<難病法>成立 助成対象増えるが、患者に負担も

毎日新聞 2014年5月23日

難病患者への医療費助成拡大を主な柱とする「難病法」が23日、参院本会議で可決、成立した。助成対象は56疾患・約78万人から約300疾患・約150万人に増える一方、軽症者を対象から外し重症者にも負担を求める。患者の自己負担は3割から2割に減額され、年収などに応じ月1000~3万円の上限額を設ける。
子供の難病の医療費助成を見直す改正児童福祉法も成立。助成対象は514疾患・約11万人から約600疾患・約15万人に拡大する。自己負担の上限額は大人の半額。両法とも来年1月施行する。【桐野耕一】

児童福祉施設で10代の少女2人に60代臨時職員が性的虐待

サンスポ 2014年5月23日

岩手県は23日、県内の民間の児童福祉施設で昨年3月、当時60代の男性臨時技術職員がマッサージと称し、入所する10代の少女2人の体を触る性的虐待があったと発表した。職員は直後に懲戒免職となった。
この施設では、別の元臨時職員の男(67)が昨年5月に入所者の少女とわいせつな行為をしたとして児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)容疑で今年5月に逮捕された。
県は「事件捜査への影響を考慮し、性的虐待の公表はこれまで控えていた」と説明。運営法人に対しては、既に再発防止を求め改善勧告した。(共同)

小学生の列に車突っ込む 6人軽傷、保護者重傷/上尾

埼玉新聞 2014年5月23日

23日午前9時50分ごろ、上尾市上野の県道を歩いていた市立平方小3年生の児童60人の列に軽乗用車が突っ込んだ。男児3人と女児3人が軽傷、付き添っていた保護者の女性(39)が胸の骨を折る重傷を負った。いずれも命に別状はないという。上尾署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで軽乗用車を運転していた鴻巣市松原4丁目、介護福祉士土岐多美子容疑者(61)を現行犯逮捕し、詳しい事故原因を調べている。
同署によると、現場は片道1車線の見通しの良い直線道路でガードレールはなかった。2クラスの児童60人は、社会科の校外学習「地域探検」の一環で、近くのスーパーから農園に向かう途中だった。
児童たちは、担任教諭や臨時職員、保護者4人の計7人の引率で道路左側から右側へ横断歩道を渡り、道路脇を1列で歩いていたところに、前から走行して来た軽乗用車が列の中央付近に突っ込んだ。
土岐容疑者は目立った持病や薬の服用はなく、「ぶつかるまで気が付かなかった。目がちかちかした」と供述しているという。
上尾市消防本部によると、現場にいた男性教諭が「小学生の列に車が突っ込んだ」と119番した。
車にはねられた保護者の女性が児童の列に倒れ込んだとみられ、児童6人は病院に搬送されたがいずれも擦り傷程度のけがという。
土岐容疑者の勤務先によると、介護ヘルパーの同容疑者は業務で利用者の自宅に向かう途中だった。
現場はJR高崎線上尾駅の南西約3・5キロの畑の中に住宅が点在する地域。

心の傷早期ケアが必要(山形)

読売新聞 2014年05月24日

昨年6月、村山地方の民間施設の女性施設長の元に、助けを求める電話が入った。「甥が『父親を殺す』と言っている。助けてほしい」
関東地方の通信制高校に通うトオル(16)(仮名)が、幼少の頃から日常的に、アルコール依存症の父親から殴る蹴るの暴行を受けている。それまで反抗的な態度を見せたことはなかったが、包丁を持って弟と話す内容を聞いた叔母は驚き、前もって探しておいたこの施設に連絡したという。
施設は県内のNPO法人が運営。若者らの自立と家族関係の修復を促すのを目的に、県内外の10~30歳代の男女が10人前後で共同生活をしている。電話があって程なく、トオルは施設で暮らすようになったが、鋭い目つきで職員すら寄せつけない態度だった。
入所から数週間後、トオルが年上の男性入所者に性的ないじめをしていたことが発覚した。暖房用の薪割りの最中、ノコギリを自分の手首に当てるそぶりを見せた時は、「本気だ」と思った職員がとっさにノコギリを取り上げた。
施設長は「親の愛情を受けて育たなかった子には、異常行動や自傷行為がみられる傾向がある。親から粗暴な扱いを受けたため、自分も他者に同じような接し方しかできない」と指摘する。
こうした子は、基本的なしつけが身に着いていなかったり、人との接し方に問題があったりするケースが多い。施設では、規則正しい生活を送ることから始まり、あいさつの励行や正しい言葉遣いが求められる。当番制で炊事・洗濯などにも取り組む。
ようやく生活態度に落ち着きが出てきた頃、トオルは家族の元へ帰っていった。入所から半年後のことだ。
「残してきた弟が心配だったのと、入所費用で叔母に迷惑をかけたくないと思っていたようだ。本当は優しい子。半年で癒えるほど彼の心の傷は浅くない。今後も連絡を取り合い、見守らなくては」。施設長はそう考えている。

親から虐待を受け、十分な愛情を受けずに育った子どもは、感情の抑制や人間関係の構築ができなくなる「反応性愛着障害」などの精神疾患を発症するケースがあるとされる。深刻なのは、こうした子が親になると、自分の子にも虐待を加える傾向があるということだ。
「いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳」などの著書がある福井大の友田明美教授(小児発達学)は「その割合は3分の1になるという研究もある。虐待は子どもの脳に大きな影響を与え、回復に時間がかかる。『世代間連鎖』を食い止めるため、子どものカウンセリングなど、早期から心のケアを行うことが必要だ」と話した。(一部敬称略)

改めてアンナカとは

小森榮 2014年05月17日

今日、覚せい剤取締法違反で芸能人が逮捕されたと報じられ、さっそく私のところへも取材や問い合わせが来ています。
この人物が、昨年、覚せい剤疑惑が取りざたされた際に、使ったのは覚せい剤ではなく「アンナカ」だったとコメントして話題になったことは、皆さんもご記憶でしょう。逮捕のニュースを受けて、改めて、去年の「アンナカ」発言も、再び話題になっているというわけです。

通称「アンナカ」、正しくは「安息香酸ナトリウムカフェイン」とは、カフェインに安息香酸ナトリウムを加えて水に溶けやすくしたものです。白色の粉末で、においはなく、味はわずかに苦いといいます。強心・興奮作用をもつ薬品として使われるほか、清涼飲料等の保存料としても使われるそうです。
薬品としては、一般人にそれほど知られているわけではないアンナカですが、実は、年配の覚せい剤常用者にとっては、この名はなじみ深いもののようです。私の手元にある覚せい剤関係の資料でも、古い年代のものには、この言葉がよく載っています。アンナカとは、昭和の覚せい剤に不即不離の関係でついて回った、パートナーともいえる存在だったのです。

「ヒロポン」の時代
そもそも、覚せい剤がヒロポンと呼ばれていたころ、密造されるアンプル入りのヒロポン液には、消費者の嗜好に合うよう、アンナカなどが配合されることがありました。
昭和29(1954)年、千葉県船橋市の住宅で「ヒロポン」注射液を密造した男性が、覚せい剤取締法違反で逮捕され、裁判を受けましたが、男性が密造した「ヒロポン」液には覚せい剤とともにアンナカも配合されていました。判決書には、約500㏄入りのビンに蒸溜水を入れて熱し、これに覚せい剤約1.5グラム、食塩、アンナカ、カフェインを入れて攪拌溶解し、覚せい剤注射液約400㏄を製造した、と記載されています(東京高等裁判所昭和29年12月27日判決)。

「シャブ」の時代
昭和40年代後半から昭和の末ころまでは、覚せい剤に様々な形でアンナカを混ぜ込んだものが、よく流通していたようです。このころには、覚せい剤は「白い粉」として流通するようになっていましたが、同じような白い粉末で興奮作用のあるアンナカは、覚せい剤の増量剤として、また、使用感に特有の「味わい」をつける配合剤として、覚せい剤に混和されて出回ることがよくありました。このころ、覚せい剤の混ぜ物として使われたものに、ほかに、塩酸プロカイン、チオ硫酸ソーダ(通称「ハイポ」)、味の素などがあったといいます。
また、同じころに「金魚」と呼ばれるものが出回ったのですが、これは、弁当の醤油入れに使われる金魚型の容器に入った覚せい剤溶液で、覚せい剤の水溶液にアンナカ、ワイン、ジュース、はちみつ等を混ぜたものでした。乱用者は、これをジュースなどに加えて飲んで使いました。
アンナカは、ときに、覚せい剤の代用品として、密売市場に出回ることもあったようです。昭和の時代の覚せい剤事件では、ときおり、手元から発見された覚せい剤を「覚せい剤ではなく、アンナカだと思っていた」と主張する被告人があったそうです。最近では「脱法ドラッグだと思っていた」という言い訳が目につきますが、それと同じような感覚でしょうか。

現在では
その後、日本の乱用市場に出回る覚せい剤は、きわめて高純度のものになっていき、アンナカなどの混ぜ物は、次第に姿を消しました。
私が覚せい剤事件を集中的に手掛けるようになったのは平成7年頃からですが、私が担当した事件で、アンナカや「ハイポ」などに出会ったことはありません。事件で押収された覚せい剤に特異な混ぜ物が混入されている場合や、とくに純度が低い場合には、鑑定担当者のメモなどがあり、覚せい剤不足の時期には、エフェドリンなどの覚せい剤原料が混入された品物が出回ったのですが、昭和の時代によくあったというアンナカに出会う機会は、一度もありません。