子ども虐待防止へ世界会議 名古屋で開幕

日本経済新聞 2014年9月15日

児童虐待防止に関わる専門家らが集まる2014年の「子ども虐待防止世界会議」が14日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で始まった。約70カ国・地域の医師、研究者など2千人以上が参加。国内外の専門家が虐待防止の取り組みや治療方法についてシンポジウムなどで議論する。会議は17日まで。
今回の世界会議は20回目で、日本で開かれるのは初めて。国際子ども虐待防止学会と日本子ども虐待防止学会が共同で開催し、秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまも出席された。
開会式で同学会の小林美智子理事長は「海外との交流が次の飛躍につながる」とあいさつした。
会場では、警察や医療関係者などの連携で虐待を受けた児童を発見した米国の成功事例や、海外の虐待防止の法制度についての講演が行われた。シドニー大学名誉教授で虐待に関する研究が専門のキム・オーツ氏は基調講演で虐待問題では「自分の領域を超えて考える必要がある」と語り、幅広い分野の専門家の連携が重要だと強調した。
会議に参加したモンゴル人のバティキシ・アディルビシュさんは「世界中の研究者による最新の取り組みが聞けてよかった」。長崎県の女性職員(59)は「子どもの心理的ケアにヨガを使う試みが興味深かった」と話した。

貧困の連鎖は断ち切れるか? 注目される政府の取り組み

ベネッセ教育情報サイト 2014年9月15日

厚生労働省が発表した2013(平成25)年の国民生活基礎調査の結果で、平均的な収入の半分以下で暮らしている「相対的貧困」の状況が明らかになった。「子どもの貧困率」は16.3%で、17歳以下の子どものほぼ6人に1人が相対的貧困にある家庭環境で育っている。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

貧困率が悪化 特に母子家庭が「苦しい」
今回判明した「子どもの貧困率」16.3%は、前回調査(2009年)から0.6ポイント増加した数字。子どものいない世帯も含めた全体の相対的貧困率が前回調査比0.1ポイント増の16.1%だったことに比べ、悪化の度合いが顕著です。
特に、子どもがいる現役世帯で「大人が1人」の場合、相対的貧困率は54.6%にのぼりました。これに対して、「大人が2人以上」の場合は12.4%。シングルマザー、シングルファーザーの家庭で貧困化が進んでいる実態が見て取れます。
とりわけ母子家庭の状況は深刻で、2013(平成25)年の総所得を見ると、児童のいる世帯全体では673万2,000円でしたが、母子家庭では243万4,000円に過ぎません。生活意識を尋ねた設問では、「苦しい」との回答が母子家庭で84.8%。このうち「大変苦しい」と答えた人は49.5%で、2人に1人を占めました。

貧困でなくても教育費が重い負担に 解決策は?
貧困状態にない家庭でも、教育費は重い負担です。まして貧困家庭では、教育費どころではありません。生活保護を受けている人の4人に1人が子ども時代、生活保護世帯で育ったという調査結果があります。今回の調査からは、保護者だけでなく、子どもの世代も貧困が続く「貧困の連鎖」がますます広がっていく懸念が高まっているといわざるを得ません。
この連鎖を拡大させないために、政府が先に閣議決定した「子どもの貧困対策に関する大綱」をどれだけ施策に反映できるかが問われます。貧困対策は、将来の社会の担い手を育てるという点では社会全体の問題です。

社福法人に天下り239人 昨年度、都府県・指定市幹部ら

朝日新聞デジタル 2014年9月15日

特別養護老人ホームや保育園などを運営する社会福祉法人(社福)に、都府県や政令指定都市から昨年度内に少なくとも計239人の幹部職員らが再就職していたことがわかった。自治体には社福に補助金を出すなどの優遇をしたり福祉事業を委託したりするところがあり、全国の社福のなかで一部が職員の天下り先になっている。

社説[敬老の日に]団塊世代の活力生かせ

沖縄タイムス 2014年9月15日

「わが国は世界のどこも経験したことのない高齢社会を迎えている」-。内閣府が公表した2014年版「高齢社会白書」では、急速に高齢化が進む日本の現状を報告している。日本はすでに4人に1人が65歳以上である。60年には2・5人に1人が65歳以上となり、4人に1人が75歳以上になると推計する。
これからの高齢社会の中心となるのは1947~49年生まれの、いわゆる「団塊の世代」である。その一番年下のの世代が今年、65歳となる。さらに2025年に団塊の世代は、75歳を迎える。超高齢社会の到来である。
だがひとくくりに高齢者といっても、今の65歳以上の人たちは驚くほど若い。戦後日本の成長をけん引してきた主役でもあった。彼らによって、高齢社会の変革が実現するかもしれない。
それを裏付けるデータがある。内閣府が団塊の世代を対象に12年秋に行った調査である。
「何歳から高齢者と思うか」との問いに、最も多かったのは「70歳以上」の約40%で「75歳以上」と「80歳以上」を合わせると約80%に上った。団塊の世代の多くが、高齢者という意識にとらわれていないということだ。
就労に関しても「働けるうちはいつまでも働きたい」と答えた人の割合が約25%と最も多く、「70歳まで」「65歳まで」と続く。「人生90年」時代と言われる中、現役を退いた人たちが、生きがいを持って生き生きと暮らせる高齢社会の実現こそが日本の将来を左右するといえよう。

一方、高齢社会の陰というべき深刻な現実がある。
介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護を担うのも65歳以上という「老老介護」の世帯の割合は13年時点で51・2%と半数を超えたことが厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。
厚労省の推計によると、65歳以上の認知症高齢者は12年時点で約462万人で、予備軍である軽度認知障害は約400万人に上る。認知症高齢者の行方不明は12年に約1万人に上り、350人余が亡くなっているという事態も明らかになった。
6月に成立した地域医療・介護総合確保推進法は、介護サービス利用の自己負担の引き上げなど、サービスの削減や利用者の負担増を国民に強いるものだ。政府は12年、高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」を決定したが、安心して老後を送ることのできる社会保障制度の将来像が見えない限り、高齢社会の先行きは見通せない。

きょうは「敬老の日」。県内では100歳以上の高齢者が962人。昨年から39人増えて復帰後最も多くなった。
幾多の試練や苦労を重ね、社会の発展に寄与してきた人たちの長寿を祝いたい。
住民同士の信頼関係や人間関係など人と人のつながりが社会資本であるという「ソーシャル・キャピタル」の概念がある。沖縄社会が本来持っている助け合いの精神とつながる。団塊世代が持つ豊富な知識と経験をこれからの高齢社会に生かしてほしい。

男子便所に小便器があるのは差別!? テキサス親父「欧米のフェミニズムは酷すぎる」

週刊SPA! 2014年9月14日

アメリカ保守論客の立場から、欧米のリベラリズムや中国・韓国の横暴を批判してきたテキサス親父ことトニー・マラーノ氏が、日米のフェミニズムを比較して持論を展開した!

Q.日本は諸外国に比べて女性差別がひどいです。
A.問題はまだまだたくさんあると思うが、少なくとも欧米よりは性差を尊重しているように見えるぜ。
これは実際に在日米軍基地で今、起きている話なんだけどな。女性兵士が、ある訴えを起こしたんだ。何かっていうと、「男子トイレに小便器と大便器が両方設置されているのは女性差別」だってさ。
一体何を言っているのかって? 俺にもわからないよ! ともかく、その女性兵士は男子トイレから小便器を撤去することを求めているんだ。小便器を撤去するのは男性差別じゃないってのかい?
俺の住んでいるアメリカでも似たような事例は山ほどあって、たとえばとあるモーターショーで女性コンパニオンが出演することは女性差別だと人権団体がうるさいもんだから、代わりに終始、むさ苦しいオッサンが出てきてアナウンスするようになっちまった。
おいおい、誰がそんなもの見たがるんだよ! オッサンならいいっていう問題じゃないだろ。
本当に、欧米のリベラルたちが振りかざすフェミニズムは酷いよ。
警察官の例でいうと、女性警官は男性とまったく同じ制服を着て、男以上に男らしく振る舞う。それは、公的には男女平等の「建前」が徹底されているからなんだ。制度的な女性差別が存在しないのは、もちろんいいことだ。
ただ、女性の人権が完全に保証されていることになっているから、女性は少しでも不当に扱われたと思うと、大声で男性を非難して騒ぎ立てることができるんだ。その内容が間違っていたとしてもな。こんなの逆差別だよ。
一方、日本は女性が無理に男性化しなくても、ありのままの姿で男性と対等に仕事しているように見えるよ。女性が自然に、女性らしく振る舞っても差別されていない。
それに、日本の厚生労働省の「大学卒業予定者の就職内定状況調査」を見ると、2014年に卒業した大学生の就職率は昨年に続いて女性のほうが高いよな。
日本は火山や地震など島国特有の厳しい自然環境である一方、農耕民族でもあるから太古の昔から男女が協力しあって生き抜いてきた歴史があるよな。これは地位の高低ではなく役割分担で、会社でいえば適材適所ということだな。もちろん、日本も世界もともに問題はまだまだたくさんあると思う。
ただ、少なくとも諸外国と比べると性差がバランスよく尊重されているように見えるよ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

精神障害者の雇用義務化 問われる企業の対応力

エコノミックニュース 2014年9月14日

厚生労働省は2011年に、これまでの4大疾患に精神疾患を加え5大疾患とした。これに先立つ09年から10年にかけて同省は、精神障害者の雇用促進をサポートする精神障害者雇用促進モデル事業を実施。複数の企業が精神障害者の雇用に対する施策を打ち、新規雇用を行った。13年には企業の雇用障害者数と雇用率が過去最高を記録し、企業の精神障害者の雇用対策が進んでいる。
欝(うつ)や統合失調症などの精神疾患になった従業員を雇用し続けるため、多くの企業が試行錯誤している。それではなぜ現在、企業が精神障害者の雇用を推し進めているのだろうか。その背景には18年4月からの障害者雇用義務化の法改正が絡んでいる。
法案の施行を前に、企業の受け入れ態勢の構築など課題も山積しているが、企業の側にとってのメリットは大きい。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、過去3年間の病気休職制度利用者の退職率の平均値は37.8%。退職理由では、メンタルヘルスががんに次ぎ2番目となっている。
そのため精神障害者の受け入れ態勢を整備することは、社内で精神疾患になった社員にとっての受け皿となりえる。フォローアップ体制が整備されれば、精神疾患になったとしても退職することなく、優秀な人材の社外流出を防ぐことが可能だ。退職者が出ることによって生じる新規採用コストや新人教育に関するコストも削減できる。
また現在ブラック企業と呼ばれる劣悪な就労環境で働かせる職場が社会問題となっている。しかし精神障害者の雇用を進めることができれば、働きやすい職場環境をアピールすることができ、企業のイメージアップに繋がるだろう。内閣府の発表したデータによると日本の精神障害者の数は320万人。
国民の25人に1人が何らかの精神疾患を抱えている計算となる。安倍内閣が掲げるアベノミクス。その成長への道筋の中で、女性や高齢者が働きやすい環境を整えることで、社会に活気を取り戻すという考えが記されている。そこにこれまで労働市場から退場せざる得なかった精神障害者が加わった先に、より力強さを増した日本経済の姿があるはずだ。(編集担当:久保田雄城)