病児保育に地域格差 低い認知度、抵抗感じる親も

@S[アットエス] by 静岡新聞 2014年10月24日

病中や病後の熱などで保育園に行けない子どもを預かる市町の「病児・病後児保育施設」の利用に地域格差が生じている。施設は保育園での菌やウイルスの伝染を絶つ“避難所”的な役割も見込める。施設が少ない市町では定員が限られることに加え、役割について親の認識も薄く、「知らない場所に連れて行きたくない」「子どもの一大事は親がみるべきだ」と利用を敬遠する人も多い。結果的に仕事との板挟みに働く女性が苦しむケースも目立つ。

職場との板挟み
「朝、座薬を入れて連れて来る保護者はたまにいますよ。一定時間がたつと、熱がぐんと上がるから分かる」。静岡市葵区の保育園の園長は打ち明ける。親から「熱が上がったら携帯ではなく職場に電話して」と頼まれることもしばしば。「いったん出社して『電話が来ちゃった、帰らなきゃ』と周囲に言って戻りたいのでしょう。熱のある子は登園させないでほしい。でも、職場への後ろめたさも分かるから複雑です」
静岡市は利用対象になる9歳以下の人口5万8千人に対して、病児・病後児保育室の定員はわずか7人。昨年は、10月に保育室を開設したばかりの清水区分を合わせても321人の利用にとどまる。認知度はまだ低いのが現状だ。

不安に寄り添う
三島市と函南町が医療法人社団真理会(平出源和理事長)に委託して両市町に1カ所ずつ展開している病児保育室。利用実績は県内全体の3割に上り、突出している。
成功の秘訣(ひけつ)はリピーターの多さと「断らない」をモットーにした受け入れ態勢にある。
1階の小児科で診察を受けると、ベテランの保育士や看護師が子どもを見守る。初めての親子には特に念入りに自宅での過ごし方を尋ねて保育中に実行するなど、不安に寄り添った「安心して過ごせる場所」づくりに努めている。平出理事長は「信頼して預けられたら、親にとってこれほど心強い場所はないと思い、続けてきた」と話す。母親同士の口コミを通じて利用者が増え、2010年には三島市の定員を4人から9人に拡充した。今年から三島の保育室で長泉町の子も引き受ける。

女性特有の妬みや僻みも“シングルマザー専用”シェアハウスの問題点〈週刊朝日〉

dot. 2014年10月24日

女手一つで子どもを育てるシングルマザーが増えるなか、都市部を中心に民間業者が運営する「専用シェアハウス」が生まれつつある。
民間ならではの柔軟さが特徴のシングルマザー専用のシェアハウスについて、自身もシングルマザーでの子育て経験がある家族問題研究家の岡野あつこさんは高く評価する。
「離婚で自分の心が揺らいでいるのに、毎日の子育てものしかかり余裕がなくなってしまう。母親は肉体的にも精神的にも、周りが想像する以上に大変で、虐待とまでいかなくても子どもにイライラをぶつける原因になるんです。自分を助けてほしいから、誰かの子どもの面倒を見てギブ・アンド・テークしたい。そんな心理を踏まえたシステムに感じられます」
だが、メリットばかりでもない。シングルマザー専用のシェアハウスのペアレンティングホームでは実際、子どもの夜泣きがひどく、わずか1カ月で退去を余儀なくされた人がいる。そのほか、恋人の男性を泊まらせて問題になったこともあったという。こうしたトラブルを未然に防ぐ対策として、「ペアレンティングホーム」を企画運営する1級建築士の秋山怜史さん(33)は2~3カ月に1度は入居者を集めたミーティングを設けているという。
児童福祉に詳しい武庫川女子大学発達臨床心理学研究所の才村眞理さんが分析する。
「一般的にも、他人同士の共同生活は、簡単ではありません。譲るところは譲って、主張すべきは主張しないと、逆にストレスがたまってしまう。ルールを理解し納得した上で入居することが大切で、決して万人に向いている住まい方とは言えない面があります」
前出の岡野さんは、伴侶不在で子育てをする女性同士で暮らす問題点を指摘する。
「同じ母子家庭でも抱えている状況はバラバラで、互いが100%わかり合うことは難しく、中途半端に境遇が似ていると比較してしまう。すると女性特有の妬みや僻みという感情が生まれやすいのではないでしょうか」
才村さんが提案するのは、シェアハウスを一時的な住居として利用することだ。
「子どもが思春期を迎えると、入居し続けるのが難しくなってくる場合もあるでしょう。入居の際に期間を決め、次の住居へ移るために資金をためるなど、目的を持ってスタートすると良いのではないか。欧米に比べ、日本は一人親に対する支援がまだまだ遅れている。共働きでも子育ては大変なことで、経済的にも精神的にも“ゆとり”が持てるよう、行政も力を入れて取り組むべきです」
シングルマザー専用のシェアハウスは都市部にでき始めたばかり。“先駆的存在”の秋山さんが言う。
「まだまだ手探りの状態ですが、母子家庭のステップアップを助ける新たな選択肢の一つにしていきたい」

乳児揺さぶり虐待 京都・宇治 傷害疑いで父親逮捕

京都新聞 2014年10月24日

生後6カ月の長男に暴行し、重度の脳障害が残るけがを負わせたとして、宇治署は24日、傷害の疑いで、京都府宇治市大久保町旦椋、外壁職人尾関勇太容疑者(22)を逮捕した。尾関容疑者は「覚えていない」と否認しているという。
逮捕容疑は、昨年2月15日午後9時から16日午前0時ごろ、自宅で当時生後6カ月だった長男(2)の頭を激しく揺さぶるなどし、脳に重傷を負わせた疑い。長男は入院中で、後遺症の影響で座ることや寝返りもできないという。
宇治署によると、尾関容疑者は当時、妻と長男の3人暮らしで、長男がけがを負ったとみられる時間帯は自宅に2人だけだったという。
尾関容疑者が16日未明にぐったりした長男を宇治市内の病院に連れて行った。体に目立った外傷はなかったが、脳内出血があったため診察した医師が虐待の疑いで同日に宇治児童相談所に連絡、児相は2日後に宇治署と宇治市に報告した。長男は体を激しく揺らされたことで脳を傷付けられた「揺さぶられ症候群」とみられるという。
近所の人たちによると、夫婦げんかが頻繁にあり、妻が「助けて」と悲鳴をあげていたこともあったという。宇治署の説明では、長男がけがをした直前の2月上旬には夫婦間トラブルで署員が駆け付けたという。
京都府と宇治市によると事件前、虐待が疑われる相談はなかったという。