問題行動調査

西日本新聞 2014年10月17日

いじめや不登校、暴力行為など生徒指導上の問題を把握し、対策の参考にするために文部科学省が毎年度実施する調査。いじめは小中高とも1985年度から公立の調査を始め、2006年度からは国私立も対象とした。13年度からは通信制高校も含む。いじめは「一定の人的関係にある他の児童が行う心理的または物理的な影響を与える行為で、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義。該当するかどうかは、被害者の立場で判断するとしている。

読み解く=【解説】いじめ 進む掘り起こし 小学校11万8805件 過去最多 早期発見、学校に定着
【解説】子どものいじめ自殺が大きく報道されると、いじめの認知件数は大幅に増えるが、沈静化すると一気に減る。文部科学省の問題行動調査では、これまでそうした傾向が指摘されてきた。
大津市の中2男子自殺後の2012年度調査は、小中高で過去最多の約19万8千件の把握件数を記録。13年度は全体では約1万2千件減少したものの、小学校で増えるなど横ばい傾向を示した。
文科省が「掘り起こしが進んだ」と指摘するように、ここ2年間の数値は現場の実態に近いものだと言えるだろう。
13年にいじめ防止対策推進法が成立し、学校がいじめ対策の基本方針作りを義務づけられたことで、早期発見の意識が継続していることも、件数が高止まりしている理由とみられる。
ただ、学校の基本方針は法施行後の時間の制約もあったため、教員だけで作成した学校が多かったようだ。
実効性のあるいじめ対策には、児童生徒も主体的に関わる必要があり、今後は各学校の実情に合わせて基本方針をよりよいものにしていくことが求められる。

暴力行為 7年で2.9倍 小学生
文部科学省が16日公表した2013年度の問題行動調査で、小学生の暴力行為は初めて1万件を超え、現行の調査方式になった06年度の2・9倍となった。中学生は09年度の約4万4千件をピークに3年連続で減少していたが、今回は約2千件の増加に転じた。
暴力行為の内訳は、小学生は子ども同士の暴力が6849件、器物損壊1907件、教員への暴力が1964件など。中学生は子ども同士2万2189件、器物損壊9866件、対教員が7150件などとなっており、ほとんどが学校内で起きていた。
加害者数は、小学生1万356人、中学生3万9366人。
学年別では、中2の1万4445人が最も多く、小1でも500人いた。このうち、警察の補導や児童相談所など関係機関が対応したのは、小学生が225人で過去最多となり、中学生は3503人だった。
兵庫教育大大学院の新井肇教授(カウンセリング心理学)は「小さい頃に集団で遊ぶことが少ない今の子どもたちは、折り合いを付ける力や規範意識が弱くなっている。学校で人間関係をうまくつくれず、衝動的に暴力行為が出てしまうのではないか」と話している。

不登校増加 12万人 小中学生「不安」「無気力」
文部科学省が16日に公表した2013年度の問題行動調査で、年度内に病気や経済的な理由以外で年間30日以上欠席した「不登校」の小中学生は前年度から約7千人増えて11万9617人となり、増加に転じた。08年度から12年度までは5年連続で減少していた。うち再び登校できるようになったのは3万6420人。
不登校のきっかけで最も多かったのは、登校時間になると体調が悪くなる「不安など情緒的混乱」が3万3581人。次いで「無気力」3万613人、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」1万7893人など。
不登校の子どもがいる学校約1万8千校に効果があった取り組みを複数回答で尋ねると、家庭訪問や自宅に迎えに行くなど、家庭への働きかけを挙げる学校が半数近くに上った。

隠れたいじめ表面化
教育評論家武田さち子さんの話 以前はいじめの件数を教師が申告することが多かったが、最近は子どもに直接アンケートをした上で回答するので件数が増えている。子どもはささいな事案も申告し、かつては隠れていたいじめが表面化しているのではないか。小学校では給食や班活動などの集団行動が多く、からかいや仲間はずれが起きやすい。対応する教員の多忙化も問題で、教員数を増やすなどしてしっかりと子どもに目配りができる環境づくりをすべきだ。

指導方法の違い反映
中学校教員の経験もある阪根健二・鳴門教育大大学院教授(学校教育学)の話 いじめが小学校で増え、中学校で減ったのは、指導方法の違いが反映されている。小学校は解決のために教員が介入する必要があり、積極的に掘り起こしたので今回も増加した。一方、中学では生徒自身の力で解決できるよう指導するため、これまで軽い気持ちでやっていたことも「いじめになる」と生徒たちが自制するようになった結果、減ったのではないか。重大ないじめでは中学でも学校が積極的に関わることが必要だ。

子供が食べたら危ない「発がん性食品添加物8」

女性自身 2014年10月20日

「子供が大好きなポテトチップスにも、発がん性物質が含まれている」ーー10月3日の内閣府食品安全委員会の発表を受けて、こんな衝撃のニュースが報じられた。同委員会が「次世代にも影響しうる発がん性物質」と指摘したのは、化学物質の「アクリルアミド」。
農林水産省によると、アクリルアミドとは炭水化物を多く含む食材を高温で加熱調理したときに生じる物質。ポテトチップス、フライドポテトなどジャガイモを高温で揚げたものや、ビスケット、クッキーなど穀類を原材料とする焼き菓子などに多く含まれるという。
しかし、発がん性物質が含まれているのは、ポテトチップスなど特定の菓子類だけではない。スーパーやコンビニなどで販売されている弁当やおにぎり、サンドイッチ、清涼飲料水なども要注意。その理由は食品添加物にある。
「厚生労働省が使用を認めている添加物でも、毒性が強く、発がん性物質を含むものがあります。子供が好きなガムやあめなどのお菓子類、飲食店の料理に使われていることも。最低でもそういった危険なものは避けるべきです」
そう注意を促すのは科学ジャーナリストの渡辺雄二さん。食品添加物に関する著書も多く、実際の商品に使用されている添加物を調べた『お菓子の危険度調べました』(三才ブックス)は、買い物に役立つとの評価を得ている。そこで、渡辺さんにとくに危険と思われる、発がん性のある食品添加物8種を挙げてもらった。

【亜硝酸Na】食品例・明太子、タラコ、ハム、ウインナソーセージなど
食品の色の黒ずみを防ぐため、発色剤として使用されている添加物。毒性が強く、厚生労働省で使用量を制限している。ただし、規定量内であっても、魚卵、食肉などに多く含まれる「アミン」という成分に反応し、発がん性物質に変化することも。

【合成甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK)】食品例・ガム、あめ、ゼリー、チョコレートなどの菓子類、清涼飲料水など
人工的に甘味をつけるために使われるもの。カロリーがゼロ、もしくは少量しかないので、ダイエットや健康志向の飲み物、菓子類に使われることが多い。アスパルテームは、脳腫瘍や白血病の原因となる可能性があると研究者から指摘されている。スクラロース、アセスルファムKは肝臓や腎臓に悪影響が。

【タール色素】食品例・福神漬け、紅しょうが、菓子パン、清涼飲料水など
合成着色料。赤色2号、青色2号などの名称で表記されており、全部で12品目ある。食品のほか、口紅などの化粧品に使われることも。自然界にはない化学合成物質で、発がん性のあるものが多く、胎児に悪影響を及ぼす危険性もある。

【カラメル色素】食品例・弁当(ソースや食品の色づけ)カレールウ、カップ麺、のりのつくだ煮、プリンなど
カラメル色素には4種類あり、そのうち2種に発がん性物質が含まれているが、添加物表示の表記はすべて「カラメル色素」「着色料(カラメル)」で統一されている。すべてが危険なわけではないが、できるだけ避けたほうがいい。

【防カビ剤(OPP、TBZ)】食品例・オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどのかんきつ類
OPPには発がん性があり、TBZは胎児に先天性障害を起こすことがわかっている。皮ごと食べたり、皮をマーマレードにするのは危険。果肉にも微量ながら成分が残っているので、とくに妊娠中の女性は食べないほうがいい。

【安息香酸Na】食品例・栄養ドリンク、清涼飲料水など
合成保存料。もともと毒性が強いうえに、ビタミンCと反応すると、白血病を起こす発がん性物質「ベンゼン」に変化する。日本消費者連盟が調査したところ、国内で販売されている、ある清涼飲料水と絶倫系の栄養ドリンクから、ベンゼンが検出されている。

【BHA、BHT】食品例・魚介乾製品(煮干し他)、油脂、バター、化粧品など
BHAは、動物実験でがんを起こす可能性が指摘されている。BHAと似た物質のBHTは、主に化粧品に使われており、口紅の場合、唾液に混じって体内に入ってしまうので、BHTの表示のあるものは使わないほうがいい。

【サッカリンNa】食品例・歯磨き粉など
発がん性の疑いがあり、一度使用が禁止されていたもの。実験では、子宮がんや膀胱がんになる可能性が指摘されている。たとえ微量でも、毎日の歯磨きで口内に残ったものが胃に流れ、細胞ががん化する可能性も。

家族の健康を守るため、まずは、添加物をチェックする習慣を身につけよう!

13歳で結婚、14歳で出産――途上国の少女「早すぎる結婚」の大きすぎるリスク

弁護士ドットコムニュース 2014年10月15日

国際ガールズ・デーの記念イベント「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」が10月11日、東京都内で開かれた。開発途上国の少女たちの「早すぎる結婚」問題に焦点を当てたフォーラムで、13歳の花嫁マリアマの置かれた環境を伝える動画が流れると、参加者たちは息を飲んだ。
世界で最も貧しい国の一つに数えられるアフリカ・ニジェールに住むマリアマは、ある日突然、見知らぬ男性との「結婚」を言い渡された。マリアマは「結婚すると知っても、私は全然嬉しくありませんでした」「不安で食事もできず、夜も眠れません」と口にした。
動画にはニジェールの医師が登場し、「骨盤が未発達なので、出産自体が無理」と話した。また、15歳で出産し、傷ついて一人で用を足せない身体になったという少女が、カメラの前で「もう二度と妊娠したくない」「もうたくさんです」と告白した。
開発途上国では毎年1000万人、およそ9人に1人の少女が、15歳になる前に結婚させられている——。フォーラムでは映像やデータを基に、早すぎる結婚の現状やその背景を話し合った。

「早すぎる結婚」の背景は・・・
彼女たちが嫁ぐ先は多くの場合、10歳以上も年が離れた男性のもと。11歳の少女が40歳の男性と結婚した例もあるという。結婚式当日を迎えるまで、誰と結婚するのか分からない場合も少なくないそうだ。
国連人口基金東京事務局長をつとめる佐崎淳子さんによると、早すぎる結婚が行われる背景の1つに、「宗教上の教え」があるという。佐崎さんはネパールの例をあげ、次のように指摘した。
「ネパールでは、18歳以下で結婚した少女の割合が40%にのぼります。ネパール人の8割が信仰するヒンドゥー教では『娘が初潮をむかえる前に結婚させると縁起が良い』と信じられており、幼いうちの結婚はごく普通のことなのです」
そのネパールからは、現地で「早すぎる結婚対策プロジェクト」に参加している16歳の少女・イスミタさんがフォーラムに参加していた。イスミタさんは、結婚前に花嫁から夫へ金銭を渡す「持参金制度」について言及し、「経済的に貧しい家庭にとって、持参金制度は大きな負担です。ただ、花嫁の年齢が若いと持参金が少なくて済むため、親は娘を幼いうちに嫁がせたがるのです」と語った。

「妊産婦死亡率は成人の2倍」少女の身体に与えるリスク
早すぎる結婚には様々なリスクがある。イスミタさんは、「私のいるコミュニティでは、多くの女の子が早すぎる結婚をしています。女の子は結婚すると、学校を辞めなくてはいけません。教育を受けられなければ、収入を得られる仕事に就けず、貧困が加速します。また、早すぎる結婚をした女の子は、年が離れた夫から暴力を受けることも多いです」と語る。
また、早すぎる結婚の先にある早すぎる妊娠・出産のリスクも大きい。
佐崎さんは「15歳から19歳で出産した場合の妊産婦死亡率は、20歳から34歳で出産した場合のおよそ2倍です。また、早いうちに出産し、傷が癒えないうちに薪を運ぶなどの労働をすることで、身体に負担がかかって子宮が体外に出てしまい、排泄障害を負うこともあります。それは恥ずかしいことと考えられ、誰にも相談できず悩んでいる子は少なくありません」と強い口調で語った。

「発信しなければ、味方とはいえない」
様々な問題を含む「早すぎる結婚」――。しかし現地では、親から子へと脈々と受け継がれてきた習慣であり、多くの親は疑問を持たず、幼い娘を嫁がせる。
イベントを主催したプラン・ジャパンの理事をつとめる大崎麻子さんは、「早すぎる結婚が行われている地域は、農村部が圧倒的に多い。そこにはインターネットもフェイスブックもない。また、読み書きができない人も多いため、早すぎる結婚のリスクについての情報を得ることができません」と指摘する。
プラン・ジャパンでは、外からの情報を得にくい地域への啓蒙活動として、紙芝居や演劇などで、早すぎる結婚のリスクを知らせている。また、イスミタさんのような現地の若者を教育し、彼らを通して、地域の人々を啓発する活動も行っているという。
「発信しなければ、私たちの味方とはいえません」——イベントで上映された、途上国の少女の困難な現実を描いた映画に出てきたセリフだ。フォーラムの最後には「今日この場で知ったことを、ぜひ家族や友達に話したり、フェイスブックでシェアしてほしい」と呼びかけもあった。
初恋も知らないような年齢で、年の離れた男性と結婚させられ、妊娠・出産する少女がいるという現実。この現実をただ知るだけではなく、誰かに話し伝えることが、未来を変える一歩になるかもしれない。

知的障害少女に乱暴図る=容疑で防衛事務官逮捕―徳島県警

時事通信 2014年10月19日

知的障害のある10代少女に乱暴しようとして傷を負わせたとして、徳島県警捜査1課と徳島北署は19日、準強姦(ごうかん)致傷容疑で、海上自衛隊徳島教育航空群(同県松茂町)の防衛事務官浜本文哉容疑者(47)=同町満穂=を逮捕した。同署は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は5月24日昼ごろ、県内に住む軽度の知的障害がある10代後半の少女を自室に連れ込み、乱暴しようとして擦り傷を負わせた疑い。
同署によると、浜本容疑者と少女に面識はなく、同容疑者の自宅マンション駐車場に少女が1人でいたところを誘ったという。同日夕に少女と家族から同署に相談があり、発覚した。
海自徳島教育航空群の久保内修一司令の話 誠に遺憾。捜査に協力するとともに、事実関係が判明次第、厳正に対処する。

皮膚がずるりとはがれ…市販薬にも副作用リスク〈AERA〉

dot. 2014年10月19日

薬局で気軽に手に取る風邪薬にも、実は、怖い副作用のリスクがある。
唇やまぶたの粘膜が真っ赤に腫れあがり、まるでやけどのようにただれる。さらには体全体に赤い斑点が広がる。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)の典型的な症状だ。その進展形である中毒性表皮壊死融解症(TEN)はさらに重症だ。高熱が出て、全身の皮膚の10%以上がやけどのような状態になり、こするとずるりと剥がれてしまうことも。肝臓や腎臓など他の臓器にも障害を引き起こし、死亡率は20~30%に及ぶと報告されている。
SJSやTENを引き起こす主な原因は薬だ。恐ろしいのは、医師が使用する薬(医療用医薬品)だけでなく、薬局やネットで消費者が自分で購入できる薬(一般用医薬品)、しかも気軽に手にする風邪薬(総合感冒剤)でも、こうした重い副作用が起こり得るということだ。薬の中のどの成分が副作用の原因になるかは、諸説が唱えられ、まだ統一された見解はない。
厚生労働省のまとめによると、2007~11年度の5年間に、メーカーから報告された一般用医薬品の副作用は計1220例に上り、うち24例が死亡例。それらの原因薬剤として最も多かったのは、風邪薬だった。
市販の風邪薬を使用している人はものすごく多いことを考えると、副作用が起こる頻度は極めてまれだ。だが、一般用医薬品であっても、副作用がないわけではないということは、覚えておくほうがよいだろう。
副作用の対応の基本となるのが「添付文書」。薬といっしょに入っている説明書のことだ。慶應義塾大学薬学部の望月眞弓教授は、「添付文書には、その薬を使用する際の注意事項が要領よく書かれている。『〇〇のような症状が出たら副作用の可能性があります』などと具体的に記載されているので、薬を飲む前に一度は目を通してほしい」と強調する。

【RISCON14】たためるヘルメット「タタメット」廉価モデルが12月に登場

レスポンス 2014年10月19日

イエロー(本社・東京都中央区)が昨年5月に発売したたためるヘルメット「タタメット」は、すでに10万個以上も売れ、社内に装備している会社も少なくない。そんな中、新たなモデルが12月に登場することになった。価格を抑えたバリューモデルだ。
「4300円では高いというお客様からの意見が多かったので、ホイッスルやステッカーなど付属品を極力減らし、必要最低限のものだけを残してつくりました」と同社関係者。価格は3600円と3800円(ずきん付き)。
もちろん品質については折り紙付きで、厚生労働省保護帽規格「飛来・落下物用」国家検定に合格している。会場でも関心を示す来場者は多く、なかには実際にかぶってみる人もいたほど。
「今回のモデルについては、前モデルの倍以上売っていきたい」と同社関係者の鼻息も荒く、追随する2社を一気に突き放そうという意気込みだった。

石原さとみさんが「偽インスタグラム」に注意呼びかけ「なりすまし」は罪になるのか?

弁護士ドットコム 2014年10月19日

「最近、わたし石原さとみの名前でInstagram! Facebook! Twitter! が出回っているみたいなんですが、、、」――女優の石原さとみさんが10月13日、公式LINEアカウントのメッセージで、SNSの「なりすまし」について言及した。
石原さんは、これらのSNSのアカウントについて、「全て私ではありません」として、「ホリプロのHP、ホリプロスクエア、この公式LINE以外にオフィシャルなものは一切発信していないので注意してくださいね」と呼びかけた。
石原さんだけでなく、ネット上での芸能人の「なりすまし」被害は後を絶たない。「有名税」といった言葉もあるが、そもそも「なりすまし」に法的な問題はないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

他人名のアカウントを作っただけでは、刑事責任を問われない可能性が高い
「『なりすまし』は今回だけでなく、しばしば発生しており、一種の社会問題となっています。私自身もfacebook、twitter、LINEなど、さまざまなSNSを使用していますので、なりすましの問題は、他人事ではありません」
西口弁護士はこう指摘する。なりすましを法的に考えると、どんな風になるのだろうか?
「『なりすまし』は、(1)『SNSアカウントを他人名義で勝手に作ること』と(2)『作ったアカウントで投稿すること』に分けて考える必要があります。
まず、(1)『SNSアカウントを他人名義で勝手に作ること』が法的に問題ないか考えてみましょう。
インターネットの利用に関する法律のひとつに、『不正アクセス禁止法』という法律が存在します。この法律では、『何人も、不正アクセス行為をしてはならない』(3条)としています。
言葉のイメージで考えると、なりすましはこれにあたりそうですが、『不正アクセス』とはパスワード等を盗んでログインする、といった行為を指します。有名人の名前でSNSのアカウントをつくることは、不正アクセスに該当しません」

ほかの犯罪はどうだろうか?
「ちょっと見方を変えて考えると、SNSに他人の名前のアカウントをつくることは、不正な記録をサーバ上に作ったと言えるかも知れません。
仮にそうした行為と言えれば、刑法161条の2第1項の私電磁的記録不正作出罪に問われる可能性があります。
ただし、この犯罪で問題になる『記録』とは、『法的な権利義務や社会生活を営む上で重要な事実についての記録』のことです」

SNSのアカウントは、どうだろうか?
「過去の裁判例では、企業のサーバーに保存されていた顧客データベースのファイルを改ざんしたことが、本罪にあたるとされていました。しかし、ざっと調べた限りですが、SNSのアカウントについてはまだ判断がなされていないようです。
他人のSNSのアカウントを勝手に作ることが、『法的な権利義務や社会生活を営む上で重要な事実についての記録』を作ったといえるかというと、現時点でそう判断するのは、難しいように思えます。
結局、刑法的には、他人のSNSアカウントを作っただけでは処罰される可能性は低いでしょう」

名誉を害するような投稿をしたら犯罪にあたる
「次に、(2)『作ったアカウントで投稿すること』について考えてみましょう。
アカウントを作っただけにとどまらず、有名人の『なりすまし』アカウントを使って、その有名人の名誉を傷つけるような投稿をしたりすれば、その行為は名誉毀損にあたります。
刑事上は名誉毀損罪に問われる可能性がありますし、民事上では、不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性があります。
また、有名人の写真を無断利用すれば、それは肖像権などの権利侵害になります。
この場合も、不法行為に基づく損害賠償請求をされる可能性があります」
西口弁護士はこのように指摘していた。面白半分で偽アカウントを作ると、いつか手痛いしっぺ返しを受けることになるかもしれない。