性虐待の悩み、相談して 子どもたちに動画メッセージ

朝日新聞デジタル 2014年10月8日

ひとりで悩まずに相談して――。性虐待に苦しむ子どもたちに呼びかけるアニメーションを、児童虐待防止対策に関わる若手研究者のグループが作った。動画はインターネットで広まり、公開から約4カ月で1万1千回以上再生されている。
制作したのは、医学や公衆衛生を研究する27~31歳の5人でつくるグループ「子ども虐待対応たん」。主にツイッター(@childfirsttan)で児童虐待に関する情報を発信している。
「性暴力を受けている子どもたちへ」と題した約3分の動画は、6月に動画投稿サイト「YouTube」で公開された。親しみやすいイラストで構成され、全体に明るい色づかいに仕上がった。
性的な場面を見せられること、体を触られること、写真を撮られることなどに「ひとりで悩んでいないかな……?」とテロップで問いかける。「自分じゃないみたい」と思うなど不安になったら「SOS」のサインだとして、病院や児童相談所、学校などに相談するよう勧めている。
また、世界中では女性の5人に1人、男性の10~20人に1人が同様の悩みを抱え、「加害者が身近な人の場合が多く打ち明けにくい」と説明。「誰かに話したら一緒に住めなくなる」と口止めするケースなども紹介し、「誰かに話した方がいいのかも」と感じてもらえるよう工夫している。
ソーシャルメディアを通じて呼びかけたのは、被害を明かせずに苦しむ子どもに配慮し、匿名でアクセスできるネットの利点を生かしたからだという。
子どもの心のケアを研究する日本学術振興会特別研究員、高岡昂太(こうた)さん(31)はメンバーの1人。昨年度から、児童相談所が虐待の相談を受けた時、リスクを判断するために使うチェックリストなどの開発を三重県と共同で進めている。
高岡さんは「少しでも早く相談した方が被害は小さい。性虐待について、動画を通じ大人にも認知が広まれば」と話している。
動画は、「性暴力を受けている子どもたちへ」で検索すると見つけられる。(畑宗太郎)

社福が取り組むべき「地域公益活動」とは?-福祉部会

医療介護CBニュース 2014年10月7日

社会福祉法人制度の改正などを検討する社会保障審議会福祉部会(部会長=田中滋・慶大名誉教授)が7日、開かれた。この日は、社会福祉法人が新たに取り組むべきと提言されている「地域公益活動」の在り方に関して、厚生労働省が論点を提示。また、「地域公益活動」について、関係団体からのヒアリングも行われた。【ただ正芳】
前回の同部会で厚労省は、事業継続に必要な財産と、それ以外の「余裕財産」を明確に区分した上で、「余裕財産」は、福祉サービスの充実や人材教育、「地域公益活動」へ再投資することを提案。ほぼ全委員から前向きの評価を得た。
前回の部会の議論を受け、厚労省は「地域公益活動」に関する論点を提示。具体的には、▽その定義と範囲▽社会福祉事業・公益事業との関係▽地域ニーズを把握する仕組み▽行政の関与の在り方―などを示した。
これに対し、松原由美委員(明治安田生活福祉研究所主席研究員)は、赤字経営を強いられる法人にまで、「地域公益活動」を義務付けるのは問題と指摘。藤野興一委員(全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会会長)は、増え続ける児童虐待に対応するため、児童養護施設は、ぎりぎりの対応を迫られていると強調した上で、「剰余金などない。(児童を受け入れ続けることができるよう)社会福祉法人制度を守ってほしい」と訴えた。
福間勉委員(全国老人福祉施設協議会参事)は、たとえ財政的な余裕がない社会福祉法人であっても、何らかの形で地域の福祉に積極的に関与する必要があると指摘。藤井賢一郎委員(上智大准教授)も同様の意見を述べた上で、「社会福祉法人が地域の産業興しをするくらいの取り組みが必要。(地域公益活動の)範囲を設定するにしても、狭い意味での福祉にこだわる必要はない」とした。

特養に24時間訪問サービスへの積極参入求める声も
この日の部会では、関係団体に所属する委員からのヒアリングも行われた。
福間委員は、全国老人福祉施設協議会で実施した地域福祉活動の実態調査の結果を紹介し、▽介護保険施行前からある法人は、それ以降に設立された法人より、地域福祉活動に熱心に取り組む傾向がある▽地域包括支援センターや老人介護支援センターを保有する法人の方が、そうでない法人より、地域福祉活動に熱心―などと報告した。対馬徳昭委員(つしま医療福祉グループ代表)は、「特別養護老人ホームは、施設の入居者だけを介護していてはいけない」と指摘。地域包括ケアシステムで重要な役割を果たす小規模多機能型居宅介護や、定期巡回・随時対応サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護、24時間訪問サービス)の運営に積極的に参入すべきと述べた。

「社福の地域貢献、『狭い意味の福祉』に留まらないで」

狭い福祉を超えた先に期待がある
藤井賢一郎 上智大学総合人間科学部准教授
地域への貢献活動をどこまでやってもらうか。家族や地域が希薄な現代では、街おこしなども含めて社会福祉法人がやっていかないと、地域そのものが崩壊してしまうケースもある。社会福祉法人に対しては、地域と関係する様々なことについて、幅広いニーズがあるのではないかと思う。
もちろん、「いくらなんでもこれは」というものもあると思う。どこかで範囲は設定すべきだが、狭い意味での「福祉」にとどまらない方がいいだろう。そうした範囲を超えたところに、社会福祉法人への期待が高まっているのではないか。
必死で運営している法人は「余裕資産」なんて出ない

藤野興一 全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会会長
社会福祉法人を取り巻く環境はこれまで、地域への貢献ができる仕組みになっていなかった。事業を展開しようとしても行政からストップをかけられ、社会福祉事業との兼務が認められなかった。
社会福祉法人はこれまでも、制度の足りない部分を必死で補ってきた。現在、社会福祉法人の課税化の議論なども出ているが、なんとしても今の制度を守ってほしい。必死で運営している社会福祉法人は、「余裕資産」なんて出ていない。
地域貢献活動はお金だけの話しではない

田中滋 慶応義塾大学名誉教授
地域に貢献する活動に使う「余裕資産」は、お金だけではない。社会福祉法人が持っている資産とは、高齢者や障害者、児童へのケアの技術であり、そこで働いている人材である。また、街づくり・地域づくりといった機能も広い意味ではそれにあたる。
こうした機能を使うことが「地域貢献活動」であって、お金だけに限ってしまうと、「資産が無いからやらなくていい」とか、「資産はあるけど、これは将来事業のためだからとっておく」ということになりかねない。
地域貢献活動を社会福祉法人に義務化するということは、単純にお金を投下するという狭い話ではない。

特養は入居者だけでなく地域の重度者も介護すべき
対馬徳昭 つしま医療福祉グループ代表
社会福祉法人の地域貢献活動については、2025年の地域包括ケア体制確立に向けた投資も対象にしてはどうか。
全国の特養は現在約7800ヵ所。入所を申し込んでいる要介護3~5の人は、34万6000人だ。つまり、1ヵ所の特養が核となって「小規模多機能」や「定期巡回・随時対サービス」などを展開し、地域でそれぞれ50人の重度高齢者をカバーすれば、大都市圏を除いて入所申込者は解消できる。
地域包括ケアの要となるこの2つのサービスは、展開が伸び悩んでいるうえに、事業所は社会福祉法人よりも民間の方が多い。こうした状況では、社会福祉法人が批判を浴びるのは当然だろう。特別養護老人ホームが蓄積してきた「介護」のノウハウこそが、社会福祉法人の財産だ。この財産をもって地域に役立つことが「地域貢献活動」ではないか。
特養は、施設に入居している人だけでなく、地域の中・重度の高齢者も介護すべきだ。

日本の児童養護は施設偏重? 国際人権NGOが問題指摘、海外メディア注目

ニュースフィア 2014年10月7日

国際人権NGO(非政府組織)のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、今年5月、日本の社会的養護制度を検証する調査報告書「夢がもてない―日本における社会的養護下の子どもたち―」を発表した。報告書の中で、特に問題視されたのは、日本の社会的養護が、施設での養護に著しく偏っていることだ。HRWは日本政府に対し、社会的養護制度を全面的に見直すことを提言している。
BBC、アルジャジーラといった海外メディアが、この報告書を踏まえて、日本の社会的養護の問題点について報じている。

【社会的養護下にある子どもたちの大半が施設で生活】
この報告書でいう「社会的養護」とは、「実親、または適切な監護を行いうる保護者を欠いていると政府が判断した児童に提供される養育」である。報告書によると、2013年時点で、全国3万9,047人の子どもが、社会的養護制度の下で生活しているという。そのうちの85%以上、約3万4千人が施設で生活している。残りの約15%の子どもたちは、里親宅、あるいはファミリーホーム(里親を大きくした形態で、1軒の家で5~6人の子どもを養育する)で生活しているという。
他の先進国に比べ、日本の里親委託率はきわめて低い。厚生労働省の資料によると、“各国の要保護児童に占める里親委託児童の割合”(2010年前後)は、日本が12.0%だったのに対し、オーストラリアでは93.5%だった。その他、アメリカ77.0%、イギリス71.7%。ドイツ、フランス、イタリアは50%前後だった。ただし厚労省は、「制度が異なるため、単純な比較はできない」と断っている。
厚生労働省は、施設での養護が中心の現状を変えようとしている。同省は2011年、今後10数年間で、施設、里親(ファミリーホーム含む)、グループホームの割合を、それぞれ3分の1にするとの目標を掲げた。実際、里親等委託率は、2002年の7.4%から、2013年3月末には14.8%に上昇しているという。

【なぜ日本では、里親や養子縁組が増えないのか】
BBCは、施設での暮らしと、里親の下での暮らしが、どれほど異なったものであるかを、ある日本人少女のインタビューを通じて詳しく報じている。彼女の里親は、「日本では、親のいない子どもは、施設にいたほうがいい、という無意識的な見解があるようです」と語る。「『血縁』に関する強い意識があって、他人の子どもを引き取るという考えは、日本人にとっては不自然なことのように思えるのです」と説明している。
報告書も、子どもの委託先の決定権をもつ児童相談所が、養子縁組や里親制度よりも、いまだに施設を優先していると告発している。里親に預けると、子どもを取られるような気がして、里親よりも施設に預けることを好む実親が多く、児童相談所は、問題の長期化などを嫌って、実親の意向を尊重しやすいという。
また児童相談所は、既存施設の経済的利益をおもんばかっているという。HRW日本代表の土井香苗氏は、これらを「お役所判断」だと語ったとBBCが報じた。

【施設での養護には、どんな問題点が?】
施設での問題について、報告書は様々な側面から論じている。具体的に挙げられているのは、子ども同士や養育者からのいじめ・身体的虐待や性的虐待、施設の貧弱さ、愛着関係を築く機会や生活スキルを学ぶ機会が限られている、子どもからの苦情申立制度が充実していないこと、などだ。
報告書では、現在施設にいる子どもたち、また施設出身者に対するインタビューを実施している。多くの施設出身者が、施設の生活で一番辛かったのは、他の子どもたちからのいじめであると答えた、と報告書は語っている。
また、報告書は、施設での養護の問題点として、自立に向けた支援の欠如も挙げている。ある人はこのように証言している。
「施設を出て一番困ったのは生活の基本的なことがわからないことです。電気はお金を払わないと家まで送られてこないこと、電車の切符の買い方、マクドナルドでの注文の仕方がわからないなど。普通の家庭の子どもだったら当たり前に体験していることを私たちは知らないで社会に出るのです」
報告書は、国際条約「子どもの権利条約」が、子どもの完全な発達のために「家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきである」と明言していることを重視している。また、締約国の条約履行状況をモニタリングする国連「子どもの権利委員会」は、「子どもの施設入所は最終手段であり、家族的手段がその子どもにとって不適当であると考えられる場合にのみ行われる」と述べているという。

【虐待を未然に防ぐ、という対策が重要に?】
アルジャジーラ英語版とアルジャジーラ・アメリカは、アジア太平洋地域の社会問題をテーマとするドキュメンタリー番組「101 East」で、この問題を取り上げた。同局は、日本で児童虐待の報告件数が増加していることを報じている。昨年、全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、過去最多の7万3765件だった。
虐待を受けた子どもが、親になったとき、自分の子どもに虐待をしてしまうという「負の連鎖」が起きてしまうことがある。アルジャジーラは、かつてそのことに苦しみ、今は多くの女性を支援する立場に回っている女性を紹介している。
その女性は、日本は、子供を施設に入れることには注力しているけれども、若い女性が良い母親になる手助けをするのに利用できる組織はほとんどない、と語る。「母親たちには、子育てに関する手がかりがありません。しかし、子育てを学べる施設はなく、それが虐待の連鎖を止められない理由なのです」と語っている。

景気は後退している!? 「生活保護受給世帯」、3カ月連続で過去最多を更新

マイナビニュース 2014年10月8日

厚生労働省は8日、2014年7月分の被保護者調査の結果を発表した。それによると、7月時点の生活保護受給世帯は前月比4,580世帯増の160万8,994世帯となり、3カ月連続で過去最多を更新した。
生活保護受給者数は前月比4,876人増の216万3,716人と、2カ月ぶりに増加した。
世帯別に見ると、高齢者世帯(男女とも65歳以上の世帯、またはこれらに18歳未満の未婚者が加わった世帯)が全体の約47%に当たる75万5,810世帯(前月75万3,055世帯)でトップ。以下、働ける世帯を含むその他の世帯が28万2,594世帯(同28万2,671世帯)、傷病者世帯が26万9,022世帯(同26万8,583世帯)、障害者世帯が18万4,961世帯(同18万3,899世帯)、母子世帯が10万8,315世帯(同10万8,026世帯)と続いた。

鎖につなぎ小2長男を監禁か 両親を逮捕

NHKニュース 2014年10月9日

8日、滋賀県長浜市の住宅で、小学2年生の長男が鎖で柱につながれているのが見つかり、警察は両親を監禁などの疑いで逮捕しました。
警察は日常的に虐待が行われていた疑いがあるとみて、いきさつを調べています。

8日午後4時前、滋賀県長浜市千草町の住宅で、小学2年生で8歳の長男が腹に鎖を巻きつけられ南京錠で柱につながれているのを、訪ねてきた友だちが窓越しに見つけ、近所の人を通じて警察に通報しました。
駆けつけた警察官が、鍵がかかっていなかった裏口から入って長男を保護するとともに、近所に出かけていた父親で無職の宮島保名容疑者(32)と母親の茜容疑者(27)を監禁などの疑いで逮捕しました。
保護された長男は大きなけがはないものの衰弱していたため、病院に運ばれ点滴を受けたということです。
調べに対し両親はいずれも容疑を認め、「トイレは鎖につないだまま、おまるでさせていた」などと供述しているということです。
警察によりますと、小学校の教師がことし7月、長男の体にあざのようなものがあるのを見つけ、さらに1週間ほど学校を休んだこともあったため、虐待の疑いがあるとして警察に相談し、児童相談所もそうした情報を把握していたということです。
警察は日常的に虐待が行われていた疑いがあるとみて、いきさつを調べています。