<社会的養護の今>(上) 正しく知る

中日新聞 2014年5月5日

今日は「こどもの日」。自分の子だけではなく、家族と離れて暮らさざるを得ない子の幸せも考えてみませんか。TVドラマ「明日、ママがいない」で注目された児童養護施設を中心に、子どもを公的に養育する「社会的養護」の現状と支援の広がりを紹介します。
今年初めに日本テレビ系列で放映されたドラマは、地域の小規模児童養護施設(グループホーム)が舞台。開始当初は横暴な施設長の言動が「子を傷つける」「誤解を招く」と批判されたが、後半は穏やかな内容に変わった。
父親の育児を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン関西」は、四月に大阪市内で「『明日、ママがいない』を振り返る」と題したイベントを開催。代表の和田憲明さん(40)は「普段は見えない場が舞台になったのに、ドラマが終わっても、まだ認知されたとはいえない。今日は対話を深め、子どもたちに対してできることを見つけてほしい」と語りかけた。
続いて、児童養護施設の子らの大学進学支援をするNPO法人「タイガーマスク基金」代表の安藤哲也さん(51)が講演。約二年前、ランドセルが続々と施設に届いた現象に触れ「物はある。本当に必要なのは退所後の自立を支えること。支援のミスマッチが少なくないのは、実情が知られていないから」と話した。
親がいなかったり、虐待を受けたりして施設や里親の元で暮らす子は現在、約四万人。母子家庭などが暮らす施設の入所児も加えると、社会的養護を受ける二十歳未満の子は約四万六千人で、同年代の子ども全体の約0・2%だ。
ドラマは施設への偏見を助長するとも批判されたが、東京都清瀬市の児童養護施設「子供の家」施設長の早川悟司(さとし)さん(44)は「数の少なさも原因」と指摘する。「昔は『親を老人ホームに入れるなんて』と非難されたが、今は違う。施設も学区に一カ所あれば、育児が困難な家庭にも使いやすくなり、偏見も減るだろう」と話す。
早川さんによると、ドイツの人口は日本の三分の二程度なのに対し、社会的養護を受ける児童の数は約四倍。「子どもの視点で生活を見て、施設をもっとカジュアルに使えるようにしたらいい」と提案する。
名古屋市緑区の中央有鄰(ゆうりん)学院は四年前から、乳児院と同じ建物で、市の委託事業である乳幼児と親の「つどいの広場」を開いており、入所児童が参加することもある。職員はプロとして育児相談も受ける。
敷地内には児童養護施設もある。「普段から来てもらえれば『普通の子が普通に暮らしている』と知ってもらえる」と施設長の中上純二さん(52)。施設を地域に開くことで、心の垣根を下げている。

「どんな環境で育っても夢かなえる権利ある」 養護施設出身者を支援 NPO代表 林恵子さん(40)

MSN産経ニュース 2014年5月4日

虐待を受けたり保護者がいなかったりする、主に18歳までの子供が生活する児童養護施設。彼らの大学、専門学校などへの進学率は20%程度にとどまり、進学しても約30%が中退。施設退所後は学費や生活費の負担が重くのしかかるためだ。
代表を務めるNPO法人「ブリッジフォースマイル」(東京)は平成23年から、施設出身者への進学支援プログラム「カナエール」を実施。6、7月には奨学金を希望する子供たちが夢を語るスピーチコンテストを東京、横浜、福岡で順次開催する。
「どんな環境で育った子供でも夢を持ち、努力してそれをかなえる権利はある。将来に希望を抱けない希望格差、進学できない進学格差を解消したい」
津田塾大卒業後、人材サービス大手のパソナに入社。約10年前、参加した研修プログラムでさまざまな問題を抱える児童養護施設の実態を目の当たりにし、16年、支援のために自らNPO法人を立ち上げた。
プログラムの柱は一時金30万円と毎月3万円の奨学金給付。学費や生活費を稼がないといけない施設出身者にとって大きな支えだが、原資はスピーチコンテストの入場料5千円や1口2千円の継続的な寄付だ。「大勢の前で思いを語ることで目標が明確になり、自信が持てる。そして、支えてくれる大人の存在を知り、劣等感や孤独感、孤立感を払拭できる」
これまでに37人が奨学金を受給。「小学校の先生」などの夢を実現させたケースもある。スピーチコンテストは支援の輪を広げる場。「全国の子供たちのために全国で開催する」。自身の夢だ。(竹岡伸晃)

こどもの日 無限の可能性を大切に育もう

読売新聞 2014年05月05日

「そのいっぽ みらいにつづく ゆめのみち」――。「こどもの日」から始まる児童福祉週間の今年の標語だ。千葉県の7歳の女の子が作った。子供の無限の可能性が感じられる。それを大切に育みたい。
各地の小学校で近年、「2分の1成人式」という催しが広まっている。20歳を祝う成人式の半分の10歳を迎えたことを記念して、4年生を対象に行われる。10年ほど前、国語の教科書で紹介されたのを機に盛んになったという。
子供が将来の夢や家族への感謝の言葉を発表したり、保護者が子供に、その成長を振り返る手紙を贈ったりするのが一般的だ。
「自分の人生に対する責任を自覚したことで、宿題やお手伝いを進んでやり始めた」「叱っても以前のようにふてくされず、素直に聞くようになった」
保護者を対象にしたアンケートからは、式をきっかけに自立へ向けて歩み始めた子供たちの様子が伝わってくる。
自らの夢を膨らませ、将来への決意を新たにする。子供の成長にとって大きな意味を持つ取り組みと言えるだろう。
ただ、子供たちが安心して勉強に励めるような、安定した家庭ばかりではないのも事実だ。
所得が国民全体の中央値の半分に満たない。そうした貧困家庭で暮らす子供の割合は、増加傾向にある。2009年には、これまでで最悪の15・7%に達した。ほぼ6人に1人にあたる。
経済上の理由で高校や大学に進学できず、安定した仕事に就けないケースも目立つ。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切らなければならない。
子どもの貧困対策法が1月に施行され、必要な施策を実施することが国の責務となった。7月にも具体策を定めた大綱が決まる。実効性のある内容が求められる。
埼玉県は、民間団体に委託して、生活保護世帯の中学生向けに無料の学習教室を開き、高校進学率を向上させた。教員OBらが勉強を教え、定期的に家庭訪問もする。きめ細かい支援は他の自治体の参考になろう。
貧困に限らず、生活上の困難を抱える家庭は孤立しがちで、支援が届きにくい。妊娠・出産期から子供と親を見守り、早期に適切な支援につなぐ体制を作る。児童虐待を防ぐ上でも重要な課題だ。
生まれてきたことを歓迎され、大切にされていると、すべての子供が実感できる。そんな社会を築くことが、大人の責任である。

社説[こどもの日に]夢と希望描ける社会を

沖縄タイムス 2014年5月5日

気になる調査結果である。
内閣府が3月31日に公表した小中高校生を対象にした「2013年度青少年のインターネット利用環境実態調査」だ。スマートフォンなど携帯電話によるインターネットの利用時間に驚かされる。
1日に2時間以上使っているのは小学生では2・7%にとどまっているが、中学生で27・1%、高校生では45・5%に達する。平均時間は小学生23・3分、中学生76・4分、高校生120・9分だ。
「ガラケー」と呼ばれる携帯電話より通信が速いスマホが急速に増えたことが背景にある。5時間以上使っている高校生は10・1%。10人に1人だ。日常生活に支障を来すネット依存症を心配する。
確かにインターネットはもはや必要不可欠だ。時間と空間をなくし瞬時に友達とつながる。ゲームも魅力的で、必要な情報を得るのも簡単だ。
だが、光があれば陰がある。会員制交流サイトSNSなどでトラブルが引き起こされていることからも分かるように、現実と境界がつかないような「仮想世界」である。
スマホを少し脇に置き、自然の中に飛び込む身体的な体験も必要ではないだろうか。自然界はスマホからは得られない不思議にあふれている。
たとえば、今月から12月の満月前後の満潮時に、宮古島市・池間島など県内海岸でオカガニの産卵の様子が観察できる。島の内陸から集団で海岸に移動、波打ち際で「懸命に」体を震わせ幼生を海に放つ。生命の神秘さに心が揺さぶられるに違いない。

きょう5日は「こどもの日」。「児童福祉週間」の初日でもある。本年度標語は「そのいっぽ みらいにつづく ゆめのみち」。千葉県の中西愛美さん(7)の作品だ。
だが標語とは裏腹に、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わり、過去のどの時代よりも、子どもたちに厳しくなっているのかもしれない。
昨年一年間に虐待があったとして、全国の警察が児童相談所へ通告した18歳未満の子どもは2万1603人に上った。初めて2万人を超え、過去最高だ。県内も47人。子ども受難の時代である。
貧困も深刻だ。09年時点の子どもの貧困率は15・7%。1人親世帯では、50・8%にまで跳ね上がる。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも最悪である。
親の経済状況が学力や健康状態に影響を与え、虐待との関連を指摘する調査がある。とりわけ懸念されるのは、子どもの自己肯定感や将来の希望までくじかれ、大人になってからも貧困から離れることが困難なことである。

子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがあってはならない。
1月施行された「子どもの貧困対策推進法」にある。政府は貧困の連鎖を断ち切る支援策の大綱案を作成する。4月17日、有識者らによる検討会の初会合で、森雅子内閣府特命担当相は「子どもが夢と希望を持ち成長できる社会の実現を」と訴えた。一人一人がかけがえのない「宝」である。子どもたちが輝く社会をつくらなければならない。

韓国軍のベトナム戦争での蛮行が米世論に糾弾される可能性も

NEWSポストセブン 2014年05月05日

「慰安婦像」が設置された米国で韓国ロビーによる「日本叩き」が過熱している。一方、ソウルでは元慰安婦らがベトナム戦争時における韓国軍の蛮行を告発。「慰安婦」を人権問題に格上げして日本を貶めるはずが、自らの首を絞める事態に発展している。
「カリフォルニア韓国系米国人フォーラム」(KAFC)がグレンデールで反日大連合の構築、在米邦人社会の分断を進められた背景には、これまで運動の主軸にしてきた日本政府に対する謝罪・補償要求をひとまず棚上げし、「女性の人権を守るための聖戦」(在米韓国系反日団体関係者)というスローガンを掲げたことがある。
慰安婦像は「日本人を貶めるシンボル」ではなく、「女性の人権を守るためのシンボル」との位置づけだ。普遍的なテーマを掲げることで、より幅広い団体の支持を呼びかけて運動を拡大しようとする狙いがある。
だが、韓国ロビーによるテーマの格上げが、ここにきて自らの首を絞めることにつながっている。
「撤去提訴」から約2週間後の3月7日、一部の韓国人元慰安婦とその支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)代表が記者会見を行ない、ベトナム戦争に参戦した韓国軍による「ベトナム人女性に対する性暴力や民間人虐殺」について朴槿恵政権が謝罪し、法的責任をとるよう訴えた件である。ソウルに慰安婦像を建てる活動をした挺対協はKAFCと密接な関係にある。挺対協も「女性の人権」を掲げてベトナムへと“戦線拡大”したわけだ。
だが朴政権が、ベトナムで韓国軍が行なった虐殺や性暴力を簡単に認めることはできない。
1998年ベトナムを訪問した金大中大統領(当時)が「不本意ながら、ベトナム国民には苦痛を与えたことを申し訳なく思う」と謝罪した際、当時野党ハンナラ党副総裁だった朴槿恵氏は「金大中大統領の歴史認識を憂慮せざるをえない。参戦勇士の名誉を著しく傷つける」と非難した。
そうした経緯から、挺対協の告発が朴政権の了承を得た上での新戦略とは考えにくい。元慰安婦支援団体の間に何らかの亀裂が生じているのだろうか。筆者はこの点についてKAFCにコメントを求めたが、本稿締め切り時点で反応はない。
KAFCがほかのアジア系アメリカ人との連帯と共闘を進めるために「人権」をテーマにすること自体はわからなくもないが、それは同時に韓国の一番痛いところを突くことにもなる。そもそも、「慰安婦」と「韓国軍の蛮行」とは全く次元が異なる問題だ。慰安婦や慰安所は、倫理的問題はともかく、戦時下では定められたルールに従って制度化されていた。慰安婦たちは貧困などの事情でその職に就いた職業売春婦である。
そして他国の軍隊にも同様の制度はあった。元慰安婦たちの訴えも、元々は終戦による賃金未払いなどの金銭闘争だった。それに対し、韓国軍がベトナムで犯したレイプや虐殺は時代を問わず重大な戦争犯罪である。
3月7日の挺対協の会見はもとより、韓国軍の蛮行について報道した米メディアは本稿締め切り時点までない。米世論の矛先はまだ日本だけに向いているが、韓国軍の蛮行が糾弾される日はそう遠くないだろう。
※SAPIO2014年5月号

「どうして批判されなければならないのか」 「美味しんぼ」原作者の雁屋氏、ブログでコメント

ねとらぼ 2014年5月4日

「反論は、最後の回まで,お待ち下さい」――漫画「美味しんぼ」原作者の雁屋哲氏は5月4日、同作での描写に批判が集まっている件について、このようなブログエントリを公開した。
批判を受けているのは、「ビッグコミックスピリッツ22・23合併号」に掲載された、福島第1原発の見学から帰ってきた主人公らが原因不明の鼻血を出すといった一連の描写。ネットなどで「風評被害を招く」「ミスリードにつながる」といった批判が続出している。同誌編集部は批判を受け、「綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載させていただきました」とコメントした。
雁屋氏はブログで「当然ある程度の反発は折り込み済みだったが、ここまで騒ぎになるとは思わなかった」と驚きの気持ちを語るとともに、「ここで、私は批判している人たちに反論するべきなのだが、『美味しんぼ』福島篇は、まだ、その23,その24と続く」「本格的な反論は、その24が、発行されてからにする」とし、福島篇完結後に批判に対し反論する意向を示している。
同作の今後の展開については「その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。今まで私に好意的だった人も、背を向けるかも知れない」と予告。「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」と批判に対する反発もつづっている。
ビッグコミックスピリッツはこの件について、特集記事で識者の見解や批判を掲載する予定。5月19日発売の25号と、同誌のWebサイトに掲載する。

Android端末が固定電話の子機になるってホントですか? – いまさら聞けないAndroidのなぜ

マイナビニュース 2014年5月5日

多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「Android端末が固定電話の子機になるってホントですか?」という質問に答えます。

NTT東西の「ひかり電話」などIPネットワークを利用する固定電話は、「SIP(Session Initiation Protocol)」というプロトコルを利用して子機と通信します。つまり、SIP対応の機器であればひかり電話の子機として利用できるわけで、SIPを標準サポートするAndroid 2.3(GingerBread)以降のスマートフォンはアプリを追加することなく、ひかり電話の子機として利用できます。
子機としての登録は、Android 2.3以降の場合「設定」→「通話設定」→インターネット通話の「アカウント」の順に画面を開き、「アカウントを追加」ボタンをタップしてひかり電話ルータのIPアドレスとユーザ名/パスワードを入力すれば完了です。「着信を受ける」をチェックしておけば、かかってきた電話に応答することも可能です(バッテリー消費量は増えます)。Android 4.x端末の場合は、同様の作業を電話アプリの設定メニューから行います。
ただし、あらゆるAndroid端末がそのまま子機(SIPクライアント)として動作するわけではありません。端末によっては、SIPアカウントを登録するための設定項目が省略されているからです。Android OSに子機としての機能が組み込まれているとはいえ、情報を設定できなければ使いようがありません。その場合は、Google Playから「AGEphone」などSIP対応IP電話アプリをダウンロードし、使用することになります。
(海上忍)