<その先へ>里親一年生 私らしく/「子どもの村東北」里親・岡山環さん(仙台市太白区)

河北新報 2015年2月20日

私は、よい里親になれるだろうか。仙台市太白区茂庭台の「子どもの村東北」で岡山環(たまき)さん(54)は自問する。震災、虐待、病気、貧困-。さまざまな事情で実の親と暮らせない子どもを、間もなく家族として迎える。
昨年12月に開村した子どもの村東北は、青葉区の同名のNPO法人が運営する。里親は「育親」と呼ばれ、敷地内の一軒家に住み、児童相談所を通じて預かった子どもを育てる。里親を支えるスタッフも、事務棟に常駐する。
岡山さんは現在2組3人いる里親の一人。児童相談所との協議でいつ、どんな子を預かるか決まるまで、里親の心構えや児童養護の在り方を学ぶ研修が続く。「昨日も東京で子育ての講習会でした」。整然と文字が並ぶノートを何度も見返す。

兵庫県出身。昨年3月まで33年間、地元の郵便局で働いた。関西に夫と、社会人の長男、次男、大学生の長女がいる。
20年前の阪神大震災。家族は無事だったが、わが子と同年代の子どもたちが犠牲になった現実がショックで、震災から目を背けた。家族を失った子どもらに、手を差し伸べることもなかった。
東日本大震災が起き、再び多くの命が奪われた。ふと疑念がわいた。阪神大震災で、本当は何かできたのではないか。インターネットで子どもの村の存在を知り、里親に応募した。うまくやれる自信などなかった。今度こそ行動したいという一心だった。
里親としての特別な知識や経験はない。「子どもを3人育てたのに知らないことばかり」。勉強すればするほど、不安に駆られるときもある。
そんな岡山さんに、今野和則村長(61)は「里親に必要なのは経歴よりも意欲」と諭す。「里親とスタッフはチーム。温かい雰囲気で子どもを迎えよう」と励ましの言葉を掛ける。

ことし1月、子どもの村の発祥地であるオーストリアを訪れた。岡山さんは、20人以上の子どもを育て上げた里親の女性の話を聞いた。
「気持ちが揺れてもいい。大事なのは自分の足で立つことだ」。女性は岡山さんにそう告げた。里親である自分自身に誇りを持っていた。
私も、私らしく子どもと触れ合おう。そう思うと、少し気が楽になった。「一緒に食事して、キャッチボールをして、歌を歌うお母さんになろう」。与えられるのは、ごくありふれたぬくもり。それを求める「わが子」がいる。(関川洋平)

少年事件にも接見交通権認める 東京地裁、初の判断

朝日新聞デジタル 2015年2月19日

少年事件の付添人の弁護士が、児童自立支援施設での少年との面会時に児童相談所の職員が立ち会ったのは違法だとして、東京都に10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。近藤昌昭裁判長は、少年事件も一般の刑事事件と同様に、第三者の立ち会いなしに付添人が面会する権利が認められる、との初の判断を示した。
そのうえで、児相の職員の立ち会いを違法と認定したが、職員に過失がないとして賠償請求は退けた。
刑事訴訟法では、弁護人が立ち会いなしに容疑者や被告と面会できる「接見交通権」が定められているが、少年が児童自立支援施設にいる場合の明文化された規定はない。判決は「少年事件での付添人の役割は、刑事事件の弁護人と共通する」として、立ち会いは違法だったとした。
判決によると、井上侑弁護士(東京弁護士会)は2013年12月、事件を起こした少年の付添人になった。当時14歳だった少年は、東京家裁立川支部から児童自立支援施設送致の保護処分を受け、都立萩山実務学校に入所。だが少年が処分を不服として抗告する意思を示したため、井上弁護士が打ち合わせのために面会しようとしたところ、同校は児相職員を立ち会わせた。

男児の父親「人体実験のような適用拡大」

日本テレビ系(NNN) 2015年2月19日

東京女子医大病院で去年、2歳の男の子が鎮静剤を大量に投与された後、死亡した事故で、遺族は「医師は実験データを得る目的で鎮静剤を大量投与したのではないか」として、医師らに対する傷害致死容疑で告訴状を警視庁に提出した。
亡くなった2歳の男の子の遺族は19日朝、警視庁牛込署を訪れ、告訴状を提出した。投与された鎮静剤「プロポフォール」は人工呼吸中の子供への使用が禁止されているが、病院の内部文書には、麻酔科の医師は死亡した直後に遺族に対し、「適応の拡大を検討している薬も入っていた」と説明したことが書かれていた。
死亡した男の子の父親「異常なまでの大量投与、これが本当に必要だったのかどうか。ICUの責任者が、まるで人体実験をしていたかのような適用拡大、そういうことを検討している薬を使っていた疑いがある」
死亡した男の子の母親「あの病院で息子に行われたことは果たして医療行為だったのかという思いが、どんどん強くなってきた」
代理人の弁護士によると警視庁は19日、両親に対し傷害致死容疑での立件を視野に捜査をしていると報告し、告訴状はいったん預かるが、立件できる段階になれば正式に受理すると説明したという。
麻酔科医ら5人に対する傷害致死容疑での告訴状が提出されたことについて東京女子医大病院は、「訴状を確認しておりませんので、コメントは控えさせていただきます」とコメントしている。

<男女の賃金格差>4年連続で縮小

毎日新聞 2015年2月19日

厚生労働省は19日、2014年の賃金構造基本調査の結果を公表した。男女の賃金格差は11年以降4年連続で縮小した。
短時間勤務を除く一般労働者の賃金(月額)は29万9600円(前年比1.3%増)で、男性は32万9600円(同1.1%増)、女性は23万8000円(同2.3%増)だった。男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は72.2(同0.9増)となり、過去最大になった。短時間労働者の賃金(時給)は、男性が1120円(同2.3%増)、女性が1012円(同0.5%増)だった。
調査は従業員10人以上の事業所の14年6月の賃金を調査、約5万事業所からの回答結果をまとめた。厚労省統計情報部は「管理職登用の増加などで女性の賃金上昇が男性を上回ったことで格差が縮小した」と分析している。【東海林智】

米マクドナルドが語りたがらない10の事実

ウォール・ストリート・ジャーナル 2015年2月16日

世界100以上の国や地域に店舗を構える巨大企業となった米ファストフード大手マクドナルド。2014年通期業績は「過去数十年で最悪」との評価が出る中、同社の苦悩や語りたがらない事実を探った。

(1)成功のレシピをなくしたか
1948年に設立されたマクドナルドは世界3万6000カ所で、1日に約7000万人の顧客にサービスを提供している。外食産業の年間売上高で圧倒的な強さを誇る。2014年の売上高は274億4000万ドル(約3兆2500億円)に上り、国内総生産(GDP)がこの額を下回る国は世界に90カ国以上ある。業界誌QSRによると、年間売上高は最も近い競合である米サブウェイの3倍近い。
だが、1月23日に発表した2014年10-12月期(第4四半期)決算では、純利益が前年同期比21%減少した。別の大手業界誌は、同社の14年通期の業績が「過去数十年で最悪」とさえ言えるだろうと主張した。
マクドナルドの苦境があらためて話題になったのは1月28日だ。同社はこの日、ドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)が退任し、最高グローバルブランド責任者のスティーブ・イースターブルック氏が後任となる人事を発表した。詳細には触れていないが、業界ウオッチャーは最近の業績不振がトップ交代の理由となった可能性を指摘している。
マクドナルドの苦悩の裏には何があるのだろうか。業界専門家の一部は、メキシコ料理チェーンのチポトレ・メキシカン・グリルなどファストカジュアル店の方が健康的かつ新鮮な品ぞろえを持っており、マクドナルドに代わる現代風のレストランだと見なされている点を指摘する。
マクドナルドのメニューの多さが問題だとみる専門家もいる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近、メニュー数が過去7年間で85品から120品以上に増加したと報じた。メニューの数が多くなれば、それだけサービスのスピードが遅くなる可能性があり、まさに「ファスト」フード業界ではプラス材料にならないのだ。

(2)当社はそれをチャンスと呼び、世間は「低賃金労働」と呼ぶ
マクドナルドで働くスタッフは全世界で190万人に上り、その多くはフランチャイズ加盟店を通じて雇用されている。同社はウェブサイト上で「私たちの創造する仕事を誇りに思う」と述べ、柔軟なスケジュールを提供して多様性を促進する方針をうたっている。
それでも、大半のファストフード店と同様に、最近はマクドナルドも賃金が低いとみなす米国の労働活動家や従業員からの攻撃を受けている。全米のファストフード店で働くスタッフなどが組織する団体「ファストフード・フォワード」は、最低でも時給を15ドルに引き上げるよう要求したことで注目を浴びた。
米カリフォルニア大学バークレー校による2013年の調査では、ファストフード店のカウンターエリア業務スタッフに支払われる時給の中央値は8.69ドルだった。米報酬データ調査会社ペイスケールによると、マクドナルドの調理およびサービス業務スタッフに支払われる時給は中央値で7.74ドルとなり、競合であるバーガーキングの7.96ドル、ウェンディーズの7.87ドルをやや下回った。米国の連邦最低賃金は現在、時給で7.25ドルだ。

(3)それほど慈悲深くないかも
マクドナルドの慈善事業はドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ(RMHC)に集約されている。RMHCは全世界に300カ所以上のハウスを持ち、遠くの病院でけがや病気の治療を受ける子どもの家族に滞在施設を提供している。RMHCのウェブサイトには「私たちの施設は援助以上のものであふれ、希望に満ちあふれている」との文言が踊っている。
しかし、一部の批評家はマクドナルドの寛大さを疑問視してきた。公共福祉を専門とする弁護士のミシェル・サイモン氏は2013年のリポートで、同社の慈善事業に多くの欠陥があると指摘。RMHCがマクドナルドと密接な関係を持っているにもかかわらず、マクドナルドは12年に必要な資金の5分の1しか渡していなかったという(残りはコカコーラやサウスウエスト航空など企業を通じた献金、および個人からの献金でまかなわれたと、リポートは指摘)。しかも、マクドナルドは税引き前利益の0.32%(過去6年間の平均)しか慈善事業に割り当てていない。同社と同じ規模を持つ大手企業では平均1.01%が振り向けられているという。
つまり、このリポートはマクドナルドが「美辞麗句に見合う施しを与えていない」と指摘したのだ。
マクドナルドの広報担当者はリポートについてのコメントを控えた。

(4)世界的ヒット商品もあれば駄作もある
マクドナルドは確かに「ビッグマック」や「クオーターパウンダー」「マックリブ」など、世界に愛されるメニューを数多く送り出してきた。
半面、同社は限定期間さえもたなかった失敗メニューも数多く投入してきた。例えば、肉の代わりに焼いたパイナップルが挟まれた「フラバーガー」、カップに入ったサラダ「マックシェイカーサラダ」、各種のピザメニュー(もちろんマックピザを含む)などが挙げられる。最近の例では骨付きフライドチキン「マイティーウイング」を投入したが、売れ行きは伸びなかった。
専門家に言わせれば、これはビジネスの世界によくあることで、競争で優位に立とうとするファストフード各社は常に何か新しい商品を試す必要がある。ただ、米国の金融関係者らは最近のマクドナルドに「ヒット商品」が欠けていることを懸念している。

(5)国外で数多くの困難に直面
マクドナルドは最近、米国以外で一連の困難に直面して注目を集めてきた。中国では賞味期限の切れた肉類を納品した業者との取引を停止するという事件が起きた(この問題の影響を受けたのはマクドナルドだけではない)。
ロシアでは政治問題に巻き込まれたようだ。マクドナルドはウクライナからロシアに編入されたクリミア半島から撤退したが、その後はロシア政府から度重なる抜き打ち検査を受け、モスクワやソチなどでは衛生問題を理由に複数の店舗が閉鎖させられた。
トンプソンCEOは退任発表前の1月、アナリスト向け説明会で、ロシアと中国での事業が「回復モード」に入っており、両国では「食品の質を強調して顧客を取り戻す」ことに注力すると述べた。

(6)米国に肥満をまん延させた張本人?
ドキュメンタリー映画監督のモーガン・スパーロック氏が2004年に「スーパーサイズ・ミー」を公開して以降、マクドナルドは米国に肥満をまん延させた張本人のように扱われてきた(この映画でスパーロック氏は30日間マクドナルドのファストフードだけを食べ続け、体重が10キロ以上増えた)。これを受けてマクドナルドはメニューを変更し、栄養士が認定した健康食を付け加えたほか、「スーパーサイズ」というオプションを削除した。
それでも、マクドナルドは専門家の多くが高カロリーで飽和脂肪が多いと考える食品を提供していると非難され続けている。ハッピーセットにおもちゃを入れることに反対する米消費者団体の公益科学センター(CSPI)は、おもちゃが結果的に子どもたちに「ジャンクフード」を食べるよう促すことになると主張している。
これに対し同社は、ハッピーセットのオプションにオレンジや低脂肪ヨーグルトを付け加えたことを強調している。

(7)怪しい食材は「ピンクスライム」だけではない
マクドナルドは最近、各商品に使われている素材についての情報を公開するようになってきた。2011年には競合他社に先駆け、ハンバーガーに「ピンクスライム」と呼ばれる加工肉を使用するのをやめた(小売りやフードサービス、食品加工に携わる400社ほどが、現在もピンクスライムを使っている)。
それでも専門家はマクドナルドが使う多くの食材に懸念を示す。ホルモン剤の投与されたビーフを使用しているという事実を指摘する向きもある(健康志向の強い一部の人はこうしたビーフが有害だと信じているが、米食品医薬品局[FDA]は「人間が食べても安全だ」と主張している)。
また、パンをふわふわさせるため、「ヨガマット」などに使われている添加物アゾジカーボンアミドを利用しているとの指摘もある(こちらも健康を害するとの懸念があるが、FDAは「安全な食品添加物」と考えている)。ホルモン剤の投与されたビーフもアゾジカーボンアミドも、マクドナルドだけが使っているわけではない。

(8)それほどハッピーでないフランチャイズ加盟店
マクドナルドがどんなに大きくても、フランチャイズ加盟店が同社の「顔」になることが多い。特に米国ではフランチャイズに加盟する者が大部分の店舗のオーナーだ。最近はそうした顔の「表情」が厳しくなってきた。ジャニー・キャピタル・マーケッツのアナリスト、マーク・カリノフスキ氏が実施した最近の調査から、フランチャイズ加盟者の一部がマクドナルドに不満を表明していることが明らかになった。変化に対する「動きが遅すぎる」とか、マーケティング手法が「ばかげている」といった不満をマクドナルドにぶつけているのだ。
メニューの数が多すぎてサービスが遅くなったとの不満もある。この懸念は2013年にプレミアム・マックラップが投入された際に特に大きくなった。製造工程が多すぎることが原因で、ある加盟店は昨年「マックラップの注文が入るとキッチンが止まってしまう」と嘆いた。

(9)ドナルドは1人ではない
マクドナルドには赤い髪の道化師、ドナルド・マクドナルドという世界的に有名なマスコットがいる。同社は50年以上にわたり、このマスコットをマーケティングに活用してきた。
では、マクドナルドがマスコットについて語りたがらないことは何か。それはドナルド役を務めるのが1人ではないことだ。実際、同社はドナルドの詳細については多くを語ってこなかった。ドナルドの着ぐるみを着る人は、その事実を決して認めないことに同意させられるのだ。各種リポートによると、マクドナルドは公共のイベントで絶対にドナルドを2人登場させないようにしているという。

(10)秘密のメニュー
ビッグマックなら誰でも知っている。では、「プア・マンズ・ビッグマック(貧乏人のビッグマック)」や「ランド・シー・アンド・エア・バーガー(陸海空バーガー)」はどうだろう。これらはオンライン上で話題となっているマクドナルドの裏メニューだ。
裏メニューサイトの「ハック・ザ・メニュー(HackTheMenu)」によると、プア・マンズ・ビッグマックとは、レタス多めのマックダブルに、通常のケチャップとマスタードではなくてビッグマックのソースをかけたもの(プア・マンズと呼ばれる理由はビッグマックより2ドルほど安いからだ)。ランド・シー・アンド・エア・バーガーとは、ビッグマック、フィレオフィッシュ、マックチキンを組み合わせた、胃が破裂するような裏メニューだ。
もちろん、一部の裏メニューにはスタッフの協力が少し必要となるものがある(テーブル脇で自作できるものもある)。このため、ハック・ザ・メニューは「(裏メニューを作りたいなら)店員に優しくせよ」という重要な心構えを説いている。