奪われる子の命 親を支え虐待の芽摘む

中日新聞社説 2014年10月17日

子どもの命を脅かす事件が絶えない。全国の児童相談所が二〇一三年度に対応した児童虐待件数は七万件を超え過去最多に。行政や医療、地域が妊娠期から親の支援に連携し、虐待の芽を摘みたい。
親が育てられない子どもを預かる慈恵病院(熊本市)の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」に今月初め、生後間もない男児の遺体が放置されていた。
警察の調べによると、死体遺棄容疑で逮捕された無職の母親(31)は数日前、頼る者もない中でひとり、自宅で出産した。同居する両親は妊娠や出産を知らず、母親は死んでしまった男児を家に置いておけないと、自分の車で病院に運んだ、という。
遺体を置き去りにされた病院の関係者は無念だろう。相次ぐ乳児遺棄事件に心を痛めてこの七年、全国で例のない事業に奔走してきた。目前でまた一人、小さな命を救えなかった。
病院側は匿名のまま子どもを預かるという、今のやり方を変えない。名乗ることを条件にすれば、親の事情で預けられないケースが出て、救える命も救えなくなる。
厚生労働省のまとめによると、〇三年七月から約十年間で、虐待死した子どもは五百四十六人。ゼロ歳児は二百四十人で約四割を占める。身体的暴力、育児放棄、生まれたまま放置など、虐待死のケースで加害者の大半は実母だ。貧困や精神疾患、夫のDV、未成年など、虐待におよぶリスクをいくつも抱え、親としてどう振る舞えばいいのかが分からない。
助けて、と声を上げられない彼女たちにこそ、妊娠時から支援の手が差し伸べられるべきだ。
小児科のある中核的病院には虐待に対応する組織が整えられつつある。産科のある病院では妊娠期から不安な人を見つけ、出産後に育児支援が必要と判断すれば、地域の保健サービスにつなぐ。全国には予算や人手不足で体制をとれない施設が多い。地域や病院間の格差とならないよう、国は予算を投じ、取り組みを加速させてほしい。
「望まない妊娠」のために妊婦検診も受けず、病院に行かずに自宅で出産する人が少なくない。名古屋市や大阪府では電話やメールで助産師が相談を受ける「妊娠SOS」を開設し、効果を上げている。
地道な取り組みが親たちを孤立から守る。児童相談所や病院、保健所、地域が、支援の窓はいつでも開かれているのだというメッセージを、絶えず発信してほしい。

「学生によるオレンジリボン運動」児童虐待撲滅を目指し全国102大学で実施

リセマム 2014年10月17日

厚生労働省は10月17日、将来親となる若者に向けた、児童虐待予防のための広報・啓発活動「学生によるオレンジリボン運動」を全国102の大学などで実施すると発表した。
「学生によるオレンジリボン運動」は、近い将来親になりうる10~20代の若者などに向けた、児童虐待予防のための広報・啓発が必要との提言を受け、厚生労働省から関係団体に呼びかけ、「オレンジリボン運動」の一環として、学生自身が主体となり実施されるもの。
今年度は児童虐待の現状等の勉強会や、学園祭でのオレンジリボンやリーフレットの配布などを、全国102の大学などで実施。子ども虐待のない社会の実現を目指す。

認知症の親が加害者となり約360万円の支払い命じられた例も

NEWS ポストセブン 2014年10月18日

いまや国民の最大関心事といってよい「認知症」。65歳以上の高齢者約3200万人のうち、認知症患者数は約462万人に達するとされる(厚生労働省調べ)。予備軍も合わせると862万人になるという。認知症になると家事が崩壊し、性格が豹変、ご近所や家族とのトラブルに発展しやすくなる。そして、ボケた親が「加害者」となるのは最悪の事態だ。最近、ニュースを騒がせた「徘徊トラブル」は、決して対岸の火事ではない。
2007年に近所を徘徊中に電車にはねられて死亡した認知症患者男性(当時91)の妻(同85)らに対し、一審判決は「見守りを怠った過失」があるとして、約720万円の損害賠償をJR東海などに支払うよう命じた。今年4月の控訴審でも妻の責任は認定され、約360万円の支払いが命じられた。
千葉県に住むA氏(57)は、中等度のアルツハイマー型を患う父親(89)の「あわや」の事態を振り返る。
「ある時、浦安市の実家からいなくなった認知症の父が数日後に、15キロ離れた東京駅付近で発見されました。現金は持っておらず1人で歩いてそこまで行ったようです。報道で高額賠償の件を知っていたので、父が踏み切りなどで事故を起こしていたらと思うとゾッとしました」
この一件を機に認知症について勉強したというA氏が続ける。
「徘徊には“ブラブラ歩き”のイメージがありますが実際には違う。本人には『△△さんが○○で待っている』など妄想であっても確たる理由があって家を出ていくんです。なので足取りは意外にしっかりして、移動するスピードも速い。普段、家の中でやっと歩いているからと油断していると、父のようにとんでもない距離を歩いて発見されるそうです」
今年5月には、行方不明となり、群馬県館林市の施設に保護されていた女性(67)が7年ぶりに夫と再会した。
この女性の生活費は7年間で1000万円以上にのぼるという。館林市は女性や家族に生活費の請求はしない方針だが、今後、全国で同様のケースが起きた場合には家族への生活費請求も考えられる。NHKの調査によれば、徘徊中に行方不明になった認知症の高齢者は2012年で約9600人に達する。

不登校の小中学生 12万人近くに

NHKニュース 2014年10月17日

昨年度、不登校になった小中学生は12万人近くに上り、6年ぶりに増加したことが分かりました。専門家は「保護者も教員も多忙で余裕がなく、友人関係や勉強でつまずいて不安定になっている子どもに早い段階で気付くことができなくなっているのではないか」と分析しています。

文部科学省は年間、30日以上学校を休んだ児童・生徒について調べています。
このうち、病気や経済的理由での欠席を除く「不登校」は小学校で2万4175人、中学校で9万5442人で合わせて11万9617人に上りました。
前の年度より7000人近く多く、6年ぶりに増加しました。
不登校の児童・生徒は学年が上がるにつれて増えていて、小学6年生では8010人ですが、中学1年生で2万2390人と6年生の3倍近くになり、中学3年生では3万8000人あまりとなっています。
また、不登校のきっかけと考えられる状況を学校側に複数回答で尋ねたところ、「不安など情緒的混乱」が最も多く28.1%、次いで「無気力」が25.6%、「いじめを除く友人関係を巡る問題」が15%、「親子関係をめぐる問題」が10.9%でした。
不登校の問題に詳しい東京学芸大学の小林正幸教授は「保護者も教員も多忙で余裕がなく、友人関係や勉強でつまずいて不安定になっている子どもに早い段階で気付くことができなくなっているのではないか。子どもたちが『つらい』という声を上げやすい環境にすることが大切だ」と話しています。

自治体などの取り組みは
不登校の児童生徒を巡っては自治体や学校でさまざまな取り組みが行われています。
市町村の教育委員会は不登校の子どもたちが学校に再び通えるように支援する「教育支援センター」の設置を進めていて、昨年度の時点で全国に1306か所、整備されてます。
教育支援センターでは学習支援やカウンセリング、それに集団生活に慣れてもらう合宿などを行っているということで、昨年度は1万4000人余りが利用しました。
また、文部科学省が特に効果のあった取り組みを学校側に複数回答で尋ねたところ、最も多かったのが「登校を促すため、電話をかけたり迎えに行ったりした」で48.5%、次いで「家庭訪問を行い、さまざまな相談に乗った」で46.8%、「スクールカウンセラーなどが専門的に指導に当たった」が40%、「保護者の協力を求めて家族関係や家庭生活の改善を図った」が38.4%などでした。
こうした取り組みの結果、昨年度は3万6000人余りが再び学校に通うことができるようになったということです。

<ハンセン病患者>最高裁「隔離法廷」を検証 95件

毎日新聞 2014年10月18日

伝染の恐れを理由にハンセン病患者の裁判を裁判所外の隔離施設などで開いた「特別法廷」(出張裁判)に正当な根拠がなかった可能性があるとして、最高裁が検証を始めたことが分かった。元患者らが起こした訴訟で隔離政策が違憲と認定された1960年以降も12年間続いており、誤った政策に基づく差別を司法が認めるか注目される。近く関係者から聞き取りを実施し、結果も公表する。裁判所が過去の裁判の手続きを検証するのは極めて異例。
裁判所が損壊したような場合は、裁判所外に特別法廷を設置することができる。事件を担当する地裁などの上申を受けて最高裁の司法行政部門である裁判官会議が設置場所を指定する。最高裁によると、指定は77年までに113件。ハンセン病を理由とする指定が計95件(刑事94件、民事1件)を占め、うちハンセン病国家賠償訴訟の熊本地裁判決が「違憲性が明白だった」と指摘した60年以降も27件あった。
ハンセン病の特別法廷は主に患者らが入所する療養所内や勾留先とみられる刑務所、拘置所内に設置されており「隔離施設内のため傍聴者がなく、裁判の公開を定めた憲法に違反する」などの指摘があった。「全国ハンセン病療養所入所者協議会」などが昨年、問題点の検証を求め、最高裁が今年、事務総局内に調査委員会を設置した。特に60年以降の特別法廷設置の正当性を検証するとみられる。
これまでに、裁判記録の大半は保管されていないことが分かり、最高裁は開廷場所の施設を所管する厚生労働、法務省に調査を依頼した。年内に始める聞き取り調査の対象には、元患者も含まれるとみられる。
憲法は「裁判官の独立」を保障しているため検証対象は行政判断としての「開廷場所の指定」に絞られる。このため、個別の裁判結果の見直しにはつながらないが、検証の結論によっては再審を求める動きが強まる可能性がある。
熊本県の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」への入所勧告を受けた男性が53年、無罪を主張しながら殺人罪などで死刑とされた「菊池事件」の特別法廷を巡っては「関係者が白衣を着用し、証拠が火ばしで扱われた」との証言がある。【川名壮志、江刺正嘉】

【ことば】ハンセン病国家賠償訴訟
「らい予防法」(1996年廃止)によって国立ハンセン病療養所に隔離された入所者が国家賠償を求めた訴訟。熊本地裁は2001年5月、新薬の治療効果や世界保健機関の勧告などから、1960年には隔離の必要性は失われていたと違憲性を認め、国に賠償を命じた。国が控訴せずに判決は確定。政府と国会は責任を認めて謝罪した。

解説 意義ある異例の判断
ハンセン病の特別法廷の正当性には以前から疑問が呈されてきた。半世紀前後が経過し記録が散逸している以上、最高裁の検証も関係者の記憶に頼らざるを得ない。それでも、最高裁が過去を見つめ直す作業に乗り出した意義は大きい。
裁判結果自体の検証は、憲法が保障する「裁判官の独立」を侵害するおそれがある。ハンセン病を巡って政府や国会が謝罪したにもかかわらず、裁判所が検証に踏み出せなかった理由もそこにある。今回は「開廷場所の指定」という司法行政上の判断に検証対象を絞ることで、憲法上の問題を回避した。
最高裁を動かしたのは元患者たちの高齢化だ。国賠訴訟の判決確定後も、元患者がホテルに宿泊を拒否される事件が起きた。差別のない社会の実現を訴え続け、司法に検証を求めてきた原告団の中心メンバーと、入所者協議会長が今年5月に相次いで世を去ると、もはや放置は許されないとの意識が高まった。
遅きに失した検証と言わざるを得ない。今後の聞き取りでは、元患者らから厳しい直言も相次ぐだろう。だが、国の誤った隔離政策に乗じていた可能性がある以上、司法にも虚心坦懐(たんかい)にその声に耳を傾け、過去の差別と向き合う責任がある。【石川淳一】

「失神ゲーム」で少年3人逮捕=暴行容疑、動画まねる―サイトに削除要請・警視庁

時事通信 2014年10月17日

「失神ゲーム」と称して、少年(15)に胸を強く圧迫するなどの暴行を加えたとして、警視庁少年事件課は17日までに、暴力行為等処罰法違反(集団的暴行)容疑で、東京都東村山市に住む14~15歳で中学2~3年の男子生徒3人を逮捕した。また、当時13歳だった中2の男子生徒を児童相談所に書類送致した。
男子生徒らはいずれも容疑を認め、「遊ぶ約束を破り、頭にきた。失神ゲームは動画で見て、10回ほど失神させた」などと話している。
失神ゲームは、複数回深呼吸させた後、胸を強く圧迫することで失神させる行為。遊びやいじめの一種として行われることがあるが、脳が損傷して後遺症が残ったり死亡したりすることもある。
警視庁は17日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に対し、掲載されている失神ゲームの動画が有害情報に当たるとして、削除するよう要請した。

「研修」と称し女子中学生に売春、兄弟を逮捕

読売新聞 2014年10月17日

女子中学生(当時)に淫らな行為をさせたとして、神奈川県警少年捜査課と鶴見署は16日、会社員小林大気容疑者(26)(東京都北区)を児童福祉法違反と売春防止法違反の疑いで、弟の無職翔太容疑者(24)(千葉県船橋市)を児童福祉法違反容疑で逮捕した。
発表では、大気容疑者は昨年3月、千葉県船橋市のホテルで、横浜市鶴見区の高校1年女子生徒(当時14歳、中学2年)を男性客(41)に引き合わせ、現金1万2000円で淫らな行為をさせた疑い。翔太容疑者は昨年5月、船橋市のホテルで「研修」と称し、小田原市のアルバイト少女(当時14歳、中学3年)に淫らな行為をさせた疑い。
同課幹部の説明によると、兄弟は、出会い系サイトなどで、性的な行為の見返りに現金を求める少女を装って男性客を募り、交渉成立後に引き合わせる「援デリ」(援助交際デリバリー)と呼ばれる売春あっせんの手口を使っていたとみられる。1回あたり1万5000円前後を客に支払わせ、いずれも当時中学生の少女計4人に相手をさせていたという。
少女らは週5日、午後5時頃~午前5時頃に、こうした行為を繰り返していたと証言しており、同課は、兄弟が少なくとも昨年3月~今年3月に、約2000人から計約3000万円を売り上げていたとみて調べている。少女らには、売り上げの30%が「給与」として渡されていたという。

2週間余りで9人死亡、強力な危険ドラッグ出回る

TBS系(JNN) 2014年10月17日

危険ドラッグが原因で死亡したとみられる人が全国で相次いでいますが、先月中旬からの2週間余りで、9人が死亡したとみられる強力な危険ドラッグが出回っていることがわかりました。警察庁は、吸引すると死亡する可能性があるとして、警戒を強めています。
危険ドラッグの中でも特に危ないとみられるのが、この「ハートショット」です。警察庁は、危険ドラッグによる事件や事故が相次いだことから、全国の警察に危険ドラッグを吸引したことが原因で死亡したとみられるケースを報告するよう求めていました。
その結果、今年1月から先月末までに全国で74人が死亡したとみられることがわかりました。死亡した74人は、様々な種類の危険ドラッグを吸引したとみられますが、中でも際だって多かったのが、問題の危険ドラッグ「ハートショット」です。
先月15日に埼玉県で死亡した男性をはじめ、今月1日までの17日間に、1都4県で9人が「ハートショット」を吸引して死亡したとみられることがわかりました。2日に1人が死亡している計算です。
9人は20代から50代の男性で、いずれも遺体の近くに使用済みの「ハートショット」のパッケージが残されていたといいます。「ハートショット」について危険ドラッグ販売店の常連客は・・・
「死人出てるから、こっち(心臓)にくるみたい。店の人に聞いても全部捨てたという話もある。危なすぎて」(危険ドラッグ販売店の常連客)

ハートショットの成分を分析した専門家は・・・
「ハートショットブラックの実際の製品から抽出した成分を入れているわけなんですが、(麻薬と比較して)およそ2倍の非常に強い発光(作用)を認める」(国立精神・神経医療研究センター 依存性薬物研究室 舩田正彦 室長)
警察庁は、ハートショットを吸引すると死亡する可能性があるとして、厚生労働省に情報提供するとともに、全国の警察に取締りを強化するよう呼びかけています。(17日10:20).

不況のなか、本当に稼げる資格はどれだ

MONEYzine 2014年10月17日

厚生労働省の「平成25年賃金構造基本統計調査」では、資格別の賃金を公開している。それによると、平均年収の高い資格は次のとおりである。
弁護士や医師の年収が高いのは、誰もがうなずけるところだろう。
意外なのが7位に不動産鑑定士がランクインしていることだ。これは、調停や裁判で提出する鑑定評価の仕事が多く、不況に左右されにくいことも要因のひとつといわれている。
単純に平均年収だけで見れば、弁護士や医師の資格を取得することが良いように思えるが、弁護士になるには基本的にはロースクール、医師になるには医学部卒業と、資格取得までに非常に長い年月を必要とする。
資格取得までにどのくらいの年月がかかるか、予備校や参考書にかかる費用はどのくらいかなど、「投資」と「リターン」の両面から自分に合った資格を選ぶ必要があるだろう。
なお、2015年1月15日まで資格取得を目的とした書籍教材の使い方を募集する「使い倒し大賞」(http://www.shoeisha.co.jp/campaign/used/)が開催されている。大賞に選ばれた人には賞金として10万円が授与されるため、資格取得の費用を稼ぐために応募してみてはいかがだろうか。