いじめを受けた児童は虐待を受けた児童よりも深刻な精神的問題を抱えやすい
同級生からのいじめは長期にわたる悪影響を及ぼす

MEDLEYニュース 2015年5月10日

小児期における虐待やいじめは、その後の成長段階でさまざまな悪影響を与えることが知られていますが、その影響の度合いが比較されることは多くありません。今回、The Lancet Psychiatryに掲載された論文では、イギリスのウォーリック大学の研究チームが「小児期に同級生から受けたいじめは成人から受けた虐待よりも児童に深刻な精神的悪影響を及ぼす可能性がある」と報告しました。

英国と米国で行われた縦断研究をもとに分析
この研究では、イギリス、アメリカの両国で行われた2件の縦断研究をもとに、データの解析が行われました。
イギリスの縦断研究 (ALSPAC)では、生後8週間から8.6歳までの間に成人からの虐待を受けた児童、および8歳、10歳、13歳の時点でいじめを受けた児童、4,026人を対象に調査が行われました。また、アメリカの縦断研究(GSMS)では、9歳から16歳の時点でのいじめまたは虐待を受けた児童の、19歳から25歳時点での精神的問題に関する評価が被験者1,273人を対象に行われました。

いじめを受けた児童は不安障害、うつ病、自傷のリスクが大きい
2件の研究で対象とされた児童の集団をそれぞれ解析した結果、次の傾向が見つかりました。
どちらの研究の対象集団を見ても、同級生からのいじめを経験し、成人から虐待を受けてはいない児童は、虐待を受けたがいじめには遭っていない児童よりも青年期に精神的な問題を発症しやすかった。
その度合いはALSPACの対象集団ではオッズ比で1.6倍、GSMSの対象集団ではオッズ比で3.8倍だった。GSMSの対象集団では不安障害がオッズ比4.9倍、ALSPACの対象集団ではうつ病がオッズ比1.7倍、自傷がオッズ比1.7倍であった。
研究班は「小児期における同級生からのいじめは、青年のメンタルヘルスに長期にわたって悪影響を及ぼした。」と結論しています。

学校での児童のいじめは身近な家族でも気づかないことがあり、気づく頃には被害が深刻化しているケースもままあります。私たちは子どもたちの発するかすかなSOSを、どのようにしてしっかりと受け止めていくことができるのでしょうか。

児童福祉週間 命守る安心の保育体制構築を

愛知新聞 2015年05月11日

子どもの健やかな成長や家庭の在り方について国民全体で考えよう―。きょうまで、厚生労働省や全国社会福祉協議会が提唱する「児童福祉週間」。政府は「すべての子どもが夢と希望をもち、未来の担い手として、個性豊かにたくましく育っていける環境・社会」の構築を誓い、啓発に取り組む。
しかし、現実は理念から遠いと言わざるを得ない。深刻な格差社会の中で、子どもたちの6人に1人が貧困生活を強いられ、その世帯の大半が食料すら買えなかった経験があるという。非正規労働者が雇用全体の4割近くを占め、親は不安定な立場にある上、働こうにも安心して子どもを預ける体制が十分に整っていない。
希望ある子育てのためには安心できる環境が不可欠だ。国は格差解消に本腰を入れ、生活基盤の安定を急がなければならない。
言うまでもなく、子育て政策では命を守る取り組みが基本となる。にもかかわらず保育所での悲惨な事故が絶えない。厚労省によると、2004~14年に全国で少なくとも163人の子どもが命を落としており、看過できない。
死亡事故の7割が認可外保育施設で起きている現状を、重く見なければならない。認可保育所より保育士の数や施設の設置基準が緩く、その影響が危惧される。徹底検証による再発予防が急務だ。
認可保育所や私立幼稚園、認定こども園では先月ようやく、死亡・重傷事故の自治体への報告が義務化された。しかし、認可外や一時預かり事業は対象外。事実を公にし、原因を探るため、同様に義務化すべきである。
政府は「子ども・子育て支援新制度」で保育の受け皿拡大を急ぐ。小規模保育や家庭的保育、事業所内保育の幅広い導入も呼び掛ける。一方、子どもを預けたい人と育児援助者を自治体が橋渡しするファミリー・サポート・センター事業も近年、利用者が増えている。安全策を置き去りに施設や事業拡大だけに走ることは許されない。
家庭の状況に応じてどのサービスを選んでも、子どもの命を預ける仕組みに安心の違いがないよう、体制を整えなければならない。全ての事業で、十分な保育士の確保や研修はもちろん、安全基準の強化、行政によるチェック体制整備などの対策を求めたい。
市民は実体験に基づいた要望を上げ続け、国を動かす原動力になりたい。貧困に苦しむ子どもの支援に向けては、民間団体の有志が「子どもの貧困対策センター」を来月設立し、実態調査に基づいて政策提言をする。政府は声を真摯(しんし)に受け止めなければならない。官民連携による真の安心社会構築のために。

「保育の父」功績伝える

読売新聞 高知 2015年05月10日

「佐竹音次郎に学ぶ会」設立
明治・大正・昭和と、身寄りのない子どもたちの救済に奔走し、〈保育の父〉とも呼ばれる四万十市竹島出身の福祉事業家、佐竹音次郎(1864~1940)の功績をたたえ、その思想を伝えていこうと、同市下田の児童養護施設「若草園」の関係者らが「保育の父・佐竹音次郎に学ぶ会」を結成した。10日、同市右山五月町の市立中央公民館で設立総会と記念講演会が開かれる。(広浜隆志)
同会によると、音次郎は農家の四男として生まれた。地元の小学校教諭を経て、23歳で上京。小学校教諭などを務めていたが、「困った人を助けたい」と、29歳で医師免許を取り、32歳のとき、神奈川県で医院を開業した。キリスト教に帰依し、貧しい患者からは、お金をとらずに診療したという。貧困のため子どもを育てられない患者もいることに心を痛め、開業から2年後の1896年、「小児保育園」の看板を掲げ、子どもたちを預かり、院内で世話をするようになった。
1905年、医院を廃業して同県鎌倉市に児童養護施設「鎌倉保育園」を開所。「聖愛一路」の理念の下、預かった幼児らは、我が子と同じ「家族」として接し、愛情を注いだという。
音次郎の思いは多くの人々の共感を生み、中国、韓国、台湾でも事業が広がり、76歳で死去するまで5571人が施設から巣立ったという。「保育」という言葉を使ったのは音次郎が初めてとされ、「保育の父」と呼ばれるようになった。
一方、若草園は経営が苦しくなった時期に、音次郎の後継者が支援要請を快諾。66年に「鎌倉保育園中村支部若草園」として再生させた。同園では約3年前から音次郎の顕彰事業を計画していた。

公務員給与、プラス勧告も 15年度、人事院が民間企業調査

SankeiBiz(サンケイビズ) 2015年5月11日

人事院は8月上旬ごろに実施する国家公務員給与の2015年度改定勧告に向け、基礎資料となる民間企業の実態調査を進めている。今春闘では大手企業のベースアップが相次いだ。賃上げの動きが中小企業に拡大していれば、国家公務員給与は民間水準に準拠するため、14年度に続き2年連続で引き上げ勧告となる可能性が高まる。
調査は今月1日から6月18日まで。従業員50人以上の事業所約5万5000カ所から無作為抽出した約1万2300カ所を訪問し、月給やボーナスの金額などを聞き取る。
経団連の4月16日時点の集計によると、今春闘での大手企業62社の月給引き上げ幅は、平均で前年比859円増の8502円。引き上げ率は2.59%で、2年連続で2%を超えた。こうした動きがどの程度、中小や地方の企業に広がっているかが注目される。
ボーナスに関しては、中小企業も対象にした昨冬の調査で若干のマイナスとなっているものもある。今夏の動向も含め、人事院の調査結果が、どう出るのか不透明な情勢だ。

致死率29%! 治療薬がない「マダニ感染症」の予防法

PRESIDENT 2015年5月9日

治療薬やワクチンはなく、致死率が高い
行楽シーズン真っ盛り。山登りやキャンプには絶好の季節になってきた。山や草むらが多いところへ行くときに注意したいのが、増えているマダニ感染症だ。マダニ感染症は、特定のウイルスや細菌を持つマダニに咬まれると発症する。
最も怖いのは、2013年1月に国内で1例目が確認された重症熱性血小板減少症(SFTS)だ。2011年に中国で発見された新しい病気で、SFTSのウイルスを持ったマダニが媒介する。感染すると6~14日間の潜伏期間を経て発熱、下痢、腹痛、嘔吐(おうと)、筋肉痛、意識障害、失語、皮下出血といった症状が出る。名前の通り、血液を固める作用のある血小板と白血球のが減少するのが特徴だ。感染症発生動向調査によると、今年4月8日までに愛媛県、宮崎県、高知県、鹿児島県、徳島県など西日本の15県で110人が発症している。
約2年で110人なら、それほど患者数は多くないと思う人もいるかもしれない。しかし怖いのは、現時点ではこのウイルスに対する治療薬やワクチンがないために、そのうち32人が死亡し、致死率が29.1%と非常に高いことだ。発症者は、気温が上昇してマダニの活動が活発になる5月から8月に多い。患者の年齢は60歳以上の高齢者が大多数だが、20代、30代にも感染例が出ている。今のところ東日本や北日本では発症の報告はないものの、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、北海道などでもSFTS ウイルスの遺伝子を持ったマダニが見つかっている。
ダニが媒介する感染症にはほかにも日本紅斑熱、ライム病などがある。日本紅斑熱は、マダニに寄生する細菌「リケッチア・ジャポニカ」が体内に侵入すると2~8日の潜伏期間を経て感染する。抗菌薬で治療できるが、対処が遅れて全身の血管内で血液が固まる播種性血管内凝固症候群や多臓器不全が起こると死亡するケースがある。今年4月には、山菜採りをしていたときにマダニに咬まれた香川県の男性がこの病気を発症して死亡した。やはり西日本での発症が多いが、患者は東日本にも広がっている。昨年1年間の感染報告数は240人で、感染症予防法が施行され報告が義務付けられた1999年以降最多となった。

野外ではできるだけ肌の露出を避ける
ライム病は3~32日の潜伏期間を経て高熱、発疹、全身倦怠感、関節痛が出るのが特徴だ。ろれつが回らない、理解力が低下、腕に力が入らないなど脳卒中に似た症状も報告されている。日本では埼玉県、神奈川県、東京都、大阪府などで昨年は17人が発症した。我が国では少ないが、欧米では増加が社会問題化している。カナダのロック歌手、アヴリル・ラヴィーンさん(30)は、昨年春にマダニに咬まれた後、ライム病で5カ月間寝たきりになり、雑誌のインタビューに「死ぬかと思った」と語っている。この病気も抗菌薬で治療でき、米国ではワクチンが承認(日本では未承認)されているが、まれに死に至ることもある。北米、ヨーロッパ、アジアの草原地帯や森林地帯へ行くときにも注意したい。
マダニ感染症を防ぐには、原因となるウイルスや細菌を保有するマダニに吸血されないようにするのが一番だ。マダニに咬まれる危険性が高いのは、マダニを運ぶシカ、イノシシ、野ウサギといった野生動物が生息するような野山や田畑のあぜ道、河川敷、都会の公園を含めて、草むらがあるところ。春から秋にかけて、そういったところへ行くときには、むやみに藪に入らず、帽子、長袖長ズボン、薄手の手袋や軍手、長靴やトレッキングシューズを着用し、できるだけ肌の露出を避けることが大切だ。暑い時期にはちょっと辛いが、首もかまれやすいので、タオルや手ぬぐい、スカーフを巻いたり、ハイネックのシャツを着用したりし、ズボンの裾を長靴や靴下に入れて足首も露出しないようにしよう。ディート(DEET)入りの虫よけスプレーも有効だ。
マダニと聞くと、家の中にいるダニと同じようなものだと思う人もいるかもしれないがまったく別の種類。家ダニは目に見えないくらい小さいのに対し、マダニの成虫は3~8ミリと肉眼で判別できる。病原となる細菌やウイルスを持つマダニに咬まれなければ問題ないので、衣服についても慌てずに、ガムテープなどで取り除こう。屋外から室内、テントなどに入る際や、シャワーや入浴のときは、マダニが体についていないかチェックすることが重要だ。犬や猫にもマダニはつく。ペットを室内に入れるときには、体にマダニがついていないかチェックするのも忘れないようにしたい。
マダニに咬まれたとしても24時間以内ならピンセットで取り除ける可能性がある。除去できないときや刺し口に棘のようなものが残ったら、皮膚科か外科を受診し、除去してもらおう。無理に手の指で抜こうとしたり手で触ったりすると、ウイルスや細菌を自分の体に注入してしまう恐れがある。一方、咬まれた後、発熱、関節痛、頭痛、発疹などの症状が出たら、内科で治療を受け、マダニに咬まれたことを申告することが大切だ。マダニに咬まれても痛みはなく気付かない人もいる。SFTSや日本紅斑熱の発生が多い野山へ行った後に発熱し似たような症状が出たら、一応、山に行ったことを医師に伝えておいたほうがよさそうだ。

食中毒リスクが高まる“梅雨”、まな板からの菌移り予防を

RBB TODAY 2015年5月11日

気温が高く湿気が多い“梅雨”は、菌の活動が活発化。菌が増えることで食中毒リスクも高まる季節だ。このたび、300人の母親を対象にした「台所の菌対策実態調査」(ゲイン調べ)が実施され、特にお弁当の菌が心配されていることが明らかになった。
同調査では、「菌が最も増えると考える季節」、「子どものお弁当の菌対策が不安な季節」に関して、“梅雨”が圧倒的なトップに。加えて、78.7%の母親たちは、普段の食事作り以上に、長時間持ち歩くお弁当作りの菌対策に不安を感じていることが分かった。
包丁やまな板など台所アイテムの除菌が不十分だと、菌が食材に移りお弁当箱の中で増殖することがある。しかし、その事実を知らなかった母親は約半数にのぼり、菌移りを予防するために台所アイテムを除菌している人は3人に1人という低い結果となっている。
お弁当の菌対策について母親たちの知識不足が明らかになったが、「毎日のことだから、もっと手軽に除菌したい」(94.7%)という大多数の声も。そのため、台所用洗剤選びの重視点を聞くと、9割以上の人が除菌に関する項目すべてを重視していることも分かった。
また、普段食器洗いをする台所用洗剤で、「除菌効果があるものを使いたい」と答えた人が95.7%にのぼった同調査。現在使用している台所用洗剤を聞くと、1位となったのは「除菌ジョイコンパクト」(P&G)。同商品は、母親たちが今後使用したい台所用洗剤においても1位を獲得している。