性暴力被害 足りぬ支援員…民間センター1年

読売新聞 2014年05月13日

性暴力を受けた人に医療的、精神的支援を行う民間組織「性暴力被害者支援センター・ひょうご」の設立から1年が過ぎた。開設以来、寄せられた相談は228件に上り、医師、カウンセラーらの連携も進むが、課題は相談に応じる支援員の不足。今年度からは児童虐待対策を強化するため、事務局を神戸市から尼崎市に移し、支援員養成にも力を入れている。(浅野友美)
県内の産婦人科医や被害者支援団体の元職員らが昨年4月に設立。当初は「性暴力被害者支援センター・神戸」の名称で、神戸市西区の「なでしこレディースホスピタル」に事務局を置いた。
センターに診察に訪れた27人のうち、半数以上の15人は18歳未満。中には、事務局が主に産科・婦人科を専門とする病院にあることにためらい、被害を受けたにもかかわらず、受診しなかった男児もいたという。
児童虐待対策強化尼崎に事務局移転 このため、センター代表の産婦人科医・田口奈緒さんは「男女問わず、若年の被害者の相談を受ける組織にしたい」と、児童虐待に取り組む県立塚口病院(尼崎市)の小児科医・毎原敏郎さんに相談。今年4月から、同病院に事務局を移し、性暴力被害者支援センター・ひょうごに改称した。
現在は、平日の午前9時半~午後4時半に、専門的な研修を受けた支援員約10人が、電話や来所による相談に対応。時間外でも、病院からの緊急連絡を受けて支援員が相談者宅などに駆け付ける例が、昨年度は9件あった。
年間200件を超える相談に対応するだけでなく、緊急時の派遣を続けていくには、支援員の養成が不可欠。しかし、昨年度の支援員養成講座の受講者は6人にとどまっており、支援員不足が深刻だ。
今年度は5月25日から11月16日まで全22回、尼崎市女性センター・トレピエで開催。性暴力被害に遭った時の警察の支援体制や、こども家庭センターなどの支援拠点についての講義を充実させ、受講を呼びかけている。
田口さんは「今すぐ支援員になれなくても、受講をきっかけに、性暴力被害者が安心できる態勢作りに関わってもらいたい」と話している。
講座は定員30人。受講料は3万円で、弁護士や精神科医らが被害者心理などについて講義し、全講座修了後に面接を実施する。
希望者は申込用紙に必要事項を記入し、ファクスなどで送る。問い合わせは事務局(06・6421・0990、ファクスも同じ)へ。被害相談のホットラインは06・6421・0991。

性暴力被害 ケアの拠点をもっと

中日新聞 2014年5月13日

性暴力被害へのケアは緊急の課題だ。医療や警察への通報、生活相談まで総合的に支える救援拠点を広げなくては。民間に任せきりとせず、治療検査や人材養成なども公費助成を充実させるべきだ。
レイプや強制わいせつなど性被害はいつ起きるか分からない。大阪府の阪南中央病院の中に二〇一〇年、日本で初めて開かれた「性暴力救援センター・大阪」(略称SACHICO)は、二十四時間体制で相談を受け、医師とカウンセラーが連携している。
特徴は、すべての支援を同じ場所で受けられる「ワンストップ」にある。医師は感染症の検査をしたり緊急避妊薬を処方し、加害者の精液などの証拠も採取する。警察に連絡し、警察官に来てもらうこともできる。弁護士の紹介や心理カウンセリング、引っ越し支援などは被害者の希望を尊重しながら行われる。
傷ついた者が警察へ、病院へと何カ所も回らなくていい。支援員や医師は女性ばかり。それは、被害者の多くが望んだ支援の形だ。男性のいる場では体験がよみがえり、心ない言動でさらに傷つけられることもある。国の調査では、警察に届けられた性犯罪の割合は一割強しかない。訴えられないままの被害の方が圧倒的に多い。
SACHICOには、四年間に一万七千件を超える電話相談があった。レイプや強制わいせつの被害が四百六十六人に上り、未成年者は二百六十六人。電話相談は毎月五百~六百件もある。
性虐待の被害は未成年者が多い。父親など身内が加害者であるため、実態が犯罪でありながら、申告されず処罰もない。児童相談所を介して診察を受けた子どもも被害の一部でしかない。
国連は女性二十万人に一カ所の割合でレイプ被害に対応するセンターの設置を求める。米国では、千百カ所ものセンターが連邦政府などの補助金で運営されている。
日本でもやっと一二年、都道府県に少なくとも一カ所の救援センターを設置する方針が示された。愛知、東京、北海道、神戸、福井など十数カ所に開かれているが、民間病院が中心だ。運営費を寄付に頼り、多くは支援員の人件費も出せていない。産婦人科医が足りず、開設のめどが立たない地域もある。国は治療や検査の費用を負担し、公立病院内へのセンター設置を進めるべきだ。
人の尊厳を深く傷つける性暴力は被害者を長く苦しめる。社会で関心を向け、ケアを支えたい。

国立感染症研究所】13年の梅毒患者、3年前に比べ約2倍‐男性同性間感染が急増

薬事日報 2014年5月12日

梅毒患者の届け出数が、2013年には10年の約2倍に当たる1226例が報告され、さらに、国内外共に増加傾向にあることから、厚生労働省などでは、関係者に地域の梅毒発生動向を注視することを求めると共に、感染リスクの高い層に対する検査の受診勧奨や、対象者の実情に応じた感染拡大防止対策の推進を要請するなど、注意喚起を図っている。
国立感染症研究所の調べによると、13年の報告数は前年の1・4倍に増加していた。人口10万当たり発生率は12年が0・7だったが、13年は1・0となった。性別は男性が989例と8割を占め、男性人口10万人当たり発生率は1・6となった(女性は0・4)。年齢群別の人口10万人当たり発生率は、男性の25~29歳が3・9と最も高く、次いで35~39歳の3・4だった。男性の20~50代の発生率はいずれも12年より増加していた。女性では20~24歳が1・3と最も高く、次いで25~29歳の0・9となっている。

子連れ再婚応援冊子 府、特徴や対処法

読売新聞 2014年05月13日

夫と妻のどちらか、または両方が子どもを連れて再婚した家庭「ステップファミリー」が抱える悩みや対処法などをまとめた冊子「あした天気になあれ!」(A5判、28ページ)を、府が作成した。家族形態が多様化する中、ステップファミリーは増加傾向といい、府家庭支援課は「一つずつ課題を乗り越え、新しい家族の絆を強めるために役立ててほしい」と活用を呼びかけている。(南暁子)
ステップファミリー(Stepfamily)は、「血縁者を亡くした」という意味の英語の古語「steop」が語源とされる。
厚生労働省のまとめでは、離婚の増加に伴って再婚件数も年々増え、2012年に結婚したカップルに占める再婚の割合は約4分の1と、1970年の倍近くとなっている。府内の児童相談所には、「実子を連れて再婚したが、パートナーに気を遣う」といった相談が寄せられており、関係構築がうまくいかず、再び離婚したケースもあったという。
冊子では、ステップファミリーについて、▽対人関係が複雑になる▽子や親の心に、前の家庭での思い出が残っている▽生活習慣が変わり不満が出やすい――などの特徴を挙げ、「関係が安定するまで、最低4年程度かかる」と指摘。
子どもが、新しい親が信用できるか確かめるため、幼児退行や反抗などを繰り返す「試し行動」については、「受け止めるのは大変なこと。父親、母親の役割分担を確認し、二人三脚で乗り切って」と助言している。
子ども向けのコーナーでは、「離婚は大人の理由で大人が決めたこと。決してあなたのせいではないんだよ」「前の家族との思い出は大切。『会いたい』と思えば、会う権利があるんだよ」と呼びかけている。
5000部を作り、市町村の担当窓口や児童相談所、保健所などに配っている。
問い合わせは府家庭支援総合センター(075・531・9650)へ。

「JKリフレ」カメラで少女監視=児童福祉法違反容疑で逮捕―大阪府警

時事通信 5月13日

女子高校生が客にマッサージなどをする「JKリフレ」で、18歳未満の少女をカメラで監視しながら働かせていたとして、大阪府警少年課などは13日までに、児童福祉法違反(有害目的支配)容疑で、「萌えエステ メイドの手」経営者の前坂和治容疑者(48)=同府茨木市駅前=ら3人を逮捕した。
同課によると、JKリフレは労働基準法違反での摘発が相次いでいるが、より罰則の重い児童福祉法違反の適用は全国初という。前坂容疑者は「カメラは売上金を着服させないため設置した」と否認している。
逮捕容疑は、昨年12月~今年3月、大阪市淀川区西中島の同店で、当時高校2年の女子生徒(17)を監視カメラのある部屋で待機させて支配下に置き、制服姿などで下着姿の男性客にマッサージをさせた疑い。

人口1億人を50年後も維持 政府、初の数値目標

東京新聞 2014年5月13日

政府の経済財政諮問会議の下に設置された専門調査会は十三日、日本経済の持続的な成長に向けた課題を示した中間整理をまとめた。出生率を高めるため子どもを生み育てる環境を整え、「五十年後に人口一億人程度の維持を目指す」との目標を盛り込んだ。政府が人口に関して明確な数値目標を打ち出すのは初めて。
日本の人口は出生率が回復しない場合、現在の約一億二千七百万人から二〇六〇年には約八千七百万人まで減少する見通し。人口減少で労働力が足りなくなると国の経済成長や財政に大きく影響するため、維持への対策が急務となっている。
甘利明経済再生担当相は十三日の会合で中間整理を六月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる考えを表明した。専門調査会は「『選択する未来』委員会」。日本商工会議所の三村明夫会頭が会長を務め、有識者が参加して日本の中長期課題を議論している。三村氏は会合後の記者会見で「政府は危機意識をしっかりと受け止めてほしい」と語った。