児童虐待、被害者の65%は乳幼児 宇都宮市まとめ

下野新聞 2014年4月25日

【宇都宮】市は24日までに、2013年度児童虐待状況をまとめた。通告を受け付けた件数は92件で、前年度より14件増えた。被害を受けた子どものうち60件(65%)が乳幼児で、虐待者の7割近くが実母であることが分かった。また、通告者の約4割が近隣者だった。
通告受け付け件数は、過去最高だった10年度の140件からは48件減少。
被害を受けた子どもは、3歳から就学前が32件(34%)と最も多く、3歳未満が28件(30%)、小学生が24件(26%)と続く。就学前の子どもが被害を受けているケースが目立つ。
虐待者は実母が63件(68%)で約7割に上り、例年と傾向は変わらない。実父は21件(22%)だった。
通告は近隣者からが35件(38%)で、前年度の23件(29%)を上回った。学校からは17件(18%)、家族・親族が6件(6%)と続く。近隣者からの通告が多い理由について、市子ども家庭支援室は「虐待に対する地域の関心を高めてもらうために、自治会だよりに支援室の連絡先を明記するなど、具体的な活動が成果として表れている」と話している。

Listening:<記者の目>米国で考えた日本の刑務所政策=長野宏美(外信部)

毎日新聞 2014年04月24日

◇社会復帰重視に転換を
日本の刑務所は社会的弱者の終着点になっている。万引きや無銭飲食など、軽微な罪を重ねる累犯者の取材を通して感じたことだ。経済的困窮や社会的孤立の結果、「回転ドア」のように刑務所に戻ってくる人の中には知的障害者や高齢者が少なくない。私は市民が量刑を判断する裁判員制度をきっかけに刑罰のあり方に関心を持ち、取材を続けてきた。2月には、人権について学ぶ米国務省主催の研修に参加し、米国の裁判所や刑務所を訪れた。日本と異なる実情を垣間見て、再犯を防ぐには刑務所のあり方を見直す必要があると感じている。

◇仕事や親子関係、役立つ講座多彩
米カリフォルニア州サンフランシスコから東に約40キロ。アラメダ郡のサンタリタ刑務所は約4000人の男女を収容する。短期刑の受刑者と裁判中の未決勾留者の他、1晩で保釈される人もいる。日本で言えば刑務所と拘置所と警察の留置場が一緒になったような施設だ。
まず感じたのは施設内に流れる空気の違いだ。再犯者が多く入る、ある日本の刑務所では隊列を組んで移動し、私語は厳禁で何もかもが張り詰めていた。一方、サンタリタ刑務所は悪く言えば緩い、良く言えばおおらかな雰囲気だった。「外観は学校みたいでしょう」と案内役の副保安官は説明する。共有スペースでは収容者がおしゃべりしながらテレビを見ていた。起床や就寝時間も決まっていない。「彼らは自立した大人だ」と副保安官。ここでは日本の懲役のような強制労働はなく、希望者が無給で洗濯などの作業をするという。
では、何をしているのか。パソコンや調髪、怒りの処理法、読み書きなどを学ぶプログラムがあり、600人以上が参加している。目を引いたのが「母親講座」。アルコールや薬物依存から子供を虐待する親も多いため、中毒から回復する方法も教える。刑務所から社会にうまく移行できるよう、住まいや仕事探し、親子関係の再構築なども手助けする。別の講座では女性収容者がパンの焼き方を学んでいた。ほほ笑みかけてくる人もいて、囚人服を着ていなければ刑務所にいることを忘れそうだ。副保安官は「累犯の悪循環を断つには教育や支援が重要で、多様な選択肢の提供を目指している」と強調した。受刑者は自由の制限という罰を既に受けており、罪への応報だけでなく更生の視点を大切にしていた。
ジョージア州アトランタのフルトン郡少年裁判所では、犯罪につながる問題の早期発見について考えさせられた。黒人少年(16)が車の窓ガラスを割った事件。少年は学習障害の疑いがあり、裁判官が本人の意向も丁寧に聞いたうえで、弁償金ではなく社会奉仕活動を命じた。ブラッドリー・ボイド首席裁判官は「障害を見落とし、適切な対応を受けずに裁判所に来る子も多い。問題に気付くことが重要だ」と指摘した。近く、障害を調べてカウンセリングなど必要な支援をする専門家を裁判所に配置予定という。

◇規則ずくめより「弱者」支援厚く
前述の刑務所でも、知的障害やホームレス出身の受刑者が多いと聞いた。どこかでセーフティーネットに引っかかれば、刑務所が居場所にならずに済むのは日本と同じだと感じた。米国の刑務所は州や種類によっても異なり、全体的に見れば日本以上に問題を抱えていると思う。だが、私がここで論じたいのは「日本の常識」と違う視点で考えることだ。具体的には規則ずくめと懲役刑の見直しだ。
昨年の犯罪白書によると、再犯者率は45・3%で16年連続の上昇。また、この1年間に入所した65歳以上の高齢受刑者は20年前の5・6倍に激増し、再入者の割合が高い。国内外の刑務所を視察している加毛修弁護士(第一東京弁護士会)は「規則ずくめで主体性が抑えつけられる収容生活では社会に適応できない。刑務所に長くいるほど仕事や住まいもなくなる。社会復帰に向けて必要な訓練をする方向に転換すべきだ」と指摘する。
2006年に監獄法が改正され、社会復帰に向けた処遇の充実が掲げられた。民間の資本や技術を生かす独自の方式を導入した刑務所では、受刑者による盲導犬育成や、高齢受刑者の作業療法など、先進的プログラムを取り入れる試みが徐々に始まっている。
新受刑者の5人に1人は知的障害が疑われているうえ、人口動態を超える速さで受刑者は高齢化している。罪の背後にある問題に目を向け、刑務所が社会的弱者の最後の行き場にならないよう教育や支援にもっと力を注ぐべきだ。裁判員制度導入から5月で5年。政府は12年に「再犯防止に向けた総合対策」を策定したが、刑罰のあり方もともに考える時がきている。

地方公務員の二重払い手当36億円 会計検査院、11年度調べ

日本経済新聞 2014年4月23日

会計検査院は23日、2011年度の地方公務員の特殊勤務手当などに関する実態調査をまとめた。15道府県と174市町村を調べたところ、給与などと重複する「二重払い」の手当が約36億円あり、09年に廃止された自宅所有者への住居手当も約125億円に上った。
国家公務員に認められない手当や特別休暇なども多く、検査院は必要性の検討や制度の見直しなどを求めている。
調査は04年度の実態を調べた前回調査(06年発表)に続き2回目。特殊勤務手当の総額は約17%減の約570億円だったが、千葉県や福岡県など71自治体で前回より増えた。
検査院は、基本給などと別に支給される特殊勤務手当について(1)国家公務員にはない手当(2)給与などと内容が重複する「二重払い」の手当(3)日割りなどが適当なのに月額で支給される手当――に3分類。
(1)は約354億円と前回より22%増える一方、(2)が約36億円、(3)は約136億円でいずれも減少した。「二重払い」では保健所の勤務医らに対し、給与とは別に「医師研究手当」を支給するケースなどが目立った。
自宅所有者への住居手当は、調査対象の自治体の約58%が11年度も存続。千葉県や大阪府など5府県では人事委員会が廃止勧告したにもかかわらず続けていた。

慈恵病院への相談増、1-3月 ドラマ放映時、県外6割 [熊本県]

西日本新聞 2014年04月22日

親が育てられない子どもを匿名で預かる慈恵病院(熊本市西区)の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の運用状況を検証する市の専門部会が22日開かれた。妊娠の悩みなどを受け付ける同病院の窓口(電話や来所)に1~3月に397件の相談が寄せられ、前年同期を157件上回ったことが報告された。
市によると、同病院をテーマにしたTBS系ドラマ「こうのとりのゆりかご」が放映された昨年11月から相談が急増。昨年10~12月期も前年同期比約2倍の502件の相談が寄せられており、今年に入っても増加傾向が続いているという。
相談内容の最多は「妊娠・避妊」で132件、「思いがけない妊娠」の121件が続いた。年代別では20代が最も多く、全体の6割強が県外からの相談だった。
1~3月は日本テレビ系連続ドラマ「明日、ママがいない」が放映され、赤ちゃんポストにちなんだ「ポスト」という登場人物のあだ名が問題視されたが、市は「ドラマの舞台は児童養護施設であり、慈恵病院への相談増に影響したのかは分からない」としている。

子育ての孤立防ぐ「ホームスタート」 ボランティアが家庭訪ねる

福祉新聞 2014年4月21日

家庭にボランティアが出向いて子育てを支える「ホームスタート」(HS)。徐々に全国に広がり、社会福祉法人の設置する児童養護施設・乳児院・保育所、NPO法人などが運営し全国約60の地域で取り組まれている。「子育ての孤立化を防ぐのに有効」と実施団体は実感している。その実績を受けて自治体が独自事業にする例もある。
11日、支援の促進に取り組む「ホームスタート・ジャパン」が都内で開いた学習会で、大分県の社会福祉法人愛育福祉会豊川保育園の安倍正子・主任保育士は、地域の子育て支援に力を入れる思いを語った。
「保育園に通う親子のことだけでなく、もっと広く子育てを考えないといけない」。同園は2012年に始めたHSの他、乳幼児を育てる親子の交流・相談の場「地域子育て支援拠点事業」などに取り組んでいる。
HSは、コミュニケーションが苦手で育児仲間ができず孤立してしまう親子や、すぐに行政が対応する必要はないが虐待のリスクを抱える「気になる家庭」に出向きサポートする点が特長。訪問先ではボランティアが育児に行き詰まる親の話を傾聴し不安な気持ちを安定につなげる。一緒に離乳食を作ったり、子育て支援拠点に出かけたりするが、家事の代行はしない。
HSの普及に携わる西郷泰之・大正大教授は「当事者同士の対等な関係の『傾聴』は気持ちを元気にする」と語る。そのため、専門職でなく無償のボランティアが訪問する。それが子育ての意欲向上や孤立の防止につながるという。
専門性が求められる深刻な問題には対応できないものの、西郷教授は「限界を分かった上で取り組むことが大事」と指摘する。
NPO法人が運営している「ホームスタートわこう」の活動が実績を積み、市の事業になった和光市などの例もある。学習会で西郷教授は、HSに取り組む団体が利用できる国の事業や予算も紹介した。
一方、ニーズの掘り起こしも課題の一つ。現在は、保健師が新生児を訪問する際にHSのチラシを渡してもらうなど各団体が工夫をしている。ただ、それだけでは転居してきた人への周知が難しい。
学習会は、15年度に始まる子ども・子育て支援新制度とHSの関係などを学ぼうと開催された。内閣府の子ども・子育て会議委員を務める柏女霊峰・淑徳大教授が講演した。

ホームスタートとは…
各地域の団体が開く研修を受けた「ホームビジター」と呼ばれる地域の子育て経験者が、ボランティアで週1回2時間程度、定期的に家庭を訪問する。ビジターと利用者をつなぎ関係機関との調整役を担う「オーガナイザー」というマネジメント役もある。それを下支えする専門家らの組織も置かれる。利用者の申し込みから訪問終了までの流れもシステムが組まれている。2009年から5年間で全国60カ所に活動が広まった。もともとは1973年にイギリスで始まった。

ついに厚生労働省も警鐘!寝る前のスマホいじりの恐怖と改善策

マイナビニュース 2014年4月23日

携帯電話を持つ人の半数以上がスマートフォンを使っているといわれている現代日本。インターネットが使いやすく、ついつい長時間利用してしまいがちですよね。なかには片時もスマートホンを手放せず、寝る直前までスマートホンを触っている人もいるのではないでしょうか。しかし、この寝る前のスマホいじりは睡眠の質を低下させて身体に悪影響をもたらすとして、2014年の3月、政府がついに重い腰をあげました。政府が動くほどの自体となったスマホいじりは、いったいどんな害があるのでしょうか。そこで本記事では、スマホいじりの危険性と改善策をご紹介したいと思います。

ついに厚生労働省が警鐘
2014年3月、厚生労働省が11年ぶりに「睡眠指針」を見直すことを複数メディアによって報じられました。厚生労働省の指摘によると、スマートフォンを含む携帯電話の長時間の使用や寝床に入ってからの使用によって、近年中高生の夜型傾向が強まっているそうです。この状況を危惧した政府は、睡眠指針の改訂版で寝る前のスマートフォン使用を控えるように呼びかけています。

なぜ寝る前のスマートフォンは体に悪いの?
人間が規則正しいサイクルで睡眠と覚醒をおこなえるのは「メラトニン」というホルモンのおかげです。しかし、テレビやパソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットの光を夜間に浴びると、このホルモンの分泌量が抑制されてしまいます。そのため、睡眠のサイクルが崩れ、眠りが浅くなったり、寝付きが悪くなったりという症状が現れます。さらに、スマートフォンを筆頭に多くの電子機器のバックライトディスプレイに使われている発光ダイオード(LED)が放つブルーライトは特にメラトニン抑制を助長すると言われています。

どんな傾向被害があるの?
寝付く前に少しだけインターネットをみようと思って、いつの間にか眠れなくなっていたという経験のある方はいませんか?実は寝る前にスマートフォンを見ていると、前述のとおりメラトニンの分泌が抑制されるため、寝つけなくなり夜型生活になりやすいといいます。さらに、これが悪化すると、不眠症にも陥りかねません。

目への影響
寝る前の暗い部屋の中で受けるブルーライトの影響は、睡眠障害の他に目への負担が大きく、目の疲れ・目の痛み・網膜へのダメージも同時に引き起こすと言われています。

深刻化すると……
夜型や不眠症になると、太りやすくなったり、ストレス増加や不安定精神状態からうつ病になるケースもあるそうです。また睡眠不足から内臓疾患のリスクが高まったり、がんになるとの声もあります。ただ寝る前にスマホを見ていただけなのに、こんな重大な病気の危険性が潜んでいるとは驚きです。長時間の慢性的なスマホ使用はスマホ依存症になる可能性もあるので、寝る前にスマホを見ることが癖になっている人は何か改善策を試みたいですね。

改善策は?

スマホを寝る前に見ない
就寝の2時間前にスマホを使用していると睡眠に悪影響が出ると言われており、もし身体の不調や睡眠障害を感じている方は寝る前にスマホいじりをしないことが一番の改善策だと言えます。しかし、なかには寝る1時間前からでも睡眠状態の改善が望めるという医師もいます。2時間前から使用しないなんて無理!という方は、まずは就寝の1時間前にはスマホを操作しないということから始めてみてもよいですね。

画面の明るさを調整する
いきなり寝る前のスマホいじりを辞めることができない!という方にオススメなのが、ディスプレイの明るさを調整することでブルーライトの光量を軽減させるという方法です。ディスプレイの明るさの調整方法は機種によって違うので、わからない場合はスマホを購入したショップの店員さんなどに聞くといいでしょう。

ブルーライト対策をする
また、ブルーライト対策ができるアイテムも既に出回っています。有名なものはブルーライトカットメガネですね。有名メガネメーカーが取り扱っているものから100円均一で入手できるものまであります。また、携帯ディスプレイに貼る画面フィルターにもブルーライトを軽減するものが出ています。暗闇で見ても明る過ぎないので良いという声もあり、毎回ディスプレイの明るさ調整が面倒くさい!と感じる方にオススメです。その他にもスマホアプリで、ブルーライト軽減アプリなるものが出ているので、コストをかけたくない!という方はこういった無料アプリを使ってみるのも良いですね。

自分に合った対策を!
10代の夜型傾向や若者の不眠症増加など、睡眠に関わる問題はスマホの普及に比例して増えています。またスマホを利用する95%の人が、寝る前にスマホいじりをしているというアンケート結果もあり、今やスマホは生活に欠かせないもの。たとえば、貴重な情報収集の時間に当てている人は、いきなり就寝前のスマホいじりを辞めることはできませんよね。そういった人はブルーライトの対策をしてみたり、夜の情報収集タイムを朝に変えてみるなど、自分に合った対策を見つけることが大切です。