「子どもの声を嫌う人」と折り合う道はあるか

東洋経済オンライン 2015年3月30日
東京都議会は3月27日、本会議において「子どもの声」を都の騒音条例の数値規制の対象から外す東京都環境確保条例改正案を全会一致で可決した。

これによって保育園、幼稚園、公園などで子どもの遊ぶ声や一緒にいる保護者、保育士などが発する声について違法であるかどうかは、”受忍限度論”によって判断されることになった。
ただし送迎時の保護者同士のおしゃべりなどはこれに含まれず、旧来通りに数値規制の対象にとどまるとされる。
同都条例は2000年に「現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保することを目的」として制定された。それに先立って知事の私的諮問機関である東京都近隣騒音問題懇談会は1986年に出した報告書で、保育園や学校施設の社会的役割を考慮し、音量規制を目安としつつも実情に応じた良識ある解決方法をとるべきとしている。

子どもの声に関する苦情は多い
しかし「子どもの声」が他の騒音と同様に数値規制の対象である意味は大きかった。公園の噴水の近くで遊ぶ子どもの声などが規制基準値の50デシベルを超えるとして、東京地裁八王子支部が2007年10月に噴水使用禁止仮処分を出したこともある。昨年に東京都が都内62自治体に対して行ったアンケート調査でも、42自治体で「子どもの声」に関する苦情があったことが判明している。
そもそも「子どもの声」を他の騒音と同じであると断定し、基準値以上の音をたてるのを禁止することは適切なのか。子どもが成長する上で、のびのびと身体を動かし、元気よく声を出すことは欠かせない。それを奪うということは、子どもの権利侵害にもなりかねない。
「児童福祉法」には「健やかに成長するという子どもの権利」が規定されており、「子ども・子育て支援法」も「ひとりひとりの子どもが健やかに成長することができる社会の実現」をうたっている。子どもが声を出す権利は法的に保障されているのだ。
こうした問題については、すでにドイツは2011年5月に「連邦環境汚染防止法」を改正し、保育施設や遊戯施設から発生する子どもの騒音についての損害賠償請求を禁止した。それに先立って2010年2月には「ベルリン州環境侵害防止法」が改正され、子どもが発する音は成長の表現として保護すべきものであり、社会的相当性があるため受忍の限度内であることを明らかにした。「子どもの声」のみならず、それに付属して発生する音についても保護の対象としたのだ。
少子高齢化問題を抱える先進国では、子育て環境の整備は重要な政策課題になっている。とりわけ8672人もの待機児童を抱える東京都にとって乳幼児を受け入れる施設の増設は喫緊の課題であるが、それには近隣の住民の反対にあうことも少なくない。
ドイツも同じ悩みを抱えていた。子どもが発する騒音を理由に訴訟が相次ぎ、ハンブルグ市では住居地区にあった幼稚園が閉鎖に追い込まれたこともあった。そこでさらに踏み込んで「子どもの声」を「特権化」したわけだ。

都は、施設が近隣に配慮することを求める
だが東京都が「子どもの声」に対する新たな基準とした受忍限度論は、ドイツと同じものではない。「子どもの声」が法規制の対象から外れたのではなく、周辺の生活環境に障害を及ぼしているかどうかが具体的に判断されることになったにすぎない。その判断要素として、防音壁の設置など講じられた措置や関係者同士のコミュニケーションの程度も加味される。要するに東京都が基準とする受忍限度論は、コミュニケーションを通じて施設の近隣への配慮が進むことを目指すものといえるのだ。
その背景にあるのが、東京都が規制見直しに関して募集したパブリックコメントに対して賛成が6割、反対が3割だったことだろう。反対が賛成の半分を占めた意味は小さくなく、客観な数値規制から外すことで、曖昧にならないかとの懸念をどう解消させるかという重要な役割を受忍限度論は背負うことになる。
そのためには、反対意見を納得させるに必要な努力を施設側に求めなくてはならないし、条例を執行する自治体にも、受忍限度論は積極的に解決に導く役割を課すことになる。
実際には都内自治体の8割が騒音測定を行っておらず、約半数が施設側の防音工事費負担などについて把握していない状態だ。これについては東京都が具体的なQ&Aを作成するなど自治体支援に務める予定だ。
このように東京都の条例改正は当事者のコミュニケーションを図ることで問題の解決を目指すものだが、実際にはそれでは終結しえない「子どもの声」を巡るトラブルも存在する。
昨年9月、神戸市東灘区の保育園の「子どもの声」をめぐって近隣に住む男性が保育園を経営する福祉法人を相手取り、より強固な防音設備の設置と100万円の慰謝料を求める裁判を起こした。
原告の男性側は「子どもの声」を測定し、その騒音レベルは70デシベルを超えているという事実を裁判所に提出している。これは街頭の喧騒や掃除機の音に相当するもので、静かな生活環境とはいいがたいというのが男性側の言い分だ。
一方で保育園側が園児たちの帰宅後に周辺を測定したところ、騒音レベルはすでに60デシベルほどあったという。保育園付近には阪神高速道路や国道43号線が通っており、交通量が多い。騒音は「子どもの声」だけではないというのが保育園側の主張だ。今後は専門家に「子どもの声」とその他の騒音を分けてもらい、果たして「子どもの声」が一般の受忍限度を超えるかどうかを裁判所が判断することになる。
この争いは保育園の建設計画が持ち上がった当初から発生しているもので、保育園側もカーテンや窓を閉めるなど騒音対策を行っていたが、原告側と折り合いがつかなかったという事例だ。ここまでこじれる前に、当該保育園に通う園児のためにもなんとか解決方法がなかったものかと思われる。

責任は子どもではなく、親にある
「子どもの声」について、タレントの松本人志氏が2月23日にtwitterで興味深いことをつぶやいた。1万1388人が公式リツイートし、1万6558人がお気に入りに入れている(3月29日午後2時半現在)。
「新幹線で子供がうるさい。。。子供に罪はなし。親のおろおろ感なしに罪あり。。。」
保護者側が周辺に気遣いを見せてこそ、受け手側も子どもに対して寛容になれるということだ。いずれにしろ、元気な子どもの声が騒音と見なされない社会の形成が急務だろう。
安積 明子

育児書に学ぶ、男子を上手に叱る3つのポイント 3勝7敗の境地で…

withnews 2015年3月29日

母親から見ると、謎がいっぱいの男の子。どうやったら言うことを聞いてくれるの…と悩む声に応える「男の子本」が人気です。そこから見えてくる男子の「生態」とは?

謎多き男子に「解説本」
「男の子の本当に響く叱り方ほめ方」(すばる舎)の著者で、兵庫県西宮市立保育所で初の男性保育士だった大阪教育大准教授(家政教育)の恭弘さんは男子を理解するための4つのキーワードを挙げています。

(1)風来坊
予想外のことをするが、行動に意味はない。
(2)オタク
図鑑を100回読むなど、こだわりが強い。
(3)ドリーマー
空想の世界で何かと戦っている。
(4)無法者
その場しのぎで、約束を守らない。

叱るなら…
男の子はこんなもんなんだと理解した上で…叱る際のポイントは以下の3つといいます。
(1)叱るラインを決める
Kさんのうちの場合(3人の息子のパパ)、ひとや自分の命にかかわったり、尊厳や気持ちを傷つけたりしそうというのが一線だ。
(2)今ここで
男子に過去や未来の時間の概念はない。
(3)3勝7敗でいい
保護者の言うことの10のうち3を聞いてくれればよしとする。

「おだててナンボ」
「でも、叱るよりほめて。お調子者の男子はおだててナンボ。それも、今ここで、その行動がよかったよとシンプルにほめてあげて下さい」と小�・さん。
ある程度はあきらめ、基本はほめる。息子のみならず、後輩男性、彼氏等々…なんだかんだいって結構応用がききそうです。

児相の男児アレルギー死 両親敗訴が確定

カナロコ by 神奈川新聞 2015年3月28日

横浜市の児童相談所が3歳の男児にアレルギー物質を含む食事を与えて死亡させたとして、両親が市などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は27日までに両親側の上告を退ける決定をし、原告敗訴が確定した。決定は25日付。
二審東京高裁判決によると、男児は2006年、東京都内の病院に病気で入院し、病院側が「両親が栄養を与えない虐待の疑いがある」と児相に通報。一時保護した児相は男児に卵を含んだちくわを誤って食べさせ、食事から約7時間後に亡くなった。
一審横浜地裁は、アレルギー反応によるアナフィラキシーショックが死因だとし、市の過失を認め約5千万円の支払いを命令。しかし二審東京高裁は「食事から数時間は発症がなかった」と、死亡との因果関係を否定し請求を棄却した。

市の対応認められた
鯉渕信也こども青少年局長は「市の対応が適正なものだったと認められたと考えております。亡くなられたお子さまのご冥福を心よりお祈りします」とコメントした。