「15歳未満の臓器移植」法律の課題は

ガジェット通信 2014年12月10日

臓器移植法の改正により15歳未満でも臓器移植が可能に
先日、順天堂大病院(東京都)は、脳死と判定された6歳未満の女児から摘出された心臓を、心筋の一部が正常に育たない左室心筋緻密化障害の10歳未満の男児に移植する手術に成功したと発表しました。
臓器移植法は、平成21年に改正され、平成22年に施行。この改正以前は、15歳以上の場合しか臓器移植が認められていませんでしたが、この改正により15歳未満でも可能となりました。
15歳未満の臓器移植が可能になったのは、改正法により、本人の臓器提供の意思が不明な場合に、家族による承諾の余地が認められたためです。改正以前は、本人による臓器提供の意思が必要とされており、家族による承諾は認められていませんでしたが、この点が改正されたわけです。

脳死判定の難しさだけでなく、虐待の疑いを確認することも課題
もっとも、15歳未満の未成年者について、家族の承諾で臓器移植が可能となると、その未成年者に対して虐待を加えていた家族による承諾という可能性もあります。そこで、改正法では、付則により、政府に対し、移植医療従事者が虐待の疑いを確認するなどの適切な対応をとることができるよう検討して必要な措置を講じることを求めています。 これを受けて、厚労省では、18歳未満の児童に対する臓器移植についてのガイドラインを策定したり、虐待の疑いを確認するためのマニュアルを作成したりしました。
もちろん、児童については、児童特有の脳死判定の難しさがあります。脳死判定については、上記のガイドラインでも、児童については体温や血圧の点で成人と差があることを考慮するべきであるとされています。当然のことながら、児童と成人では身体の機能に差がありますから、同じ基準で脳死判定ができるとは限りません。
そして、脳死判定以上に、虐待の疑いについて確認することが課題といえます。上記のマニュアルはありますが、虐待の有無の判定をするのは児童が搬送された当該病院であるとされています。しかし、児童が搬送された病院が、必ずしも児童虐待を判別できるような専門の病院であるとは限りません。また、たとえ大きな病院であったとしても、病院側に大きな責任と負担をかけてし まっている可能性は否定できないのです。

他人の意思で一つの生命が終了する可能性を生じさせてしまった
臓器移植については様々な意見があると思いますが、改正法によって実際に救済されるようになった子どもたちもいることは事実です。そういう意味では、臓器移植が人の生命を守ることにつながっていることは確かです。 他方で、本人の意思だけでなく、家族の意思でも臓器移植を可能としてしまったということは、他人の意思で一つの生命が終了する可能性を法律で生じさせてしまったという側面も否定できません。生命という最も重要なものを左右する場面ですから、今後もより慎重に、脳死判定や虐待の疑いの確認がなされることが必要と考えます。
もっとも、これが現場の病院の負担となってしまってはいけないと思います。その判定や確認の責任が、現場の病院の負担とばかりにならないよう、今後も社会全体で継続して考えていかなければならない問題であるといえるでしょう。

知っているようで知らない「うつ」のこと1:うつ病とは

Mocosuku Woman 2014年12月11日

近年、こころの病気は増えていると言われています。ストレスフルな社会環境のせいか、とりわけ「うつ病」が急増しています。厚生労働省の統計によると、日本人の場合、1年間にうつ病にかかる人の割合(有病率)は1~2%。実数にすると、2008年の時点で約104万人が罹病していることになります。なお、この数字は診断数なので、実際にはもっと多いという説もあります。ここでは、うつ病に関する基本的な知識をおさらいしましょう。

知っているようで知らない「うつ」のこと

うつ病の症状と特徴
うつ病の発症は10代後半から老年期までと広範囲にわたり、15人に一人は一生のうちに一度はかかるとも言われています。また、女性のほうが男性よりも2倍かかりやすいとする説もあります。2013年に改定された米国精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル 第5版』(DSM-V)では、うつ病は「抑うつ障害群」に分類されています(以前は「気分障害」と呼ばれていました)。うつ病の症状の主なものは、気分が落ち込む、やる気が出ない、イライラする、人に会いたくない、無口になる、食欲がなくなる、頭痛・肩こり、眠れない──など、精神面だけでなく身体面にも現れます。ほかにも、不安感、めまい、関節の痛みなど、人によって症状はさまざまです

うつ病の人すべてに共通する2つの症状
ただし、どんなタイプでもうつ病患者には次の2つのことが共通しています。1つは意欲の低下です。誰でも落ち込むことはありますが、うつ病の場合、「こころの痛み」を伴った落ち込みが特徴で、これが長時間続きます。もう1つは関心や興味の喪失です。以前は前向きに取り組めたことが面倒くさくなる・楽しめないといったことが起こります。しかも、本人はそれを、「怠けている」「周囲に迷惑をかけて申し訳ない」などと自罰的にとらえてしまうのです。

うつ病の治療に用いる薬
脳内の神経細胞間の隙間(シナプス)には、神経伝達物質と呼ばれる神経細胞の情報を伝達する物質が存在します。うつ病になると、神経伝達物質の中でもモノアミンと総称される「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」が減少してしまうことがわかっています。そこで、最近のうつ病治療では、特にセロトニンの減少をカバーするSSRI(セロトニン選択的再取り込み抑制剤)という薬品が抗うつ剤としてよく使われています。

現代のうつ病と性格の関係
かつて、うつ病は、病前性格といって遺伝的な性格がうつ病に影響していると見なされていました。例えば、メランコリー親和性と呼ばれる、秩序を重んじ、誠実・忠実で、他人への気配りが良くできる、まじめ人間の典型のような性格タイプ。また、執着性格は、几帳面で、責任感が強く、模範的であろうとし、時に激情するタイプです。このようなタイプの人がうつ病にかかりやすいと考えられていました。しかし、現在ではストレスフルな生活環境の影響によって誰でも発症し得ることがわかっています。そこから、ありふれた病気(common disease)と言われるようにもなりました。うつ病は他人ごとではなく、いつ自分の身に起こるかもしれない病気と言えます。

スマホだと待ち時間で変な空気に? 社員手帳に根強い人気〈AERA〉

dot. 2014年12月11日

社員や取引先でなければなかなか目にすることのない非売品の社員手帳。業界ならではの情報も充実している。最近の社員手帳事情は。
社内イントラネットと会社支給のスマホがあれば十分、と経費削減の標的となり消えてしまった社員手帳がある一方で、進化を続けている社員手帳もある。約3千社の法人向け手帳の制作を請け負うNOLTYプランナーズの担当者によれば、法人向けの販売数はここ5、6年、ほぼ横ばいだという。
「ノートパソコンやスマホにデータが入っていても、客先で開くのに数秒の待ち時間ができてしまって、変な空気が流れたりする。商談時に必要な情報がすぐに出せるのはやはり手帳、という声は多いです。東日本大震災後は災害時行動マニュアルを掲載する企業も増えました」
これが社員手帳?と驚かせるのは森ビルだ。フランスのクオバディス社製。6色展開で、好きな色を選べる。赤、青、黒の定番のほか、昨年から新たに3色追加。今年はピンクが、特に女性社員に人気だった。
中に挟み込む別冊も凝っている。森ビルの物件が一覧できる地図や、写真つきの主要プロジェクト紹介、「世界の都市総合力ランキング」などのデータが充実している。広報室で、社員の声を反映しながら、内容を毎年改訂しているという。さらに、大安、仏滅などの六曜もきちんと網羅されているのはやはりディベロッパーならではか。
育児・介護用品大手のピジョンのグループ会社で、保育事業を行うピジョンハーツは、社員の多くが保育士などの専門職。全国各地に施設が点在し、会社とのつながりを認識しづらい環境にあるなかで、会社への帰属意識を高めるためのツールとして、2007年から社員手帳を導入した。幼児教室や保育園の運営は年度単位のため、手帳も1月始まりでなく4月始まりを採用する。

やせている女性の割合、過去最高に 厚労省調査

J-CASTニュース 2014年12月10日

厚生労働省が2014年12月9日に公表した2013年の国民健康・栄養調査で、やせている成人女性の割合が過去最高の12.3%となった。
調査は2013年11月に行われ、全国3493世帯の回答のうち20歳以上の男女約6000人のデータを分析した。その結果、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数「BMI」が18.5未満の「やせ」に該当した成人女性の割合は12.3%。12年より0.9ポイント増え、調査を始めた1980年以降最高となった。年代別では20代が最も高く21.5%、30代は17.6%、40代は11.0%だった。
女性の減量志向が続いていることが影響しているとみられ、健康上問題が出る恐れもあることから、厚労省は適正体重を維持するよう注意を呼び掛けている。
一方、成人男性の「やせ」の割合は4.7%で、10年間変化が見られなかった。