虐待疑われうつに 通告を機に孤立する母親も〈AERA〉

dot. 2015年1月27日

思わず声を荒らげただけでも虐待を疑われる昨今。親もびくびくだ。通告を機に、親が孤立しない仕組みを作ることが何よりも求められている。
「助けてっ! ママに殺される」
マンションのベランダで叫ぶ小学5年生の長女を部屋に引きずり入れ、急いで窓を閉めた。
「ご近所に聞かれたら、虐待って思われるやろ!」
思わず出た言葉が、2週間後に現実になった。昨夏の午後、関西に住むパート勤務の女性(43)宅の玄関に、首からネームカードを下げた女性が立っていた。
「児童相談所(児相)から来ました。お話、伺えますか?」
うろたえていると、間髪入れずに言われた。
「虐待通告があったので」
「誰からですか?」
「それは言えません。守秘義務がありますから」
(はぁ? そんなん告げ口やん)
怒りが顔に出たのが、かえって心証を悪くしたに違いない。職員は冷たい声で通告内容を並べた。母親の怒鳴り声と汚い言葉、子どもが助けを求める泣き声――。すべて本当のことだ。だが、虐待なんてしていない。
「お子さんの身体検査をさせてください」
完全に疑われていた。
「叩くことはありますが、ごはん食べさせないとか、生死にかかわるような暴力をふるうとか、世間で言われているような虐待とは違います」
話しているうちに涙が溢れた。
「悔しいやら、情けないやらで。私みたいなのにかかわる時間があったら、本当に事件になってるところに行けよって思った」
外に出ると全員、通告者に見えた。ごみ捨てにも行けない。楽しみにしていた地域の夏祭りも夏風邪だと嘘をつき欠席。静かにしなければと思うあまり、長女が暴れたら布団をかぶせた。馬乗りになった布団の下から「死ね! ボケ、くそババア」と叫ばれた。「ほんまに虐待みたいになってる。エスカレートしてるやん」と、怖くなった。軽いうつになり精神科へ。薬を飲んで何とか持ちこたえた。
その後2度目、3度目の通告を受け、職員が再びやってきた。娘の担任から「以前から家庭で暴れたりと大変な子」との情報を得ていたようだった。「お母さん、大変なんだね」と労(いたわ)られ、ようやく疑いが晴れたと思った。
「虐待ではないと通告者に伝えてほしい」と頼んだが、「虐待の有無など一切の情報はフィードバックしない」と言われ、愕然としたのだった。
※AERA 2015年2月2日号より抜粋

11歳三男の尻蹴った疑い 京都・八幡署、暴行容疑で父親逮捕

京都新聞 2015年1月28日

京都府八幡署は28日、小学6年の三男(11)の尻を蹴ったとして、暴行の疑いで、八幡市の建設作業員の男(36)を逮捕した。逮捕容疑は、昨年6月15日午後5時ごろ、自宅近くの公園で三男の尻を蹴った疑い。
同署によると、友だちと遊んでいた三男の自転車の一部が壊れているのを男が見て理由を聞いたが、答えなかったため腹を立てたという。三男は事件後、児童養護施設で保護されており、同署は三男が日常的に虐待されていた可能性があるとみて調べている。

<女児監禁>押し入れに鍵、50歳義父と27歳母逮捕

毎日新聞 2015年1月28日

自宅マンションの押し入れに鍵をかけて長女(8)を閉じ込めたり、暴行してけがをさせたりしたとして、大阪府警は27日、東大阪市内に住むいずれも無職の義父(50)と母親(27)を監禁と傷害の疑いで逮捕した。マンション関係者によると、押し入れがある和室にカメラがあり、別室のパソコンで監視できる状態になっていたという。
捜査1課によると、2人はしつけで数回たたいたなどと話しているが、容疑は否認しているという。
逮捕容疑は昨年12月下旬、施錠された押し入れ(高さ1.8メートル、幅85センチ、奥行き90センチ)に長女を閉じ込め、数日間にわたって断続的に監禁。顔や太ももに暴行し全治約3週間の全身打撲を負わせたとされる。食事やトイレに制限はなかったとみられ、衰弱した様子はなかった。鍵は押し入れの扉の外側に2カ所取り付けられ、義父は「娘が押し入れに入って遊ばないように付けた」と説明しているという。
長女は両親と次女(2)との4人暮らし。昨年末、長女から助けを求められた友人の保護者が府警に通報して発覚。長女は現在、施設に保護されている。
児童相談所によると、長女は2012年に東大阪市内に転居して以降、迷子で発見されるなどして3回保護され、児童福祉司が定期的に両親に育児指導していた。昨年11月には、顔にあざができた長女の小学校から虐待を疑う通告が寄せられ、両親に警告していたという。【三上健太郎、村上正、新宮達】

高1死亡事件で13歳少年を児相に通告、一時保護

TBS系(JNN) 2015年1月28日

宇都宮市で16歳の男子高校生が自宅で死亡しているのが見つかった事件で、警察は須田さんへの暴行を認めている13歳の少年を児童相談所に通告、少年は一時保護されました。
この事件は26日、高校1年の須田勇輔さん(16)が宇都宮市の自宅で死亡しているのが見つかったものです。顔には殴られたような痕があったほか体には十数か所のあざがあり、死因は全身打撲による失血死ということです。
警察は、須田さんと最後に会っていたとみられる13歳の少年から事情を聴いていましたが、少年が須田さんへの暴行を認めたことなどから児童相談所に通告し、少年は一時保護されました。
警察は今後も少年から詳しく話を聞くなどして、事件への関与について慎重に調べることにしています。

「イクメンはそんなに出世しない」? 「島耕作」作者、弘兼氏の発言が波紋

J-CASTニュース 2015年1月28日

「島耕作」シリーズの作者、弘兼憲史氏の、子育てに熱心なイクメン男性は「出世しない」との発言が波紋を呼んでいる。
安倍政権が打ち出した「『女性が働き続けられる社会』を目指す」というアベノミクスの成長戦略を達成するには、男性の育児参加が重要とされる。とはいえ、男性社員の育児休業所得率(2013年度)は2.03%にとどまっているのが現状だ。

「出世」と「家庭」の両立、「理想ですが、現実には難しい」
共稼ぎ夫婦が増えて女性の社会進出が進んでいる。仕事を抱える妻だけに子育てを任せるのには無理があるのは間違いない。また、育児は「夫婦が一緒にする」という考え方が広がっていることなどが「イクメン」増加の背景にある。
政府としては、「イクメン」を増やして、女性が子供を産みやすい環境を整え、少子化に歯止めをかけたい狙いもある。
そうしたなか、弘兼憲史氏が「イクメン」を持ち上げる、最近の風潮に異議を唱えた。発言は「育児に熱心な男は出世しない」の見出しでNEWSポストセブン(2015年1月24日付)が取り上げたもので、「昨今、子育てを熱心にやるイクメン会社員がもてはやされています。しかし現実には、仕事のできる人間というのは家庭では必ずしも好かれていないし、逆に家庭的で幸せなパパというのは会社ではそんなに出世しない、という構図があります」と指摘。男性の「出世」と「家庭」の両立は「理想ですが、現実には難しい」としている。
こうした発言にインターネットでは、
「俺の父親も運動会とか全然来なかったけど、そのほうが安心できたな。子どもながらに父親の稼ぎで自分があることは理解していた」
「仕事にウェイトを置けば、その分家庭は疎かになるし、家庭を優先すればそれだけ仕事一筋の人と差が出るよ。それが当たり前だよ、というだけの話で何も間違ってない」
など、「よくぞ言った!」との声がある半面で、
「どっちがいいか悪いかって問題ではなく、選択ということだろ。家庭的幸福を犠牲にしなければ社会的成功は得られない、すべてを得ることなどできないということ」
「たしかに自分らが若いころはこんな考えの奴ばかりだったが、今では通用せん」
といった反論もある。
男性の育児参加の時間について厚生労働省は、
「単年度でみると一進一退ですが、長期的には右肩上がりにあります」
というが、雇用均等基本調査によると、女性社員の育児休業所得率が2013年度に83.0%だったのに対して、男性社員のそれは前年度と比べて0.14ポイントとわずかに上昇したものの、2.03%しかなかった。
育児休業、取得しづらいのは上司と部下の「世代間ギャップ」?
その一方で、じつは3割を超える男性が「育休を取りたい」と考えている(厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査」)という。これは2008年の調査なので、最近はさらに増えているかもしれない。
男性社員が育児休業を取得したくても、利用できない理由の一つに、男性社員が育児休業を取ったり、育児のための短時間勤務やフレックス勤務を活用したりすることを上司などが妨げる、「パタニティ・ハラスメント」(パタハラ)があるとされる。
弘兼憲史氏も、
「たとえば僕が上司の立場だとして、急遽、重要な案件が発生して緊急会議になるから残ってくれ、と部下に頼んだとします。その返答が『すみません、今日は子供の誕生日なので帰らせてください』だったとしたら、僕はその部下を仕事から外しますね」
という発言をしていた。
この背景には、上司(管理職)と部下の子育て観の違いがあるという見方がある。中高年世代と子育て世代との「世代間ギャップ」といえるものだ。
「経済成長につなぐには、『イクメン』を増やすことが必要です」という、ニッセイ基礎研究所経済研究部の薮内哲研究員は、「育児が出世を妨げるという考えが抜けない背景には終身雇用制があります。終身雇用は『会社に尽くすこと』が評価軸ですから、休暇を取る人よりも取らないで頑張る人が評価されます」と説明。そのうえで、「政府の方針でもあり、最近は管理職(中高年世代)もイクメンが大事なことは理解していますが、一方で成果も上げなければなりません。『休暇を取れ、でも成果も上げろ』というわけですから、イクメンにしてみれば休暇を取りつつ、仕事の生産性を上げなければならない。これはお互いにつらいところです」とも話している。
こうした歪みが、男性社員の育児休業が伸びない理由とみている。