児童施設職員の性的虐待:強制わいせつ罪で起訴 解雇処分 /岡山

毎日新聞 2014年05月03日

社会福祉法人が運営する県内の児童養護施設で今年1月、20代の男の職員が入所者の男児に性的虐待し、県がこの法人に改善勧告した問題で、県警が男を強制わいせつ容疑で逮捕し、岡山地検が同罪で起訴していたことが2日、地検への取材で分かった。
地検によると、男は1月17日未明、就寝中の小学生男児の下半身を触ったという。
県子ども未来課によると、施設から1月20日、「職員が児童に性的虐待した」との通告があり、県が立ち入り調査。県は2月18日、「性的虐待があった」として、社会福祉法人に改善勧告したと発表していた。
法人は3月末で男を解雇し、関係各所と子どもたちの心のケアを続けていくことなどをまとめた改善計画書を提出したという。【平川義之】

「施設に入ること自体が虐待になりうる」 国際人権NGOが子ども養護で報告書

J-CASTニュース 2014年5月1日

生みの親が直接育てることができず、「社会的養護」が必要だとされている子どもが国内に約4万人もおり、その大半が児童養護施設で暮らさざるを得ない状況は、「弱い立場にある数万人の子どもたちから、自立した実りのある生活を奪っている」――そんな調査報告書を国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が2014年5月1日発表した。
HRWが2009年に東京事務所を開設して以来、日本について報告書を出すのは初めて。

欧米では7~8割が里親に預けられる
報告書によると、「国際人権基準では、社会的養護下にある子どもを施設に収容するのは最終手段と定められている」。実際に他の先進国では、このような子どもの大半が里親委託や養子縁組で育てられているという。
日本では児童養護施設での虐待を描いたドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ)が話題になったばかり。HRWは会見で、報告書の発表を通じて「『施設に入ること自体が虐待になり得る』ということについて公の場で議論したい」としている。
HRWでは、「社会的養護」下にある子どもたちや、かつて施設に入っていた人、施設職員など200人にインタビューして報告書をまとめた。その中では、大規模施設での生活について
「子ども1人あたりの占有スペースが狭く、愛着関係を築く機会が極めて限られる」
と指摘。施設を出た後も状況は厳しく、

「失業に陥ったり、将来性のない低収入の仕事に就くことも多い。また高等教育の機会も限られ、ホームレスになる子どももいる」
という。

厚生労働省の調べによると、要保護児童のうち、里親に委託されている人の割合は日本は12%。逆に言えば、残りの9割近くが児童養護施設や自立援助ホームなどの施設に入所していることになる。これに比べて、欧米での里親委託率はオーストラリア93.5%、米国77.0%、英国71.7%など。アジアでも香港79.8%、韓国43.6%と、日本とは大きな開きがある。
「あすママ」問題、「施設に入ることそのものに関する議論のなさに驚いた」
この背景としてHRWが指摘するのが、子どもの預け先を判断する児童相談所の問題だ。時間や手間がかかる養子縁組や里親制度よりも、施設入所を選びがちなうえ、里親よりも施設入所を好む実の親の意向が影響することも多いという。
報告書では、児童福祉法を改正して子どもの預け先を家庭裁判所などの独立機関が行えるようにし、里親や養子縁組を増やすことなどを求めている。
「あすママ」問題については、HRW日本代表の土井香苗氏が
「施設に入ることそのものに関する議論のなさに驚いた。施設で行われている虐待については様々な議論があったが、『この子どもたちは、なぜ施設にいないといけないのか』について議論をした人は皆無といっていい」
と、日本国内の無関心を指摘。
「この報告書を公開することで、『施設に入ること自体が虐待になり得る』ということについて、公に議論を始めたい」
と話した。

明日ママ論争で語られなかったこと ― 施設収容という人権侵害 「すべての子どもに家庭を」

保護必要な児童「日本は施設偏重」 国際人権団体が報告書

日本経済新聞 2014年5月2日

国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部・米国)は2日までに、虐待などで親と暮らせない子供の大半が施設で暮らす日本の現状が、子供の福祉や健全な発達を阻害しているとする報告書を公表した。施設偏重を改め、里親や特別養子縁組制度をもっと活用して全ての子供を家庭的な環境で養育するよう提言している。
HRWは、厚生労働省の公表データを基に日本には親と暮らせない子供が約3万9千人おり、約86%が施設で暮らしていると指摘し、里親への委託率が70%を超える米国や英国に対して日本は約14%にとどまるとした。
乳児院や児童養護施設では特定の大人と信頼関係を築く機会が少なく、施設を出た後の自立支援も不十分だと強調。当事者へのインタビューを実施し、職に就けず路上生活を余儀なくされた人もいると明らかにした。
HRW日本代表の土井香苗弁護士は「子供たちが施設にいること自体が、人権問題だとの認識を持ってもらうよう政府や社会に働きかけていきたい」と話した。
〔共同〕

逮捕監禁罪:3歳児に犬用首輪…父親に有罪判決 徳島地裁

毎日新聞 2014年05月02日

3歳の長男の首に犬用の首輪を付け拘束したとして逮捕監禁の罪に問われた徳島市に住む無職の父親(27)に対し、徳島地裁(吉井広幸裁判官)は2日、「(長男を)犬猫同然に扱った」として懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。
判決で吉井裁判官は「(長男の)人としての尊厳を害する児童虐待として悪質」と指弾。一方で「首輪を使って拘束したこと以外、日常的な虐待は認められない」などと執行猶予の理由を述べた。
判決によると、父親は母親(23)と共謀し、2月14日午後5時ごろから翌15日午後0時半ごろまでの間、長男の首に犬用の首輪を付けたうえで革製のひもを自宅窓の鍵の部分につなぎ、体の自由を奪った。
母親は既に4月25日、徳島地裁で懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)の有罪判決を受けている。【数野智史】

腎不全の幼児に面識ない女性が臓器提供へ、フェイスブックが命つなぐ

ロイター 2014年5月2日

生まれつき腎不全に苦しむ米国の少女に対し、面識のない女性がドナーに名乗り出て、腎臓移植手術が行われることになった。女性はフェイスブックで少女の窮状を知り、ドナーになる決心をしたという。
米ミネソタ州に住むアリアーナ・ムーアちゃん(2)は生後わずか7週間で遺伝性の腎臓不全と診断され、以来、人工透析なしでは生きられない日々を送ってきた。父のジェレミーさんによると透析は毎晩行われ、10―12時間も続くという。
母親のアシュリー・ブースさんは、アリアーナちゃんの窮状を世間に訴えるためフェイスブックにページを開設した。ページには写真とともに、腎臓移植への協力を呼びかけるメッセージが添えられた。
フロリダ州に住むクリスティ・ハーディングさんは、フェイスブックでアリアーナちゃんのページを見て、ドナーになることを決心。アリアーナちゃんと同い年の娘を持つハーディングさんは、普段だったらこうした病気の子供の話は無視してしまうという。「そのページがなぜか目に留まり、スクロールしていくうちに悲しくなった」と、ハーディングさんはその時の様子を語った。
ハーディングさんは検査の結果、ドナーとして適合することが判明し、そのことはアリアーナちゃんの両親にも伝えられた。
アリアーナちゃんの手術は5月初旬にも行われる予定で、回復には3カ月以上かかる見通し。手術が成功し透析が不要になれば、これまで感染症の恐れからできなかった入浴や水泳が可能になるという。