育児相談の現場から(3)わが子が自閉症かもしれない

Mocosuku Woman 2015年3月10日

うちの子供は自閉症(※)なのではないか──。そんな疑問がひとたび起きると、母親はどんどん心配になっていくようです。インターネットなどで得た情報から、不安を募らせるお母さんが増えています。3歳を過ぎても、言葉を話さない、視線を合わせない、呼んでも振り返らないなどの様子が見られたら、児童相談所、保健センターなどに相談し、受診につなげてください。

広汎性発達障害の共通の特徴
「広汎性発達障害」とは、社会性に関連する領域に見られる発達障害の総称です(※)。ここには、「自閉症」「アスペルガー症候群」「レット症候群」「小児期破壊性障害」などが含まれます。これらの疾病には、以下の3つの特徴が共通して当てはまります。

1.社会的な交流が乏しい
2.意思の疎通が苦手で、視線を合わすことができず、他人に愛着を示さない
3.日常生活の決まりにこだわり、同じ行動を繰り返す

自閉症の原因とは
広汎性発達障害はどうして起こるのでしょうか? 現在は、胎児性風疹、フェニールケトン尿症、染色体異常などによって生じると考えられています。自閉症は、とかく心の病気、育て方の問題などと思われがちですが、実は、脳内の情報処理能力の障害で、脳機能障害です。確定診断が可能な3歳以前に症状が現れる可能性もあります。自閉症と診断された場合、生涯にわたって機能障害を抱えていくことになります。

自閉症の症状
具体的には、生後すぐからあまり泣かない、あやしても笑わないなどがあり、2~3歳では葉が出ない、特定のおもちゃに執着する、視線を合わせない、名前を呼ばれても反応しない、癇癪を起こしやすいなどの傾向があります。これに加えて、感覚過敏の兆候もあります。聴覚ではサイレンや機械音などを嫌がり、視覚では絵本の特定ページに不快感を示すことも。ほかにも、味覚過敏によって偏食になる、触覚過敏によって他の人やものとの皮膚接触を嫌うといった傾向が見られることもあります。

自閉症という予断をやめること
大事なことは、これらの特徴が自分の子供に当てはまるからといって、ただちに自閉症と断言できるわけではないということ。あくまでも、専門家が医学的な検査などを経て総合的に判断するものですから、勝手に決めてしまう前に、医師に相談することが大切です。自閉症は、早期発見・早期治療が効果的と言われていますが、一方で生後3歳くらいまで診断は難しいとも言われています。わが子があまり泣かない、あやしても笑わない、表情が乏しいといった様子を心配するお母さんもいるでしょう。しかし、診断可能な時期までは、絆を築くこと、愛情を持って接することが重要です。

母親として子供に接していくことは同じ
子供がある程度成長して、もし自閉症などの診断を受けた場合は、専門家のアドバイスなどを積極的に受けて、育児に取り組んでいってくださいね。母親として子供に接していくことに変わりはありません。最初はショックだったけれど、苦労しながら育てているうちに愛着が深くなり、今では障害があったことを感謝している、というお母さんも少なからずいます。

※本文中の「自閉症」および「広汎性発達障害」という言葉は、アメリカ精神医学会作成の「DSM」(精神疾患の分類と診断の手引き)の旧版で使われていた用語です。最新の「DSM-5」では、これらは「自閉スペクトラム症」(ASD)という新たな分類方法が適用されています。ただし、臨床医が用いるもうひとつの国際的な疾病分類である「ICD-10」では、どちらの用語も現在も使用されています。

「読み聞かせを文化に」 全国50団体が結集

オルタナ 2015年3月10日

伊藤忠記念財団は3月5日、子ども文庫助成事業の贈呈式を開いた。民間や養護施設などで、子どもたちに読者啓発、指導を行っている79の団体・個人が助成を受けた。同日、全国から50団体・個人の受賞者・受領者が集まり、「読み聞かせを文化にしていきたい」と結集し、力を合わせた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
同日、伊藤忠商事には、2014年度同財団から助成を受ける団体の代表者等が集まった。助成内容は大きく分けて3種類。現金助成、図書現物助成、個人の表彰だ。
現金助成では、子ども文庫や小児病棟、養護施設などで子どもたちに読書啓発・指導を行っている民間団体・個人に対し、図書や機材の購入費用を助成するものなど。団体55件に1650万円を助成した。
図書現物助成では、国内外の文庫活動をされている団体に児童書を送るものなど、団体22件に330万円相当を贈呈した。そして、児童図書館を20年以上運営してきた個人を功労賞として表彰した。
子ども文庫助成事業の汐崎順子選考委員長は、「子どもたちへ本を読み聞かせる活動を同財団が支援してきて40年以上経つが、将来により良い形でバトンを渡すために草の根でがんばっている誠実な姿は当時から変わっていない」と講評した。
同財団は、次世代育成の一環として、子ども文庫への助成を1975年から行ってきた。これまでに助成した件数は1951件で総額は9億8千万円にのぼる。

読み聞かせで子どもに愛着
贈呈式では、受賞者挨拶として、「子どもの本購入費助成」を受けた与那原町しまくとぅば ボランティアの会(沖縄)の屋比久澄子氏が登壇した。屋比久氏は、「読み聞かせは文化」と話す。
同会は27年目を迎える。所属するメンバーの平均年齢は70歳を過ぎているが、沖縄で古くから伝わる物語を紙芝居にして、島言葉で子どもたちに聞かせている。屋比久氏は、「だんだんと話す人が少なくなっている方言も受け継がれるし、島の文化も知ってもらえる」。
立ち上げた当初は、3メートル四方の小さな一室だったが、今では、母親が子どもに本を読み聞かせるスペースとして多くの住民に活用されているという。

読み聞かせは、「子どもたちに愛着を与えるもの」と話したのは、小規模住居型児童養育事業・児童福祉施設「ファミリーホーム高橋」(徳島)を運営する高橋芳子氏。同施設では、虐待やネグレクトにあった5~20歳の子どもたちを引き受けて育てている。
子どもたちは、親からの愛情を知らないので、大人に距離感を抱く。そこで、高橋氏は、毎晩絵本を読み聞かせている。同施設で育つ小学3年生は、家に生ゴミが放置され、食事も与えられない劣悪な環境で暮らしていた。いつ、親に暴力を振るわれるか分からない状況だったので、安心して眠ることもできないでいたという。
その子は2年前の小学1年生のときに施設に来たが、毎晩の読み聞かせの効果で、今では安心して眠れるようになっている。その子自らが、「今日はこの本を読んでほしい」とリクエストしてくる日もあるという。

「絵本の言葉は、学校では教えられない」
贈呈式に出席した、同財団理事で元アナウンサーの山根基世氏は、絵本の読み聞かせで「学校では教えられない、言葉を学べる」と話す。その理由は、教科書とは違い、絵本は、登場人物の喜怒哀楽が描かれていて、毎日の暮らしで使える言葉で書かれているからだ。
さらに、読み聞かせで地域・全国にネットワークをつくり、子育てを親だけの役割にしないように訴え、「朗読を手段にして、人が集まることで、さまざまな大人たちに囲まれて子育てを行える。すばらしい人間力を備えた人に育てるための格好の方法」と薦めた。

医師が実践して示した「健康寿命」を伸ばす日常生活の工夫とは?

Mocosuku Woman 2015年3月10日

健康寿命は、日常生活で介護などを必要とせず、自立して生活できる期間のことです。現在、その平均年齢は、男性70.4歳、女性73.6歳。比べて平均寿命は、男性80.2歳、女性86.6歳となっています。この差の10年間が何らかの介護を必要とする期間になります。
健康寿命はどのように延ばしていくことができるのでしょう。そのポイントは「脳」と「脚」を鍛えること。つまり、「認知症にならず、生涯自分の足で歩く」ことが重要だと、3月2日放送『主治医の見つかる診療所』で紹介されました。
番組では、80歳を超えても、現役で元気に活躍されている2人の医師が紹介されました。共通するのは、医師として人間の身体や健康に合理的に取り組みながら、自らの生活を楽しんで送っていることでした。

チャレンジ精神旺盛な医師
1人目は、98歳の現役精神科医で、病院理事長。医師歴は66年です。穏やかな先生の日常には、健康でいられるヒントがいくつもありました。

コミュニケーションをしっかりととる
毎週月曜日9時~11時は、外来で診察をします。そこでは、心掛けて患者さんの話を聴き、コミュニケーションをしっかりとり信頼関係を築いています。

歩く(足腰を鍛える)
3階のご自宅までは、51段の階段を歩いて上がり降りして、毎日それを3往復されているそうです。92歳で大腿骨骨折をしましたが、リハビリ生活を経た後、現在のように階段を自分で上がることができるほどになっています。

たんぱく質を摂る
生涯独身の先生は3食自炊で、おかずの中には、肉や魚のたんぱく質を意識して入れているとのこと。

「毎日学ばなきゃ、心の中が空っぽになっちゃう!」
80歳から始めた水彩画は、病院のロビーに飾るほどの出来栄えです。また、90歳から始めた数字パズルは、認知症予防として始めたのに、今ではこれをやると頭が休まるそうです。
98歳の現在、カップ焼きそばを初めて食べたそうです。
いくつになってもチャレンジ精神を忘れない。年寄りだからといって甘えないことが、若さを保つ秘訣かと、番組医師団も感心しきりでした。

食養生を実践する医師
もう1人は、熊本県の診療所の医師(通称クマ先生)80歳です。
食養生で健康生活
「養生伝承館」という施設を作り、塾を開いて、福岡からも大勢の人が、先生の話を伺いたくて訪ねてきます。「医療は食から、食は農から、農は自然から学べ」という信念で、1500坪の畑に無農薬で野菜を作り、食養生を実践しています。
クマ先生ご自身の食生活は、毎日黄粉入り自家製ヨーグルト、畑で取れた自家製野菜ジュース、主食は雑穀米、砂糖は一切使用しないとのこと。
畑が冷蔵庫。自家製野菜で育てた新鮮野菜を毎日たっぷり摂る、ミネラルの多い海藻なども多く摂る、たんぱく質は豆腐で摂るなどを自ら実践されていす。

養生は人にやらされるものでなく、自分でやり続けることが大切と、自ら畑仕事に取り組んでいます。畑仕事は全身運動とのこと。また、食事もよく噛んで食べます。番組医師団も、唾液には消化酵素が含まれていて、よく噛むと食べ物を効果的に消化するだけでなく、免疫力アップの効果もある。また、私たちの身体は健康に育てられた物を食べれば、健康になるようにできているなど、称賛のコメントがありました。

知らないとかなり危険。あなたがいつも食べている「卵」の、嘘と真実

TABI LABO 2015年3月9日

我々日本人にとって最も身近な食品のひとつである「卵」。国際鶏卵協議会のレポートによると、なんと日本人は1人当たり年間平均300個以上の鶏卵を消費している計算になるのだとか。これは世界でも第二位という消費量(ちなみに一位はメキシコ)。でも、意外とみんな卵について知らなかったり・・・。

日本の卵は基本的に生食OK、でも・・・
日本人は卵をたくさん食べるだけでなく、「生」で食べるという習慣も持っている。じつはこれ、世界的には珍しく、西洋人のなかには、日本の卵かけご飯文化に驚く人も多いのだとか。
それを可能にしているのが、日本の徹底した食品安全基準。一方で保存の仕方によっては、食中毒の心配がまったくない、というわけではない。
食中毒の原因となるサルモネラ菌は、一定期間内であれば常温でも繁殖することはないが、それを過ぎると急速に増殖するそう。その期間は温度によって違うため、一概には言い切れないが、当然のことながら夏の暑い時期は短くなる。
家庭でできる対策としては、購入後、必ず冷蔵庫(10℃以下)で保存すること。それだけで卵の賞味期限はより信頼できるものになるのだ。

それでも気になる場合は、水の中に入れてみて!
とは言っても、卵は賞味期限が長い食材。パッケージから出して保存してしまって「賞味期限がいつだっけ?」なんてこともある。
そんな時に役立つ、簡単な卵の鮮度の見分け方が「水に入れる」というもの。卵が沈めば新鮮、浮けば古い卵と判断できる。これは時間が経つにつれて、卵の殻が空気を含むから起こる現象を利用した判断方法で、なんとアメリカの農務省のガイドラインにも載っているのだとか。
なお、浮いたからといって食べられないわけではなく、ちゃんと火を通せば問題なく食べられることも。また、個体差もあるので、あくまで目安ということを覚えておきたい。

黄身の色の濃さは、鮮度と関係ナシ!?
もうひとつ。よく卵の黄身の色が鮮やかだと「新鮮な卵」「美味しい卵」と判断する人がいるが、これは間違い。黄身の色は、鶏の種類やエサによっても変化してくるので、一概に「鮮やか=新鮮で良い卵」とは言い切れないのだ。
同様に、黄身と白身の部分が盛り上がっていると「新鮮な卵」という判断方法もよく世間で言われているが、こちらはちゃんと根拠アリ。鮮度の高い卵は炭酸ガスが含まれており、それが身を盛り上げるのだそう。

赤い殻の卵が高級というのは、単なるイメージ!
最後に殻の色。こちらも世間では「赤い殻=美味しくて、高級な卵」というイメージが浸透しているが、それはあくまでイメージ。もちろん、良質な赤い卵も多く存在するが、赤いから良質というわけではない。
そもそも、卵の殻の色は、ほとんど場合、鶏の羽の色と同じ。つまり単に鶏の種類や飼育環境によるもので、必ずしも「赤>白」とはならないのだ。