里親家庭に来た少年「カツってお菓子みたいに柔らかいねんな」

NEWS ポストセブン 2014年10月6日

里親と里子との心温まるエピソードをつむいだ1冊の本が話題を呼んでいる。昨年9月に発行された『まいにちの家庭レシピ 里親ファミリーの日常風景』(NPO法人キーアセット)。わずか43ページの小冊子にはこんな想いが込められている。
「里親は裕福でも地元の名士でもなく、普通のおじちゃん、おばちゃんたちです。私たちにとって当たり前の日常が、里子には特別な体験になる。“食”を通じて、里親家庭の温かさを伝えたかった」
と発行者の渡邉守さん(43才)。ここで紹介するのは普通の家庭で起こった、ささやかな物語――。
上杉美代子さん(仮名・67才)が里親になったきっかけは33年前、近所の子供を預かっていた時に、その母親がそのまま逃げてしまったことだった。
「当時、うちには小学生の娘が2人いましたが、預かったその子はまだ生後10か月でした。あまりにもかわいそうで、市に相談してその子の里親になることを決めました。今までに14人の子を預かってきました」(上杉さん)
上杉さんは虐待された経験などのある児童を養育する「専門里親」(※)の資格を取得しているため、心に深い傷をもつ子供を預かることが多い。
そうした子供たちと暮らすなかで、上杉さんの頭を悩ませた問題が食生活だった。
児童養護施設での生活が長かったある少年は食が細く、料理を毎回残していた。
上杉さんが「全部食べなきゃダメよ」と注意すると、その少年は上杉さんに気づかれないように食べ残しをゴミ箱に捨てるようになった。上杉さんはご飯を食べる楽しみを知ってもらいたいと、毎日メニューを替えては、料理を作り続けた。
そんな少年がある日、残さず食べた料理があった。ヒレカツだ。特別に工夫をしたわけではない。普通の家庭で食べるヒレカツだった。
「『施設でこんなうまいカツ、食べさせてもらったことがない。おばちゃん、カツってお菓子みたいにやわらかいねんな』って喜んで。最後には『おばちゃん、お風呂あがってから、もう少しもらってええかな』って言って、ひと風呂浴びたあとにテレビを見ながらつまんでくれました」
食事のあとは、「食べられない時はラップをかけて残しておいてね」という言いつけを守るなど、里子たちは少しずつ、新しい習慣を身につけていった。
※専門里親 虐待された経験のある児童や非行などの問題を有する児童などを養育する里親。一般的な養育里親の経験が3年以上、おおむね3か月以上の研修が必要などの条件がある。専門里親に委託できる児童の数は一度に2人まで、委託期間は2年(必要に応じて延長あり)。

素行不良の少年を更生させた土鍋で煮た「1人ラーメン鍋」

NEWS ポストセブン 2014年10月7日

できたての料理と温かい家族との団らん。そんな当たり前の日常を知らない子供たちがいる。虐待や育児放棄などさまざまな事情で、親元で暮らせない里子たちだ。彼らを引き取って育てる里親たちの手料理は、里子たちに生きる喜びを届けてくれている。
A子さん(64才)は、中学卒業まで児童養護施設で育った過去をもつ。25才で結婚したが、なかなか子供に恵まれず、38才の時に生後11か月の男の子を預かり、やがて養子縁組。その後、里親として20人ほどの子供を預かってきた。
そのなかでも特に印象深い里子が、高校2年生の終わりから卒業までの約1年間だけ預かった少年だ。幼い頃から施設で暮らし、素行不良で手のかかる少年だったという。門限は午後10時と決めていたが、アルバイトや遊びで帰りが深夜0時を過ぎる日はしょっちゅうだった。
「お腹が空いていても、絶対に自分から“食べる”とは言わない子でした。“ご飯いらん”と言って、コンビニで買った菓子パンをよく食べていました」(A子さん)
A子さんと言い合いになって衝突したこともあった。少年は「お前に言われたくないわ、親でもないくせに」が口癖だった。
そんな少年が、ある寒い日の夜、帰宅した時珍しく「お腹、ちょっと空いてる」と口にした。その時にA子さんが作ったのが、土鍋で煮たラーメンだった。
土鍋で冷蔵庫にあった残り野菜を煮立て、そこに麺を入れてゆでる。調味料を加えて味をととのえ、わかめやちくわなども入れた。そして火を止める寸前に卵を落とし、蓋をする。心のこもった「1人ラーメン鍋」のでき上がりだ。
湯気の立つできたてのラーメンをひと口すすり、少年は瞳を潤ませてこうつぶやいた。
「お母さん、おしゃれやな、なんかおいしいな」
そして、あっという間に完食した。
「夜遅くに帰ってきたにもかかわらず、自分だけのために作られたラーメン。そんな“親”が作る夜食は彼にとって初体験だったんです」(A子さん)
少年は就職を機に岡本さんの元から巣立った。岡本さんは、その時の喜ぶ様子が今でも忘れられない。

6割以上が仕事に強いストレスを抱えている? 死にたくなるまで働いてしまう日本人の心理

All About 2014年10月6日

年間自殺者3万人台の連続記録は2011年でストップしたものの、働き盛り世代のストレス状況は、相変わらず看過できない状況です。
2012年厚生労働省『労働者健康状況調査』によると、「強い不安、悩み、ストレス」を抱えている人の割合は、前回調査2007年より2ポイントアップの60.9%。同調査では、約3割の人が「仕事の量」や「仕事の質」に強いストレスを感じているという結果が毎回続いており、過労は日本の労働者にとって大きな問題になっています。

「つらい」を自覚できず、極端な認知に偏っていませんか?
では、強いストレスに耐えて働き続けるとどうなるでしょう? 過剰なストレスが続くと心身ともに疲弊し、さまざまな症状が出現してきます。その代表的な病気の一つに、うつ病があります。働き過ぎが高じると、自覚のないままにうつ病を発症し、究極的には、死にたくなるまで自分を追い込んでしまうことも少なくありません。
これはうつ病に、症状が進行するにつれて感情を自覚しにくくなるという特徴があるためです。本当は泣きたいほどつらいのに「つらい」という気持ちがよく分からず、助けを求めず、休養もとらずに苦しい状況を引きずっていくと、「死にたくなるほどつらい」状況まで進んでしまいます。
また、人には過労状態に置かれると、極端な認知に走りやすくなるという特徴もあります。「この仕事を成功させなければ、自分は終わりだ」という「オール・オア・ナッシング思考」、「成功するまでやりぬかねば」という「すべき思考」、「このくらいできなければ社会人として失格」という「レッテル貼り」などは、過労に追い込まれた人に、よく見られる認知です。
その独特な認知によって、自分自身を目の前の仕事に駆り立てていくと、理想の結果が出なかったり、トラブルに遭遇したりしたときなどに、「自分はもう終わりだ」「生きている価値がない」といった極端な考えが湧き出し、究極的には「死ぬしかない」という結論に至ってしまいます。

その仕事、「命をかける」価値のあるものですか?
命を削っても働き続けるようなメンタリティは、世界共通のものなのでしょうか? 英国オックスフォード英語辞典に「KAROSHI」という日本発の用語が登録されているように、過労死、過労自殺に至るまで働き続ける日本人のメンタリティは、世界的に見ても非常に特徴的なようです。
そこには「個」を重んじる西洋文化と、「無私」を尊ぶ日本文化との価値観のギャップがあります。西洋には、考える主体、行動を選択する主体としての「個」を徹底して尊重する文化が根付いていますが、日本では古くから「個」の幸せを追究することをよしとせず、他のため(国家のため、君主のため、義のため、家のためなど)に身を捨てることこそ、生きる美学と称えられてきました。
現代は、武士道もイエ制度も崩壊し、「社縁」すら消滅しつつある社会です。だからこそ、私たちの心に息づく「命をかけても他のために働きたい」という欲求が心の中でくすぶり、出口を求めて、自分自身を目前の仕事に駆り立ててしまうのかもしれません。そして、そんな私たちの精神性が続く限り、この国から「ブラック企業」も「やりがいの搾取」もなくならないのかもしれません。
誰の役には立たなくとも、私たちの命は一度しか得られない、かけがえのないものです。身を粉にして働く対象は、本当に「命をかける」ほどの価値があるものなのでしょうか? 命をすり減らす前に、自分自身を大切にする生き方、働き方を一度じっくり考えてみる必要があるように思います。

「マタニティマーク」ネットで論争 妊婦が権利振りかざしている?

産経新聞 2014年10月7日

外見では赤ちゃんがいると分かりづらい妊娠初期の妊婦らが交通機関を利用する際に身に着ける「マタニティマーク」。席を譲るべき妊婦だと、ひと目で分かって便利そうだが、インターネット上では「権利を振りかざしている」と反発が強く、是非をめぐり、たびたび論争が起きている。最近も内閣府の調査発表を契機に議論が活発化した。
内閣府は9月13日、母子保健に関する世論調査結果を発表した。マタニティマークを「知っている」と答えたのは女性が63.8%、男性は41.4%にとどまり、制定から9年目に入りながら、あまり浸透していない実態が浮き彫りになった。
ネットの掲示板でも、「え、もっと浸透してるのかと思った」「女ですら6割しか知らないんだから、男が知ってるわけないな」と、意外な“不人気”ぶりを驚く声があちこちで上がった。そして、これをきっかけに、是非の論議がまた始まった。

特別視に反感を募らせる
やはり目立つのは、「座りたい方が頼めばいい。譲る方があれこれいろいろと考えなきゃならないのは理不尽」「すみませんが席を譲っていただけませんか、と素直にお願いできないのか」などの声。
「望んで妊娠したくせに、なんでマークを着けただけで特別扱いされると思ってんの?」「ドヤ顔の無言で、席譲れやマーク誇示されても、絶対に譲らない」と、特別視に反感を募らせる人も目立った。また、「マークを目にした不妊女性が傷つく」という意見も散見された。
マークへの反発はネット上でかなりヒートアップしており、これを背景に、現実の世界でもマーク着用者が暴言にさらされるなどの被害が出ているという。
あるネットユーザーは「知り合いがマーク着けて電車に乗ってたら、サラリーマンから『俺らはお前より疲れてんだからふざけんな、立ってろ。本当、ずうずうしい』って言われたらしい」と報告していた。
このような論争は数年前からネット上で断続的に勃発している。今年3月にもタレントの優木まおみさん(34)が自身のブログで、「(知り合いの妊婦が)優先席で舌打ちされたり、おじさんに『電車に乗んなきゃいいのに』とか逆ギレされたとか聞いた」などと、マーク着用者への嫌がらせに言及した際にもネット民は白熱した。
「変なマーク着けて主張するからたたかれる」「子連れや妊婦の中には、勘違いして特別な待遇を受ける権利があるって自分本位の行動を取る人がいる」と、今回と同様の応酬が行われた。

小さくない擁護派の声
もちろん、反発している人ばかりではない。「妊娠してみたら妊婦さんの大変さが分かるのでは?」「つわりで常に気持ち悪く、貧血気味にもなる。おなかも重くなって、いろいろ大変なんだから、そんな冷たいこと言わないで!」と、擁護派の声も決して小さくない。
だが、実害が報告されている以上、「マークを着けるのは怖くて躊躇(ちゅうちょ)してしまう」という妊婦が出てくるのも仕方がないところ。せっかくのマークだが、活用は意外に難しい。
結局、「そもそも、妊婦だろーがそうじゃなかろーが、女性をいたわれば問題ない」「妊婦がいたら、当たり前に配慮できる道徳を学ばせろよ」などと良識論に落ち着くのが毎度の展開だ。(れ)

【用語解説】マタニティマーク
厚生労働省が平成18年に制定したマークで、ピンク色のハートの中に、赤ちゃんと女性が寄り添っている姿をデザインしている。妊婦が交通機関を利用する際に身に着け、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくする目的で定められた。特に、妊婦やおなかの赤ちゃんの健康維持に重要な時期だが外見からは分かりにくい妊娠初期の妊婦への配慮が期待されている。

交際相手の女子高生に売春させる 容疑で21歳男を逮捕

産経WEST 2014年10月6日

大阪府警生活安全特捜隊は、高校生の少女(17)に援助交際をさせたとして、児童福祉法違反と売春防止法違反の疑いで、交際相手だったアルバイト、小林龍司容疑者(21)=大阪市東淀川区菅原1の15の11=を逮捕した。逮捕は5日。
逮捕容疑は3月20日、大阪市のラブホテルで、高校2年だった少女に広島県の会社員の男(28)=児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で書類送検=を相手に売春させた疑い。
府警によると、小林容疑者は少女のスマートフォンの出会い系アプリを使って援助交際の相手を募り、料金や待ち合わせ場所を決めていた。少女は男から受け取った1万5千円を小林容疑者に渡していた。