「入院助産」の利用低調 虐待死防止へ活用課題

@S[アットエス] by 静岡新聞 2014年10月13日

経済的に困窮する人の出産費を国や自治体が負担する「入院助産制度」で、静岡県内(政令市除く)の2012年度の利用がわずか1件だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。大阪府703件(同年度)など、自治体によって件数にばらつきがあった。静岡県内では生後間もない乳児の遺体を遺棄した疑いで下田市内の母親が逮捕される事件があったばかり。後を絶たない新生児の虐待死防止の観点から厚労省が妊婦支援重視の姿勢を打ち出す中、産婦人科医からも「助産制度を有効に活用すべきだ」との声が出ている。
静岡県こども家庭課によると、12年度の1件は湖西市の措置。制度利用数を都道府県、政令市、中核市別に分析した厚労省行政報告統計室のまとめによると、県内ではこのほか政令市の静岡市、浜松市にそれぞれ17件、15件の実績があった。
行政による生活困窮者の出産支援にはほかに、生活保護法に基づく出産扶助がある。出産後の申請も可とする出産扶助に対し、助産制度は事前申請を原則とする。厚労省のまとめによると、出産扶助は大阪府9世帯(12年度)に対し、本県23世帯(同)。出産扶助に比べ、本県では助産制度がうまく運用されていない状況が浮かぶ。
厚労省の担当者は「制度を必要と認識し、活用するかはあくまで自治体の姿勢による」(母子保健課)と話す。一方で、事前申請という要件を生かす方向で制度自体の見直しを求める声もある。
09年、東京都内の利用状況を調査した日本産婦人科医会(東京)は、制度利用の決定時期が出産予定日のおおむね2カ月前になる現状を捉え、病院側の負担や妊婦のリスクを考慮してさらに早期からの対応を可能にすべきだと提言している。
妊娠に関する相談窓口「にんしんSOS」を運営する大阪府立母子保健総合医療センターの佐藤拓代医師は不十分な広報や、認定施設の整備状況の地域差を問題点に挙げる。その上で、虐待リスクとなる経済的な不安を抱える妊婦に対し、母子健康手帳交付時など早い段階から同制度を紹介する必要性を訴える。

入院助産制度
1948年、児童福祉法の施行とともに始まった。出産扶助が生活保護世帯を対象とするのに対し、助産制度は住民税非課税世帯なども対象になる。県や市の福祉事務所で申請し、都道府県や政令市の認可を受けた病院や助産施設で出産する。県こども家庭課などによると県内は10施設。所得などによって妊婦側に負担が生じる場合もある。

児童虐待防止と妊婦支援
厚生労働省の9月19日の発表によると、2013年3月までの約10年間に国内で虐待死した546人のうち、94人が生後1日未満で亡くなった。94人の状況を分析すると、加害者は9割強が実母で、その7割以上が「望まない妊娠」、2割が経済的問題を抱えていた(複数回答)。厚労省は問題を抱える妊婦を行政サービスに結びつけるよう、相談体制や情報提供の強化を自治体に求めている。

男性に多い急性膵炎ってどんな病気?

Mocosuku Woman 2014年10月13日

急性膵炎は、文字どおり膵臓が炎症を起こしてしまう疾患で、重症化した場合は厚生労働省の特定疾患(難病)に指定される場合もあります。急性膵炎はその炎症が膵臓以外の周辺組織にも広がってしまうという特徴があります。原因については不明な部分もありますが、アルコールと胆石症が二大成因として指摘されています。アルコールの摂取、つまり飲酒の習慣がある人は急性膵炎の発症リスクが高いと言えます。

膵臓の機能と膵炎の発症メカニズム
膵臓は、食べ物を消化する酵素を分泌する器官です。といっても、膵臓内で消化作業が行われるわけではなく、胃の次に食べ物が到達する十二指腸内に消化酵素(膵液)を送り出す役割を担っています。膵液は炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素すべてを分解できる強力な消化作用を持っており、そのままでは自分自身のカラダも消化してしまいかねません。
これを防ぐために、通常は膵液が十二指腸に届くまでの間、トリプシンインヒビターという成分の働きによって作用が抑制されています。しかし、飲酒の習慣などが原因でこの機能がバランスを崩してしまうと、トリプシンインヒビターの分泌が低下して、膵液の消化酵素が膵臓の中または周辺の組織で作用し始めてしまいます。つまり、膵液が膵臓自身を溶かしそうになっている状態が膵炎というわけです。

膵炎が疑われる自覚症状
慢性的な膵炎では、吐き気や腹痛などの症状が頻繁に起こるようになります。吐き気や腹痛は慢性的に続くわけではなく、お腹を丸めたような姿勢を取った時に自覚症状が起きるケースが多いようです。一方、急性膵炎は急激にこうした症状が起こるだけでなく、全身に炎症が回ることでショック症状が起きてしまったり、呼吸不全や腎不全などの合併症を併発したりというリスクもあります。

重症化する前に一刻も早く受診を
急性膵炎と診断されると、炎症が治まるまでは入院して絶食し、栄養補給は点滴で行うことになります。口から食べ物を食べてしまうと、消化の過程で膵臓から膵液が分泌されてしまうので、治癒が遅くなってしまうためです。急性膵炎の中でも重症のものは死に至る確率が非常に高く、すぐに専門的な医療施設での治療が必要となります。様子を見ようと悠長に構えていると、病状のさらなる悪化を招くので、自覚症状が出たらすぐに診察してもらうようにしましょう。

「残業時間」が長いと、転職者が増える? 社員の口コミ分析で判明

エコノミックニュース 2014年10月13日

厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は、全体で1.10倍、正社員に限っても0.68倍となり、改善傾向が鮮明になった。サービス業などでは、人手不足感も強まる。企業にとっては、より優秀な人材を確保することが難しい状況となっている。貴重な人材の流出を防ぐためには、何が必要なのか。
在籍企業の職場環境に対する口コミサイトを手がける「Vorkers」が、約6万件の社員・元社員のデータを分析したところ、「残業時間が長い」「社員から『法令順守意識が低い』と思われている」などの要因が、離職率を高めていることが分かった。
同サイトでは、現職者(2万5840人)と退職者(3万1159人)の差異などを集計、分析。まず、「月平均残業時間」を見ると、現職者が45時間に対し、退職者は51時間と、6時間の差が生じていた。さらに、残業時間が月間「150時間以上」では、現職者36.1%に対して、退職者は63.8%、「100~150時間未満」では、現職者39.6%、退職者60.3%と、残業時間が長くなるほど退職者の割合が高くなっている。ワークライフバランスや、効率のよい働き方が広まりつつある昨今、残業時間が長いことは、社員の離職率を高めてしまうようだ。
一方、「有休取得率」については、現職者42%、退職者41%と、ほとんど差はなかった。同社が分析した「退職理由」についてのクチコミの中にも、「有休がとれない」ことだけを理由としたものはゼロに近かったといい、有休取得率は、退職理由としてそれほど大きなものではないようだ。有休が取れるかどうかよりも、日々の残業時間の方が重視されているのだろう。
また、社員が在籍企業の「働きがい」を8項目で評価したデータを集計し、現職者と退職者の平均値を比べたところ、最も大きな差が出たのは「法令順守意識」だった。社員から「法令順守意識が低い」と思われている企業は、離職率が高くなっている可能性がある。8項目のうち、「法令遵守意識」以外の項目(「社員の士気」「待遇面の満足度」「風通しの良さ」など)は、現職者と退職者でほぼ差がなかった。(編集担当:北条かや)