増長する児童虐待 目立つ置き去り、面前DV

福井新聞 2014年7月23日

育児放棄による衰弱死や餓死事件が相次いでいる。暴行され亡くなる幼子も後を絶たない。大人の都合や身勝手、怠慢や躊躇(ちゅうちょ)、遠慮が虐待の早期発見・保護の障壁となっている。専門職の人材不足も深刻だ。それでも命の重さに比べればさしたる理由ではない。救えた命はいくつあっただろう。やりきれない事件だ。
日本が批准する国連条約は18歳以下の子どもを権利行使の主体とし「大人と対等の扱い」を掲げている。欧米では子育ては親の義務としているが、日本はその一方で親の「権利」という意識も強い。子どもを自分の所有物と考えがちで、虐待親の多くが「しつけのつもりだった」と自分を正当化しようとする。
家庭内の問題に日本の行政、警察は深く関わることを避けてきた傾向がある。親の言い分に押し切られ、介入をためらっているうちに最悪の事態につながるケースが多々見受けられる。
欧米では、子どもの命は社会全体で守る意識が強いので警察、行政が強制的に家庭内の事情に踏み込むことを遠慮しない。子どもは社会を支えていく将来の人材だからである。
2012年、児童相談所(児相)が対応した虐待相談は全国で初めて6万件を大きく超えた。福井県も210件(前年比44件増)だった。学校や住民ら社会の関心が高まり通報が増えたことは歓迎だが、虐待死した子どもは99人(同1人増)。児相が相談を受けながら手遅れで救えなかった子は22人いた。最悪の事態は何としても防ぎたい。
警察庁によると昨年、虐待で児相に通告した子どもは2万1603人(同31・8%増、県内24人)。こちらも初の2万人超えだ。暴力も増えているが、心理的虐待のうち子どもの前で配偶者に暴力をふるう面前ドメスティックバイオレンス(DV)が6割以上占めているのが特徴。子どもが精神的ダメージを強烈に受ける要因といわれる。
さらに深刻なのが衰弱死、餓死につながる子どもの置き去りだ。田村憲久厚生労働相が明らかにした件数は10~12年度の3年間に667件。幼児を自宅や路上に放置するケースで、そのまま命にかかわる。5月に神奈川県で見つかった男児の衰弱死事件はアパートに置き去りにされた上に食事も与えられていなかった。
虐待の最前線に立つ児相の権限を強化するため、08年に強制立ち入り権が与えられ、12年度には虐待親の親権を最長2年間停止する制度も導入されたが十分に機能しているとは言い難いのではないか。制度の改正は進んでも人員不足や職員の経験・専門性など、現場がついていけないのが現状だ。早期発見以降の体制充実が急務である。

とちぎアフターケア組合、活動1年 養護出身者の悩み聞き、資金支援も

下野新聞  2014年7月23日

児童養護施設や里親などの社会的養護から巣立った若者を支援する「とちぎユースアフターケア事業協同組合」は7月で事業開始から1年がたった。
初年度はアパート転居や資格取得の資金などを4人に貸し付け、自立に向け物心両面で支えた。ただ周知は十分とはいえず、同組合は「既に社会に出た出身者はもちろん、今後に自立を控えた子どもも含め、組合の存在を周知していきたい」としている。
県内全ての児童養護施設、自立援助ホームの法人と里親会が組合員となり、社会的養護出身者の相談に乗り、アパート入居や就労に向けた資金貸し付けなど全国でも先駆的な活動だ。
宇都宮市宿郷2丁目に若者たちが集うサロン兼事務所を開設。相談支援員ら3人がサロンの運営、相談事業などを担っている。相談支援件数は3月末までの初年度で延べ139件。大半が日常生活の悩みや就職の相談で、若者本人からの相談が8割を占めた。
貸し付け支援は児童養護施設、里親家庭出身の21~25歳の4人に最大20万円、合計で40万円を貸し付けた。アパートを借りる原資や資格取得のためのパソコン購入資金などに充て、それぞれが生活の自立につながっているという。
2年目は新たに県事業でキャリアカウンセラー2人が駐在し、就労の相談対応を強化。また組合独自に社会的養護出身者のアンケートを行い、ニーズの掘り起こしと組合の周知を図る予定という。

<赤ちゃんポスト>相談件数、過去最多に ドラマ後増加傾向

毎日新聞 2014年7月22日

親が育てられない子供を匿名で受け入れる慈恵病院(熊本市西区)の「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」の運用状況を検証する市の専門部会が22日あり、今年4~6月に病院に寄せられた妊娠・出産に関する相談件数が712件と前年同期比で2.54倍になったことが報告された。3カ月間の件数としては2007年度の運用開始以降最多。
市によると、病院への相談は昨年4~6月、280件だったが、昨年11月に病院をモデルにしたドラマが放送されて以降、増加傾向にある。今年7月には相談員1人を増やし、計7人で対応しているが、負担が大きい。
このため熊本市の幸山政史市長は18日、厚生労働省に対し、妊娠相談に関する全国共通ダイヤルの設置と、地方公共団体における相談態勢の充実強化への支援を求める要望書を提出した。【井川加菜美】

チキンナゲットの2割を問題の会社から輸入、品質管理は

TBS系(JNN) 2014年7月23日

チキンナゲットのおよそ2割を問題の会社「上海福喜食品有限公司」から輸入していた日本マクドナルド。品質管理はどうだったのでしょうか?
ホームページには、鶏肉の主要な原産国として中国を明記。「厳しい衛生管理と監視のもとに飼育された鶏を使用」とあります。さらに、「生産地から店舗までの連続した品質・衛生管理」として「HACCP(ハセップ)による衛生管理」を謳っていました。
HACCP=ハセップとは、1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発され、世界中にひろまった衛生管理方式です。従来は、出荷時の抜き取り調査だけでチェックしてきたものを、製造工程の「原材料」や「工場での加工」などでそれぞれにチェックポイントを設け、温度など細かいデータを管理するやり方です。どこで問題が起こったかがわかりやすい利点があり、日本では90年代から徐々に取り入れられてきました。
ですが、今回はHACCPの網を潜り抜けられたのでしょうか。現在、日本が輸入している鶏肉の加工食品は年間43万トン。そのうちの5割を中国から輸入しています。
輸入品を管轄する厚生労働省も注目しています。厚労省によりますと、中国では現在、CIQ=質検総局が輸入品に対し、「材料」「工場」「流通」でチェックしています。2000年代初めにホウレンソウの農薬混入を契機に、輸出品のチェック機能が高まったからです。
厚労省の輸入食品安全対策室は「事実確認を調査中」とした上でCIQに今回の調査結果を速やかに知らせるよう要請しているといいます。
中国で繰り返される食品をめぐる問題。富坂氏は背景に貧困問題があると語ります。
「少しでもお金を浮かせたくて 必死になるような階層の人々がなくならないかぎり、この問題はなくならない。罰則をどれだけ強化しても有効に機能しない。貧困層がいる間は解決しない問題」(中国に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏)

極めて危険な薬物…「危険ドラッグ」に呼称変更

読売新聞  2014年7月23日

古屋国家公安委員長は22日の閣議後記者会見で、乱用者による事件や事故が相次ぐ「脱法ドラッグ」の新名称を「危険ドラッグ」と公表し、「死傷事故を起こすなど、極めて危険な薬物と認識してほしい」と呼びかけた。
警察庁は今後、パンフレットを作成するなどして、麻薬や覚醒剤に似た幻覚作用などを引き起こす「危険ドラッグ」の危険性を周知したい考えだ。

東京都北区で5日、乗用車が暴走し、2人が負傷した事故で、警視庁が自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)容疑で逮捕した男(38)の車内で見つかった植物片から、事故当時は規制対象外だった薬物の成分が検出されたことが、捜査関係者への取材でわかった。池袋の8人死傷事故で逮捕された男が吸引したとみられる薬物と同じ成分で、厚生労働省は15日、この成分を薬事法で規制される「指定薬物」に分類している。

匿名逮捕状:年間558件 全都道府県警で発付進む

毎日新聞 2014年7月23日

ストーカー事件や性犯罪の再被害防止のため、警察が被害者の名前や住所などを伏せて請求し、裁判所から発付された逮捕状の件数が2013年の1年間で558件に上ったことが警察庁の調べで分かった。全47の都道府県警で「匿名逮捕状」が発付されたことも判明。匿名逮捕状を巡っては、逮捕状の記載を巡る被害者保護の在り方が問題となった12年の神奈川・逗子ストーカー殺人事件以降、42の都道府県警で少なくとも159件が発付されたことが毎日新聞の調べで判明していたが、被害者保護に向けた取り組みがさらに進んでいることが裏付けられた形だ。
逗子事件以降の匿名逮捕状の運用実態について警察当局が明らかにするのは初めて。警察庁が全国の警察本部の現状を聞き取る形でまとめた。
逮捕状の記載の仕方を巡っては、刑事訴訟法で容疑事実の要旨はできるだけ具体的であるよう求めている。容疑者が理由なく逮捕される可能性を排除するためだ。
しかし、逗子事件で再被害を助長しかねないという問題点が浮上したため、警察庁は12年12月、容疑事実がきちんと特定されることを前提に逮捕状への被害者情報の記載について通達。(1)容疑者が知っている旧姓や通称名などを用いる(2)容疑者に知られていない被害者らの住所、居所は記載しない−−などの配慮を求めた。
これを受け、警察庁が調べたところ、13年に558件の「匿名逮捕状」が発付されていた。内容としては、強制わいせつや強姦(ごうかん)など性犯罪が多いといい、ストーカー・ドメスティックバイオレンス(DV)や児童買春なども含め女性や子どもが被害者である事件が大半とみられる。
匿名化の工夫の例としては、被害当時の身体特徴や服装、生年月日を示す▽インターネットで使用していたハンドルネームなどニックネームやID番号を使用する−−など。5件の匿名逮捕状の発付を受けた香川では、13年2月に関係部署に出した通達「被害者情報の保護に関する方針について」に基づき、うち4件で容疑者が知るニックネームと年齢だけを記載していた。
また、警視庁では元交際相手の男が容疑者となったストーカー・DV事件で、被害者の顔写真を見せて名前や住所を伝えない取り組みをしているが、「面識のない人物が容疑者だった場合も、顔写真を使うことで新たな情報を与えないように努めたい」(担当者)としている。
逗子事件で妹の三好梨絵さんを殺害された兄(42)は「当たり前のことが捜査機関で周知されてきた証しだ。ただ、裁判では被害者が実名を出さなければならないことが多い。再被害を防ぐためにできることは何か、裁判所にもよく考えてほしい」と語った。【長谷川豊、林奈緒美、神保圭作】

ストーカー被害の相談を数多く受けているNPO「ヒューマニティ」の小早川明子理事長の話
匿名逮捕状の進展は、告訴をためらいがちな被害者の背中を押すことになるだろう。告訴をした被害者は、その後の仕事や生活などに不安を抱えている。警察は他の機関と連携し、被害者を支援する情報を提供することにも力を入れてほしい。

逗子ストーカー殺人事件
神奈川県逗子市で2012年11月、三好梨絵さん(当時33歳)が、以前交際していた男(同40歳)に刺殺され、男は自殺した。男が11年6月、三好さんに対する脅迫容疑で逮捕された際、県警が逮捕状に記載された三好さんの結婚後の姓や住所の一部を読み上げたことなどから男は住所を割り出したとみられる。