児童虐待の社会的コスト「年1.6兆円」…民間研究機関が初の試算

産経新聞 2014年10月1日

子供が虐待を受けることで子供自身が失う利益や医療費、生活保護の増大などの社会的コストを社会福祉法人の研究機関が試算した。児童虐待に特化した社会的コストの推計は日本で初めて。限られたデータによる推計だが、年額約1兆6千億円にのぼり、虐待を受けた直後だけでなく、生涯にわたり大きな負担が続くことが改めて浮き彫りとなった。(村島有紀)

貧弱なシステム
試算は社会福祉法人恩賜(おんし)財団母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所(東京都港区)の主任研究員、和田一郎さんらが実施。平成22~25年度の文部科学省の科学研究費を使って行った。内容をまとめた論文はこのほど、国際学術誌「チルドレン・アンド・ユース・サービス・レビュー」のウェブサイトに、虐待による社会コストをまとめた日本で初めての研究として掲載された。
24年度の1年間に社会が負担したコストを試算した。児童養護施設の運営費などの「直接費用」と「間接費用」に分けて計算。間接費用は、(1)虐待により死亡したため得られなくなった将来の収入(逸失利益)(2)トラウマ(心的外傷)の治療に必要な医療費(3)教育機会を奪われたことによる生産性の低下(4)離婚や犯罪、生活保護費の増加-などを集計したものだ。
同年度に全国の児童相談所が児童虐待として相談対応した件数は6万6701件。虐待と心中により死亡した児童は90人にのぼる。
直接費用のうち行政が虐待児を守るために投じた「行政コスト」は170億円。和田さんは「虐待を受けている子供がどれだけ行政から支援を受けたかを、子供自身の立場から推計した」と説明する。
具体的には、複数の自治体の行政評価報告から児童相談所運営費(事業費、人件費)などを調べて虐待相談1件あたりの費用を算出し、全国の児童相談所の運営経費を61億円と推計。さらに市町村の虐待対応窓口と警察庁、法務省、文部科学省の虐待関連予算を合計した。
総務省によると国の児童虐待関係の年間予算は約912億円(平成23年度)だが、和田さんは「児童相談所の人数や予算など、実際に虐待を受けた子供を守るシステムの貧弱さが明白になった」と指摘する。

超過分を詳細に
間接費用の計算は以下の通りだ。
虐待死(心中を含む)によって死亡した児童に関し、生涯で得るはずだった所得(逸失利益)を計算。虐待後の自殺についても同様に計算した。
虐待を受けて成長すると自傷行為を行ったり、鬱病などを患ったりするリスクが、虐待を受けていない人よりも高いという調査がある。それら既存の研究結果を基に、「虐待がなければ不要だったはずの医療費」を超過医療費として推計した。
さらに自治体の協力を得て、生活保護受給者のうち過去に虐待(貧困を含む)を受けた経験のある人の割合を調べたところ、男性で21・1%、女性で25%と判明。また、虐待された子供は親への仕送り額が少なく、親が生活保護受給者の場合、より多くの生活保護費が必要となることも分かった。
このため児童虐待の結果生じた「余分な」生活保護コストは年間で約3千億円にのぼっていた。

長期的影響は基礎データ不足
児童虐待が年額1兆6000億円もの社会的損失をもたらすことが明らかとなったが、今回の推計は、施設入所中の児童の医療費▽自傷行為や虐待による医療費や後遺障害▽離婚に伴う男性の生産性損失-などは含まれていない。基礎データがないからだ。
日本子ども家庭総合研究所主任研究員の和田一郎さんによると、欧米各国は子供の貧困も含む虐待について将来に及ぶ社会的コストとして分析し、がんや生活習慣病と同様の規模で対策を取る。子供の情報をデータベース化し、その後の人生を数十年にわたり追跡研究をする国もあるという。
和田さんは「身体虐待による後遺障害で、一生を病院と施設で過ごす子もいる。しかし、日本ではデータの蓄積がなく、個人の生涯を追う大規模な追跡調査もないため、間接費用を非常に小さく推計するしかなかった。虐待と貧困の連鎖を断ち切るためにも、プライバシーに配慮したうえで長期的な視野で対策を取る必要がある」と話している。

虐待現場へ立ち入り訓練 茨城県警と児童相談所など手順確認

産経新聞 2014年10月1日

増加傾向にある虐待の被害から児童を守ろうと、児童相談所と県警などは30日、茨城町上石崎の県警察学校で、虐待現場への立ち入り訓練を実施した。
訓練は、県警少年課と県子ども家庭課、県内の児童相談所職員などが参加して行われ、虐待現場となっている家屋への立ち入り検査、児童の救出方法などを実際の手順にのっとって確認した。
県警少年課によると、今年8月までの県内の児童虐待認知件数は146件と、過去最高だった昨年の年間160件を上回るペースとなっている。
県警少年課では「今後も児童相談所や関係機関と連携して、児童の安全確保に努めていきたい」としている。

<北海道祖母と母殺害>高2女子「しつけ厳しく逃れたく…」

毎日新聞 2014年10月2日

北海道南幌町で1日未明、高校2年の女子生徒(17)が祖母(71)と母(47)2人を殺害したとされる事件で、殺人容疑で逮捕された女子生徒が「しつけが厳しく、今の状況から逃れたかった」と供述していることが2日、道警栗山署への取材で分かった。2人には首や頭など複数カ所に刺し傷や切り傷があり、同署はしつけに対する強い恨みが殺害の動機とみて捜査している。
同署によると、司法解剖の結果、2人の死因はいずれも出血性ショックだった。祖母は2階、母は1階の寝室で殺害され、祖母には頭や背中など十数カ所に傷があり、争った形跡があった。母は首に深い切り傷があった。女子生徒は祖母、母、姉(23)の4人暮らしで、寝室は母と同じだった。
近所の住民によると、女子生徒は夕方になると走って帰宅する姿が目撃されており、「門限が厳しく、時間を守らないと怒られる」と漏らしていたという。
岩見沢児童相談所によると、女子生徒が幼稚園児だった2004年2月、家庭内で虐待を受けているとの通報があった。児童福祉司が身体的虐待の痕があることを確認し、児童福祉法に基づく指導措置を決定。同年11月まで自宅の訪問や面談を重ね、「虐待が再発する心配はない」と判断し措置を解除した。その後、虐待の通報はなかったという。
女子生徒が通う高校は2日朝、全校集会で事件の概要を説明した。スクールカウンセラーを配置し生徒の心のケアに努めるという。【三股智子、野原寛史、日下部元美】

忽然と消えた「2900人」の子供たち…行方つかめず、放置は死を招く

産経新聞 2014年10月2日

学校も、行政も居場所をつかめない。そんな子供が日本全国に約2900人もいる。政府は8月、「居所不明」となっている子供の今年5月時点の数字を公表した。実際は記録などがないだけでどこかで暮らしていて、行政側の“追跡調査”が甘いため居所不明扱いになっている子供も多いとみられる。だが、家庭ごと音信不通になるなどして、忽然(こつぜん)と世間から消えてしまった子供が一定数いることも確か。居所不明の子供は親から虐待を受けているリスクが高く、近年は育児放棄の末に衰弱死したり、暴行を受けて雑木林に捨てられたりした事件も発覚した。危機感を抱いた全国の市町村は、家庭訪問などによる確認作業を急ピッチで進めている。

事件の苦い記憶
「一度も乳幼児健診を受けていない子供がいる」
愛知県豊橋市。子育て支援課の担当者に、健診を所管する市こども保健課から連絡があったのは昨年秋のことだ。未受診だったのは4歳児。通常であれば「生後4カ月」「1歳半」「3歳」の段階で健診を受けているはずだが、いずれも未受診だった。
早急に所在を確認する必要があり、父親のもとに担当者を向かわせたが、「どこにいるのかさっぱりわからない」。父親によると、母親はアジア系の外国人で、すでに2人は離婚しており、児童は母親が引き取ったという。
入国管理局に照会すると、母親が出国した記録はあったが、児童の確認は取れなかった。児童は日本名以外でパスポートを取得していた可能性があったが、父親が外国人名を知らず、日本名でしか照会ができなかったことも理由と考えられている。
もちろん、出国しておらず、何らかの事件に巻き込まれている恐れもある。市は愛知県警に相談したが、児童は所在不明だと判明してから1年近くが経過した今年9月現在でも行方不明のままだ。
豊橋市では平成24年、女児(4)が両親に食事を与えられないなどのネグレクト(育児放棄)を受けた末、衰弱死したという事件があった。亡くなった加藤杏奈ちゃんは、市の健診を受けておらず、健診を担当する部署は所在もつかめていなかった。
一方、両親は、児童手当や子ども手当を受け取っていた。健診とは別の部署に提出された書類には父親の健康保険証の写しが添付されており、そこには勤め先も記載されていた。
杏奈ちゃんの所在を調べる重要な手がかりだったが、市内部で情報は共有されず、対策は取られないまま、杏奈ちゃんは命を落とした。
苦い記憶。事件以降、市は居所不明の子供の問題に積極的に取り組んでいるが、冒頭のような事例はまだ残っている。
市の担当者は「杏奈ちゃんの事件を重く受け止め、居所不明の児童がいればできる限り追跡している。だが、手がかりが途切れてしまうと、それから先には進めなくなってしまう」。

居所不明、大阪が発端
居所不明の子供がクローズアップされたのは、大阪がきっかけだった。
24年4月、大阪府富田林市で、住民登録上は9歳のはずの男児が生後まもなくから行方不明になっていたことが発覚。14年9月生まれの男児は、実際は1歳になる前に死亡しており、祖母らによって15年2月、同市内の河川敷に埋められていた。
この事件により、男児と同じような居所不明の子供が全国に1千人以上いることが取り上げられ、社会問題化した。
これ以前から、文部科学省では学校基本調査で、居所不明の小学生や中学生を集計していた。ただ、同調査は「学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的」としており、主な調査項目は「学校数、在学者数、教員数、卒業者数、進学者数、就職者数」など。居所不明児童・生徒に重きは置かれていなかった。
それが、富田林の事件により転換した。事件に巻き込まれた子供がいたことに国は危機感を強め、富田林の事件が発覚してから半年後の24年11月、学校や警察などの関係機関と連携して行方が分からなくなっている子供の実態を把握するよう、厚生労働省が市町村に通知した。
だが、その後も、25年2月に大阪市東住吉区で住民登録上は6歳の女児が実際は出産直後に殺害されていたことが分かり母親が逮捕されるなど、悲惨なニュースが報じられた。このため同省は今年4月、乳幼児を含めた18歳未満にまで対象を拡大し、居所不明児童・生徒の数を報告するよう市町村に要請。その結果、冒頭の2900人という数字が浮かび上がったという。
ただ、文科省の学校基本調査では、小中学生に調査対象が限られているものの平成23年度の1191人が26年度に397人となるなど、3年連続で減少している。

行政-学校-警察
現場を預かる市町村は試行錯誤を続けている。
昨年4月、所在不明となっていた女児=当時(6)=が遺体で見つかった横浜市。過去に事件のあった自治体では関係機関の情報共有が失敗している傾向があったことを教訓に、市や児童相談所、学校、警察などそれぞれの役割をはっきりさせたフロー図を作成。今年4月からは、学校などから上がってくる長期間不登校の子供の情報などを、虐待を担当するこども家庭課に報告する仕組みも取り入れた。
親との関係の強化を模索する動きもある。
奈良県宇陀市は昨年度から、生後2カ月の子供がいる家庭に対し、予防接種の段階で、市内限定の1万円分の商品券を配るというユニークな取り組みを始めた。地域振興や子育て支援が主な目的だが、居所不明児童・生徒の問題への効果も期待されている。
一つは、生後2カ月時点での所在を確認できる点で、昨年度は新生児が148人いたが、全員が予防接種に訪れ、所在を確認することができた。
もう一つが、親との関係強化。この場をきっかけに家庭と自治体とのつながりを作り、その後、親が育児相談などをしやすい関係性の構築へとつなげる-。そうすることで、市側は小さな子供を持つ家庭の状況を把握でき、将来的に居所不明の子供が発生した場合も、その家庭に応じたアプローチができる、という想定もあるという。
同市の担当者は「子育ての状況を確かめることができ、コミュニケーションの場にもなる。自治体と親の関係強化につながる」と期待を込める。
花園大の津崎哲郎特任教授(児童福祉論)は「居所不明の子供は非常に多い。市町村のマンパワーでは調査にも限界がある」と指摘。それを踏まえ、効果的な対応を取る必要があるとして「虐待のリスクのある子供を見極め、重点的な対策を取る必要がある」と求めている。

安心して子育てしたい!厚労省による子ども育成支援施設「子育て支援センター」とは?

Mocosuku Woman 2014年10月2日

長年の少子化が叫ばれ続けていることを受けて、厚労省は様々な少子化対策案を打ち出し実施してきました。「子育て支援センター」もその一つ。厚労省による「特別保育事業の実施について」という通達に基づいて、各自治体が地域全体で子育てを支援することを目的として設立された施設です。
ここでは、厚労省による「子育て支援センター」について解説します。

「子育て支援センター」はどんな施設?
施設には専属の保育士など、子どもや子育てに関する専門職員が常駐しており、育児に悩むパパやママの相談にのったり、子育てサークルによって同年代の子どもを育てる親同士のネットワークを支援したり、また子どもと一緒にイベントを楽しむことができたりと、子育てに関連する全般的なサポートを、無料で、あるいはかなり安価で受けることができるようになっています。子育て支援センターの事業主は各自治体となっているのですが多くの場合、実際の業務は地域の保育所や認定こども園に委託されているようです。

「子育て支援センター」の業務内容とは?
具体的な業務内容を幾つかあげてみましょう。支援センターの利用者のほとんどは子育ては初めてという3才未満の子どもを持つ若い夫婦で、それ故に様々な子育てに関する不安や悩みを抱えていることが多く、それらに対する相談とアドバイス、子育てに関係する様々な情報提供などが行われます。また同じ環境にいる親同士のネットワークを支援する子育てサークルの育成と支援、ベビーシッターなどの保育資源の情報提供と紹介、子どもが自由に遊べる支援ルームや園庭の開放、子育て支援講演会、親子交流の支援やイベントなどなど、各自治体によって展開されるサービスは多岐にわたります。子どもが集団や保育所に慣れるためにも利用することができ、子ども自身が楽しめる施設でもあることに加え、育てるパパやママが親として成長するためにも有益な機関であるため、出産をきっかけに夫婦仲が冷えてしまう「産後クライシス」が叫ばれる中、多くの夫婦が支援センターを利用しているようです。

「子育て支援センター」を利用した人の声は?
また平成24年に実施された子育て支援センター利用者へのアンケートによると、利用者の80%が支援センターに満足しており90%以上が自分にとって必要な施設であると回答している一方、駐車場がない、施設が遠い、数が少なく混雑しやすいなどの問題点もあげられています。また今後期待したいセンターの事業としては、子育て支援ルームや園庭の開放、子育て相談やイベントの充実などの回答が多かったことから、今後これらの点が改善・強化されるものと期待することができるでしょう。

アトピー予防、ゼロ歳からの保湿がポイント-成育研が研究結果発表

医療介護CBニュース 2014年10月1日

アトピー性皮膚炎を予防するには、ゼロ歳からの保湿が重要とする研究結果を国立成育医療研究センター(成育研)が1日発表した。同日の記者会見で、研究に携わった大矢幸弘・生体防御系内科部アレルギー科医長は、「いつまで保湿剤を塗ればよいか、どの保湿剤が優れているかなどを知るには今後の研究が必要」と指摘した。【松村秀士】
大矢氏らの研究グループは、生後1週間以内の時期から保湿剤を塗ることにより、外部から異物が侵入するのを防いだり、体内の水分蒸発を防いだりする「皮膚バリア機能」を強化してアトピー性皮膚炎の発症を予防できるかを検証する研究を行った。
具体的には、アトピー性皮膚炎になった家族が1人以上いる新生児118人を半分に区分。一方のグループに保湿剤を毎日1回以上、全身に塗布し、もう一方のグループには皮膚が乾燥した個所だけにワセリン(0.1グラム)を塗り、それぞれ32週間後のアトピー性皮膚炎の発症率を調べた。
その結果、「ワセリン群」では28人が発症したのに対し、「保湿剤群」では発症者が19人と、3割以上少なかった。

アトピー発症者、卵アレルギー発症率が高い
研究では、アトピー性皮膚炎の発症者は、そうでない人よりも卵アレルギーを発症する割合が2割以上高いことも分かったという。
大矢氏は、アトピー性皮膚炎の発症率をさらに低下させるには、「皮膚の炎症が軽いうちに薬を投与するなど、早期介入を視野に入れた臨床研究が必要」と語った。

健康を維持するために欠かせない健康診断と定期健診について詳しく知りたい!

Mocosuku Woman 2014年10月1日

健康診断とは、とくに自覚症状のない人が現在の自分の健康状態を確認することで、生活習慣の改善すべき点を発見したり、隠れていた病気を見つけたりするために行われるものです。
ここでは健康診断の種類と定期健診との違いについて解説します。

【特集】健康診断と定期健診について詳しく!

健康診断の対象になる人は?
年に1回の健康診断は労働安全衛生法によって義務付けられており、正社員はもちろん、1年以上の雇用が見込まれる契約社員や、1週間の労働時間が正社員の4分の3以上であるアルバイトに対しても、健康診断実施義務の対象者として扱われます。さらに自営業であっても、自治体が実施している健康診断を定額で受けることができる場合が少なくありません。このように日本においては病気の兆候を見つけて予防することや、病気の早期発見が重要視されています。実際、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる危険な病気に繋がる糖尿病や高血圧、高脂血症といった生活習慣病の多くは初期にはほぼ自覚症状がなく、気が付いた時には病状がだいぶ進行しているケースが多いため、たとえ自覚症状がないとしても定期的に健康診断を受けることが大切なのです。また、今現在特定の疾患が見つからなかったとしても、健診によって自分の生活習慣を見直すきっかけになるでしょう。

健康診断の検査はどんなものがあるの?
一言で検査と言っても、その目的から大きく2つの種類に分けることができます。1つは学校保険法や労働安全衛生法などによって義務付けられている定期的な健康診断や、人間ドッグのような誰に対しても同じ検査項目が、あらかじめ決められているもの、もう1つは特定の気になる疾患について、その有無を確かめるためにおこなう検診です。これは臨床検査とも呼ばれ、大抵の場合何らかの症状のために一般外来を受けて医師の診察から原因となっている可能性のある疾患を推測し、その有無を確かめるために検査が行われます。検診の場合は、まず医師によって問診・視診・触診などが行われ、その後尿検査や血液検査、心電図検査など、すぐに結果が分かるもので予測した複数の疾患の可能性をふるい分けていきます。これらによっても特定の疾患を見つけることができなければ、より詳しい検査が行われることになるでしょう。

定期健康診断の検査について
定期健康診断は、厚生労働省によってその項目が定められており、これに年齢や特定の種類の職業などによって、さらに追加して検査が行われることもあります。主なものとしては身長・体重・腹囲・視力の検査、血圧測定、血中脂質検査、血糖値検査、肝機能検査、尿検査、心電図検査などがあげられます。しかしこのような一般検査で分かることには限界があるため、特定の疾患が気になる場合には、個人的に専門の外来で検診を受けるほうが良いでしょう。

男性71.19歳、女性74.21歳=2013年の「健康寿命」―厚労省

時事通信 2014年10月1日

厚生労働省は1日、介護を受けずに日常生活を支障なく送れる期間を示す「健康寿命」について、2013年は男性71.19歳、女性74.21歳だったと発表した。10年に比べ、それぞれ0.77歳、0.59歳伸びた。
13年の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、健康寿命以降の日常生活に支障のある期間は、10年より各0.11年、0.28年短縮された。

固定残業代導入の求人9割が不適切記載 ブラック企業の可能性も

エコノミックニュース 2014年10月1日

ハローワークに寄せられている求人のうち、「固定残業代」を導入している企業の約90%が不適切な記載をしていることが分かった。今年6月にNPOや弁護士らによる「ブラック企業対策プロジェクト」がハローワークのインターネットサービスを通して調査を行ったところ、固定残業代制度を設けている全国の求人200件のうち89.5%に相当する179件で、残業に関する賃金や時間が明確に記載されていなかった。
固定残業代とは、残業代を事前に固定している賃金制度を指す。一般的には残業時間に応じて残業代が算出されるが、固定残業代の場合どれだけ残業しても、時間に関係なくあらかじめ決められた残業代しか支払われない。固定残業代制度は法律で認められているものではなく、企業側が独自の判断で行っているものである。条件によってはさらに酷い労働環境を強いるものも。たとえば固定残業代を支給する前提として「一カ月当たりの時間外労働が80時間を超えた場合に限る」と定め、80時間を切った場合には残業手当そのものが支給されない。「固定」残業代とは名ばかりの劣悪な労働を強いられる可能性が高く、ブラック企業対策プロジェクトは注意を呼び掛けている。
固定残業代制度をとる場合、求人票などには残業手当が何時間分の労働にあたるのかを明記する必要があるのだが、今回の調査で多くの企業がそれを怠っていたということが明らかとなった。さらに、固定残業代を導入していることさえも記載せずに「基本給~万円」とだけ記し、人材を集めるために給与を高く見せかけ、契約時になって初めて固定残業代が含まれていることを明かすというケースもある。
ブラック企業対策プロジェクトは、固定残業代制度が長時間労働の温床となり残業代不払いや過労死も引き起こしかねないとして、厚生労働省に実態を調査するよう求めている。また「求人広告や説明会の内容が毎回変化する」「短期間で管理職になるよう求めてくる」などの特徴がある会社は不当労働を強いるブラック企業の可能性があるとして、就職希望者に注意を呼び掛けている。(編集担当:久保田雄城)

景気回復シナリオの狂い鮮明 賃金・消費伸び悩み 生産、雇用に影響

SankeiBiz 2014年10月1日

個人消費や生産、雇用に関する8月の経済統計が30日、公表された。4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響が長期化しているほか、実質賃金の目減りなどを背景に家計の消費支出は5カ月連続で減少した。鉱工業生産指数も2カ月ぶりに悪化。有効求人倍率や完全失業率は数値上では改善の動きがみられるが、雇用市場のミスマッチで女性が就労をあきらめる動きも出てきており、政府が描いていた夏以降の景気回復シナリオに対する狂いが鮮明になってきた。
「景気の好循環が生まれ始めている。今年の春闘の賃上げ率は過去15年間で最高となった」
安倍晋三首相は30日の衆院代表質問で、賃上げに関するアベノミクスの成果を強調した。
だが、政府が同日公表した8月の経済統計は、景気の足踏みが続いている実情を浮き彫りにした。安倍政権の経済政策「アベノミクス」が呼び込んだ円安・株高効果が、賃上げには十分波及せず、消費の伸び悩みを招いているうえ、生産や雇用にも影響を及ぼし始めている。
厚生労働省の毎月勤労統計(5人以上の事業所)では、8月の現金給与総額は前年同月比1.4%増と6カ月連続でプラスだが、実質賃金指数は2.6%減と前月よりマイナス幅が拡大した。8月の全国消費者物価(2010年=100、生鮮食品を除く総合指数)が3.1%増と賃金の伸びを上回ったためだ。
賃金が上がっても手元に残らない-。そんな家計の実情は、消費に影響を与えている。総務省の家計調査(2人以上世帯)では、1世帯当たりの消費支出は物価変動を除く実質で4.7%減となった。4月の増税に天候不順も重なり、エアコンなどの家庭用耐久財などは8.8%減。安倍首相も答弁で、「物価上昇で賃金上昇を実感しづらい状況」と認めた。
消費の伸び悩みは生産活動にも波及。経済産業省の鉱工業生産指数(10年=100)は、前月比1.5%低下した。在庫の積み上がりなどが影響したほか、輸出もふるわなかった。
処方箋の一つは「アベノミクスの掲げる女性活用が進んで、世帯収入が増えること」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)だが、それも一筋縄とはいかない。総務省の労働力調査では完全失業率が前月比0.3ポイント低下し3.5%まで改善したが、その要因は女性求職者が減少したため。サービス業の新規求人が減ったことなどから20万人の女性が職探しをあきらめて「非労働力」化した。
各省庁とも、「景気は緩やかな回復傾向にある」との見方を崩さない。だが、7月に続いて8月も大幅な改善がみられなかったことで景気回復の遅れは明確。政府は今後、追加的な経済政策を迫られる可能性が高まるとみられる。

疲れを感じたら即「昼寝」!あなたを一流のビジネスパーソンにする「戦略的な昼寝」のススメ

ダイヤモンド・オンライン 2014年10月1日

「今、職場で『昼寝』を許可する会社が続々と増えています。
インターネットで、『昼寝』『グッズ』などと検索すると、オフィスでの昼寝を快適にする便利なグッズが次々と出てきます。
確かに昼寝は午後のパフォーマンス向上のためにはぜひおすすめしたいのですが、私が知る限り9割の方が間違った昼寝をしています」そう語るのは、医師でありMBAホルダーであり、コンサルタントでもある裴英洙先生。仕事の効率を上げるために行っている昼寝がかえって体に疲れを溜めることも?  果たしてそのメカニズムとは?

「眠くなくても昼寝せよ」 その根拠とは?
突然ですが、私はよく昼寝をします。
ソファがあればそこで、机の上でも、電車の中でも行います。たまには仕事先の病院の空きベッドででも行いますが、そのときはできるだけ人目につかないようにすることを心がけます。
前日の夜の睡眠不足のあるなしにかかわらずです。
普段から仕事のスケジュールを3区切りして考えている私は、ランチタイムをランチと昼寝を1セットとして考えているからです。
ある意味、ルーチンワークのようなものです。仕事中に寝るとは不謹慎だ!  とお叱りを受けるかもしれませんが、私は疲れた体で仕事を続けてパフォーマンスを下げるほうがよほどプロとして不謹慎だと考えているからです。

ダラダラ昼寝はかえって疲れるだけ。 戦略的な昼寝のための5つの条件
ただ単純に眠いから寝る、というダラダラ昼寝ではなく、午後からのパフォーマンスを上げるための「戦略的な昼寝」こそが、常にハイパフォーマンスを強いられるビジネスパーソンには必要です。
では「戦略的な昼寝」の条件とはどのようなものなのでしょうか。ポイントは以下の5つです。

1.眠らない昼寝でも構わないと割り切る
2.眠る時間は30分以内
3.午後3時までに実行
4.徹底的に体を休める
5.目が覚めたら脳に刺激

ひとつずつ見ていきましょう。
まず、1の「眠らない昼寝でも構わないと割り切る」。
「えっ?  昼寝なのに寝ないの」という皆さんのツッコミが聞こえてきそうですが、私が考える「戦略的な昼寝」では、熟睡する必要は一切ありません。うたた寝でも体を横たえるだけでも十分です。体を横にすることで、筋肉と内臓への血流が増えて、体や脳の疲れを洗い流してくれます。巷にある「昼寝用便利グッズ」には座ったままで眠れるものが多く見られますし、机につっぷして眠る昼寝を推奨している会社もあるようですが、それでは体が逆に疲れてしまうことも。場所が許せば体を横にしたほうがその効果は2倍にも3倍にも感じられるでしょう。
次に2番目の「眠る時間は30分以内」について。じっくり眠りたいのはやまやまでしょうが、長い時間昼寝をしてしまうと、脳は熟睡するモードに切り替わってしまいます。結果、起床後も慢性的な眠気が続いてしまう恐れも。
「戦略的な昼寝」では時間を決めて行うのが効果的です。今は、音を出さず振動で時間を知らせてくれる目覚まし時計もあります。これなら周囲に迷惑をかけないで心置きなく昼寝をすることができそうです。

さらなるパフォーマンス向上のために 気を付けなければいけないこと
3番目の「午後3時までに実行」については、人間の体内リズムと関係があります。
遅過ぎる昼寝は、体内リズムが乱れる原因にもなり、昼夜逆転の生活を招いてしまう可能性があります。通常の体内リズムであれば、午後2時頃に強い眠気が生じますので、その時間の前後を利用して昼寝を取るのが最善です。
4番目は、「徹底的に体を休める」ことです。実はビジネスパーソンにとっては、これがいちばん難しいかもしれません。ついつい周りのことが気になってしまったり、目はつぶっているのに頭はフル回転……なんてことも。
休むなら覚悟して休むことが大切です。中途半端に本を読んだり、考え事をしたりしないように。身の回りもお休みモードへシフトしましょう。まず、ベルトやネクタイを緩めます。時計も外し、靴も脱ぎましょう。光のある場所ではアイマスクを利用し、音がある場所では耳栓も装着します。
最後の5番目「目が覚めたら脳に刺激」は、昼寝から起きたときに最速で仕事にギアチェンジできる方法でもあります。
昼寝から目覚めたあとにボーっとしていたら何のための昼寝か分かりません。昼寝後は全開の集中力で活動に戻っていけるように目を覚ます工夫をしましょう。例えば、光を浴びる、冷たい水で顔を洗う、近くにいる人と会話をする、階段を使って1フロア上がるなどです。
今年3月に厚生労働省健康局が発表した「睡眠指針2014」でも、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることは作業効率の改善につながる」とされています。昼寝を効果的に使って、午後からのパフォーマンスを一気に上げていきましょう。拙著『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)でもお伝えしましたが、疲れと「睡眠」は切っても切れない関係にあります。
一流のビジネスパーソンがなぜ一流なのか。それは「眠り」や「食事」「ストレス」とも戦略的に付き合うことを知っているからなのです。

<基礎年金>加入期間5年延長案を了承

毎日新聞 2014年10月1日

厚生労働省は1日、基礎年金(国民年金)の加入期間(20歳から60歳になるまでの40年間)を5年延ばし、65歳までの45年間とする案を社会保障審議会年金部会(厚労相の諮問機関)に示し、大筋了承された。年金をもらい始める年齢(原則65歳)を遅らせることができる制度と合わせ、年金額の底上げを目指す。受給開始の繰り下げは、65歳以降も働いて厚生年金保険料を払い続けることが前提。賃金に応じて年金を減らす在職老齢年金(65歳以上対象分)は廃止する。
少子高齢化の影響で、標準的な夫婦世帯が厚生年金をもらい始める時点の年金給付水準(現役世代の平均的手取り額に対する年金額の割合、現在62.7%)は徐々に下がり、2043年には50.6%に落ち込む。基礎年金の加入期間を5年延ばすと保険料収入が増え、給付水準は57.1%に改善するという。
厚労省は、これに受給開始年齢の繰り下げ制度を組み合わせることを想定している。年金の受給開始は60~70歳の間で選ぶことができ、65歳以降なら1カ月遅らせるごとに受給額が0.7%ずつ増える(65歳から1カ月早めるごとに0.5%減)ためだ。加入期間を延ばし、67歳からもらい始めた場合、給付水準は68.2%となる。【吉田啓志】