「性犯罪」から中高生を守れ 実例ベースの“啓発マンガ”に問い合わせ集まる

産経新聞 2015年3月7日

児童ポルノや買春など中高生が被害者になる性犯罪が後を絶たない。こうした中、子供が性犯罪について学べる啓発マンガをNPO法人が作成、2月末から無料配布を始めた。犯罪に遭わないための注意点や相談先の一覧なども掲載しており、学校や「子供に読ませたい」という保護者らから多くの問い合わせが寄せられている。(日野稚子)

寄せられた相談を基に
マンガの題名は「ブルー・ハート」。NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」が、実際に寄せられた相談を基に3つの物語を作った。いずれも主人公は中高生だ。
女子高生が主人公の物語では、インターネットの掲示板を通じて知り合った男にせがまれるまま下着姿の写真を送ってしまい、ネット上に流出されてしまう。
クラス担任がそれに気づき、女子高生は両親とともに警察に相談。男は女子高生に親近感を持たせるために、身分を偽っていた-。
軽い気持ちで裸の写真や動画を送ると、ネット上で公開されるリベンジポルノ(復讐目的の画像投稿)など最近、社会問題化している犯罪に巻き込まれるケースもあることに警鐘を鳴らしている。
このほか、女子高生が「短時間で高収入」といううたい文句にひかれて始めたバイトで児童ポルノの被害に遭ったり、男子中学生がゲームセンターで知り合った男から性暴力の被害を受けたりしたケースを掲載した。

高校生から聞き取り、現実味を
同法人は労働や売春を強要して利益を搾取する人身取引の被害者救済を目的に、無料相談や啓発活動を展開している。平成26年に受けた相談は約170件で、強制売春や児童ポルノなどの被害者は15人。ほとんどは10~20代前半の若者だった。
同法人代表の藤原志帆子さんによると、21年頃からSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を介して中高生が児童ポルノや児童買春などの性犯罪に巻き込まれる相談が増加したという。
「被害に遭った子供の多くは『心配をかけたくない』と親など身近な人にほど打ち明けることができない」と藤原さん。「性への関心が高まる思春期の子供たちが性犯罪の危険性について学ぶ機会は少ない。相談を受ける中で、もう少し知識があれば被害者にならずに済んだかもしれないと考えるようになった」と啓発マンガ作成のきっかけを話す。
物語にリアリティーを持たせるため、中高生40人に聞き取りを実施。登場人物のインターネットや言葉の使い方など細かい描写に反映させた。
巻末には、主に10代向けの電話相談窓口を開設する団体の連絡先も掲載した。 藤原さんは「被害者は普通の子供たち。本人も親も自分たちは大丈夫と思っている。加害者は心の隙を突くので、親子で話し合うきっかけに活用してもらいたい」と話している。
計1000部を学校や児童養護施設などに無償配布するほか、4月にはデジタル版も作成予定。申し込みは同法人のホームページ(http://lhj.jp)か電話((電)050・3496・7615)で受け付ける。

人身取引事件、中高生は5人被害
警察庁のまとめによると、全国の警察が昨年1年間に摘発した、金銭などを搾取する目的で、強制的に売春や労働をさせる人身取引事件は、32件(前年比7件増)の33人(4人減)だった。
摘発したのは8都県警。保護した被害者は24人(7人増)に上った。いずれも10~30代の女性で、中学生が3人、高校生も2人いた。

園児を閉じ込め、ひもでつなぐ…保育施設を指導

読売新聞 2015年3月7日

大分県別府市の認可外保育施設「秋葉保育園」で、30歳代の男性職員が園児を収納スペースに閉じ込めたり、ひもでつないだりしたとして、県が児童福祉法に基づいて同園に改善を指導していたことが7日、分かった。
県などによると、職員は昨年夏から今年1月にかけ、2~5歳の男児3人に対し、ベビーベッドの下にある収納スペース(高さ、幅、奥行き各約1メートル)に一時的に閉じ込めたり、迷子防止用のひもでつないだりしていたという。
県は1月に保護者から情報提供を受け、2月に立ち入り調査を実施。「児童の人権について十分な配慮を欠いていた」として、今月3日に文書で改善を求めた。
この職員は保育士ではなく、夜間に保育士をサポートする仕事をしていたが、1月末に依願退職。県に対し、「しつけと安全のためにやった」と説明したという。
県監査指導室は「不安や恐怖心を抱かせる不適切な行為だった」と指摘。同園の川崎礼子園長は「行き過ぎた行為で反省している。改善に取り組む」としている。

「入れ墨調査」を拒んだ職員を処分したのは「違法」 なぜ大阪市は敗訴したのか?

弁護士ドットコム 2015年3月7日

大阪市が「入れ墨」の有無を職員に確認した調査で、回答を拒んで戒告処分を受けた女性が処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が2月中旬、大阪地裁であった。中垣内健治裁判長は「調査は大阪市の個人情報保護条例に反する」と違法性を認定。処分を取り消す判決を言い渡した。
大阪市は2012年5月、橋下徹市長の指示で、教職員を除くすべての職員を対象として、入れ墨の有無を調査。回答を拒んだ6人に戒告処分を下した。女性は市立病院の看護師で、入れ墨はなかったが、「調査はプライバシー侵害にあたる」として処分取り消しを求めていた。
大阪市は今年3月2日、判決を不服として控訴した。大阪市の入れ墨調査をめぐっては、懲戒処分を受けた市交通局の男性が訴えた裁判でも、大阪地裁が昨年12月、処分取り消しの判決を言い渡した。こちらも大阪市は控訴している。
地裁判決だが、相次いで大阪市の処分が取り消されたことについて、市交通局の男性の代理人をつとめる小谷成美弁護士に聞いた。

「入れ墨調査には根拠が存在せず、必要不可欠でもなかった」
大阪市の入れ墨調査が違法と認定されたのは、どんな理由があるのか?
「大阪市の個人情報保護条例は、人種や民族、犯罪歴など『社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報』(差別情報)について、原則として収集してはならないと定めています。
つまり、他人に知られたら差別されるかもしれない情報は、個人にとってとても大切なので、きちんと法令等で決まっているか、どうしても必要な場合でなければ、収集してはいけないのです。
裁判所は両訴訟とも、(1)入れ墨の有無に関する情報は『差別情報』にあたり、(2)調査の根拠となる法令等は存在せず、(3)職場で身だしなみの点検が行われていたことなどからすれば、どうしても必要だったとも言えないので、原則通り、調査することは許されないと判断しました」

入れ墨調査がおこなわれた背景は?
「入れ墨調査のきっかけは、『大阪市立の児童福祉施設の男性職員が、施設の子どもたちに自分の入れ墨を見せて脅かした』という内容の報道でした。しかし、市の調査では、この職員が入れ墨で児童を脅したという事実は確認されなかったことが明らかとなっていました。
ところが大阪市は、報道を信じた市民の批判の声を受けて、事実を丁寧に説明することはありませんでした。本当に必要なのか、十分に吟味することもなく、教職員を除くすべての職員に対し、一律に職務命令を出して調査を実施し、良心に従って拒否した原告らを懲戒処分としたのです」

「個人のプライバシー領域に立ち入ることは許されない」
判決の意義は何か?
「個人は、自己の領域についての情報を公権力や第三者に対し、秘密にしておく権利を有しています。いわゆる『プライバシー権』です。
大阪市の個人情報保護条例は、個人のプライバシー権を保護するためのものであり、これらの判決は、公権力である大阪市が安易に個人のプライバシーの領域に立ち入ることが許されないことを確認したものとして評価できます」

判決については、ネット上では「納得できない」などといった批判的な意見もある。
「入れ墨調査を実施した当時、大阪市には『入れ墨をしている公務員は全員クビにしろ』という声も複数寄せられたようです。
このような声があったことなどから、判決は『入れ墨に対する抵抗感から過剰に反応して不当な差別がされる可能性があることは否定し難い』としています。
みなさん、できれば一度いろいろ想像してみて下さい。
職場で何の問題も起こってないのに、入れ墨の有無を答えろと言われたら。業務への影響を調べるため、精神科への通院歴や家族の海外への渡航歴を報告しろと言われたら。しっかり休んでいるか確認したいので、寝室に監視カメラをつけろと言われたら。
あなたは、その職務命令に従いますか?
『公務員だから』『職務命令だから』従うのは当然と単純に考えてしまえば、行政や企業が、私たちの私的な領域に土足で入り込むことを許してしまいます。常に監視されている息苦しい社会になってしまうのではないでしょうか」

今後どのような展開になるのか?
「市側の代理人らの報酬などは、すべて税金から出ているので、納税者の一人としては、控訴や上告などしてほしくないところなのですが、橋下市長の意向により、市は両事件とも控訴しました。
原告側の弁護団としては、入れ墨調査は条例違反にとどまらず、憲法にも違反するものであることを改めて主張していきたいと考えています」

スマホを小指に乗せて持つ人は注意! あなたも「テキストサム損傷」になっているかも……

ねとらぼ 2015年3月8日

スマートフォンを片手で持つ時、無意識に小指を下にひっかけて持っていませんか? こうした持ち方を長く続けていると「テキストサム損傷」になる危険性があるのだそう。ドコモの公式サポートがTwitterで注意を呼びかけたことから話題になっています。
「テキストサム損傷」とは、スマートフォンの長時間使用が原因で、指の形が変わってしまったり、しびれや痛みを感じたりする症状のこと。ツイートが拡散されると、「おれテキストサム損傷だった……」「もうなってる」「時すでに遅し」など、「おれもおれも」と次々と報告が寄せられました。
テキストサム損傷を防ぐには、特定の指に負担をかけすぎないように、時々持ち方を変えたり休憩をとったりするのが有効とのことです。

元運転手が激白、「東京のタクシーは危ない」

東洋経済オンライン 2015年3月9日

『潜入ルポ 東京タクシー運転手』(文春新書)の著作があり、取材のため実際に約3年間タクシー運転手を経験したノンフィクション作家の矢貫隆氏。折しもタクシーの減車規制を巡って賛成派と反対派が論争している。その議論の中身に違和感を覚えた矢貫氏が胸中を吐露した。
著作では「楽しい経験など期待しないし、深夜の酔っ払いには不快な思いをさせられる。そんなことは先刻承知、覚悟のうえで始めた」と書かれています。なぜそこまでして体験取材を敢行したのですか。
約40年前、学生のころにタクシー運転手をしていました。当時も厳しい待遇でしたが、さらに職業差別があって誰も実態を知ろうとしてくれない。そのときの悔しい思いがずっとくすぶっていて、だったら自分で実情を世の中に発信しようと思い立ちました。そこで2008年から13年にかけて、計3回、合計で約3年間、東京都内のタクシー会社に勤務をしました。

タクシー業界は超高齢化が進む
周囲のタクシー運転手はどういう人が多かったのでしょうか。
昔はこの道何十年、運転手一筋をいう人が多かったですが、今は転職してきた人がほとんどという印象です。厚生労働省の調べによると、2013年の全国のタクシー運転手(男性)の平均勤続年数は9.3年と全産業の男性労働者の13.3年と比べて短くなっています。平均年齢も58.4歳と全産業の42.8歳と比べ高齢化しています。経歴はさまざまで、前職に関して「ない職種はない」といわれています。高学歴で元弁護士という人もいました。
私が東京で勤務していたのはちょうど2008年にリーマンショックが起きた後の不景気な時期でした。東京ハイヤー・タクシー協会の調べによると、東京の1日1車当たりの運送収入は、2007年の5万0742円から2009年には4万1148円まで急減しました。東京におけるタクシー運転手の平均年収も2007年の448万円から2010年には348万円まで下がりました。全国平均ではさらに低く、2010年に278万円となっています。

国は過当競争を是正するため、特定地域を対象にタクシー事業者へ減車を促そうとしています。現在挙がっている対象候補は29地域で、正式に計画が決まった後に従わない業者がいれば、国土交通省が一定期間の営業停止を命じることができます。
本来は規制なんてない方がいいです。マスコミなども「規制緩和の流れに逆行」、「利用者の利益を損なう」といった規制に反対する論調が多い。経済合理性の見地からはまったくその通り。しかし、タクシー業界に関しては、私はある程度の規制は必要と考えています。
利用者が街で行き当たりばったりで拾うことが多いタクシーは、料金以外のサービスで差別化することが難しく、過当競争になりやすい。利用者は駅でタクシーを待っている時、並んでいた順番通りに乗ります。街で流しのタクシーを捕まえる時も、急いでいるのでどこのタクシー会社かあまり気にしません。運転手としても、お客さんを乗せるのは早い者勝ちというのが実感です。

東京の人身事故の約10%をタクシーが起こしている
そこで問題になるのが、「安全」です。2013年に東京でタクシーが起こした人身事故件数は4157件。2000年の7226件からは減っていますがバブル時の1989年の3151件と比べると上回っています(警視庁調べ)。全自動車の事故数に占める割合も、1989年の5.8%から2013年は9.9%と増加しています。ちなみに全国ですと、タクシー事故が占める割合は2.8%(2010年時点)なので、やはり東京のタクシー事故比率は高いといえます。
タクシーの稼ぎは夜間がほとんどなので、東京では多くの運転手が午前中からから翌日の明け方まで働き、1日休むという隔日勤務の形態を取ります。機会があれば深夜に幹線道路の様子を見てください。何台ものタクシーが都心方向に向かって飛ばしています。過酷な勤務で疲れた深夜に、他のタクシーに客を奪われまいと郊外と都心をハイスピードで往復し、無理な割り込みもしばしばある。勤務を終えて帰宅した時にいつも感じたのは、「今日も無事に帰ることができた」という安堵感でした。私はこうした実態を知っているので、自分自身では深夜にタクシーをあまり利用したいとは思いません。
利用者にとって、料金は安いに越したことはないでしょう。しかしそれ以上に重要なのが安全ではないでしょうか。事故をゼロにすることは難しいですが、客の奪い合いを軽減させる減車は事故の減少に必要な最初のステップだと私は考えています。