少年院と自立援助ホームを視察 上野文部科学政務官 所管超え子どもの現状把握

下野新聞 2014年6月27日

上野通子文部科学政務官は26日、さくら市喜連川の喜連川少年院と宇都宮市清住1丁目の自立援助ホーム「星の家」を視察した。それぞれ法務省と厚生労働省が所管する施設で、教育と福祉、法務分野の連携を深めるほか、施設での子どもたちの教育の現状などを把握し、施策に生かすことが狙い。
喜連川少年院は同日現在、家庭裁判所の審判で少年院送致の決定を受けた関東甲信越1都10県の少年90人を収容している。上野氏は「自分の罪を償い頑張ろうとしている(子どもの)状況を視察させていただく」とあいさつ。施設の説明を受け、少年たちの木工制作や陶芸、英語の授業など活動の様子や体育館や風呂など施設内を見て回った。
星の家は虐待などで居場所をなくした青少年のための自立援助ホーム。星俊彦ホーム長が子どもたちや施設運営の現状を説明し「地域、学校、福祉が一体となって子どもたちを包んでいけるような社会をつくってほしい」と求めた。意見交換では「福祉的な支援の仕組みを学校や教員が知らない」との指摘もあった。
上野氏は視察後の取材に「教師に少年院や自立援助ホームの現状を学んでもらうこともしたい。さまざまな施設にいる子どもたちに、文科省としてできるかぎりの支援を考えたい」と述べ、他省との連携を強める考えも示した。

親が子どもを遺棄した事件 発覚が遅れる原因は?〈週刊朝日〉

dot. 2014年6月27日

親が子どもを捨てる事件が相次いでいる。東京都足立区では、死亡した次男を約1年前に河口湖に捨てたと供述する夫婦が逮捕され、神奈川県厚木市では、死亡後、7年以上放置されていた男児の白骨遺体が見つかった。発覚までこんなに時間がかかるのは、なぜか。
文部科学省によると、1年以上、行政が所在を確認できない小中学生は昨年5月時点で全国で705人。だが、足立の次男のような未就学児の公的なデータはない。厚生労働省による18歳未満すべての子どもを対象にした初めての全国調査が現在、行われているが、発表は7月以降だという。
行政側が迅速に対応できず、所在不明児が放置されてきたケースは多い。
神奈川県厚木市で5月、発覚した白骨化した男児(当時5歳)の遺体が見つかった事件もそうだ。
児相が所在不明児の再点検を行ったところ、男児の住民票は存在するのに、学校に通っていない児童リストに名前がないことから発覚した。厚木署員が部屋で遺体を発見したが、死亡してから実に7年半(推定)が経過していた。
なぜ、ここまで時間がかかったのか。
保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された父親(36)のDVの影響で、母親(32)がひとりで家を出たのが約10年前。その後、十分な食事を与えなかったため、男児は衰弱死。だが、小学校の就学時健診や入学説明会に参加しなかった時も、学校と児相は家庭訪問するものの、「会えなかった」で終了。所在は追及しなかった。
今年3月には、父親が市に対し、「妻子は東京のどこかにいるが詳しく知らない」と弁明。それを鵜呑みに住民登録を抹消したのだ。NPO法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク・山田不二子理事長は、こう指摘する。
「行政が恐ろしく縦割りで情報共有ができないことが一因です」
男児への児童手当の申請手続きが途切れていたこと、亡くなる前の04年10月未明、男児が紙おむつ姿で裸足のまま、路上にいたところを保護されていた事実、3歳児健診が未受診だったこと。これらの情報が部署を超えて共有されていれば、早期に気づけただろう。
就学前には、3歳児健診以外にも予防接種や視力検査など、出席するか否かで子どもの安否を確認できる機会は多くある。
「行政内部の横の連携を強化し、今ある制度を十分に活用し、ひとりでも多くの命を救ってほしい」(山田理事長)
本誌・古田真梨子
※週刊朝日  2014年7月4日号より抜粋

5月の求人倍率、バブル後最高水準=失業率は3.5%

時事通信 2014年6月27日

厚生労働省が27日発表した5月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.09倍となり、18カ月連続で改善した。1992年6月(1.10倍)以来21年11カ月ぶりの高さで、バブル崩壊後の最高水準となった。一方、総務省が同日発表した労働力調査(同)によると、5月の全国の完全失業率は前月比0.1ポイント低下の3.5%だった。

養護施設退所後の就業支援を充実…栃木の組合

読売新聞 2014年06月26日

児童養護施設や自立援助ホームなどが、施設を出た青少年の自立を支えるために設立し、生活資金の貸し付けや相談などを行っている「とちぎユースアフターケア事業協同組合」(牧恒男理事長)が、7月で事業開始から1年を迎える。
今後は就業面により焦点をあて、青少年の「よりどころ」としての定着を図っていく。
組合は栃木県内の児童養護施設や自立援助ホームを運営する社会福祉法人、里親連合会など13団体で組織している。
施設で育つ子供たちは、成長して退所しても親を頼れず、生活基盤は不安定なことが多い。しかし、個々の施設では直接生活資金を貸すことができないために組合を設立した。また、職員数も限られるため、相談に十分に対応できないという事情もあったという。
県が昨年実施した退所者たちへのアンケート調査(回答数64人)では、現在困っていることの中で「生活費など経済的なこと」を大変困っているとした人が最も多く、退所直後の貯金額も「10万円未満」が2割以上を占めた。
組合では25歳までの退所者を対象に生活資金を無利子で貸し付けており、昨年度は20~25歳の男女4人に5~20万円の計40万円を貸与した。
また、組合には昨年度139件の相談があったが、就職の困難さなど就業面の悩みが3割強を占めた。そのため、今年度から県と協力して事務局にキャリアカウンセラーを常駐させ、個別のキャリアプランの作成や就労体験を行い、就業面での支援を充実させる。
牧理事長は「一人ひとりにどういう問題があるかを把握し、きちんとプログラムを作り、丁寧に対応していきたい」と話している。同組合では寄付金を募っている。問い合わせは028・680・4686。

児童養護施設・自立援助ホーム 児童養護施設は家庭で暮らせない18歳未満の子どもを養育する施設。2004年から「退所者への相談・自立援助」が業務に加わった。自立援助ホームは15~20歳の若者が共同生活しながら働く、自立を支援する施設。児童養護施設の多くは18歳までに退所を求めるため、退所後の受け皿として1998年に制度化された。

<脳卒中>自殺や事故リスク10倍 発症から5年以内

毎日新聞 2014年06月26日

脳卒中を発症した人は、5年以内に自殺や不慮の事故で死亡するリスクが約10倍に増えるとの調査結果を、国立がん研究センターの研究チームがまとめた。海外に、脳卒中から1年以内はうつ病にかかるリスクが高まるとの研究結果があるが、自殺や事故死との関係を調べたのは初めて。
1990年から約20年間、8県の約9万3000人(調査開始時40~69歳)の健康状態を追跡調査した。期間中に512人が自殺し、うち22人は脳卒中を発症していた。発症しなかった人と比べると、発症から5年以内は自殺の危険性が約10倍に上った。5年以降は差がなかった。
また、交通事故や転落、転倒などの「外因死」で亡くなった728人の分析でも、脳卒中から5年以内のリスクは約10倍になった。
分析した国立精神・神経医療研究センターの山内貴史研究員は「脳卒中はまひや言語障害が残ることが多く、発症から数年間は心理的なストレスが大きいと考えられる。事故死が多いのも、後遺症と関係があるのではないか。リハビリ中の精神面のケアが大切だ」と話す。
厚生労働省によると、脳卒中を含む脳血管障害の患者は国内に約120万人。死亡率は下がっている一方、後遺症が残った患者の社会復帰が課題になっている。【清水健二】

寝屋川児童虐待 裁判員の判決、見直しか(大阪府)

NNNニュース 2014年06月26日

「市民の視点」は裁判の場でどう生かすべきなのか?4年前、大阪府寝屋川市で1歳の3女が死亡した児童虐待事件について最高裁は26日、「弁論」を開いた。一審・大阪地裁の裁判員裁判で、求刑を上回った判決が見直される可能性が出ている。司法の最高峰、最高裁・第一小法廷で、26日午後、児童虐待事件の裁判について検察側と弁護側の双方から意見を聞き取る「弁論」が行われた。これは1審と2審の判決が覆される可能性を意味している。事件は4年前。大阪府寝屋川市の自宅マンションで岸本憲被告と妻の美杏被告は当時1歳8か月の娘に頭を殴るなどの暴行を加え死亡させたとして傷害致死の罪で起訴された。事件は裁判員裁判で審理され2人は無罪を主張。これに対して一審・大阪地裁は「継続的に虐待し、暴行の態様は殺人罪と傷害致死罪の境界に近い」と指摘。検察の求刑の1.5倍にあたる懲役15年を言い渡した。児童虐待に対する市民の厳しい目線が判決の量刑に反映された形だ。二審の大阪高裁でも、この判決は支持された。しかし、今回、判決見直しの可能性がでていることについて専門家からは 疑問の声があがっている。刑事訴訟法に詳しい甲南大法科大学院・渡辺修教授は「今までの量刑のやり方にこだわるのではなく、この悲惨な状態、そういう被害にあった子供のことを本当に裁判員がかわって法廷の中でくみとって、量刑に反映させることこそ必要なことだから、従来型の求刑にしばられた量刑のあり方を最高裁が示唆するとすれば、それはやはり裁判員裁判の趣旨を損なうものだと思う」と指摘する。一般市民の視点を取り入れる目的で2009年から始まった裁判員制度。殺人や強姦致傷など8つの罪に関して検察側の求刑を上回る判決が言い渡されたのは43件。全体のおよそ1%で虐待事件や性犯罪などが多い傾向にある。渡辺修教授は「今は(市民の)裁判員と(プロの)裁判官が協力しながら、プロの目と市民の良識とをからみあわせて、新しい形の正義の実現、その相場をいわばつくっていこうとしているわけだから、私はあまり安易な形で、裁判官たち、プロたちが、今形成されようとしている新しい市民の正義感をつぶすようなことをしてはならないと思う」と言う。従来の司法の常識にとらわれず市民感覚を取り入れることが目的の裁判員制度。その制度と量刑のバランスについて、最高裁は年内にも決定をだすとみられている。

児童手当を不正受給、両親を詐欺容疑で再逮捕

MSN産経ニュース 2014年06月26日

東京都足立区の夫婦の次男(4)が行方不明になっている事件で、次男の児童手当などを不正受給したとして、警視庁捜査1課は26日、詐欺容疑で、父親の皆川忍容疑者(30)と母親(27)=いずれも横領容疑などで逮捕=を再逮捕した。捜査1課によると、「生活が苦しいので不正受給を続けた」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、平成25年7月、次男と同居しているという虚偽の申請書類を足立区に提出。同年8月~26年6月に児童手当や生活保護費計約43万円を不正受給したとしている。
皆川容疑者らは「次男は昨年3月に死んだ。遺体は山梨県の河口湖周辺に埋めた」と供述。捜査1課は遺体を見つけられていないが、同時期から行方不明となっており、同居の実体がないと判断した。
皆川容疑者らが今年3月、高さ約1メートルのマネキン人形を購入していたことも判明。児童相談所が5月に当時住んでいた足立区内のアパートを訪れた際、次男を含め6人いる子供全員が確認されていたといい、捜査1課は皆川容疑者がマネキンを使い、次男が生存しているように装っていた可能性もあるとみている。