川崎・多摩川中1殺害:政界に波紋 少年法見直しの声も

カナロコ(神奈川新聞) 2015年3月2日

川崎市立中学1年の男子生徒が殺害された事件は、政界にも波紋を広げている。安倍晋三首相は国会で「悲しい出来事を二度と繰り返さない決意で、できることは何でもやる」と表明。文部科学省は事件前の男子生徒と似た状況にある子どもがいないか、全国で緊急調査に乗り出した。少年3人が殺人容疑で逮捕されたことを踏まえ、永田町では少年法の見直しを求める声も出ている。
「大変ショックを受けている。希望に胸をふくらませていた尊い命が無残に奪われた。防ぐことはできなかったのか」-。2月27日の衆院予算委員会。安倍首相は沈痛な面持ちで語った。
文科省は同日、省内に経緯の検証や再発防止策を検討する作業チームを設置。子どもが関わる事件では2011年に起きた大津市の中学生いじめ自殺事件以来で、初会合には厚生労働省や警察庁も加わった。
文科省は「捜査の進展を待たねばならないが、従来のいじめ、不登校事案とは異なる。警察や児童相談所と連携して動くべき事案ではなかったか」と指摘。調査対象を7日以上連絡が取れなかったり、学校外の不良グループと関わりがあったりして、「生命・身体に危害が生じるおそれがある児童・生徒」とした。「対象に粗さはあるかもしれないが、男子生徒のようなケースを早期にあぶり出したい」と、狙いを説明する。
少年法の改正を今後の検討課題にすべきとの声も、与党幹部から出ている。自民党の稲田朋美政調会長は「少年事件が凶悪化しており、犯罪予防の観点から、少年法が今の在り方でいいのか課題になる」。公明党の石井啓一政調会長も、選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公選法改正案が今国会に再提出される見通しであることを踏まえ、将来的な少年法年齢の引き下げの可能性を示唆した。
これに対し、民主党の笠浩史元文科副大臣は「態勢面を含め、SOSへの気付きとその対応を再考しないといけない。(少年法改正は)直結するテーマではない」と指摘した。

「容疑者」家族の顔写真投稿、自宅の動画を撮影… 川崎市の中学生殺人、ネットで「私刑」が横行

J-CASTニュース 2015年3月1日

川崎市の中学1年、上村遼太さんが殺害された事件で、逮捕された容疑者3人を特定し、「私刑」まがいの動きがネットで行われている。
容疑者はいずれも未成年のため、警察発表や報道では実名などすべての個人情報が伏せられているが、「絶対に許すなよ」「再起不能に!」などとして、顔写真や住所を晒しあげる投稿が相次ぎ、矛先は家族にまで及んでいる。

「『更生』の機会なんてこいつらに必要なんでしょうか?」
上村さんの遺体が発見された河川敷には、ゆかりのあった人だけではなく、今も多くの人が訪れる。花を供え、手を合わせた後もなごりを惜しむように、なかなかその場を離れようとしない人が多い。
2015年2月28日、厚木市から娘と孫の3人で訪れていた女性は「孫もバスケットをやっているし、春から中学生。手を合わせてあげたかった」と話す。「容疑者が捕まっても、これで終わりという話じゃない。3人は少年だし、もどかしさが残る」と語った。
一方、ネットでは容疑者3人の身元を特定したとし、実名や顔写真、住所を晒しあげる行為が熱心に行われている。警察はこうした情報を一切公表していないが、逮捕前から「こいつらしい」とまことしやかに拡散され続けていた。
逮捕された3人のうち、全員ではないものの一部の年齢が一致したことでさらに盛り上がり、
「世間が忘れても、地獄の果てまで追い詰めてやる」
「犯罪の抑止の観点から遠慮なく貼らせて頂きますね 」
「犯人はこいつらだ。絶対に許すなよ」
などと投稿する人は後を絶たない。さらに、容疑者の家族とされる人物の顔写真を投稿したり、自宅とみられる場所まで行って動画を撮影、配信したりする人まで現れた。
彼らの多くは容疑者を「少年法に守られている」と非難し、
「本名を報道して死刑にしろや」
「少年法の『更生』の機会なんてこいつらに必要なんでしょうか?」
「世間に顔向けできないように、再起不能に!」
などと過激な投稿を繰り返す。逮捕された3人以外にも関係者がいるとして、ほかの複数人の実名や顔写真を投稿している。

スマイリーキクチ「私的制裁のように感じました」
こうした不確かな情報の投稿に、お笑い芸人スマイリーキクチさん(43)は容疑者逮捕前日の26日のブログで、
「一部の人は正義感だと思っているようですが、言葉の集団リンチを繰り返す、私的制裁のように感じました」
と指摘している。自身も1988年に起きた女子高生殺人事件に関与していると、ネット上で中傷され続けた経験がある。
「未成年だからという理由だけで、軽い処分なんて許せない。その感情は一緒です」
と理解を示しつつも、
「辛苦に耐え、無念さを痛感するのは誰か。自分の行動と言葉に『責任』を持ち、その場の感情に流されないように、冷静に考えるべきだと思いました」
と語っている。
ちなみにネットで行われているこうした行為は、名誉棄損やプライバシーの侵害に当たる可能性があり、法的責任を追及される場合がある。

川崎中1殺害 出会いはゲーセン、深夜に呼び出し「おもちゃにされていた」

産経新聞 2015年3月1日

中学1年の上村(うえむら)遼太さん(13)が遺体で見つかった川崎市の多摩川河川敷には、寄せ書きをしたバスケットボールが何個も並ぶ。雨で文字が消えないように傘が差されたものもある。「もっと遊んでいたかったよ」。上村さんも同じ気持ちだったに違いない。

ムードメーカー
青く澄んだ海が取り囲む島根県・隠岐諸島の離島、西ノ島町で上村さんは短かった少年期の大半を、友人と自然の中で目いっぱい遊んで過ごした。
「みんなに好かれるムードメーカーだった。今度はいつ帰ってくるかな、と楽しみだったのに」。町立西ノ島小学校の金築康治(かねつきやすはる)校長(54)は振り返る。
上村さんは5歳の頃に西ノ島町に移住。家庭の事情で、小学6年の1学期を終えて川崎市に戻った。島の人気者が、川崎でも人気者になるのに時間はかからなかった。
「ウエリョー」「カミソン」。いろんな愛称で親しまれた。「カミソンはテンションが高くて誰からも好かれていた」と同級生の男子生徒(13)。昨夏、夏祭りに行った折に上村さんにサングラスをかけて写真を撮ろうとすると、「恥ずかしいよ」と照れるうぶな一面もあった。
中学に入ると大好きなバスケットボール部に入り、放課後も公園でバスケに興じた。身長の低さも生かした技術で、上級生もとりこにした。水飲み場にいるだけで、上村さんの周りには人だかりができた。

無理難題を強要
やがて、上村さんに変化が生じる。親しくなったバスケ部の中学3年の男子生徒(15)と昨秋ごろ、ゲームセンターに行くようになる。そして男子生徒の紹介で、バスケとは関係のない別の中学の上級生とも遊ぶようになっていく。
そのゲームセンターに出入りしていたのがこの上級生の友人で、上村さんを殺害した容疑で逮捕されたリーダー格の少年(18)だった。
冬ごろに知り合い、当初こそ仲良くゲームをしたりしていたが、間もなく「万引してこい」「けんかしろ」などと無理難題の命令が始まったという。断る上村さんを殴ったり蹴ったりする日々が続いたともいわれる。上村さんも同行するのを嫌がったのだろう。少年らが深夜、自宅前にまで押しかけて、上村さんを呼び出す姿が頻繁に目撃されるようになる。冬休み明けからは、不登校が始まった。
同級生の男子生徒(13)は言う。「上村君は不良になる人じゃない。みんなの人気者だった。不良グループに入ったのでなく、グループのおもちゃにされていたんだ。俺たちの中では、最後まで明るく楽しいやつだった」
1月には、上村さんが青く目をはらした姿が目撃される。上村さんはあざを隠すように白いマスクをしていたという。暴行がエスカレートしたのか。2月には、教諭や友人に「そろそろ学校に行こうかな」と漏らすようになった。
だが、上村さんは20日、登校を果たす前に遺体で見つかった。捜査幹部は言う。「どうにかしてあげられなかったかな。かわいそうだよ」

大人が気付くしか
子供が発するSOSへの対処の遅れは、何度も悲劇を招いてきた。東京都江戸川区で平成22年1月、両親の虐待で男児(7)が死亡した事件でも、学校や家族が異変に気付きながら男児の死を防げなかった。
そして今回。悲劇はなぜ繰り返されるのか。教育評論家の石井昌浩氏は「子供の世間は狭い。上村さんも、その友人らも、少年らの恐怖に支配されており、大人に訴えることはできなかっただろう。大人の側が気付いてなんとかするしかなかった」と分析する。
市教委によると、上村さんは昨年の夏休み以降に部活を休むようになり、1月8日からは完全に不登校になった。担任は、5回にわたって家庭訪問し、電話を約30回かけた。母親はほとんど電話に出なかったという。
石井氏は「親、学校、地元が3本柱。校内のことは校内で済ませるという考えは通用しない。児童相談所や警察の担当者と具体的な形で協議する仕組みが必要だ」と訴える。
「悩みを抱えた子はまだいる。今後も気付けなければ、遼太の死は無駄になってしまう」。西ノ島小の金築校長の言葉は重い。

子供を花粉症から守る9つのルール

Mocosuku Woman 2015年3月1日

いよいよ花粉シーズンがピークを迎えようとしています。暖かくなるのはうれしいけど、年々増え続ける花粉の飛散量に悩む人も多いのではないでしょうか? 日本人の4人に1人は花粉症を発症していると言われる昨今。最近では、乳幼児期の子どもの発症率も上がってきているようです。子どもに花粉症を発症させないコツはあるのでしょうか?

子どもの3人に1人が花粉症に
そもそも「花粉症」とは、体内に入った花粉に対して人間が起こす異物反応で、これを「免疫反応」と言います。一般に免疫反応は、身体にとって良い反応なわけですが、ときに免疫反応が過剰になり、生活に支障が出てしまいます。このように身体にとってマイナスに働いてしまう場合がアレルギーということになります。もちろん花粉が体内に入ってもすぐに花粉症になるわけではありませんし、アレルギーの素因を持っていない人は花粉症にはなりません。診断方法にはアレルギー反応を示す物質(アレルゲン・抗体)で皮膚検査や血液検査などで判定します。ところが、乳幼児期に花粉症らしい症状が出たとしても、3歳~5歳以上にならないと正確な診断が出ないことが多いため、診断には保護者の観察力も重要になってくるようです。
大手製薬会社ロート製薬が2012年、2014年の12月に、花粉症対策への啓発を目的とした0歳~16歳の子どもをもつ父母を対象に「子どもの花粉症」に関する調査を実施しました。その調査によると0歳~16歳の子ども2452人中「花粉症である」と実感している子どもは32.7%、さらに、その発症年齢を調査したところ、3歳、5歳と答えた人が最も多く、5歳までの発症率は4割強、10歳までに発症した子どもは約8割、また16歳までの子を持つ父母が実感する「子どもの花粉症」は約3割強と年々発症率が増加傾向にあります。

なぜ花粉症患者の低年齢化が進んでいるの?
環境省(2014年花粉症環境保健マニュアル)によると、花粉症発症の低年齢化には、以下の6つの問題があると考えられています。
・飛散する花粉数の増加
・母乳から人口栄養への切り替え
・食生活の変化
・腸内細菌の変化や感染症の減少
・大気汚染や喫煙、空気中の汚染物質
・ストレスによる影響
食の欧米化、過剰な衛生管理、生活環境の変化が要因となっているようです。
また、花粉症の症状と関連性の強いもののひとつとしてタバコや春先の黄砂などの影響を指摘する声もあるようです。

子どもを花粉症から守る9つのルール
将来、子どもが花粉症で苦しまないようにするにはどうすれば良いか、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター長、谷口克氏が「花粉症にならないための9か条」を紹介しています。
1.生後早期にBCGを摂取させる。
2.幼児期からヨーグルトなどの乳酸菌飲食物を摂取させる。
3.小児期にはなるべく抗生物質を使わない。
4.猫、犬を家の中で飼育する。
5.早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす。
6.適度に不衛生な環境を維持する。
7.狭い家で、子だくさんの状態で育てる。
8.農家で育てる。
9.手や顔を洗う回数を少なくする。
小児期が免疫機能を確立するためにとても重要であることが分かります。

花粉症になったら水分摂取は必要?それとも控えるべき?
人間の体は成人男性で約60%、女性で約55%が水分でできているため水分が必要不可欠。水はまず食道、胃や小腸、大腸とめぐり、血液へと移行し水分バランスを保っています。水分補給はのどや鼻の粘膜を潤し、ウィルスの侵入を防ぐとともに侵入したウィルスを痰や鼻水によって体外に排出する作用を助けるのだそうです。水分は控えるべきといった意見も多く聞かれますが、とくに花粉飛散量がピークになるこの時期は、水の中でも塩素を含まない良質な水を選び、どんどん飲んで身体が不要と判断したものを排出させることこそ重要。そして、バランスの取れた食事、生活習慣や生活環境を見直してみることも大切なのかもしれません。
とくに、子どもの花粉症は、集中力の低下や睡眠不足など学校生活や学業の低下に影響を及ぼします。幼少期から注意深く観察し、発症させないよう心がけていきたいですね。