子どもにイライラしてしまうお母さんはどうしたらいい?

BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 2015年4月28日

東京神楽坂「la kagu」内レクチャースペース「soko」にて名作絵本『ぐりとぐら』の生みの親、中川李枝子さんによるトークショーが開催された。
『ぐりとぐら』の作者が語る よい絵本 三つの条件
『ぐりとぐら』『いやいやえん』など数々の絵本や児童書を書いてきた中川さんだが、初めて「お母さんたちの悩みに応えたい」と刊行した『子どもはみんな問題児。』(新潮社)が発売1カ月で4万5千部を超え評判を呼んでいる。「いいお母さんって、どんなお母さん?」と題したイベントには、参加者からたくさんの質問が寄せられた。そこで中川さんが語った、温かい「答え」とは。

子どもに対してイライラしてしまう
忙しい時間に子どものイヤイヤが始まると、余裕がなくなりイライラして、子どもに怒ってしまう。理不尽に怒鳴ってしまう。その後で後悔の気持ちでいっぱいになるというのは、お母さんなら誰もが一度は経験したことのある悩みだろう。どうやったらそれを解消できるか、という相談に、中川さんは自身が保育士だったころに担当した、ある男の子のエピソードを語った。
その子は元気な男の子だったが、ある日「吃音」が始まってしまったという。ちゃきちゃきな性格で仕事もしている母親にそのことを伝えると、その母親は原因に身に覚えがあるという。忙しい日々のなかで子どもを急かすことが普通になっていた。そのため子どもは緊張して言いたいことが溢れ、「どもり」がはじまってしまったという。それから母親と中川さんは相談して、その子を急かさず、なるべくゆっくりと接することを心がけた。すると男の子は元の活発さを取り戻した。
どうしても子どもにガミガミ言いたくなってしまう、というお母さんたちに、中川さんは、一緒に本を読みましょうと提案。お母さんは子どもを目の前にすると、どうしても何か言いたくなるもの。同じ言葉を使うなら、叱るためでなく本に使えば、子どもも楽しいしお母さんの愛情も伝わる。そうやってエネルギーを良いほうへ使ったらいいのよ、と優しく伝えた。
また17年間保育士を務め、作家として子どもに携わってきた経験から、子育てにはそのときどきの流行があるとも。「叱らない」「とにかく褒める」など最近流行っている育て方ができないからと、自分を責める必要はありませんよ、と母親たちに語りかけた。優れた児童文学を読み、理想の母親像は自分で見つけましょう、とアドバイスしたうえで、自宅から持ってきた『小さい牛追い』『あらしの前』(ともに岩波少年文庫)を勧めた。中川さん自身、『小さい牛追い』に登場する4人の子どものお母さんにふかく学んできたという。

子どもの声は騒音か?
昨今議論になっている「子どもの声は騒音か?」という問題についても中川さんは語った。「保育園が『騒音問題』として扱われるニュースを見て、日本人はここまで変わってしまったかと悲しい思いです」という読者(80代、女性)の手紙を紹介し、話し合うことが大切だと語った。子どもの顔を見て、声の主がわかるとお互いの事情を思いやれるようになる、とコミュニケーションの大切さを語った。

子どもの面前でDV 心理的虐待、5年で25倍 兵庫県内

神戸新聞NEXT 2015年4月29日

児童虐待の疑いがあるとして、兵庫県警がこども家庭センター(児童相談所)に通告した子どものうち、心理的な虐待の人数が過去5年で25倍に増えていることが28日、県警への取材で分かった。中でも、家族が暴力を振るわれる光景を目撃する「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」が急増。同センターはメンタルケアの必要性を指摘している。
県警少年育成課によると、県警は2014年、児童虐待防止法に基づいて過去最多の727人(前年比255人増)を通告した。
内訳は、暴行などを受けた「身体的虐待」が289人(同49人増)と最多。暴言を浴びせられるなどの「心理的虐待」が229人(同126人増)、「養育拒否・怠慢(ネグレクト)」が195人(同76人増)と続いた。
心理的虐待は09年の9人から年々増加。このうち、家族らが暴言を浴びせられたりする場面に遭遇する面前DVは、記録が残る12年は13人だったが、14年は193人に増え、心理的虐待の84%を占めた。同課は「家族以外の通報が増えている。児童虐待に対する意識が高まったからではないか」とみる。
こども家庭センターによると、子どもの精神的なダメージが大きい場合、感情を抑圧しがちになり、対人関係障害に陥ったり、自己肯定感を持てなくなったりする恐れがある。
県児童課は「心理的虐待を受けた子どもにはきちんとしたケアが必要」と強調。病院での治療や養護施設への通所などを勧めているという。(初鹿野俊)
【面前ドメスティックバイオレンス(DV)】 親が配偶者や内縁相手らから暴力を振るわれたり、暴言を浴びせられたりするのを子どもが目撃すること。児童虐待防止法で、心理的虐待の一つと定義される。
【児童虐待に詳しい加藤曜子・流通科学大教授(児童家庭福祉)の話】 失業や貧困などの経済的な不安定さにより家庭でDVが増え、面前DVにつながっている可能性はある。DVが心理的虐待になるという理解は広まりつつあるが、自分で助けを訴えられない子どももおり、子どもの視点に立った支援が必要だ。

子どもの貧困対策、民間の支援者らが財団法人設立へ

朝日新聞デジタル 2015年4月29日

子どもの貧困を解消しようと、民間の支援者らが財団法人「子どもの貧困対策センター(仮称)」を6月に立ち上げる。学生も理事として参加し、子どもの声を直接聞いて政策提言や全国の支援団体のサポートなどをしていく予定だ。
代表に就くあしなが育英会元職員の小河光治さん(50)らが28日会見した。センターでは、学生などが主体となって学校や児童養護施設などで子どもに意見を聞き、政策提言に生かしたいという。学習支援や居場所づくりに取り組む団体にノウハウを伝え、貧困の実態調査や交流イベントも実施する。また入学準備金の支給といった経済的支援もしていくという。
小河さんは「中立的な立場で対策を進めていく民間のセンターが必要。子どもたちの声に耳を傾ける組織でありたい」と話した。あしなが育英会の奨学生で、設立呼びかけ人となった中央大4年の高橋遼平さん(22)は「(貧困にある子を)助けてくれる人、寄り添ってくれる人が1人でも増えてほしい」と語った。(畑山敦子)

日本のホームレス数は6,541人と厚生労働省が発表!ーホームレスの定義と調査手法の課題ー

NPOほっとプラス代表理事 藤田孝典 2015年4月30日

厚生労働省が2015年4月28日に毎年1回おこなっている、ホームレス数を発表した。
それによれば、日本のホームレス数は、6,541名であるという。
調査の概要は以下の通りである。
全国各地の福祉事務所職員らが昼間、管内を巡回し、ホームレスか否かを”主観”で判断して計測している。

1.調査目的
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14 年法律第105 号。以下「法」という。)及びホームレスの自立の支援等に関する基本方針(平成25 年7月厚生労働省・国土交通省告示第1号)に基づき実施される施策の効果を継続的に把握することを目的とする。
2.調査客体
法第2条に規定する「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」
3.調査方法
市区町村による巡回での目視調査
4.調査実施時期
平成27年1月
5.調査事項
男女別ホームレス数
場所別ホームレス数(都市公園、河川、道路、駅舎、その他施設の5区分に分類)
出典:厚生労働省
この調査には多くの問題がある。
わたしは多くのホームレス生活をしている人々の相談を受けてきたが、ホームレスを目視で判断することは極めて難しい。
身なりが綺麗で、スーツを着ている人もいるし、ヒゲも剃れているし、車を持っている人もいる。
日雇い派遣などの短期間の仕事を一時的に得ることができる環境も広がった。
それらの給料でも利用できる宿泊先として、カプセルホテル、ネットカフェやマンガ喫茶、ビデオボックスなどが全国各地に普及している。
その中で、シャワーも浴びられるし、ヒゲを剃ることもできる。
要するに、もはやホームレスであることに誰も気づかないし、見分けなどつきにくい。

目視ではホームレス数など把握できない。
厚生労働省が調査を始めた当時(2003年:ホームレス数 25,296人)は、ホームレスへの支援が不足していた。
そのため、公園などで生活していたホームレスは見た目で明らかに支援の要否が判断できた。
身なりが不衛生で、ヒゲも伸び放題で、何日も入浴していない、段ボールを敷いて寝ており、衣服や靴はボロボロであるなど、発見しやすかった。
しかし、そのようなホームレスは現在では少数派であるといえる。
調査手法やアプローチ方法を変えなければ、調査自体の意味をなさなくなってきている。
一応、調査によれば、ホームレス数が最も多かったのは、大阪府1,657 人であり、次いで多かったのは東京都1,498 人、神奈川県1,204 人であったそうだ。
各都道府県や政令指定都市、中核市などのホームレス数も掲載しているので、厚生労働省のホームページをご確認いただきたい。
全国で6,541人というホームレス数をどう思うだろうか。
「そんなに多いの?」「そんなに少ないの?」と議論がありそうだ。
わたしの感想は、「そんな少ないわけないだろ!」のひとことである。
ここで大事なのは、日本のホームレスの定義である。何をもってホームレスというのか。
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法では、「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」 と位置付けている。
要するに、外で寝起きをしている人々である。
いまだに、先ほど書いた旧来のホームレスのイメージを持ちながら、福祉事務所ではホームレスの人数を計測している。
ここには、ネットカフェで暮らす人々、友人宅や知人宅を転々とする人々などの不安定居住者は含まれない。
また、原則として昼間に調査を実施しているため、夜間に移動しながらホームレス生活をしている者は発見されない。
わたしは夜間、弁護士や司法書士らとともに、主要な駅を巡回したり、河川敷を巡回して声掛けしている。
そうすると、簡単に調査数を超える人々が寝起きしている事実が明らかになる。
実はこのホームレスの定義、調査手法に問題があるというのは、支援団体のあいだでは常識になっている。
ヨーロッパなど海外では、日本のように、いいかげんなホームレスの定義や調査手法での把握をしない。
例えば、イギリスでは、ホームレスの定義を以下のようにしている。
1 占有することができる住居を持っていない状態にある世帯の一員
2 家があってもそこに立ち入れない場合、そこが住むことが許されない車両、船である場合
3 そこが継続的に占有する理由をもっていない場合
4 28日以内にホームレスになる可能性がある場合
これらの視点から調査をしてみると、家賃滞納をしている者やネットカフェ生活をしている者、車上生活者などを幅広く含んで、調査対象や支援対象としていることが理解できる。
そうしなければ、調査をしても予防対策を講じることができないからだ。
日本のホームレス概数調査は何をしたいのか、もはや分からなくなってきている。
調査そのものの意味を失っていると言わざるを得ない。
このような労力があるならば、現在のホームレス、生活困窮者がどこに居住しているのか、実態に迫る調査こそしてほしいものである。
はっきりと断言できるのは、このような厚生労働省のホームレス調査で浮かび上がる数字は極々一部であるということ。
イギリスの定義に照らせば、膨大な人々が住居を失い、ホームレスとなっていることだろう。
まさに”膨大”といえる。
今後、ホームレスの定義を変えることも必要である。
日本の貧困と格差は広がり続けており、家を失うリスクは身近に迫っている。
これまでのホームレス政策から、多くの人を含む次代のホームレス政策を構想し、実効性ある政策を打ち出すためにも、調査を丁寧に実施してほしい。
現在の調査では、住まいの貧困やホームレスの実像など何も浮かび上がってこないといえる。
そろそろ時代遅れの調査手法から脱却を図り、真剣に取り組んでほしいものだ。

50歳以上の4人に1人が悩んでいる「排泄トラブル」の実態

nikkanCare.ism 2015年4月29日

“排泄トラブル”と聞くと、高齢者になってから考える問題だと思いがち。
また、恥ずかしくて周囲の人に相談できないため問題が表面化しにくいということもあり、排泄ケアの重要性の認知はかなり低いようです。
一方で、50代以上の排泄トラブル経験者は4人に1人。多くの人が日常生活での困りごとや意欲の減退に悩んでいる実態が浮き彫りになりました。ユニ・チャーム株式会社が50~70代男女を対象に行ったインターネット調査結果をお届けします。

50代以上の4人に1人は排泄トラブルを抱えている実態が判明!
排泄トラブルの経験を尋ねた結果、50歳以上の男女全体では24.9%と、4人に1人が尿もれ、便失禁等の排泄トラブルの経験が「ある」と回答。排泄トラブルの悩みを抱えている人は少なくないようです。
一方、おむつを使用するなどの排泄ケアの対処状況を尋ねると、全体の46.3%が「特に何もしていない」と判明。排泄トラブルを抱えているものの特に対処をせず、放置している人が多いようです。

困ってしまうのは「夜」と「外出時」さらには生きる「意欲」まで?
排泄トラブルで困ることを尋ねた結果、多く挙げられた意見は「夜中にトイレに起きる・よく眠れない」(45.3%)、「外出先で困る」(24.3%)でした。
また、排泄トラブルによって「減ったこと」については、「睡眠の時間や質」(23.4%)だけでなく、「外出意欲」(14.4%)、「運動意欲」(11.7%)、「食事意欲」(8.6%)などのあらゆる“意欲”が挙げられ、QOLや生活への意欲が減ってしまう実態が浮き彫りとなりました。

「排泄ケア」を重要視している人は少数派
「健康寿命延伸に向けて重要なこと」を尋ねた結果、厚生労働省が掲げている健康寿命延伸三原則である「食事」(73.0%)、「運動」(71.4%)「睡眠」(74.9%)については多くの人が重視している一方、「排泄ケア」を重視している人は45.8%と、半数に満たない現状も判明。
ケアをしている人が少ないのは、ケアの重要性を感じていない現状が大きく関係しているといえそうです。

適切な排泄ケアで生活もコミュニケーションも円滑に
「日常的に交流する人の有無」や「参加コミュニティの有無」について尋ねた結果、排泄ケア非実施者に比べて排泄ケア実施者の方が社会との交流が多いという実態が判明。しっかりとケアをすることで、日々の生活での不快感が減り、周囲の人とのコミュニケーションにも積極的になるのかもしれません。
メタボや生活習慣病だけでなく、毎日の生活に関わる排泄にも着目し、健康を保って人生を楽しく前向きに過ごせるようにする必要がありそうですね。働き盛りの若い世代のうちから意識しておくべき重要な課題と言えるのではないでしょうか。