子育て支援員:創設へ 保育士補助、育児経験者求む!

毎日新聞 2014年05月31日

政府は育児経験がある主婦らを対象に、不足している保育士をサポートする新たな公的資格「子育て支援員(仮称)」を2015年度に創設する方針を決めた。15〜25時間程度の研修で取得できるようにする。田村憲久厚生労働相は30日の記者会見で明らかにし、待機児童の解消などに向けて活用していく考えを示した。
研修は国の指針に沿い、都道府県や市町村が実施。10時間程度の共通研修を受け、事業所内の保育所や定員19人以下の小規模保育、一時預かりといった現場で保育士を補助する場合、10〜15時間程度の追加研修が必要。放課後児童クラブ(学童保育)や、乳児院・児童養護施設で働く場合は、5時間程度の追加受講で補助的な職員として活動できる。育児経験は不可欠ではない。支援員経験は資格試験に必要な実務経験とみなす。施設が置かねばならない保育士数(配置基準)には数えない。
政府が6月に策定する成長戦略は「女性の活躍」を柱に掲げており、子育て支援員は目玉の一つ。専業主婦が社会に出る際の受け皿として想定している。【細川貴代】

「妊娠から子育て」継続支援 国がモデル事業

中日新聞 2014年5月30日

虐待につながる恐れのある子育ての悩みを解消させるため、妊娠から産後まで、切れ目なく妊産婦と家族を支える国のモデル事業が本年度から始まった。中には妊娠期から就学前までの子育て家庭を、同じ担当者が支えるフィンランドの制度を取り入れた「日本版ネウボラ」を目指す自治体もある。
「よだれが出て、ちょうだいと催促する手も出てきた。離乳食開始のサインですね」。東京都世田谷区の子育てサロン「アガ・ボーリ」。助産師の中西貴子さんが母親に声をかけた。
生後一カ月以降の母子を対象に、中西さんや保健師の伊原詳子(ようこ)さんら七人が、四年前から開いている。二カ月の長女と参加した同区の主婦、野田直子さん(36)は「ここに来るまでは、気が変になりそうだった」と振り返る。
伊原さんらは「産後、地域の最初の支援となる乳児家庭全戸訪問でも、個々に応じた的確な助言が得られず、悩む人は多い。児童館に来る元気がなく、集団になじまない人も。まずは外に出して、孤立を防ぎたい」と話す。

厚生労働省によると、二〇一一年度に虐待死(心中以外)した子どものうち、ゼロ歳は43%を占める。うち四割が望まない妊娠による遺棄などで、生後十日以内に死亡している。妊娠届は自治体、妊娠期は医療機関、産後の子育て期は保健所と窓口が異なるため、連携が取れずに、支援網から取りこぼされるケースも多い。
厚労省は本年度から、妊娠期から切れ目なく支援する「母子保健コーディネーター」の設置や、産後ケアなどの「妊娠・出産包括支援モデル事業」を始め、既に三十市町村が参加の意向を示している。
この動きを背景に、NPOが運営する「地域子ども・子育て支援システム研究会」では、世田谷区や千葉県浦安市、三重県名張市、愛知県高浜市など七市区村が参加し、フィンランドの母子相談施設「ネウボラ」を参考に、支援体制を整備中だ。
ネウボラはフィンランド語で「アドバイスの場」を意味する。全ての子育て家庭に、一人の保健師が妊娠期から就学前まで密に面談し、必要な支援につなげる。妊婦健診や予防接種など、妊産婦とその家族の全ての窓口が一本化され、子育ての拠点となっている。
名張市では看護師などの「チャイルドパートナー」が担当となって、母親の配偶者の有無や就労状況などにより、個々のサポートプランを作成。育児不安が募りやすい産後二週間で全戸を訪問し、面談と過去の妊婦健診などから状況を把握するという。同市健康支援室の保健師、上田紀子さんは「これまではハイリスク重視で、(母子全体に接し、全体的にリスクを下げる)『ポピュレーションアプローチ』がなかった。気軽に行ける相談の場を目指す」と説明する。
高浜市では、妊娠期から継続して見届ける「マイ保健師」を置く。乳児全戸訪問の後、一歳でバースデー訪問をして、予防接種や養育の状況を確認。市内の産婦人科の空き病床を利用して、不安を抱える母子のデイサービスもする。
ネウボラに詳しい吉備国際大の高橋睦子(むつこ)教授(福祉政策論)は「プランは最終目的ではなく手段。子育て中の家族が信頼する専門職と対話を積み重ねることが肝要。何げない会話から、見守るべき部分と支援につなぐ部分を見極める技量が求められる」と指摘する。
(安食美智子)

アパートに白骨遺体 神奈川・厚木、子供か 死体遺棄で捜査

日本経済新聞 2014年5月31日

30日午後3時15分ごろ、神奈川県厚木市下荻野のアパートの一室で、子供とみられる白骨遺体があるのを児童相談所から通報を受けた県警厚木署員が発見した。県警は死体遺棄事件とみて捜査を始めた。
厚木署は22日、児童相談所から「中学校に入学するはずの男の子が学校に来ない」と連絡を受け、男の子を捜していた。県警は30日、父親と連絡を取って立ち会いを求め、室内で遺体を発見した。父親から事情を聴いているが、母親とは連絡が取れないという。
署によると、遺体は性別が判別できない状態で、死後、長期間経過しているという。
近くに住む女性によると、約3年前、現場の部屋に住んでいる子供について「小学校に通っているはずなのに所在が確認できない」と児童相談所の職員が女性宅に調査に来たことがあった。
その子供は現在、中学1年になる女性の孫と同じ時期に生まれ、生後間もないころに一度見かけたきりという。事件との関連は不明だが、女性は「ずっと気になっていた」と心配そうに話した。
現場は小田急線本厚木駅の北約5キロの住宅や畑が広がる一角。〔共同〕

不明男児の未就学把握も通報せず 厚木児童相談所

日本経済新聞 2014年5月31日

厚木市のアパートで斎藤理玖ちゃんとみられる白骨遺体が見つかった事件で、厚木児童相談所は31日、理玖ちゃんが小学校に未就学だったことを把握しながら、今年春まで県警に通報していなかったと明らかにした。
同日記者会見した児相の井上保男所長によると、理玖ちゃんが3歳だった2004年10月に迷子として一時保護し、母親に引き渡したことがあった。職員が調査を続け、入学予定の小学校の説明会に出席せず、入学もしていなかったことを08年12月に把握したという。
その後も所在が確認できなかったが、所在不明の児童としては扱わず、警察にも連絡しなかった。井上所長は「最初は迷子の扱いで虐待もなかったため、踏み込んだ調査ができなかった」と陳謝した。〔共同〕

男児白骨遺体、父を逮捕 食事十分に与えず死なせた疑い

朝日新聞 2014年5月31日

神奈川県厚木市下荻野のアパートで、白骨化した男児の遺体が見つかった事件で、県警は31日、男児の父親でトラック運転手、斎藤幸裕容疑者(36)=同市愛甲3丁目=を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。容疑を認めているという。男児は長年にわたって所在不明で、厚木児童相談所から連絡を受けた厚木署員が30日に遺体を見つけた。
県警によると、斎藤容疑者は2006年10月ごろ、同市下荻野のアパートの部屋で、当時5歳の男児を保護すべき責任があるにもかかわらず、必要な食事や水分を十分に与えず衰弱させ、翌07年1月ごろまでに死亡させた疑いがある。
今月22日に児童相談所から県警に「この春に中学生になる年齢の男子の所在が分からない」と連絡があり、同署員がアパートに確認に行ったが入れなかったという。30日になって、同市愛甲3丁目に住んでいた斎藤容疑者とともにアパートに入ったところ、室内で白骨化した男児の遺体を発見した。