相次ぐ賃上げ、なぜ年収は増えない?人件費を削減する給与制度改革・成果報酬制のカラクリ

Business Journal 2014年7月18日

今年春の賃上げ効果を示す数字が相次いで発表されている。経団連が公表した東証1部上場109社の賃上げ額は7370円。15年ぶりとなる前年比2.28%の賃上げ率だった。また、厚生労働省の5月の毎月勤労統計(速報、従業員5人以上の事業所)では基本給が前年同月比0.2%増と2年2カ月ぶりに増えた。
といっても、大企業の賃上げ率に比べて一般労働者全体ではわずかしか上がっていないのが実態だ。しかも5月の消費者物価指数は消費税増税による影響もあり、前年同月に比べて3.4%上昇。物価変動の影響を加味した実質賃金指数は3.6%も下落している。
また、今夏ボーナスの平均手取額は72万2000円と前年同期に比べ2万3000円増となり、6年ぶりに増えたという(損保ジャパンDIY生命保険調べ)。一見すると、月給が増えたからボーナスも上がるのは当然と思えるかもしれないが、月給とボーナスは必ずしも連動していない。

会社に“うまみ”のある仕組み
実は2000年前後に多くの企業が導入した成果主義によって、月給とボーナスの決め方が分断された。月給は多少の年功的要素を残した安定的な給与にする一方、ボーナスは個人業績と会社業績や部門業績で変動する仕組みに変えたのだ。もちろん会社業績や個人業績が上がればボーナスも増えるが、それ以上に会社側にとっては“うまみ”がある仕組みになっている。
電機メーカーの人事課長は、そのカラクリをこう説明する。
「以前は業績に関係なくボーナスは給与の何カ月分という固定額を支給していましたが、今では会社の業績がよければ自動的に上がり、悪ければ自動的に下がる仕組みです。つまり、固定費から変動費に変えたことで会社の懐は痛みません。個人業績分も加味されるが、会社や部門の業績が悪いのに高いパフォーマンスを出す社員はほとんどいないでしょう」
さらに、懐が痛まないどころかボーナスの総額を減らすことも行っていると明かすのは、小売業の人事部長だ。
「賃金制度改定の目的は成果連動型制度の導入と、総額人件費を2割減らすことにありました。制度設計にあたっては、過去10年間の賞与支給額の平均を出し、それよりも2割程度低い総額をベースに賞与の計算式をつくったのです。当時は労働組合もさすがに気がつかなかったし、社長に褒められました」
会社業績連動型賞与の算定根拠を複雑化することで、賞与総額を抑制した企業は少なくない。経営側は2000年初頭の春闘を契機に「企業業績の向上分は賃金ではなく賞与に反映する」と主張してきた。経営側の本音は「月給を上げると固定費が増加し、財務体質の悪化を招く。それよりも会社の業績で変動する賞与に反映したほうが得だ」ということだ。
今年は円安効果で好業績を上げ、安倍政権の要請で賃上げに踏み切る企業が増えたが、来年以降も月給が上がる保証はないのだ。

「職務・役割給」制度のメリット
そしてもうひとつ、給与制度の変革によって月給も全員が上がる仕組みになっていないのだ。「昇給なし」と「降格制度」によって給与の総原資も会社によって調整されている。
現在、大企業の約7割が管理職を中心に「職務・役割給」制度を導入している。簡単にいえば、従来の賃金の決め方が「人」の潜在的能力を基準に決定していたのに対し、「仕事の中身」を基準にするものだ。
年齢や能力に関係なく、本人が従事している職務や役割に着目し、同一の役割であれば給与も同じ。つまり、ポスト(椅子)で給与が決定し、ポストが変われば給与も変わるという欧米型に近い給与だ。ただし、給与が減るのはかわいそうということで、給与の一定割合に年齢・勤続給的な年功部分を残している企業も少なくない。
この役割給制度のメリットは昇格・降格がやりやすくなり、若くても優秀な人材を抜擢できる一方、役割を果たせない無能な管理職を降格できることだ。電機メーカーの人事課長はこう説明する。
「S、A、B、C、Dの5段階の人事評価ランクのうち、2年連続でC評価を受けるとイエローカードを発行します。さらに3年目も同じ評価ないしD評価を受けると、役割に見合った能力を発揮していないということで、1ランク下に降格させるのです。過去には2ランク下に落ちた課長もいます」

月給も変動費化
また、大手通信会社の人事部長は「役割変更というかたちでの“入れ替え戦”はしょっちゅうやっています。例えば部長が10人いれば、3人上げたいので3人を降ろす。管理職全体では毎年700人が昇格し、500人を降格させています。もちろん、降格しても“敗者復活”は可能だが、いったん落ちるとなかなか浮上するのは難しいでしょう」と指摘する。
降格すれば本来なら肩書も変わるのだが、世間体もあり「部付き部長」「担当課長」という名称を与えている会社も多くある。降格しても給与の減額幅が少ないと我慢もできるが、役割給も大幅に減り、給与自体も下がる。
月給を役割給1本で決めている精密機器企業の人事部長は「降格により部長職の役割グレード(等級)が1ランク下がれば月給が20万円減額される。しかもそれがボーナスの基礎給になるので、年収ベースで400万円ぐらい下がる」と明かす。年功給を残している企業の社員は多少救われるが、最近では月給に占める年功給割合を下げたり、廃止する企業も徐々に増えている。
この制度によって若くして昇進し、給与が増えていく人がいる一方、降格されて大幅にダウンする人もいる。つまり、増え続ける固定費の月給を変動費化することによって会社の懐は痛まないことになる。
溝上憲文/労働ジャーナリスト

学校の敷地内は禁煙!受動喫煙防止条例の概要

ガジェット通信 2014年7月17日

兵庫県では、平成25年4月1日から「受動喫煙の防止等に関する条例」(以下、「本条例」)が施行されています。そして、今年の4月1日からは、社会福祉施設、運動施設、公共交通機関(鉄道駅の屋外のプラットホーム含む)、物品販売業店舗、公衆浴場、宿泊施設、飲食店、理容所・美容所等の民間施設等に対しても本条例の適用が開始されます。喫煙を罰則付きで規制する条例は、神奈川県に次ぐ二例目のものです。
本条例に関し、尼崎市の小学校の校長らが学校内で喫煙をしていたことや、兵庫県内8カ所の税務署が約850万円をかけてプレハブの喫煙施設を設置したことがニュースになっていたことは記憶に新しいところです。
最も厳しく規制される施設は、保育所、小・中・高校等の教育施設
本条例制定の主な目的は、「受動喫煙の回避により県民の健康な生活を維持する環境整備の促進すること」「未成年者をタバコの煙から保護すること」の二点です。規制の内容については、対象となる施設別に分かれています。
①最も厳しく規制される施設は、保育所、小・中・高校等の教育施設です。当該施設では、「建物内及び敷地内」が禁煙区域となります。これらの施設には多くの未成年者が出入りすることから、最も厳しく規制されることとなります。
②次いで厳しく規制される施設は、病院等、官公庁の庁舎、児童福祉施設等です。これらの場所では、「建物内全域」が禁煙区域となります。よって、施設内の建物外において喫煙する場合には規制されませんので、屋上やベランダ等であれば喫煙は可能となります。
③大学、薬局、官公庁のうち庁舎以外等については、「建物内の公共的空間」が禁煙区域となります。「公共的空間」とは、居室、事務室等特定の者が利用する区域及び会議室、宴会場等特定の利用者が一時的に貸し切って利用する区域を指します。なお、平成25年4月以前に設置済みの喫煙室については、当分の間使用することはできますが、新設は不可となっています。
④劇場、映画館、演芸場についは、「建物内の公共的空間」が規制区域になりますが、Ⓐ禁煙、Ⓑ時間分煙、ⓒ厳格な分煙のうち、三つの対応を選択できます。ⓒについては、間仕切り等で客席同士を分ける程度の分煙方法では足りないことに注意が必要です。
⑤ロビーないし客席の面積が100㎡以下の宿泊施設、飲食店、理容所又は美容所については、「建物内の公共的空間」につき上記Ⓐ~ⓒに加え、Ⓓ喫煙可能の対応をすることもできます。もっとも、その場合、利用者の目につきやすい場所に喫煙できる旨を表示しなければいけません。
⑥上記①~⑤にあてはまらないサービス施設等については、Ⓐかⓒの対応が求められます。
受動喫煙防止区域において喫煙をした場合、2万円以下の過料に
本条例で定める規制を遵守せず、知事からの是正命令を受けたにもかかわらず、これに従わなかった場合は、30万円以下の罰金に処せられます。また、受動喫煙防止区域において喫煙をした場合は、2万円以下の過料に処せられます。ただし、上記④~⑥の施設についての罰則は、平成26年10月1日以降に適用が開始されます。
以上が本条例の概略となりますが、この他にも細かい規則があります。読み解くのはなかなか困難ですので、詳細はお近くの県の窓口等にお問い合わせください。

精神科病棟を居住施設に転換 厚労省の検討会容認

中日新聞 2014年7月17日

精神科病院には多くの長期入院患者がおり、高齢化が進む。そんな患者の退院を促し、地域で生活するための方策を議論していた厚生労働省の検討会は1日、退院で空いた病床を居住施設に転換することを条件付きで容認し、報告書をまとめた。だが、退院した患者が引き続き、病院で暮らすことにつながるため、「病床の転換は精神疾患の人たちが地域で暮らす妨げになる」などと根強い反発がある。
三月から四回にわたって続いた議論。一日、東京・厚労省で開かれた締めくくりの検討会は、予定を二時間以上も超えて、激しい議論が交わされた。
検討会は精神疾患の当事者や家族、医師らで構成。病棟の居住施設への転換に対して「病院敷地内への退院は、どう考えてもおかしい」と当事者の代表が反発すれば、医師からは「患者を外に出す駆動力を弱めてしまう。ただ、現実としては、地域に出そうにも出せない」などの意見も。
国は一九六〇年代、精神疾患の患者を社会から隔離する受け皿として、精神科の病床を増やす政策をとったが、近年は患者の社会復帰を促す方針に転換。十年前から国は高齢の長期入院患者の退院促進に取り組んでいるが、この医師の指摘通り、大きな成果が出ていない。こうした経緯から、検討会では現実的な策として、条件を厳格化し、居住施設への転換も認めるべきだという「条件容認論」が多く出された。
その結果、高齢などの理由で地域への移動に消極的な患者の受け皿として、空いた病棟の居住施設への転換を容認。条件としては対象を現在の長期入院患者に限定し、地域移行に向けたステップとして利用期間を設け、外出の自由や本人の自由意思に基づく選択の自由が確保できること-などを報告書に盛り込んだ。
検討会では、NPO法人「全国精神障害者地域生活支援協議会」の伊沢雄一代表が、「病院内の居住施設は、地域社会による障害者の受け入れを定めた障害者権利条約に抵触する」と主張。容認撤回を迫ったが、報告書には「障害者権利条約に基づく、精神障害者の権利擁護の観点も踏まえ」との文言が加わるにとどまった。

高齢化で進まぬ退院が背景
昨年、病棟を居住施設に転換する構想が浮上した背景には、長期入院患者の退院が遅々として進まない現状がある。国内には約三十四万の精神科病床があり、約三十二万人が入院。うち一年以上入院している患者は約二十万人で、その半数が六十五歳以上。病床数、長期入院患者ともに先進国では異例の多さだ。国による退院促進の取り組みで、その数は減っているが、毎年一万人超が死亡退院していることも一因だ。
退院し、地域での生活が進まない要因には「退院後の生活に自信が持てない」「家族との関係が悪く、帰る家がない」「地域の偏見があり、障害者用住居の整備が進まない」などが挙げられる。そんな中、今回の病棟を転換する案が次善の策として浮上した。障害者団体などは「精神科病院への患者の“囲い込み”を続けさせることになり、人権侵害」と反対していた。
検討会を傍聴した杏林大保健学部の長谷川利夫教授(作業療法学)は「本当に障害者権利条約に基づく考えであれば、病棟の転換は論理上、あり得ない。しかも検討会(二十五人)に参加した当事者は二人、家族は一人だけ。医師が十三人という偏った構成になっており、正当性に疑義がある」と指摘する。
(佐橋大)

中学生バイク窃盗団15人を摘発

西日本新聞 2014年7月17日

福岡県警大牟田署は17日、オートバイ窃盗を繰り返していた福岡県大牟田市、柳川市内内の中学生グループ15人を、福岡地検久留米支部に送致、児童相談所に送致、通告などしたと発表した。
同署の調べによると、15人は、昨年12月に大牟田市内の会社員(30)のバイク1台を盗むなど、昨年8月から今年1月にかけて、オートバイ30台(総額177万円相当)を盗んだ疑い。グループは、12歳から15歳までの中学生。中には14台も盗んだ中学生もいた。

文科省:教員の多忙対策 外部人材を大幅増員する方針

毎日新聞 2014年07月17日

文部科学省は、「世界一多忙」とされる日本の教員の勤務状況を改善するため、学校活動を担う外部人材を大幅に増員する方針を決めた。「チーム学校」と名付け、福祉の専門家のスクールソーシャルワーカー(SSW)や外部の部活動指導者、事務職員を増員し、教員の負担を軽減。授業に専念できる環境を整備し、子供のさらなる学力向上を図る。来年度予算の概算要求に盛り込んだ上で、今月中にも下村博文文科相が中央教育審議会に「チーム学校」の在り方を諮問する。
中学教員を対象にした経済協力開発機構(OECD)の2013年の「国際教員指導環境調査」では、日本の教員の勤務時間は週53・9時間と最長(参加34カ国・地域平均は38・3時間)で、事務作業や部活動指導の時間が参加国平均に比べ3〜2倍長かった。さらに、いじめや不登校、家庭環境への対応など授業以外の問題も教員が担うケースがほとんど。部活動がない小学校でも今後英語や道徳の教科化が想定され、負担軽減が急務になっている。
事態を重く見た同省は来年度から、教員以外のメンバーを増やしてサポート態勢を大幅に強化。「チーム学校」として▽家庭や児童相談所、警察と連携し、いじめや不登校の課題解決を図るSSW▽子供の心のケアを担うスクールカウンセラー▽地域スポーツの指導者などが教員に代わって生徒を教える部活動指導員−−などを想定する。
いずれも「専門家の非常勤職員」として、週に複数日学校に入ることが想定され、直接子供たちに関わる。これにより、教員が本来業務である「授業」に専念できる状況を作るとしている。
また、書類作りなど事務作業は、正規の事務職員を増員。さらに複数の学校で作業を共同化することも推進する。【三木陽介】

プレッシャー紛らわすため~ドラッグ前県議

NNNニュース 2014年07月17日

先週まで神奈川県議会議員だった男が、違法なドラッグを持っていたとして逮捕された事件で、男は「議員のプレッシャーから気を紛らわすために吸った」という趣旨の話をしていることがわかった。  薬事法違反の疑いで逮捕された神奈川県議会の前議員・横山幸一容疑者(41)は、横浜市内のマンションで、所持が禁止されている指定薬物を含んだ違法なドラッグを持っていたとして逮捕された。その後の警察への取材で、横山容疑者が「議員と保育園経営のプレッシャーから気を紛らわすために吸った」という趣旨の話をしていることがわかった。また、「脱法ドラッグが社会悪という認識はあり、後ろめたさはあった」とも話しているという。  横山容疑者は12年、県議会で可決された「脱法ハーブ対策の推進強化を求める意見書」に提出議員として名前を連ねていた。  神奈川・黒岩祐治県知事「(脱法ドラッグ対策の)先端をきってやられてたご本人がですね、脱法ドラッグに手を出す。これは絶対許せない」  県は今後、対策を強化する方針。