震災孤児、育ての親に目立つ疲れ…支援は手探り

読売新聞 2014年3月10日

 東日本大震災で両親が死亡したり、行方不明になったりした震災孤児の「育ての親」たちに、疲れが目立ち始めている。
 多くが、祖父母やおじ、おばなどの親族だが、高齢による体調不安や、慣れない子育てへの戸惑いなどを抱えている。専門家らは、心のケアも含めた「継続的な支援が必要だ」と指摘し、孤児の支援団体も実態調査に乗り出しているが、育てる側をどう支援していくか、手探りが続いている。
 岩手県釜石市で孫2人を育てる祖父の男性(92)宅では、食卓に蓋やラップをした肉野菜炒めや焼き魚などの皿が並ぶ。「夕飯はヘルパーさんが作ってくれている」。電子レンジで温め、孫に食べさせるのが日課だ。
 孫は中学3年の姉(14)と小学6年の弟(12)。2人の父親だった祖父の長男は2008年に病死。障害者施設で働いていた母親は、津波にのまれ、亡くなった。
 同居していた祖父が孫を育てることになったが、足腰が悪く、車の運転もできない。毎日ヘルパーに買い物や掃除を頼み、孫の学校とのやり取りは近くの親戚らが手伝う。それでも昨秋には体調を崩して1か月半入院した。周囲の助けで何とか切り抜けたが、「自分はともかく孫が心配。2人が学校を卒業するまで、あと10年は生きないと」と語る。
 育ての親の多くは、国などが子供の生活費や教育費などを支給する「里親制度」で月額で5万円程度の支援を受けている。しかし、事前に十分な研修を積む一般的な里親のケースとは異なり、突然子供を預かることになった人ばかりだ。
 岩手県の委託で、震災孤児を抱える12世帯を定期訪問している児童養護施設職員の金野祐樹さん(41)は、「昨春頃から里親の悩みが深くなってきた」と明かす。子育て経験がないまま子供を引き取り、「同級生の親との付き合いがつらい」と漏らすようになった女性や、実子2人を含む5人の子供を育てることへの不安を口にする男性らの例を挙げた。
 こうした現状を受け、東北大などが育ての親を対象とする実態調査を始めた。同大震災子ども支援室長の加藤道代教授は「育ての親の多くは、家族を失った悲しみを感じつつ、『身内が育てるのが当たり前』との使命感で子育てに力を注いでいる。中には弱音を吐けない人もいる」と語る。

STAP論文撤回提案…共著教授「疑問点多い」

読売新聞 2014年3月11日

 理化学研究所の小保方晴子・ユニットリーダー(30)らが発表した新しい万能細胞「STAPスタップ細胞」の2本の論文に、不自然な画像の使用や文章の引用などが指摘されている問題で、著者の一人である若山照彦・山梨大教授(46)は10日、「論文に疑問点が多い」として、理研などに所属するほかの著者に、論文の撤回を提案したことを明らかにした。
 STAP細胞を作製したとする2本の論文は、1月30日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。論文の著者は計14人いるが、撤回を求める意見が公式に表明されたのは初めて。
 若山教授は10日に山梨大で記者会見を開き、1月に発表したSTAP細胞があらゆる細胞に変化する多能性を示す画像が、ネット上で見た小保方リーダーの3年前の博士論文の画像と酷似していることなどについて、「STAP細胞の根幹にかかわる大事な部分の信用性を疑わせる」と指摘した。
 博士論文は、体内にもともとある多能性幹細胞に関するものだった。若山教授は、博士論文の写真を見る限り、実験で使ったSTAP細胞が本物かは判断できず、「論文が正しいかわからなくなった」と述べた。研究室に現在あるSTAP細胞を、第三者に調べてもらう考えを示した。
 若山教授は小保方リーダーが作製したSTAP細胞を使い、多能性を確認するマウスの実験を担当した。
 理研広報室の加賀屋悟室長は「理研所属の共著者に連絡した。対応方針を検討していきたい。現状ではSTAP細胞の本質部分での信頼性は揺るがないと考えている」と話している。

STAP(stimulus‐triggered acquisition of pluripotency)細胞
 酸性の液に漬けるなどの強い刺激をマウスの細胞に与え、受精卵に近い状態に逆戻りさせたとする細胞。神経や筋肉など様々な細胞に変化でき、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)に次ぐ「第3の万能細胞」と呼ばれている。

STAP細胞論文で指摘されている問題
 ・理研などのグループ以外では、STAP細胞ができていない
 ・論文中の2か所の画像が類似している
 ・画像に修整を疑わせる跡がある
 ・他の研究者の論文と酷似する文章が2か所ある
 ・小保方リーダーの博士論文と似た画像が使われている 

全日空のマイル ギフト券に勝手に交換

NHKニュース 2014年3月11日

 全日空は、利用者がためたマイルがインターネットの配信サービスのギフト券に勝手に交換される被害が相次いだため、このギフト券について、マイルとの交換を一時停止しています。
 全日空によりますと、9日、利用者から身に覚えがないのにマイルが交換されているという問い合わせが相次ぎました。
 このため調べたところ、合わせて9人の利用者のマイルが、アメリカのアップルが運営するインターネットの配信サービス、アイチューンズのギフト券、およそ65万円相当と勝手に交換されていたことが分かりました。
 マイルを交換するには、全日空のホームページにある専用のページにパスワードなどを入力する必要があるため、全日空は、こうした情報が不正に入手され、本人になりすまして交換された可能性もあるとみて調べています。
 また、アイチューンズのギフト券との交換を10日夕方から一時的に停止するとともに、利用者にパスワードの変更を呼びかけています。
 航空会社のマイルを巡っては先月、日本航空でも別の会社のギフト券に勝手に交換される被害が起きています。

浜松集団食中毒 県給食会へ改善勧告

中日新聞 2014年3月8日

 静岡県公益認定等審議会は七日、浜松市の小学校の給食パンによるノロウイルス集団食中毒問題で、委託業者を通じて学校にパンを納入していた県学校給食会(静岡市葵区)に、食品衛生体制の不備の改善を求めるよう川勝平太知事に勧告した。県によると、公益法人認定法に基づく行政庁への勧告は全国初。
 勧告は「食品衛生の専門家の役職員への登用など給食会自ら食品衛生の取り組みを実行できる組織体制を構築すること」と「委託工場の実地調査員に専門家を登用することの検討」を知事が給食会に求めることとしている。
 川勝知事は七日の定例会見で「子どもたちに食品を安全に供給する組織体制になっていない。本当に必要な組織かどうか存在意義が問われている」と批判。給食会が材料を調達し、業者に卸していることから仲介料、手数料などが発生していることを指摘した上で「徹底的に組織を洗い出す必要がある」と述べた。
 同会事務局は本紙に「現時点で細かな勧告内容が分からないのでコメントできない」と話した。

被害の児童らに「宝福」が補償金
 浜松市は七日、市内小学校で起きた集団食中毒で、原因となった食パンを製造した「宝福」(浜松市東区)が被害児童や保護者らを対象に補償を始めたことを明らかにした。対象は教職員も含め千人以上になる見通し。
 市教委や宝福によると、二月十二日に宝福が食パンを納入していた十八校の全児童に補償内容を記した案内文を配布。補償を求める家庭と個別に交渉している。合意した家庭には既に支払いを始めており、早ければ今月末にも終えたいという。宝福が支払うのは治療費の実費と、通院一日当たり五千五百円の見舞金。自宅療養者や二次感染した家族にも支払う。補償総額は明らかになっていない。
 市教委保健給食課は「宝福がなるべく早くお見舞いしたいという意向だった。補償内容については十分だと考えている」と話した。

2ちゃんねる「転載禁止」の流れが拡大 大手まとめブログ「痛いニュース」も巻き込まれる

J-CASTニュース 2014年3月4日

インターネット掲示板「2ちゃんねる」で、「転載禁止」のローカルルールを設定する板が急増している。人気のある「ニュース速報(VIP)」板では、ハンドルネームを入力する書き込み画面の初期設定に「転載禁止」の文言が盛り込まれた。
2ちゃんねるまとめサイトは書き込みをコンテンツとして利用していたため、転載禁止で窮地に立たされている。
書き込み数、上位3つの板が転載禁止
転載禁止をめぐる議論は、2ちゃんねるの管理者が交代したとされる騒動が起きた2014年2月下旬から始まった。当初はサーバーが落ちるなどの問題が発生して「2ちゃんねる閉鎖か」とささやかれ、新管理者による体制を不安視する声もあった。だが、以前からくすぶっていたまとめサイトによる転載問題について、新管理者と一部2ちゃんねらーの間で「許諾のない商用利用は許されない」と意見が一致して支持が集まった。
さっそく「VIP」で転載禁止のローカルルール導入の是非を問う投票を実施し、賛成多数で転載禁止が決まった。他の板でも転載に関する投票専用スレッドが立てられ、「なんでも実況J(通称:なんJ)」板や「ニュース速報+」板も新たに転載禁止となった。いずれも活発に利用される人気の板で、書き込み数ランキング(2014年3月3日現在)によると、「VIP」が1位、「なんJ」2位、「ニュース速報+」3位という順だ。
これらの板はまとめサイトに転載されることが多く、新ルール導入による影響は大きそうだ。あくまでローカルルールにすぎないが、違反した場合は2ちゃんねらーによって「まとめサイト」が炎上させられ、アフィリエイト広告を引きはがされる可能性がある。
2012年に一部のまとめサイトをめぐって同様のケースがあった。恣意的な書き込みの抽出で対立を煽ったり、デマを流して誹謗中傷したりすることを問題視した2ちゃんねるの運営サイドが、「刺激的な内容で広告収入を得ることが生業になっている」と、名指しで転載禁止を言い渡した。まとめブログの管理業者であるNHN JapanとFC2には、広告を載せないように依頼し、NHN Japanはそれに応じる姿勢を示していた。

ツイッターの書き込みで代用
今回の件を受けて「なんJ」や「VIP」をまとめていたブログは、別の方法での生き残りを模索し始めた。新ルール導入前の過去のスレッドを掘り出してまとめたり、転載可能な別の板を使ったりといった手段だ。まずニュースや画像だけ引用した記事を掲載したあとに、自ブログについた反応のコメントをまとめるサイトもある。
月間1億ページビューを超えるという「痛いニュース(ノ∀`)」も影響を受け、2ちゃんねるの代わりにツイッターの書き込みをまとめ始めた。大手まとめサイトの中には、以前から転載禁止を言い渡されている「ハムスター速報」「はちま起稿」「オレ的ゲーム速報@刃」のように、2ちゃんねるに依存しない体制を整えて生き残った例がある。
一方で、中小規模のまとめブログは不安げだ。PC・ガジェット系を扱う「IT速報」は、「ニュース速報板が転載禁止になりました。IT速報は大ピンチです」という見出しの記事を更新した。

 「以前と同じように運営することは難しく、方向転換を余儀なくされています。何せ過去スレはいずれ枯れます。専門スレも勢いがないので直ぐにネタが尽きるでしょう」
  「ハム速のようにコメントをまとめる形式も、当ブログの規模では難しいかと思います。妙案浮かばずですので、色々と試しながら方向性を決めようかなと・・・」