りなさと残念さを感じた。
 少子化対策が急務といわれ久しいが、その具体策はなかなか見えてこない。冗談でも、保育所を増やせばいいとは言えないのだ。そのようななか、「特別養子縁組」のような“新しい家族の関係”を築くこと、社会でもっと受け入れることが大切なはずだ。
 本来なら、少子化担当相が挨拶するくらいの問題意識を持ってほしい。そう願わずにはいられない。
 山田厚俊(ジャーナリスト)

厚労省 YouTubeに演習用DVDをアップロード

けあNews by けあとも 2014年4月6日

 厚生労働省は、平成26年3月28日に、地域包括支援センター職員を対象に行った実務者研修の演習用DVDを、You Tubeにアップロードしたと発表した。
 実務者研修は、地域ケア会議の実務者レベルを対象にしており、都道府県職員及び市区町村職員は傍聴対象。平成25年11月から平成26年2月までの間に開催された。
 今回の動画の作成目的は、地域ケア会議を運営するにあたり、必要とされるコーディネート機能と、そのプロセスを学び、身につけることだとしている。

研修資料を掲載
 You Tubeにアップされている動画を見る際には、地域ケア会議の基本的な内容、演習事例などについてのテキストを参照してほしいとしている。この部分については、平成25年度地域ケア会議運営に係る実務者研修テキストP39~P79に記載されている。
 動画は約26分で構成されている。動画では、「平成25年度地域ケア会議運営に係る実務者研修」の演習事例となった「Aさん」を取り上げた。地域ケア会議に向けた事前準備や、会議の運営、個別課題の解決から地域課題の抽出のプロセス等、一連の流れが収録されている。
 ホームページ上には、PDF版とPowerPoint版で研修資料が掲載されている。

必要? 徒歩圏内に3つの就労支援施設

dot.(ドット) 2014年4月7日

 国の無駄遣いを点検する昨秋の行政事業レビュー(秋のレビュー)。そこで低い評価を受けたものは予算から外されたりするのだが、どういうわけか、その後の補正予算で復活するパターンがある。
 厚生労働省が2006年度から進めている「地域若者サポートステーション(サポステ)事業」もそのひとつ。仕事にも学業にもつかないニートと呼ばれる若者たちの就職支援が主な内容で、地域のNPOなどに委託する。秋のレビューで「有効とは言いがたい」などとされ、14年度予算では事業費がゼロに。だが、補正予算で要求額の8割が計上された。
 静岡県浜松市。中心部にほど近い市立勤労青少年ホーム内に、「地域若者サポートステーションはままつ」がある(4月1日により中心部に移転予定)。総括コーディネーターでNPO職員の久米典子さんによると、1日に20人前後が予約をして相談に訪れる。
 「メンタルな問題があるとか、引きこもっているとか、背景に発達障害があるとか、専門家ではないと対応できない利用者がほとんどです」
 昨年度(12年度)は進路決定者が115人で、今年度は150人を超えたという。
 JR浜松駅近くの繁華街に立つビルには、「浜松市パーソナル・サポート・センター」が入る。市から委託されたNPOが、15歳以上の市民を対象に就労や生活を支援する。小林雄二センター長によると、10年度の事業開始以降、500人超が利用。引きこもりの人などのため、職員が自宅などを訪問する「伴走支援」もしているという。
 そこから徒歩5分ほどの県浜松総合庁舎の1階にあるハローワークには、「しずおかジョブステーション」の看板とのぼりがある。ハローワークの相談員が、就職の相談やカウンセリングに応じている。
 対象者の特徴に違いはあるにしろ、若者の就労支援を目的に含む機関が、徒歩圏内に三つ存在する。「地域若者サポートステーションはままつ」と「浜松市パーソナル・サポート・センター」は、活動に重なる部分も少なくなさそうだが、連絡を取り合うことはなく、それぞれ相手の活動内容はほとんど知らないと話す。
 国が委託するサポステは現在、全国約160カ所。浜松市と同じような状況は、各地でみられる。そんななか、国がこの事業を進める意義はどれだけあるのか。
 秋のレビューでは、複数の評価者から、ハローワークの一部門として取り組むべきとの意見が出た。それに対し厚労省は、「ハローワークではサポステに来ているような人には対応できない」と、業務の特殊性を強調した。
 しかし一方で、そうした対応の難しいサポステ利用者(自らの進路についてイメージや関心をもたない人など)について、進路が決定した人数を問われると、把握していないと返答。評価者から、「本質的な成果が測れていない」との指摘が出た。
 ※AERA 2014年4月7日号より抜粋

日本国内外で名声、新幹線の清掃会社TESSEIの秘訣は…

中央日報 2014年04月07日

中央日報取材チームが訪問する直前の先月18、19日、米ハーバード大経営大学院の教授らが「TESSEI(テッセイ)」を訪問した。同社の事例を経営大学院の教材に載せることについて議論するためだった。すでに中国清華大と東京大も見学した。早稲田大ビジネススクールの遠藤功教授は2012年に出した著書『新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?』でテッセイを集中解剖した。この本は日本国内で10万部以上売れた。日本内外で名声を得ているテッセイ。同社の今日を作ったのは、リーダーの動機付けと従業員の前向きな姿勢だった。
同社のリーダーは清掃職員を世界最強のサービスマンに養成した。そのリーダーの中でも最も大きな足あとを残したのは、昨年専務で定年退任した矢部輝夫氏だ。40年間の鉄道マンの経歴を持つ矢部氏がJR東日本からこの会社に移ったのは2005年。当時はまだ普通の清掃会社だった。職員は「自分たちはどうせ清掃員」という意識だった。乗客からのクレームも絶えなかった。JR東日本の子会社で、新幹線が存在する限りなくなることはない。したがって意欲がないのは経営陣や職員も同じだった。経営企画部長だった矢部氏はJR東日本傘下の清掃11社の一つにすぎなかったこの会社を「おもてなしのトータルサービス会社」にすると決心した。

サービス技術者という意識
 「テッセイが顧客に売るのは清掃ではない。私たちが売るものは旅の思い出だ」。矢部氏が職員に投げかけたい命題だった。このため何よりも重要なことは、職員の心を動かすことだった。「皆さんはお掃除おばさん、おじさんではなく、世界最高技術を誇るJR東日本の新幹線を支えるサービス技術者」という意識を植え付けることが至急だった。
 矢部氏は最初の作品として、エリート職員14人で構成された「コメットスーパーバイザー」という新しい組織を作った。列車の客室の清掃ではなく、プラットホームでの顧客案内や改札口の清掃などを任せた。この組織は「矢部改革の先発隊」だった。まず「典型的な清掃おばさん」というユニフォームを、ホテリアーを思わせるさわやかな制服に変えた。「制服が変わってこそ考えが変わる」という矢部氏の信念のためだった。
しかし職員は最初から矢部氏が望むように動いたわけではない。「なぜ清掃会社が案内業務までするのか」「矢部部長は若い女性を偏愛する」などの声も聞こえた。しかし矢部氏は職員が想像もしなかった「東京駅駅長との出会い」「領域内VIP室訪問」などのイベントを準備した。職員の心の深いところに、次第に意識が芽生え始めた。
次の課題は「会社の主力」である列車清掃職員の意識を変えることだった。各休憩室にエアコンを設置するなど意欲を高めるための環境整備から始めた。続いて「トータルサービスとは何か、なぜ顧客のためにそういうことまでしなければいけないのか」に関する討論会を市内の一流ホテルで開催したり、これまで旧式列車を対象に行ってきた「列車清掃技術コンテスト」に実際の新幹線を登場させた。新しい清掃制服のデザインも現場の投票で決めた。小さな変化を継続した。
毎日のようにしてきた新幹線の清掃に「7分間の新幹線劇場」という名前を付けたのも、当初は職員のやる気を高めるためだった。「子どもも水泳や駆けっこを通じて自信を得てこそ、勉強もでき、何に対しても自信を持つ」という考えで、最も自信がある清掃分野でミッションを考え出したのだ。職員もストップウォッチで時間を測定し、「7分以内にすべてのテーブルを開いて清掃するのも不可能ではない」としてやる気を見せ、チームワークは日々高まった。

「7分間の新幹線劇場」と命名
人事制度も変えた。「48歳を超えてから正社員採用試験を受けることができる」という社内規定のため、清掃員は事実上、全員が非正社員だった。費用問題に悩む会社を説得し、20歳以上で非正社員経歴1年以上なら自己推薦で正社員試験を受けられるよう人事規定を変えた。また、正社員2年なら上級者の「主任」試験に、主任4年なら管理者試験にも挑戦できるようにした。他の会社が非正社員を増やす時、テッセイは2005年に58%だった非正社員比率を昨年には42%まで引き下げた。2020年までに30%に引き下げるのが目標だ。また、若者の入社が増え、平均年齢も55歳から50歳に低下した。
職員の積極性を高めるのに最も効果的だった試みは、2007年4月に始めた「エンジェルリポート」だった。現場職員の小さな善行を発掘する「称賛リレー」だ。現場リーダーの主任が職員の動きを細かく観察し、称賛することを積極的に見つけた。そして随時A4用紙4、5枚分のリポートに作成した。このリポートを事務室の壁にも貼り、社内ネットワークにも載せて誰もが見られるようにした。高齢者への小さな善行、後輩職員を助けたことなど、ささいなことが多かった。当初は「こんなことまで褒めるのか」「これがなぜ称賛されるのか」などと冷笑的な反応が多かったが、これが次第に自信に変わっていった。そしてこれに基づき月間、半期、年間表彰が行われた。少ないが賞金もつけた。後に同僚をよく褒める職員にも年間6人を選んで表彰した。
「自分の提案が世の中を変えることができる」という自信を従業員に与えるため、5-8人の小集団活動とアイデア提案活動も強化した。小集団活動の結果、「スマイルテッセイ」という社内教育用冊子が自発的に登場した。▼バケツを持って歩くのをやめる▼乗客の遺失物を鈴をつけたビニール袋に入れる--など、小さいが重要なノウハウが収録された冊子だ。
いつどこでも何でも提案できるプロジェクトも活発になった。2013年にはなんと1500件に達した。新幹線の改札口付近に授乳とおむつ交換ができる「ベビー休憩室」ができたことや、車内トイレに韓国語・中国語の説明がついたのも、職員の提案から始まった。職員は自ら何かを変えようとし始めた。男性職員は蝶ネクタイをつけた。夏にはアロハシャツで、クリスマスにはサンタクロースの服装で登場し、顧客を楽しませた。職員の発想はすでに清掃会社の発想を越えた。時々受け入れがたい提案が出ても、やる気を高めるためにすべて受け入れられたという。
矢部氏をはじめとする経営陣は職員を率いるためにさまざまな目標を提示した。マンネリズムに陥らないように会社全体の目標を毎年同じフレーズではなく新しい言葉で表現した。そのフレーズは「新しいトータルサービスを目指して」、「みんなで創る『さわやか・あんしん・あったか』サービス」などと毎年進化している。

(朝鮮日報日本語版) 【社説】妹を継母に殺された12歳女児の地獄体験

朝鮮日報日本語版 2014年4月7日

 慶尚北道漆谷郡で昨年8月、遺体で発見された8歳の女の子は、継母の虐待が原因で死亡していたことが分かった。継母と実の父親は、12歳になるこの子の姉に「自分が殺した」と強制的にうその証言をさせていたことも明らかになった。取り調べによると、継母は2人の姉妹に唐辛子を10個ずつ無理やり食べさせ、ロープで体を縛って階段から突き落とすなどの虐待を日々行っていたという。12歳の姉は裁判官に「おばさん(継母)は自分を洗濯機に入れてスイッチを入れた。(継母を)どうか死刑にしてほしい」という内容の手紙を書いた。地獄を体験した子供たちの叫びだ。
 この12歳の姉は2012年10月に自ら警察署を訪ね「お父さんとお母さんがわたしをたたく」と訴えてきた。児童福祉法によると、子供への虐待に関する届出があった場合、最長で5日間、その子を両親から保護することが定められている。ところがこの時に警察は継母を呼び、形だけの事情聴取を行っただけで継母とその子を送り返したという。また2013年には死んだ子の小学校の担任が、この子の顔が腫れあがり顎に裂傷の痕があったのを見て「虐待の疑いがある」として児童保護機関に報告していた。さらにそれから3カ月後にも、この子は担任の教師に「お母さんに首を絞められた」と訴え、また教師はこの子が両耳から出血しているのを確認した。教師は再び報告を行ったが、児童保護機関は継母に対してカウンセリングを行うだけだった。姉によると、警察や児童保護機関に足を運ぶたびに、姉妹は継母から一層激しく虐待されたという。警察と検察も、鑑識から死んだ子について「虐待が疑われる」との報告を受けていたにもかかわらず、姉が継母から強要されたうその証言の方を最初は信じていたという。
 国会は今年1月、児童への虐待致死罪に対する処罰を最高で無期懲役とするなど法律を一層厳しくし、また子供を虐待した両親には、4カ月を上限に親権を停止できるとする法律を新たに制定した。この法律は今年9月から施行されるが、実際に法律を施行する人間が子供たちに無関心で、しかも無責任な態度しか取れないのであれば、たとえ処罰を厳しくして新しい法律を制定してもあまり意味はないのではないか。