子育て世帯臨時特例給付金と臨時福祉給付金…厚労省が特設ページ開設

リセマム 2014年6月18日

厚生労働省は6月17日、子育て世帯臨時特例給付金と臨時福祉給付金の詳細を紹介する特設ウェブページ「2つの給付金」を開設した。支給対象者や支給額、申請方法などについて、わかりやすくまとめている。
子育て世帯臨時特例給付金と臨時福祉給付金は、消費税増税に伴う臨時的な給付措置。子育て世帯臨時特例給付金は、平成26年1月分の児童手当の対象となる児童1人につき1万円が支給される。臨時福祉給付金は、住民税の非課税者を対象に1人につき1万円が支給、老齢基礎年金などの受給者は5,000円が加算される。
特設ページでは、2つの給付金について「制度概要」「支給要件」「申請方法」をわかりやすくまとめている。具体的な申請方法や申請期間は、市町村によって異なることから、各市町村の受付開始状況を随時更新して掲載。各市町村の窓口となる電話番号や担当部署、関連ホームページなども紹介している。
「どの給付金が対象かわからない」という人のために、「支給対象者判定チェック」もあり、質問に「○」「×」で回答すると、子育て世帯臨時特例給付金や臨時福祉給付金が受給できるか判断することができる。

2014年、子育てをサポートする制度が改正!どこが変わったかチェック!

Mocosuku Woman 2014年6月18日

少子化対策の一環として、子育てをサポートする様々な制度が導入・改正されるようになりました。
その結果、かつて日本の出生率は全194ヶ国中第179位 だった2005年から、少しずつ出生率が伸び始めています。
出産・育児に関係する様々な制度の改正・拡充を正しく理解し、受けられる支援や給付金はしっかり利用して賢く子育てしましょう。

【特集】女性の子育てをサポートする制度改正

手続きの手間が削減!出産一時金の直接支払制度
例えば出産育児一時金。厚生労働省の調べによると、出産に掛かる費用の平均は47万3000円以上とかなりの高額で、これに健康保険は適用されませんから 自費で支払わなければなりません。
しかし、出産育児一時金を利用すれば42万円を受け取ることができますから、自己負担は約5万円強で済むわけです。また制度改正により、直接支払制度が強化され、妊婦さんが手間の掛かる手続きの負担を負わなくても良いように配慮されています。
直接支払制度とは出産育児一時金 の請求や受取を、妊婦さんではなく医療機関が行って直接健康保険組合が医療機関に42万円を支払うというもの。
また、直接支払制度がまだ整っていない小規模 な医療施設であっても、妊婦さんが健康保険組合へ出産育児一時金の請求を行い、その受取を医療施設に委任することで、医療施設へ直接一時金が支払われるという、受取代理が制度化されるようになりました。

産休期間中は健康保険と厚生年金支払いが免除される
また、社会保険料に関しても、少子化対策の一環として新たに法律が改正されています。
一つは2014年4月から実施されている産休期間中の健康保険及び厚生年金保険料の免除。
これは事業主が年金事務所や健康保険組合に申請することで、産休中の従業員及びその事業主に対してその期間中保険料の支払が免除されるというものです。
労働基準法においては妊娠した女性について産前6週間産後8週間の間就業させてはならないと定められていますが、その期間中の社会保険料が免除されるというわけです。
もちろん、免除された期間も保険料を納めたものと見なされるので、健康保険は通常通り給付されますし、将来の年金額に差し支えることもありません。
これに加えて以前から定められている育児休業期間中の社会保険料免除も継続されますから、実質産前6週間から育児休業期間が終了するまでずっと社会保険料が免除になるということです。

父親にも遺族年金
更に社会保障と税の一本改革関連法の成立により、父親にも遺族年金が支払われるようになりました。
これまで遺族年金は子供のいる妻が夫を亡くした場合にのみ支給されるもので、子供のいる夫が妻を亡くした場合には支払われませんでしたが、この改正法により、父子家庭にも同等に支給されることになったのです。
これによって性別による不平等がまた一つ改善されたと言えます。
MocosukuWoman編集部

幼児を女性が「蹴り倒す」動画――渋谷駅で撮影された「児童虐待」衝撃の現場

弁護士ドットコム 2014年06月17日

人々がいきかう駅の構内。大泣きする小さな子どもを、保護者らしき女性が蹴り倒す――。そんなショッキングな動画がフェイスブックに投稿され、話題を呼んでいる。動画の「シェア」数は6月17日時点で、2万5000件を超えている。
動画を撮影・投稿した会社員の嘉瀬正貫さん(38)によると、「事件」が起きたのは今年3月1日(土曜日)の午前中。渋谷駅の改札付近で知人と待ち合わせをしていた嘉瀬さんは、突然聞こえてきた大きな怒鳴り声に、恐怖感を覚えたという。

泣きさけぶ子どもは床にたたきつけられた
「泣きさけぶ子どもに向かって、母親らしき女性が『てめえ、なにしてんだよ。早く来いよ!』『ふざけんなよ、てめえ!』みたいに怒鳴っていました。私が『やめなさい』と声をかけても、女性はやめるどころか子どもを足蹴にし始めた。そこで、警告の意味も込めて、手持ちのスマホでムービーを撮影し始めたんです」
投稿された動画は、そのとき撮影されたものだ。
倒れ込んだ子どもを怒鳴りつけ、立ち上がらせたのもつかの間、女性は突然「ふざけんなよ!」と言いながら、足で子どもを蹴りつけた。頭から床にたたきつけられる子ども。ゴツンという鈍い音が駅構内に響いた。そこで、嘉瀬さんが「警察を呼ぶぞ!」「ビデオに撮ったぞ!」と叫ぶと、女性は子どもを抱えて足早に立ち去った。
動画にはここまでの場面が収められている。

「割って入って止めるのは、リスクも感じた」
撮影しながら、嘉瀬さんはどんなことを考えていたのだろうか?
「しつけを否定するわけではないですが、あれは明らかに度を超えて、行きすぎでした。私は改札の外にいて、彼女らは中にいました。どうにか止めさせたいとは思いましたが、怒鳴っている女性がどんな人かも、何を持っているかも分からない。身体を張って割って入って止めることには、リスクも感じました。そのとき、そこまではできなかったですね」
そのまま警察に報告にいかなかったのだろうか?
「あの『動画』だけだと、女性や子どもがどこの誰かもわからないし、警察に行っても動いてもらうのは難しいと考えたんです」

「動画が虐待防止につながってほしい」
嘉瀬さんは、動画を撮影した日に、フェイスブックに投稿した。しばらく大きな反応はなかったが、6月中旬になって変化が起きた。ソーシャルメディアを通じて、急に動画が広まり始めたのだ。
動画を見た人たちからは「警察へ行ったほうが良い」というアドバイスも寄せられた。それを受け、6月16日に、警察へ相談に行ったのだという。
「新宿駅の鉄道警察と渋谷警察署に行きましたが、やはり誰かを特定できないと、警察も児童相談所も対応は難しいということでした。その場で止めに入るのは危険なので、くれぐれもやめてくださいとも言われました」
では、なぜ、この動画をフェイスブックに投稿したのだろうか。嘉瀬さんからは次のような答えが返ってきた。
「あまりに酷い場面だったので、投稿するかどうかは迷いました。でも、ああした虐待を受けている子どもたちはもっといるのではないか、世間に注意を呼びかけたい、と考えたんです。ああいう事実があるということを多くの人に知ってもらうことで、子どもの虐待防止につながってほしいと思いました」
子どもを虐待する保護者らに、この思いが伝わればいいが・・・。
※動画はこちら(https://www.facebook.com/photo.php?v=674538902603233&fref=nf)
(弁護士ドットコム トピックス)

「人口50年後に1億人」のポイント 20代も産みやすい環境を

産経新聞 2014年6月17日

年間出生数100万人割れが目前だ。厚生労働省がこのほど発表した人口動態統計によれば、昨年誕生した子供は102万9800人で過去最少を更新した。前年比7431人の減少である。
政府は「50年後に1億人程度」の維持を目標に掲げ、大胆な少子化対策に乗り出す構えだ。目標値に対しては批判も強いが、官僚たちの意識を変える効果も期待できる。もちろん、政府は女性への「圧力」と受け止められないよう十分配慮する必要がある。
だが、一律の政策展開では効果は薄い。出産年齢は個々に異なる。何人目の子供を産むかによっても必要となる支援内容は違ってくる。まずは、出産の現状を正確に把握しなければならない。

“駆け込み出産”増加
昨年の出生を母親の年齢別に分析してみると、2つの特徴が浮かび上がる。
第1は、前年に比べ35歳以上の出産数が伸びる一方で、20代や30代前半は軒並み減っていることだ。
晩産傾向はかねて指摘されてきたが、いまや35~39歳の出生数は22万9736人で全体の2割強を占める。40歳以上の4万8千人弱も含めれば、実に4人に1人が30代後半以降の母親から生まれた計算となる。
団塊ジュニアを中心とした“駆け込み出産”が続いているのだ。もし、こうした30代後半以降による押し上げ効果がなかったら、昨年の年間出生数はもっと下落していたということである。
しかし、団塊ジュニアはいずれ出産期を外れ、“駆け込み出産”がいつまでも続くわけではない。それは、子供を産める年齢の女性数が急速に減ることでもある。「次なる世代」である現在の30代前半以下の出生数がこのまま下落傾向をたどれば、少子化は一挙に加速する。

40代の4割は初産
“駆け込み出産”を詳しく見ると、第2の特徴が見えてくる。35歳以上では、第2子以降を産んでいる人も多いが、初産も目立つのだ。
35~39歳が出産した子供の35%が第1子だった。40歳以上の場合、第1子が出生順位別のトップで、この年代の出産の約4割を占めた。
昨年、第1子として生まれた48万1409人の内訳を見ると晩産の実態がより明確になる。35~39歳が約8万人、40歳以上は約1万8千人産んでおり、第1子の5人に1人が35歳以上のお母さんから生まれたこととなる。背景にあるのは不妊治療の進歩だ。
だが、30代後半以降の初産では、なかなか「2人目」とはならないのが現実だ。厚生労働白書によれば、どの結婚年齢においても結婚後1~2年で第1子を産んでいるが、35歳未満で結婚した妻が2~3年間隔で第2子、第3子を出産するのに対し、35歳以上ではその間隔が狭くなる。
40代で第1子の場合、肉体的な問題もさることながら、子供が成人するまでに親のほうが定年退職を迎えないか考慮しなくてはならないだろう。2人目、3人目を諦めるケースも少なくない。

晩産の歯止めが条件
このまま晩産傾向が続けば一人っ子がさらに増え、出生数減に歯止めをかけられない。「50年後に1億人」の実現は、晩婚・晩産の流れを断ち切ることが条件となる。
政府は3人目以降の子供への傾斜支援を検討している。「2人目以降を欲しい」と思いながら断念している人たちを経済面などからサポートするということだろう。2つの特徴を踏まえれば、現在の30代前半以下を、より重点的に支援するのが効果的ということになる。
結婚や出産は個々の意思に基づくものであり、国家が妊娠・出産を強要するものではない。しかし、若くして結婚や出産を考えながら、できないでいる人たちもいる。こうした人たちの結婚や出産の阻害要因を取り除くことが急がれる。
取り組むべきは、男性を含めこの世代の収入を安定させることだ。15~39歳が対象の厚労省の「若者の意識に関する調査」では「経済的余裕がない」が男性の未婚理由の上位に来た。子供を増やせない理由も、20~30代では「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が突出している。
昨年の第1子出産時の母親の平均年齢は30・4歳だが、同調査では4割の女性が「初産は25~30歳未満ですべきだ」と答えている。20代後半までに結婚、出産したい人の希望がかなうよう社会環境を整えることが、「50年後に1億人」のポイントになる。

グラノーラが人気を集めるワケ

web R25 2014年6月17日

近年、シリアル食品の一種「グラノーラ」の人気が高まっている。「グラノーラ」とは麦類にハチミツなどの甘味料を混ぜて焼き上げる食品で、ドライフルーツやナッツを入れる食べ方も増えている。その栄養価の高さにはスポーツ界も注目しており、最近ではデンソー女子陸上長距離部がカルビーの「フルグラ」(フルーツグラノーラ)を朝食に取り入れているという。どんな点が支持されたのか、カルビーのマーケティング本部フルグラ部・網干弓子さんにきいてみた。
「ココットに入れたり、蒸しパンに混ぜたり、レシピを工夫して朝食に取り入れているようです。筋肉を動かすためにはカルシウム、タンパク質が必要で、また鉄分が不足すると血液中の酸素を取り込みにくくなります。その点、『フルグラ』は鉄分が多く、牛乳などと組み合わせることで、さらに栄養バランスがよくなると着目していただいたようです」
なるほど、「鉄分」がカギなんですね。鉄分が不足すると疲れやすくなってしまうので、朝のうちにしっかり栄養補給できるのは、アスリートのみならず一般人にもうれしいポイントだ。ブームもうなずけるが、ほかにはどんな理由があるのか。網干さんはこう分析する。
「厚生労働省の平成24年度『国民健康・栄養調査』によると、23年の朝食欠食率は20代男性で34.1%でしたが、24年には29.5%にダウン。30代男性だと、31.5%から25.8%に低下しています。つまり、朝食を食べる人が増加しているということです。これは健康志向の高まりと考えられ、『せっかく食べるなら栄養があるものを』という理由で、グラノーラを手にする方が増えたようです。さらに近年、“朝活”という言葉が浸透するなど、朝を重視するライフスタイルの方が増えましたよね。パンケーキやフレンチトーストなどおしゃれな朝食メニューを売りにするレストランも増加し、自宅の朝食を見直す方も増えているようです。ただ、朝からパンケーキなどを作るのは平日だと難しいもの。グラノーラであれば、誰でもサッと用意できるため、支持する方が増えているのではないでしょうか」
また、カルビーが独自に実施した朝食調査では、朝食を食べる頻度が20、30代男性で増えているとのこと。簡単に用意できる「フルグラ」は、忙しく働くR25世代にピッタリな朝食だ。牛乳やヨーグルトと組み合わせるのが定番だが、網干さんによると、乳製品以外とも合うのだという
「例えばカップスープやレトルトのカレー、コンビニのサラダにトッピングすると、食感が楽しめるだけでなく、食物繊維や鉄分、ビタミンなどの栄養を手軽に加えられます。また、よく噛むようになるので、腹持ちもアップしますよ」
実際にコーンスープに入れて食べてみたところ、ざくざくと食べごたえがあり、満足度が高かった。帰宅が遅くなった日の夜食にちょうどよさそうだ。
11月には、フルグラを丸く固めた『フルグラビッツ』も発売予定。お手軽に買うことができるので、最近ブームになっているコンビニコーヒーのおともになってくれそう。グラノーラは今後、様々な形で消費者の前に現れてきそうだ。
(西田友紀/blueprint)(R25編集部)

「年金100年安心プラン」が“安心”ではないこれだけの理由

週プレNEWS 2014年6月17日

「年金100年安心プラン」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは2004年に、自民・公明連立政権下で行なわれた年金制度改革の別名で、その名のとおり「今後100年間、現役時代の収入に対する年金額の割合(=所得代替率)を、最低50%保証するから安心していいよ」というものだ。
むろん、100年後の日本経済など誰にも予想できない。そこで2004年の年金制度改革では、5年に一度、年金財政に問題がないかをチェックする「財政検証」を行なっていくことも決められた。
そして今年6月3日、5年ぶりの「財政検証」の結果が厚生労働省から発表された。
今回の検証から、将来の年金財政のシミュレーションを行なう際の前提条件となる「物価上昇率」「年金積立金の運用利回り」「経済成長率」などの想定を細分化しており、今後、日本経済が順調に成長を続けるAからEまでの5つの「高成長ケース」、経済成長が伸び悩んだ場合の「低成長ケース」としてFからHの3ケース、合計8ケースの見通しを立てている。
結果は、日本経済が順調に成長を続けるA~Eの5ケースで、51.0~50.6%とギリギリで所得代替率50%をクリア。ひとまず安心かと思いきや、そうでもないらしい。
「今回の財政検証は厚労省が政治に一定の配慮をしつつも、現行の年金制度に対して突きつけた事実上の“イエローカード”だと受け止めるべきでしょう」
そう語るのは、元財務相官僚で、日本の社会保障と財政の問題に詳しい法政大学経済学部の小黒一正准教授だ。
「前回(2009年)に行なわれた財政検証では今回のような複数ではなく、ひとつの試算しか示されませんでした。しかし、その数字の前提となった運用利回りや経済成長率などの想定があまりにも現実離れした楽観的なものだったのです。それらを根拠に『100年安心』と太鼓判を押している点に多くの批判が起きました。そのため今回は、高成長ケースから低成長ケースまで8つの異なる条件での試算を示したわけです。
高成長ケースであるAからEの5つのケースを見ると、いずれも『100年安心プラン』が約束する所得代替率50%ギリギリで、現在の62.7%より2割も減っています。一方、低成長ケースのFとGになると所得代替率が50%を割り込んでしまっています。最悪のケースHに至っては、22年後にはもうボーダーラインの50%を下回ってしまい、2055年頃になると頼みの綱である年金積立金129兆円が完全に枯渇するという試算になっています。すなわち、100年安心プランは維持できないということを明確に示しているのです」(小黒氏)
つまり、今回の財政検証は「100年安心かもしれないけれど、安心じゃないかもしれない……」とあえて結論を出さない形になっているのだ。
「厚労省の官僚たちも当然、年金制度の将来に不安があることはわかっているワケですが、政治への配慮からハッキリとは言えない事情もある。そこで今回は8種類の試算を示し、『アベノミクスで順調に経済成長が進めば100年安心プランは大丈夫』という政治家向けのシナリオと、『低成長ならダメかもしれません……』という悲観的なシナリオの両方を提示することで、一定の危機感をアピールするという狙いがあったのだと思います。
私はそれを“イエローカード”と呼んだのですが、多くの人が今回の財政検証結果について危機感を持って受け止めているかは疑問ですし、大手メディアもそこまで踏み込んで報じてはいません」(小黒氏)
楽観的な数字を並べて国民を「安心」させるのではなく、現実的に考え「心配」することが政治家や官僚の役目だ。
(取材/川喜田 研)週刊プレイボーイ26号「年金100年安心プランがあまりにウソすぎる!!」より

「専門医」を統一認定…患者目線の分類 課題

読売新聞(ヨミドクター) 2014年6月17日

様々な学会が独自に認定してきたため、質のばらつきや乱立が指摘されていた「専門医」を、統一して認定する「日本専門医機構」が5月に発足した。しかし、本当に患者目線でわかりやすく整理されるか、幅広い分野を診る総合診療医の育成が超高齢社会の需要に追いつくか――など課題は多い。
従来の専門医は各学会が独自基準で自由に認定しており、その種類は100を超えるとも言われる。「糖尿病」「肝臓病」「レーザー」「温泉療法」……。多くは各学会のホームページで名簿を見られるが、名乗る専門領域は臓器、病気、治療器具別など様々。例えば、認知症に対し認知症専門医と日本老年精神医学会専門医がいるように、同じ病気を診る専門医が複数存在し、違いがわかりにくい例もある。また、各専門医の認定基準の厳しさもバラバラで「必ずしも質(技量)が担保されているとは言えない」との指摘もあった。
このため、厚生労働省の有識者検討会で議論の末、昨春、第三者機関で統一して認定する方針が決まった。これに従い、日本医学会や日本医師会などが合意し発足したのが「日本専門医機構」だ。
新たな仕組みは、外科、内科、産婦人科など19の基本領域と、さらに部位別などに細分化した領域の2段階構造に整理する。複数の病気を抱える高齢者の急増を見込み、「総合診療医」を基本領域の一角に位置づけたのが特徴だ。2017年度の新研修開始に向け、専門領域の整理、治療実績に基づく各領域の認定基準や研修プログラムなどを検討中だ。改善へ一歩踏み出したが、実は課題も多い。
例えば、専門医領域の区分が、本当に患者にわかりやすく整理されるか。
新機構の描く青写真では、「外科」の基本領域から枝分かれする細分化領域は「消化器外科」「心臓血管外科」などと分類される予定だ。だが、「消化器外科」は、胃、食道、大腸から、肝臓、胆のう、膵臓(すいぞう)まで扱う範囲が幅広く、実際には「胃・食道外科」「肝胆膵外科」など、より細分化している病院も多い。膵臓がん患者団体パンキャンジャパンの真島喜幸理事長は「消化器外科程度の分類では、患者が望む専門医情報とは言えない」と語る。
新設される「総合診療医」の養成も大きな課題だ。まず幅広い領域の研修プログラムを全く新たに作らねばならず、試行錯誤の部分が大きい。多数の病気を抱える高齢者の診療を想定した分野だが、何人養成するかなどの数値目標もない。
そもそも、地域ごとに何の専門医が何人必要か、十分に議論されていない。厚労省検討会では、医師側委員から「専門医の質の確保が第一義」などの意見が多く、報告書では、医師の偏在是正に関する記述があいまいになった。検討会委員だった「地域医療を育てる会」の藤本晴枝理事長は「地域や人数を考えない専門医は、超高齢社会のニーズに対応する仕組みとは言えない」と厳しく指摘する。
これに対し、新機構の池田康夫理事長は「専門医研修を行う病院の認定に、一定の基準を設けることで、野放図な育成や偏在の是正にもつなげられる」と語る。国の補助を受けて作る専門医データベースができ、全国の状況が見えれば、偏在是正の動きが出るかもしれない。ただ、これが機能する時期も不透明だ。
これまでの議論は医師主体で進んできた。新機構は今後、外部委員会を設け、「患者側の意見を聞く」としているが、自らの分野の存在感を示したい各学会の意向は根強い。せっかくの改革が医療界内部の調整に終始し、「患者・国民目線で役立つ専門医」という理念が骨抜きになってはいけない。新機構には、患者・国民側の意見をよく聞く努力が求められる。(医療部 高橋圭史)

<児童ポルノ法>山田議員「マンガ規制につながる可能性はあるか?」(参院質疑・下)

弁護士ドットコム 2014年06月17日

児童ポルノ禁止法改正案をめぐり、山田太郎参院議員が6月16日に開かれた参院法務委員会で、「ネットで集めた意見」をもとに質疑を行った。
山田議員の質疑の後半部分は以下の通り。

大量の成人ポルノ画像の中に混じっていたらどうなるか?
山田:さて、PCフォルダの中にある単純所持のあたりも伺っていきたい。パソコンの中に保有する画像ファイルとして、成人ポルノ画像が大量に集められたフォルダ内に、一部児童ポルノに該当するファイルが含まれていた場合、児童ポルノ禁止法で処罰される可能性はあるのかどうか。目的は、量等も鑑みるということだった。逆に、1つ、2つ入っていたら良いのか、悪いのか。
遠山:パソコンのフォルダの中にたくさんの画像が入っていて、そのうち1点、2点、児童ポルノに該当するものだった場合はどうか、というお話だと思う。一般論として、基本的には、多数の画像の中の1つ、2つにすぎない画像について、所持している方が自己の性的好奇心を満たす目的をもって所持していることが、当局によって客観的な証拠関係から推認されるという状況にないと、処罰はされない、という整理でよろしいかと。
山田:非常に難しいと思っている。持つ側が18歳未満ということを意識しなければ、成人のものを見ていたり、たまたま児童のものを見ていたりということだが、もしかしたら、総体においては、性的興奮の目的を満たすということになりかねないと思うが・・・。
遠山:それも個別具体的なケースだと思う。実際に、衆議院の答弁でも言及しているが、いわゆる外見上、いったい何歳なのか判別することが困難な女性や男性が存在するかと思う。たとえば、触れ込みが20歳であっても実年齢が10代であるということもあるし、逆に触れ込みが10代であっても、実年齢が20歳以上ということも十分ありうる。事件化された場合に、捜査当局において、慎重に科学的に専門家の意見を踏まえながら、判断していくというふうに伺っている。
もちろん、所持している本人の供述だけでは判断できないので、客観的にそれらが自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基いて所持したものであり、かつ、それらの画像等が相対として、さきほどから議論があった一般通常人の感覚から言って、性欲を興奮したり、刺激するものであるかどうか。そういったものが総合的に判断されるものであると考えている。
山田:対象物が年齢がわからない場合だったとしても、そう見える場合に関しては、逮捕・起訴される可能性はあるのかどうか?
遠山:基本的には、被写体の児童の身元が特定されていることが要件ではないということ。画像が18歳未満であると、証拠上認められている場合で、かつ、児童ポルノ該当性の要件を含む所定の要件を満たす場合には、児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴されることもある。

ゴミ箱から削除しても、復元ツールをインストールしている場合は?
山田:こわいなと思う。対象者がわからない、児童なのか児童ではないのかギリギリの線でも、捜査・起訴されて裁判になって、そこで証明をされていく。実際には、その少女が最終的に誰かわからなくても問題になるということは、大きな問題だと思う。
PC上で削除したと。でも、ゴミ箱に入れているだけではダメで、ゴミ箱から削除したということでないと。ゴミ箱から削除されている場合でも、復元ツールがインストールされている場合は、削除にみなされないという話もあったが・・・。
椎名:所持は、自己の事実上の支配下に置くということ。所持罪にいう「所持」に該当するかどうかは、まさに「自己の事実上の支配下に置いているかどうか」という観点から、証拠関係で認定できるかどうかについて、判断する。ゴミ箱に入れるだけという行為であれば、このことをもって所持していないと断言できない。
ゴミ箱から削除している場合については、原則として、特段の事情がない限り、当該ファイルを自己の事実上の支配下に置いているとは認められない、と考える。復元ツールを持っている場合に、特段の事情にあたるのかどうか。復元できるような特殊ソフトを保有したうえで、これによって復元する意思を明確にしている事情があれば、特段の事情に該当する可能性があると思う。
山田:16条の3における、インターネットの利用にかかる事業者には、捜査機関への協力やファイル削除の努力義務が課されている。そこで、楽天市場やヤフーショッピングに代表されるオンラインショッピングサービスを提供する会社にも、本法における捜査機関への協力義務があるのか?
椎名:条文上、16条の3を見ると、主体は「インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信または、閲覧等に必要な電気通信役務を提供する事業者」と定められている。この条項に適用されるか否かについては、当該事業者が提供している電気通信役務が、インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものかどうかというところで判断されるものと理解している。楽天市場そのほかのオンラインショッピングサービスは、一般に当該事業者が提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものに該当すると考えられ、16条の3の事業者に含まれるものと理解している。

オンラインストレージ運営会社にファイル監視義務はあるか?
山田:「Dropbox」や「Evernote」に代表されるようなオンラインストレージサービスで、かつ日本にサーバがある場合は、アップロードされたファイルがインターネット上で広く公開できる機能を持っているサービス。これが本法の対象になると伺っている。ファイル削除および捜査機関への協力義務のあたり。プロバイダやサーバ管理者に削除義務を課すのであれば、オンラインストレージサービスを運営する会社にも、サーバ上のファイルを随時監視し、削除をおこなう必要は出てくるのか?
椎名:オンラインストレージサービスに関しては、提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信閲覧に必要なものに該当するということで、一般論として16条の3の事業者に含まれると理解している。
他方で、事業者が国内か海外かという点で申し上げると、本法16条の3は、あくまで努力義務を規定したものにすぎず、刑罰法規ではないので、行政法規だと理解する。一般的に、行政法規の効力の及ぶ範囲は日本国内に限られると理解している。
そういった観点からすると、「Dropbox」や「Evernote」など海外の事業者による運営されるオンラインストレージサービス業者に関しては、本法の事業者に該当しないと理解している。そのうえで、国内のオンラインストレージサービス事業者に課される努力義務の内容は、当該事業者が管理権限に基づく画像等の情報送信防止措置を実施しうる立場にあるかないかというところで区別されるものと考えている。もしこれにあたる場合は、当該管理権限の範囲内で情報送信防止措置を講じるように努力をしていただくようになると理解している。
山田:削除の努力義務を課すということは、クラウド等に溜まっている情報を閲覧することになる。本法律が、インターネット通信に対する、通信の秘密を制約する最初の立法になるかもしれないという問題も抱えている。まさに、電気通信事業者に対して、通信記録を提出させる努力義務は、電気事業法の第4条、または憲法の21条の「通信の秘密」を侵すことにならないか?
谷垣:議員立法でいま審議中のものに法務大臣がお答えするのは、適切かどうかということがあるが、今までの議論を聞いて、16条の3の趣旨は、努力義務を負わせているものであると。捜査機関の捜査権限を拡大する趣旨ではないと理解している。今のご不安が、捜査機関の捜査権限を拡大するというところにあるのだとしたら、必ずしもそういうことではないと思うというのが、これまでの議論を聞いての感想だ。
山田:プライバシーの集まったストレージを、もしかしたら捜査令状なく、警察が丸ごと見るということが、ヘタをすれば捜査権の乱用にあたるのではないかという危惧もある。仮に、児童ポルノの捜査の過程で、他の犯罪に結びつくようなものが見つかった場合、容疑を切り替えて捜査を進める可能性があるのかどうか。それは別件捜査につながらないのか?
辻生活安全局長:犯罪捜査の過程で新たな犯罪があると思料した場合、刑事訴訟法の手続きに基づいて、適切に対応させていただきたいと考えている。

マンガ、アニメと性被害の関係性の調査研究をしたことがあるのか?
山田:そういった意味で、児童ポルノの規制をするにあたって、努力義務そのものがいろんな情報を見られてしまうのではないかという有権者の不安がある。行き過ぎたかたちにならないように、逆に「通信の秘密」を守っていけるのか、信用できる社会にできるのか、そういったことを考えていく必要が残っている法律ではないかと思っている。
さて、マンガ・アニメに対する規制につながる可能性があるかどうか確認したい。社会保障審議会、犯罪被害者等施策推進会議というのが定義づけられている。それぞれの会議体において、マンガ・アニメ等と性被害との因果関係、相関関係について研究をおこなう可能性があるのかどうか。さらに、政府全体として、マンガ・アニメと性被害の調査研究について、今までおこなったことがあるのか。また、今後おこなう予定があるのか?
岡田広・内閣府副大臣:犯罪被害者等の施策推進会議は平成16年12月に成立した犯罪被害者等基本法に基づき、内閣に特別の機関として置かれた会議であり、犯罪被害者等のための施策の実務を推進し、ならびにその実施の状況を検証し、評価し、および監視することとされている。被害にあわないための取り組みについては、基本的に、同会議の検証対象にならないと考える。
佐藤茂樹・厚労副大臣:今回の改正案では、社会保障審議会は被害児童の保護施策ついて、定期的に検証および評価をおこなうものとされており、ご指摘のマンガ・アニメの検証・評価についてはこの規定上、社会保障審議会の事務として想定されていないと考える。
山田:政府全体として、マンガとアニメの性被害の調査を今までおこった事実はあるのか。今後もおこなう予定はあるのか?
岡田:児童ポルノの蔓延を食い止め、排除を進めていくため、現行法に基いた総合的な対策として、昨年の5月に、第二次児童ポルノ排除総合対策を策定し、国民、事業者、関係団体の連携のもと、各府省において施策を推進している。この第二次児童ポルノ排除総合対策にかかる関係省庁の施策として、ご指摘のような調査・研究が実施されたとは承知していない。また、現時点において、関係省庁においてご指摘の調査・研究を実施する予定があるとは承知していない。
山田:次に、本法律の本来の目的である児童虐待をどう防止してくかという方向性について質疑したい。現行の法体系では、児童虐待を防止することがつくられていない。
児童ポルノ法においても、いろんなケースにおいて、はみ出ている。それから児童虐待防止法にも、性虐待を取り締まる規定はない。親が虐待した場合に、それを保護しないといけない団体が怠慢をおこした場合に罰則があるというたて付けであって、実際に児童の性虐待の防止についてはない。
児童福祉法も組織法で、この中にも罰則がない。そういった意味で、わが国は、児童ポルノ禁止法を改正しても、「児童の性的虐待」を取り締まることができないと思っている。ここで関連法案を整理していただいて、児童の虐待を取り締まる法律を整備したほうがいい。
全体として、国は「児童ポルノ」というポルノの定義にかまけるのではなくて、取り締まるということを一生懸命やるのではなくて、あくまでも性虐待、あるいは虐待行為に対して取り締まっていくことをしっかりと考えていくべきだと思っている。
佐藤:ご指摘のようにいくつかの法律がある。児童ポルノ禁止法というのは、児童ポルノ、児童買春に係る行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護等について規定している。
他方で、児童虐待防止法は、性的虐待を含め、保護者による虐待の防止および被害児童の保護等について規定している。そのうえで児童相談所で、児童福祉法に基づき、児童ポルノの事案、虐待事案のケースに限らず、児童の福祉の観点から、性的被害を受けた児童に必要な支援をおこっている。児童心理司によるカウンセリング、児童福祉司による指導・援助をおこなっている。緊急的な保護を必要とする場合は、一時保護、子どもの生活の立て直しが必要な場合には、児童福祉施設への入所措置などの支援をおこなっている。
今後とも、厚労省としては、どのような事案であっても被害児童の適切な保護・支援の確保にしっかりとつとめていきたい。
山田:児童の被害の防止をするための法律にするべきであって、あたりまえだが、性虐待された児童を保護すると同時に、特に「表現の自由」の部分、児童ポルノの定義をめぐって拡大解釈され、若者が萎縮しないように、ぜひ最後まで、この法律を審議していきたいと思う。
(弁護士ドットコム トピックス)

児童ポルノ所持も禁止=改正法成立へ-来年7月から罰則適用

時事ドットコム 2014年6月18日

子どものわいせつな写真を個人で鑑賞用に保管するなど「単純所持」を新たに禁止する改正児童ポルノ禁止法が18日午前の参院本会議で、与党と、共産党などを除く野党の賛成多数で可決、成立する。既に所持している人に自主的な廃棄を促すため、7月に想定される改正法施行から1年間は罰則を適用しないと定めている。
改正法は、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者に、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。他人から一方的に電子メールで送り付けられたケースなどを処罰対象から外すため、「自己の意思に基づいて所持するに至った者」との要件も設けた。
また、児童ポルノの定義が不明確との指摘があったことから、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの」との表現に、より具体的な記述を追加した。
改正案は当初、自民、公明、日本維新の会の3党が昨年の通常国会に提出した。しかし、児童ポルノに類する漫画やアニメなどに関し調査研究を推進、必要な措置を講じるとした付則が、表現の自由を損ないかねないとの懸念を招いた。このため、民主、結いも加えた5党の合意を経て、この規定を削除した修正案を出し直した経緯がある。