<児童虐待相談>体制強化加速を

毎日新聞 2014年8月4日

児童虐待の相談件数が7万件を超えた背景について、国は、行政と警察が安全確認を強化したことが大きいとしている。児童虐待の安全確認は2008年度に義務化された。48時間以内が目安で、昨年8月から通告のあった子供のきょうだいにも広げられた。
課題は、虐待と判断されながら安全確認ができないケースがあることだ。大阪市西区で10年6月に3歳と1歳の子供を母親がマンションに放置して餓死させた事件を受け、国が行った調査では、10年4~6月に全国の児童相談所が虐待と判断した約1万3000件中、安全確認ができなかった子が8月末で261人いた。9割は「泣き声がする」などの情報だけで名前や住所も特定できず、残り1割も行方が分からなくなるなどしていた。全国児相所長会調査では、08年4~6月の全虐待事案の1.6%(133人)で、接触できなかったり、行方不明となって調査を打ち切ったりしたが、情報などでは頭の骨を折るなど深刻な被害を受けたとみられる子も7人いた。
安全確認が難しい場合の「最終手段」として、08年4月の改正児童虐待防止法施行で可能となった強制立ち入り調査(臨検)も過去6年でわずか7件。13年度はゼロだった。児相が親の支援も担う立場にあることや手続きの煩雑さが、臨検が低調な背景にあると指摘されている。
一線の児童福祉司は2771人と過去23年間で約2.5倍増えたが、この間虐待は67倍増加している。早急な児相の体制強化が必要だ。【野倉恵】

「人を殺して体の中見たい」…事件前、母に話す

読売新聞 2014年8月4日

長崎県佐世保市の県立高1年の女子生徒(15)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された少女(16)が、事件の数日前、父親の再婚相手である新しい母親に「人を殺して体の中を見てみたい」などと話していたことがわかった。
関係者によると、女子生徒が殺害された7月26日の数日前、少女は母親と会った際、殺人や解剖に興味を持っていることを伝えたという。母親からこの話の内容を聞いた父親は、25日午後6時半頃、児童相談所の機能を持つ県佐世保こども・女性・障害者支援センター(佐世保市)に相談しようと電話をかけた。しかし、宿直担当者から職員がすでに退庁していることを告げられ、「月曜日にかけ直します」と電話を切った。父親は名前を名乗らず、相談内容も告げなかった。

生活保護適正化へ、厚労省に改善勧告【総務省】

DAILY NOBORDER 2014年8月4日

総務省は1日、生活保護に関する実態調査の結果を取りまとめるとともに、必要な改善措置について勧告することを公表した。
調査によると、生活保護の受給者数は平成14年から10年間で1.7倍に増加し、それに伴い保護費は2.2兆円から3.5兆円へと6割増加している。
また、不正受給の件数は約3万5千件と10年前に比べて4.3倍と大幅に増加していることがわかった。
これらの結果を受け、総務省は保護申請を迅速かつ的確に処理することや、不正受給に対する迅速な対応といった事務的な対処に加え、就労支援事業の的確な見直しを図ることで、保護からの脱却を促進していくことなどを求め厚生労働省に勧告した。

厚労省、ひとり親の在宅副業支援を見直しへ

日本経済新聞 2014年8月4日

経済的に困窮しやすいシングルマザーらにパソコン技術などを身につけてもらい、自宅での副業を支援する厚生労働省の事業が「費用対効果が低い」として、大幅に見直されることが3日、分かった。
5年間で総額170億円を投入したが、在宅の仕事に就いた人は4分の1で、うち6割の平均月収は5千円以下だった。事業を検証した同省の有識者検討会は「想定した成果を上げておらず、このままの形での継続は妥当ではない」と指摘している。
事業は2009~13年度に実施。都道府県などが公募で選んだ人材派遣会社やIT企業などに委託し、国の基金で全額を賄った。企業側はテープ起こしやウェブデザインなどの技術訓練を行い、参加者が自宅でできる仕事を別の地元企業などから受注する仕組み。
訓練期間は原則18カ月。企業側には訓練や仕事の受注にかかる経費を支払い、参加者にも月額1万5千~5万円の訓練手当を支給する。
検討会は09~12年度に21自治体が実施した24事業(約56億円分)を検証。参加者約2800人のうち、訓練を終えたのは約2千人で、在宅での就業につながったのは約760人だった。
このうち月収が分かった約500人を分析すると、約6割は5千円以下で、厚労省が当初目指した5万円以上の人は1割程度。参加者1人当たりの事業費は、最高で約846万円に上った。
検討会が近くまとめる報告書では「事業の趣旨は有意義だ」としつつも「参加者の技術を上げ、仕事を開拓する企業側の能力、実力の差も成果に影響した」と指摘。仕事の受注を担う専任者を配置したり、地元企業への売り込みを積極的に行ったりしたケースが一部にとどまったことを要因として挙げている。〔共同〕

会社不許可ツールで社外とデータ共有、半数以上が経験

トレンドマイクロ調査 2014年8月1日

トレンドマイクロ株式会社は7月31日、「企業における業務データ取り扱い実態調査 2014」の結果を発表した。企業で文書・画像・数値データなどの業務データを取り扱う1548名(IT管理者510名、従業員1038名)を対象に、2014年6月に実施した調査。「禁止されているツールで社外とデータをやり取りしたことがある」従業員が半数を超えている実態などが浮き彫りとなった。
業務データを社外関係者とやりとりする際には、会社メール、USBメモリ、オンラインストレージなどさまざまなツールが利用される。一方で企業によっては、セキュリティポリシーによりツールの利用を禁止している場合がある。同調査では、外部とのデータやり取りにおいて特定のツールが禁止されている従業員476名のうち、禁止されたツールを過去1年間に利用したことがあると回答した人が、半数以上の54.8%にのぼることが判明。ツール禁止施策は抑止力が十分とは言えないことが浮き彫りになった。
また、企業内で業務データを取り扱う中で、従業員の13.8%が「自分の担当外の業務データにアクセスした」経験があると回答。「社外持ち出し不可のデータを自宅作業などのため持ち出した」と回答した人は7.9%、「退職時にデータを持ち出した」経験があると回答した人も4.4%いた。一定数の従業員が企業の情報漏えいにつながる不適切な行動を行っていることが示された。
一方で、利便性や生産性について従業員からは不満も。データ共有ツールが禁止されている場合、代替となるツールやシステムを導入してほしいと回答した従業員は、「非常にそう思う」と「ややそう思う」を合わせて78.8%にのぼった。
これに対してIT担当者は、利用を制限するだけでなく社外に安全にデータを共有できる代替策の導入を検討しているかという問いに、40.4%が「検討している」と回答、48.0%が「検討していない」と回答した。

LINE、子ども向け「情報モラル啓発教材」開発 全国の小中学校に無料配布

ITmedia ニュース 2014年8月1日

LINEは8月1日、静岡大学と共同研究・開発した「小中学生向け情報モラル教材」の無料配布を始めた。ワークショップ形式で、インターネットの正しい利用やコミュニケーション方法に関して学べるパッケージだ。
インターネットやスマートフォンの利用が広がる中、正しい知識を持たない若年層のトラブルが増えている背景を踏まえて作成されたもの。インターネットとの上手な付き合い方やコミュニケーション方法を“自ら考える”ことを目的とし、全国の小中学校で実施できるパッケージ教材として配布する。
「あなたがクラスメイトから連絡があると『遅いな』と思うのは何時から?」「あなたがクラスの友達に言われて『嫌だな』と感じるのはどれ?」などの議題に対し、5枚セットのカードを使いながらディスカッションするなど、イラスト豊富な教材で考えながら学べる内容になっている。指導者用のガイドブックも同梱する。

「牛すき鍋」と「大雪」――すき家社員「残業時間」急増の背景にあるキーワード

弁護士ドットコム 8月3日

過酷な勤務実態が指摘されている牛丼チェーン「すき家」の労働問題。すき家を運営するゼンショーホールディングスが7月31日に発表した第三者委員会(委員長:久保利英明弁護士)の調査報告書を読み解くと、今年に入ってから一段と厳しさを増した現場の姿が見えてくる。
報告書には、管理監督者以外の、現場で働く正社員や契約社員の平均残業時間が記載されている。これをグラフにしてみたところ、今年1月以降、急激に伸びていることが分かった。
2013年10月から徐々に増加するようになった残業時間は、14年に入ってからペースアップ。1月に約68時間、2月には約80時間にまで達した。その後も、3月90時間、4月にはついに100時間を突破して、約109時間を記録した。その後は約86時間に下がっている。
この残業時間急増の背景には、何があったのだろうか。

「牛すき鍋」と「大雪」でバイトの48時間勤務まで発生
第三者委員会がまとめた報告書に当時の背景として記載されているのが、2014年2月に投入された「牛すき鍋」だ。オペレーションが複雑で、現場の負担が増したという。
報告書には「現場への負荷を懸念する声が本部に十分伝わることなく、本部が牛すき鍋の仕込みに係る時間を甘く見積もって牛すき鍋投入を決定した結果、現場のオペレーションが十分機能せず、クルー(注:アルバイトのこと)や現場社員のサービス残業・長時間労働が増加し、現場は疲弊した」と描かれている。
さらに、現場を追いつめる契機となったのが、2月に2度にわたって首都圏を襲った記録的な「大雪」だ。多くのバイトが店舗から帰宅できず、交代要員も出勤できなくなったという。このときの過酷な状況について、報告書ではこう説明している。
「幹部は大雪により発生したトラブルへの対応に追われ、店舗を一時休業するなどの措置が取られることはなかったため、中には帰宅できないクルーが48時間勤務するといったことも多数生じた。この大雪を契機に、クルーの不満が爆発し、クルーの稼働率及び人数が益々減少した」
48時間勤務というのは、想像を絶する状態だ。それをきっかけに、バイトが次々と辞めていったとしても仕方ないといえるだろう。
「それによって、AM(注:正社員の「エリア・マネジャー」)・ZM(注:正社員の「ゾーン・マネジャー」)は、店舗運営のためのシフトを組めず、自身がシフトに入らざるを得ない状況に陥り、過重な負担を負った」

ついに社員も無断欠勤、予期せぬ休業まで発生
このような状況に対して、バイトだけでなく、正社員や契約社員も耐えられなくなった。
「多くのAM・ZMが退職し、又は無断欠勤した上で行方をくらますなどして、残ったAM・ZMに更なる負担をかけた。その結果、多くの店舗において、運営できなくなるほどの人手不足に陥り、2014年2月中旬から店舗のイレギュラークローズ(計画されていない店舗の一時休業・時間帯休業)が起き始め、2月の最終週にはその数が10店舗に達した」
報告書に記載された社員退職数(正社員、契約社員)のデータを見ると、1月に19人、2月に16人だった退職者数は、3月には33人に急増している。以後、4月24人、5月20人と高い水準が続いた。
不満がたまったバイトが現場から離脱。そのしわ寄せがきた正社員や契約社員も耐えられなくなり、さらに現場が疲弊する。その結果、数多くの店舗がイレギュラーな休業に追い込まれていった。こうした「負のスパイラル」ともいえる状況に有効な手を打てなかったことが、社会から多くの批判を集める結果を招いたといえそうだ。