知人や子どもから「殺されるかも・・・」と告白されたら「通報」する義務がある?

弁護士ドットコム 2015年2月27日

川崎市の多摩川河川敷で、中学1年生の上村遼太さん(13)が殺害された事件。警察による捜査が進められているが、上村さんは以前から、ひどい怪我を負わされるなど、交友関係の中でなんらかのトラブルに巻き込まれていたとみられる。
一方で、同級生たちは、上村さんの目の周りの青黒いあざや他校の年上学生とのトラブルに気づいていた。また、上村さんは友人に対し「殺されるかもしれない」と漏らしていたとの悲痛な証言もある。
一般論として、もし知人や子どもから「殺されるかもしれない」と告白されたり、明らかに命の危険がありそうなトラブルに巻き込まれていることを知った場合、私たちには「通報の義務」があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に話をきいた。

教員や上司には「通報義務」があるケースも
「『殺されるかも・・・』と告白されても、告白を聞いた人がどこかに必ず通報しなければならないという法的義務があるわけではありません。もっとも、誰も何もしなくて良いというわけではなく、告白を聞いた人に通報義務が生じる場合もあるでしょう」

どんなケースで通報義務が生じるのか?
「一般論ですが、告白者の立場や、殺される可能性・危険性を示す具体的事情、そして、それを聞いた人の立場などから、個別具体的に検討する必要があると思います。
友人が冗談っぽく『早く帰らないと女房に殺されちゃうよ』と言うのを聞いた場合、これを放置しておいても問題ないことは明らかでしょう。
しかし、学校の教員や職場の上司は、警察・病院に通報せず、そのまま放置したことで保護責任者遺棄罪(刑法218条)に問われたり、損害賠償の義務が生じることもあるでしょう
たとえば、部活の先輩から何度も集団暴行を受けてけがをしている子どもの告白を聞いた場合や、工場や作業現場など危険な場所で、同僚からのいじめにより何度も危険な目に遭わされているという従業員の告白を聞いたようなケースです」
このような場合、告白を聞いた側は、通報しないことで責任を問われる可能性があるという。

児童虐待の告白を受けたら・・・
では、満18歳に満たない子どもから「虐待の告白」を受けたら、どうするべきか?
「告白者が満18歳に満たない子どもであって、告白者が誰かから虐待を受けていると判断できるような場合、告白を聞いた人は、児童福祉法25条および児童虐待の防止に関する法律第6条により、市町村、福祉事務所および児童相談所に通告する義務があります」
通報をしないことへの罰則はないそうだが、放置して良いわけでもない。星野弁護士は最後にこう語った。
「児童虐待に関する通報は、国民の全員に義務付けられています。『愛の反対は憎しみではない。無関心である』と言われることがあります。子どもが不自然なケガをしていて助けを求めているような場合、私たちには、これを放置せず救いの手をさしのべる勇気が求められているといって良いでしょう」

川崎中1殺害受け、文科省が緊急調査

TBS系(JNN) 2015年2月28日

川崎市で中学1年の男子生徒が殺害され少年3人が逮捕された事件を受け文部科学省は、省内に特別チームを設置して再発防止策を検討するとともに殺害された男子生徒と同じような環境にいる児童生徒がいないかどうか緊急調査を始めました。
特別チームは、丹羽副大臣をトップに27日午後、警察庁や児童相談所を所管する厚労省の担当者も入れた初会合を開き、川崎市と連携して事態把握を進めることや同じような事件を防ぐための再発防止策を検討していくことを確認しました。特別チームはまた、都道府県などの教育委員会を通じて全国の小中高校に対し殺害された上村君と同じような環境にいる児童生徒がいないか緊急調査をするよう求めることを決めました。
この調査では、一定期間連絡が全くとれない児童生徒や、学校の外で非行グループとつきあいのあるような児童生徒がいないかどうかを調べ、その実態について報告を求めるとともに教育委員会と情報を共有するよう求めています。
文部科学省は、殺害された上村君のようなケースに学校側が気づき対応してもらうことも調査の大きな目的だとしています。

命をつなぐ赤ちゃん縁組「愛知方式」とは?

女性自身 2015年2月27日

2月1日、愛知県名古屋市で虐待防止NPOにより「養親希望者説明会」が催された。「養親」とは「養う親」のこと。説明会には「育ての親になりたい」「我が家に赤ちゃんを迎えたい」と願う数組のご夫婦が、熱心に耳を傾けていた。
そこに、特別養子縁組で赤ちゃんを迎えた体験者として、渡辺さん一家が紹介された。
「不妊治療にピリオドを打ち、我が家に来てくれる子との出会いを待ちました。そのころ、お子さんを迎えたばかりの幸せそうなご家族の姿を拝見したことがあります。私たちも授かることができるのかしらと、当時は別世界にように思えました。その幸せが私にも訪れるなんて、感無量です」
こう話したのは、お母さんの智美さん。約1年前に「赤ちゃん縁組」によって結ばれた渡辺さん夫妻と赤ちゃん。現在は、智美さんの実家の母親のサポートも得ながら、子育てに奮闘中だそう。ごくふつうの子育てが、ひときわまぶしい、幸せな家族の姿がそこにある。
渡辺さんの家族を結びつけたのが、「愛知方式」と呼ばれる赤ちゃんの養子縁組である。これは「特別養子縁組」という民法の制度に基づいており、事情があって生みの親が育てられない、生後から6歳未満の子どもを、養親の戸籍に「実子」として迎えて新しい家族を作り、養親が希望した子の名を多くの生母が出生届に記入している。
日本では、これまで主に民間のあっせん団体によって行われてきた特別養子縁組だが、愛知県(政令指定都市の名古屋市を除く)では、30年ほど前から、児童相談所の職員が率先して、特に新生児の特別養子縁組に取り組んできた。
この「愛知方式」を始めたのは、元児童相談所職員で社会福祉士の矢満田篤二(やまんたとくじ)さん(80)。冒頭の説明会主催者の1人でもある。
生みの親が育てられない生後間もない赤ちゃんを、そのまま乳児院へ入れるという慣例化したシステムに疑問を抱き、当時としては異例の赤ちゃん縁組を果敢に実践してきた。「前例のないことをするな!」という上司の叱咤をものともしない、自称“不良公務員”ぶりは、もはや伝説化しているとも聞く。
「民法にも、児童福祉法にも、児童相談所が赤ちゃん縁組をしてはいけないとは、どこにも書いてありませんからね。児童福祉司は子どものためになることなら、何をやってもいいのです。この制度は、家系存続などの理由で、子どもが欲しい大人のためにあるのではありません。親を必要とする子どものため、子どもの福祉のための制度です」
それゆえ「赤ちゃんの性別は選べない」「病気や障がいの有無で引き取りを左右しない」「審判成立前に生みの親が引き取りたいと申し出たら、つらくてもお返しする」といったいくつもの条件を受け入れた人でないと、赤ちゃんは託せない。
愛知方式は「三方よし」の方策だと矢満田さんは胸を張る。〈赤ちゃんは生後間もなくから安定した終生の親にめぐりあえる〉〈夫婦は赤ちゃんに恵まれて親になり、不妊治療の苦悩から脱却できる〉〈予期せぬ妊娠・出産をした女性が、赤ちゃんを育てられない自責の念から解放される〉という「三方」だ。
赤ちゃん縁組の親子が「命」に真摯に向き合う姿から、親子にとって、家族にとって大切なことが見えてくる。

保育士急募、3月強化月間=待機児童解消目指す―厚労省

時事通信 2015年2月27日

厚生労働省は27日、4月から保育所などで働ける保育士を探すため、3月を保育士確保の集中取り組み月間と位置付け、東京、大阪などで就職支援を強化すると発表した。資格を持っているのに保育の仕事をしていない「潜在保育士」に狙いを定め、人材の掘り起こしを急ぐ。
同省は待機児童解消のため、2017年度末までに40万人分の保育の受け皿を確保する計画を立てている。14年度は12万人分、15年度も8万人分を確保する見込みのため、保育士の需要が急増した。保育士の有効求人倍率は全国平均で2.06倍と上昇傾向にあり、特に都市部で高い。そのため支援強化は埼玉、東京、神奈川、大阪の4都府県で行う。