少女蝕む裏風俗「援デリ」の実態…全国で横行、暴力団の介入も

産経新聞 2014年4月2日

 スマートフォン用の出会い系アプリで客を募る「援デリ」(援助交際デリバリー)が全国で横行している。携帯電話と女性がいれば簡単に始められることから、全国で社会問題化している新手の「裏風俗」だ。無店舗型の「デリバリーヘルス」と形態は似ているが、大きな違いは、未成年の少女たちを派遣することがある点だ。ときには、暴力団が介入して資金源として狙われ、“バイト感覚”で始めた少女らが深みにはまり、抜け出せなくなる取り返しのつかないリスクもあるという。スマホの普及により無数に存在する援デリの実態とは、どのようなものなのか。(桑村朋)

女子中高生雇い、全国へ売春の旅
 兵庫県警は2~3月、援デリを運営し、女子中学生を売春させたとして、児童福祉法違反(淫行させる行為)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(周旋)などの容疑で、神戸市須磨区の無職、中屋崇志被告(21)ら男4人を逮捕した。
 県警によると、他に逮捕されたのは、名古屋市中区の飲食店店員、吉武直人被告(22)、神戸市灘区の会社員、長谷川洋被告(22)、兵庫県尼崎市の無職少年(18)。犯行は中屋被告が主導し、他の3人に持ちかけたという。
 逮捕容疑は、共謀し平成25年9月29、30の両日、岡山市内のホテルで、当時42歳の男性客から現金計5万5千円を受け取り、当時13歳だった女子中学生に売春させたとしている。
 4人は知人同士だ。いずれも容疑を認めており、「約15人の中高生らを車で引き連れ、全国で売春させていた。簡単に金が手に入ると思った」などと供述している。
 中屋被告は昨年3~11月ごろ、街中でナンパしたり、知人に紹介を受けたりして18歳未満の中高生らを勧誘。出会い系アプリ「ひまトーーク」の掲示板で、個人で援助交際する少女を装って投稿し、男性客とやり取りした上で、待ち合わせ場所のホテルに少女を派遣していた。
 その手口は、このアプリの掲示板に、少女の写真と無料通話アプリ「LINE」や「カカオトーク」のIDを掲載。そのIDを通じて連絡してきた男性客と無料通話アプリ上で条件交渉をし、連絡を取り合うというもの。
 4人は愛知から福岡まで関西、中国地方を中心に、少なくとも数十人の客を集めたとみられる。売り上げは約200万円に上るが、大半を賭博で使い果たしていた。
 事件が発覚したのは、家出したまま援デリで稼いでいた少女の家族からの相談だった。

出会い系サイト規制法改正後に流行
 なぜ、このような形態の風俗が現れたのか。
 平成15年に制定された出会い系サイト規制法が20年に規制強化され、18歳未満の書き込みを禁じ、運営業者には公安委員会への届け出が義務づけられた。援デリの業態が流行し始めたのは同法改正後だ。
 個人で援助交際する少女を装う客引きスタッフを「打ち子」と呼ぶ。少女になりすました打ち子が掲示板に、「¥3」「30K」(ともに「現金3万円」の意味)と隠語を示し、「困ってる。サポ希望」「割り切ったお付き合いできる方」などと投稿する。
 法改正後は出会い系サイト利用者の年齢確認が厳格化され、警察庁発表の被害児童数は減少傾向にあるものの、児童買春につながる書き込みは増え続け、客も絶えることがない。中屋被告の「掲示板で客を募ると、1分で40~50人から連絡が殺到した」という供述からも、サイトの“無防備”具合が分かる。
 打ち子は、LINEなどで少女になりすましたIDを作り、客とは匿名のままやり取りする。少女も売春に手を染めたことが発覚するのを恐れ、通報をためらうケースが多く、警察も事件の端緒をつかみづらい。全国的にも摘発例はまだまだ少なく、実態把握が難しいのが現状だ。

時間かかる捜査、暴力団の援デリ狩りも横行
 広島県呉市で16歳の少女が殺害された事件でも、逮捕された少女が援デリに手を染めていたとされる。ある捜査関係者は「少女たちは、客探しの手間やトラブル処理の危険性が回避できるほか、打ち子と知り合いの場合も多い。一種の安心感を持って売春に走ってしまう」と指摘する。
 今や風俗店で働くより、援デリなどを利用して援助交際に走る女性の方が多いともいわれる。月に100万円以上を稼ぐこともあるなど、高収入とされる援デリの味をいったん覚えると、普通の仕事の給与では満足できない女性も少なからずいるという。
 だが、暴力団が客として現れるケースもある。少女が打ち子らと離れた隙を狙って「売春は違法。ばれたくなければ金を払え。払えなければ稼げ」などと脅し、強制的に配下の売春婦にする「援デリ狩り」も横行。実の親が打ち子となり、娘やその友人に客をあっせんした事件も発生している。
 中屋被告らは少女ら数人を車で連れ、客の待つ場所へと計7都市を周遊していた。援デリは場所にこだわらないため、全国の客が相手。警察も広範囲な捜査が必要なのだが、少ない人員の中で東奔西走しなければならず、1つの事件に多大な時間がかかる。
 ある捜査関係者は「援デリは個人売春の延長のような面があり、無知な少女を食い物にし、未来を奪うような悪質犯罪だ。本当はもっと取り締まりたいのだが…」と直面する捜査の難しさをこぼした。

新生児揺さぶり虐待容疑 脳に重傷、母親逮捕 鹿児島

朝日新聞デジタル 2014年4月2日

 生後まもない長女を虐待して重傷を負わせたとして、鹿児島県警は2日、鹿児島市永吉2丁目、無職吉永沙季容疑者(29)を傷害の疑いで逮捕し、発表した。県警によると、容疑を認め、「泣きやまないのでイライラした。一人でやった」と話しているという。
 捜査1課などによると、吉永容疑者は2012年1月18日から2月13日にかけ、鹿児島市内の自宅で、長女(2)の体を強く揺さぶるなどの暴行を加え、脳挫傷や眼底出血などの大けがを負わせた疑いがある。長女は1月18日時点で生後5日目だった。全身まひや視聴覚の障害などの後遺症が残り、現在は県内の施設で保護されている。
 吉永容疑者は当時、長女と夫(45)の3人暮らし。診察した病院が「虐待の疑いがある」として県警に通報したという。
 県中央児童相談所の中間伸二・相談部長は取材に対し、「事案は把握しており、対応もしたが、個人情報にあたるので詳細は答えられない」と話している。(鎌田悠)

性同一性障害 性別変更後「母親」に 特別養子縁組認定

東京新聞 2014年4月2日

 性同一性障害で男性から性別変更した大阪府の三十代女性が結婚後、里親の「母親」として児童養護施設から引き取った男児(3つ)との特別養子縁組を申し立て、大阪家裁に認められたことが二日、女性への取材で分かった。
 GID(性同一性障害)学会は、女性に性別変更した人が、特別養子縁組で法的に母親と認められるのは「聞いたことがない」としており、国内初とみられる。
 性同一性障害のある人の特別養子縁組については、「健全な親子関係が営めるか疑問」などとして、縁組の前段階となる里親申請の時点で難色を示されることもある。GID学会理事長の中塚幹也岡山大教授(産婦人科)は「子どもをほしいと思う性同一性障害の当事者にとって新たな選択肢になる。性や家族の多様性を考える上でも大きな動きだ」と話している。
 女性は二〇〇四年に性同一性障害特例法が施行された後、性別を変更。その後男性と結婚した。
 一〇年、児童相談所で里親になる手続きを進めながら、大阪市の民間福祉団体「家庭養護促進協会」に相談し、研修や面接を受けて一一年春に男児を迎え入れた。嫡出関係となる特別養子縁組の審判を夫婦で大阪家裁に申し立て、一二年冬に認められた。
 性同一性障害の当事者の親子関係をめぐっては、最高裁が昨年十二月、女性から性別変更した男性について、妻が第三者との人工授精で出産した子と嫡出関係を認める初の決定を出した。
 男性から女性に性別変更した人が母親になるための道は、国内では原則的に、子のいる男性と結婚するか養子縁組をするしかない。
 「母親」となった女性は取材に「大変なことが多かったが、逃げずに向き合ってきて良かった。後に続く人が出てきてほしい」と話した。

優先順位厚い壁 里親の審査で拒否も
 男性から性別を変更した女性が特別養子縁組を結び、法的に母親になったことについて、性同一性障害の当事者団体は「希望が持てる」と歓迎する。ただ、このような人々の養子縁組をめぐっては、前段階である里親申請の時点で拒否されるケースもあり、母親になるための壁は依然として厚い。
 性別変更した人が母親になる手段の一つには、第三者に子どもを産んでもらう「代理出産」があるが、日本では原則的に実施されておらず、実際には養子縁組などに限定される。
 だが、ある児童相談所の相談員によると、特に小さい子は、養子にしたいと希望する人が多く、里子をあっせんする際に優先順位を付けなければならない。
 相談員は「どんな親が良いか子どもに代わって考えなければならない。性別変更をした人を排除するわけではないが、現実的には一般的な男女の夫婦が選ばれやすい」と指摘する。
 「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」の山本蘭代表は「性同一性障害の当事者だと、里子をあっせんするのは無理だと断られることが何度もあった。今回、養子縁組が認められたのは今後の進展につながる」と話した。

 <特別養子縁組> 養護を必要とする乳幼児が別の家庭で養育を受けられるようにする制度で、1988年に始まった。民間のあっせん業者や医療機関が仲介する。養子になるには原則として申立時に6歳未満であることが要件で、家裁の審判を受けなければならない。普通養子縁組と違い実の親との親子関係がなくなり、養親の実子となる。司法統計によると、近年は年間300~400件で推移している。

新生児から養父母の元に 望まぬ妊娠をした女性を支援

神戸新聞NEXT 2014年4月2日

 実母が育てられない新生児の特別養子縁組をあっせんする活動で知られる、産婦人科医の鮫島浩二さん(61)=埼玉県=の講演会が、神戸市中央区の市医師会館で3月に開かれた。兵庫県産科婦人科学会の主催で、産婦人科医や看護師ら約50人が聞き入った。(貝原加奈)
 特別養子縁組では、養子が実子として扱われる。クリニックを経営する鮫島さんは、望まない妊娠をした女性を支援し、その新生児を、特別養子縁組を希望する養父母にあっせんしている。昨秋には、全国20の産婦人科の医療機関で、新生児を養父母にあっせんする団体「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」を発足させた。
 講演会では、鮫島さんが、25年間に取り組んだ66件のケースを基に、活動を詳しく紹介した。
 女性の年齢は10~40代と幅広く、育てられない理由は、中高生であることや性的暴行による妊娠、男性に逃げられたなど、さまざまという。
 クリニックには、望まない妊娠をした女性が入所できる専用の部屋を用意し、専任の看護師らを付けて支援。「継続的に関わることで、女性が誇りを持って、健康な赤ちゃんを産むことができる」と説明した。
 養父母の選定は、クリニックとして実施。養母は、新生児とともに、分娩(ぶんべん)室で出産を疑似体験し、入院して育児の基本を学ぶ。
 活動の背景にあるのは、0歳児の虐待が相次ぎ、多くは実母の加害が原因という状況だ。鮫島さんは「虐待防止のため取り組んでいる。妊婦と関わる産婦人科医の役割は重要」と強調した。
 一方、2011年度の特別養子縁組の取り扱いは、乳児院や児童養護施設が7割超を占め、残りが産婦人科施設や民間団体となっている。
 鮫島さんは、産婦人科施設のメリットとして「子どもにとっては、親への愛着が生まれる大切な時期から養父母に育ててもらえる。実母の気持ちの変化や、養父母の戸惑いにも対応できる」と説明。民間団体については「一部は、寄付金などとして多額の費用を求めている」などと批判した。
 また、「特別養子縁組の活動を進めるには、児童相談所や厚生労働省、日本医師会などがより連携することが必要だ」と呼び掛けた。

首相、4日に養護施設視察 子どもらと交流

47NEWS 2014年4月2日

 菅義偉官房長官は2日の記者会見で、安倍晋三首相が4日に東京都葛飾区内の児童養護施設「希望の家」を視察すると発表した。「心のケアが必要な児童が増える中で、施設の取り組みについて職員と意見交換し、子どもたちと対話や交流をする」と述べた。

福祉実習:母国で生かす タイの大学生、日本の施設運営など学ぶ /熊本

毎日新聞 2014年04月02日

 県内の福祉施設で実習を受けるため来日したタイのタマサート大社会福祉学部の学生6人が、特別養護老人ホームや児童養護施設に泊まり込んで日本の福祉について学んでいる。「日本の施設はタイに比べて家庭的な雰囲気」と話す学生たちは、貴重な経験を母国の福祉に生かそうと意欲を燃やしている。
 学生たちは、熊本市のNPO法人「ブナの木の会」の招きで来日した。同会はタイとの草の根交流を深めようと、2008年からタマサート大の学生を招いており今回で計39人になった。タイでも少子高齢社会の到来が見込まれ、同じ問題を抱える日本の福祉の現場や社会保障システムを学べる貴重な機会になっているという。
 熊本市中央区の児童養護施設「藤崎台童園」と相良村の特別養護老人ホーム「川辺川園」で実習を受けたヌチャリン・リラサンタナさん(21)とヤニサ・クンブォンさん(21)は「行政と民間施設の連携のあり方や、利用者の意見を取り入れた施設運営について学べた。タイでも実現させたい」と話していた。学生らは5日に帰国する予定。【取違剛】

4/1より育児休業給付が充実…厚労省関連の制度変更

リセマム 2014年4月1日

 平成26年4月1日より、育児休業給付の引き上げや産休期間中の厚生年金保険料免除など、制度変更が行われる。厚生労働省は、主な制度変更のうち、特に国民生活に影響を与える事項をホームページに掲載している。ここでは子育て関連の制度変更を紹介する。
 雇用・労働関係では、改正雇用保険法の一部施行により、育児休業給付が充実する。男女ともに育児休業を取得することをさらに促進するため、休業開始後6か月間は、給付割合を50%から67%に引き上げる。同一の子について配偶者が休業する場合は、子が1歳2か月に達するまで支給する(パパ・ママ育休プラス)。
 年金関係では、平成26年4月1日以降に妻が死亡した、父子家庭へ遺族基礎年金の支給を行う。このほか、産休期間中の厚生年金保険料を免除する。保険料の免除期間は、それまでの保険料額を納めたとみなして、将来の年金額を計算する。産前産後休業終了後に育児等を理由に報酬が低下した場合に、産前産後休業終了後の3か月間の報酬月額を基に標準報酬月額を改定する。
 各種手当関係では、「児童扶養手当」「特別児童扶養手当および特別障害者手当等」「予防接種による健康被害救済給付関係の手当」「新型インフルエンザ予防接種による健康被害救済給付関係の手当」などについて、平成26年4月~平成27年3月の額は0.3%の引き下げ(平成25年3月比)となる。例えば、児童扶養手当(全額支給)は、平成26年3月まで41,140円だったが、4月からは41,020円となる。