<厚労省>介護福祉士や保育士の資格を統合

毎日新聞 2015年4月11日

一本化検討入り 福祉人材の確保に向けて
厚生労働省は少子高齢化と人口減で人手不足が懸念されている福祉人材の確保に向け、介護福祉士や保育士などの資格を一本化する検討に入った。戦後ベビーブームの「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年以降を見据えた動きで、介護施設と保育施設などを一つにまとめて運営できるようにすることも考えている。近く省内に検討チームを発足させ、利点や課題を整理する。【中島和哉】

厚労省の推計によると、25年に必要とされる介護職員の数は約248万人で、このままでは約33万人不足し、保育士も17年度末には約7万人足りなくなる。
人口減が進む40年には、地方の過疎化が一層深刻化する見通しで、厚労省は介護施設や児童福祉施設などがバラバラに点在している現状では、人手不足で存続できない施設が続出する可能性があるとみている。
ただ、保育士の場合、今後の少子化で大幅に人員を増やせば将来過剰となる。このため、厚労省は介護施設、保育施設、障害者施設を1カ所にまとめられるよう規制を緩和したうえで、介護福祉士や保育士など専門職種で分かれている資格を統合し、1人の職員が子育てから介護サービスまで提供できるようにする仕組みを検討することにした。
参考にするのが、フィンランドが導入している医療と社会福祉サービスの共通基礎資格(ラヒホイタヤ)だ。ホームヘルパーや准看護婦、保育士、リハビリ助手など計10の中学校卒業レベルの資格を一本化した資格で、福祉や介護に従事する職員を確保する必要性から生まれた。1人で複数の分野を掛け持ちできる職員を福祉の現場に配置し、柔軟に対応できるようにしているという。
この資格を持っていると、子育てから介護まで幅広い分野で働くことができ、求人も多いため、生涯仕事を続けることができるという。厚労省は同様の仕組みを日本で導入すれば、雇用対策にもつながるとみている。
問題になるのは、乳幼児の世話と認知症患者も含めた高齢者のケアでは、求められる技術や知識が大きく異なる点だ。すべて1人でこなすには高い能力が求められ、資格の一本化には、人材をどう育成し確保するかという課題が横たわる。介護、福祉の現場からは、資格統合に対する反発もあり、同省は時間をかけて検討することにしている。

児童手当3,000円を臨時支給…2015年度予算

リセマム 2015年4月10日

政府の平成27(2015)年度予算が4月9日に成立し、一般会計予算(当初予算)は総額96兆3,419億5,097万円となった。子育て支援では、児童手当の対象児童1人につき3,000円を支給する臨時特例措置や、低所得世帯に対する幼稚園の保護者負担軽減などが盛り込まれた。

幼稚園就園奨励費補助について
消費税率の8%への引上げの影響を踏まえ、平成27年6月分の児童手当を受給している世帯に対し、対象児童1人につき3,000円を支給する臨時特例給付措置を講じる。対象児童は1,630万人、給付費は489億円を見込む。
待機児童解消速化プランとして、平成29年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保するため、平成27年度は約8万人分の保育所を整備する。また、保育士確保に向けた取組みとして、保育士資格取得のための修学資金の貸付や離職保育士に対する再就職支援などによる保育士確保対策を実施する。
幼児教育の段階的な無償化に向けて、平成27年度は、市町村民税非課税世帯(年収約270万円まで)に対し、幼稚園の保護者負担額を月額9,100円から月額3,000円に引き下げる。また、市町村に対する補助を拡充し、市町村の超過負担を解消することで、すべての園児に等しく支援が行われるよう環境整備をする。

11年間で患者数3倍? 増えつつある「うつ病」の過去と現在

nikkanCare.ism 2015年4月11日

この春から環境が変わり、精神的なストレスが増えたという方も多いのではないでしょうか。「もしかしてうつかも……?」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、過去に比べると、うつ病だと診断される人の数が増えたと言われています。それについて、厚生労働省が出した「心の健康対策~うつ病~」から見ていきましょう。

うつ病は年々増えている
「うつ病である」と診断された人は、708万人程度だと言われています。気分障害を患っている人のなかでも、うつ病はもっとも多いものであり、気分障害だと診断された人のうちの7割近くはうつ病だと言われています。
上であげた数字は、平成23年のデータです。12年前の平成11年に比べると、その数は約3倍にもなっています。現在、「うつ病が増えた」と言われているのはこのためです。
しかもこれは、“実際に病院に足を運んで”、かつ“うつ病である、というしっかりした医師の診断を得た人”の数ですから、潜在的な患者数というのは、実際にはもっと多いと考えられています。

うつ病と自殺の関係
ただし、上記の結果だけを見て、「うつ病が増えている現在は、昔に比べて生きにくい世界になったからだ」と考えるのは早計です。
たとえば自殺者の数について考えてみましょう。自殺にはさまざまな理由があり、一概にうつ病のせいだと言い切ることはできませんが、警察庁が出している「自殺者の統計」を見ると、自殺の理由にうつ病が占める割合は非常に高いのが現状です。「病気を理由とした自殺」のなかで、「うつ病によるもの」は40%を超えています。
仮に、うつ病が3倍に増えているのであれば、それだけ自殺者も増えたとしても不思議ではありませんが、実際は、自殺者の数は平成11年ごろとそれほど大きくは変わっていません。

「うつ病発見」は朗報かも
「うつ病と診断される人の数が増えている」と聞くと、私達はついつい悲観的に考えてしまいがちです。
しかし上のことからも分かるように、うつ病を患っている人の数が「増えた」ということは、それだけうつ病が認知されやすくなり、病院にかかる人が増えたことの理由でもあるのではないでしょうか。
「気分がどうにもすぐれずもやもやがとれない」、「何をしても気分が落ち込む」、「何もやる気が起きない」という悩みを、かつてのように、“性格の問題”の一言で片づけようとせず、病院に足を運び、病気である、と診断されることは、自分の症状を把握する上で有効なのです。

「自分だけがつらいのではない」という言葉を、自分を追い込むために使うのではなく、病院へ足を向けるためのきっかけの言葉として使うことは、精神の健康を保つ上で、非常に有用だと言えるでしょう。