企業や自治体が費用助成 養護施設の子の運転免許取得

中日新聞 2015年5月22日

家庭の事情で、親と一緒に住めない子どもが暮らす児童養護施設。高校卒業と同時に働き始め、一人暮らしをする子どもが多いが、自動車運転免許の取得費用を自分で用意できないことが仕事を始める上でのネックになっている。十八歳で社会の荒波に放り出される子どもたちを資金面から支援しようと、さいたま市の企業が免許取得費を助成しているほか、返済不要の給付型奨学金を設けた企業もある。
助成しているのは、さいたま市浦和区で自動車教習所の生徒募集業務を行っているインター・アート・コミッティーズ(IAC)。
社長の皆川充さん(52)によると、助成のきっかけは「子どもの貧困対策に、国や自治体などが力を入れ始めているので協力したい」と思ったこと。
教習所の費用は三十万円程度かかり、親からの援助が期待できない施設の子どもにとっては、高いハードルとなっている。埼玉県の二〇一三年の調査では、高校卒業後に就職した施設の子は八割に達する。自動車運転免許の取得が就職の条件となっていることも多く、「取得費が出せないことが、就業を難しくしている現実がある」(皆川さん)という。
このハンディを少しでも和らげようと、埼玉県は一二年度から、一人当たり五万六千円余を補助しており、同社は昨年度から残りの全額を出すことにした。対象は県内の施設に住む高校卒業予定者で、施設を通じて希望者を募集。これまでに取得した二十九人の助成費総額は七百六十万円。
四月に県内の電気工事会社に就職した男性(19)は、同社からの助成を受けて三月末に運転免許を取った。三月に定時制高校を卒業するまで、昼間にコンビニエンスストアでアルバイトをして少しずつ貯金したが、免許を取るには足りなかった。
勤務先では、免許取得翌日から二トントラックを運転し、資材などを運んでいる。「四月初めからすぐ車に乗って仕事を始めることができ、うれしい」と声を弾ませる。
皆川さんは「施設を出た子どもには運転免許が宝物なんです。社会に出た後も、頑張ってほしい」とエールを送る。同社は助成制度を県外に広めるため、一般社団法人青少年自助自立支援機構を一月に設立。企業などに協力を要請している。
一方、施設の子どもの大学・専門学校進学率が低いのは、高い学費と生活費を自分一人では工面できないことが背景にある。化学製品製造・販売会社のハーベス(さいたま市浦和区)は四月、県内の施設の子どもと里親のもとで暮らす子どもを対象にした「ハーベス育英奨学金」を創設した。
学力や向上心を考慮して年一人を選考し、学費全額(授業料は年間最大百二十万円)を給付する。自宅以外からの通学者には、年間六十万円の生活援助金も用意しており、奨学金は大学四年間で最大七百五十万円になる。一六年三月の高校卒業予定者が第一号になる。
同社総務部によると、施設出身者のほとんどの子どもが進学をあきらめている現状から、返済が不要な給付型奨学金を創設した。「子どもたちが夢を追い求められるよう応援したい」としている。

川崎中学生殺害事件 少年3人を起訴

NNNニュース 2015年5月21日

今年2月、神奈川県川崎市の河川敷で中学1年の上村遼太さん(当時13)が殺害された事件で、逮捕された少年3人について横浜地検は21日、主犯格の18歳の少年を殺人などの罪で、18歳と17歳の少年を傷害致死の罪でそれぞれ起訴した。  3人はこれまでに少年審判で刑事処分相当として検察官送致されていたもので、今後、成人と同じように裁判員裁判を受けることになる。

◆厚労省が検討中の「介護福祉士・保育士などの資格一本化」制度 当事者の意見は?

Mocosuku Woman 2015年5月19日

今年4月に厚生労働省に設置された「介護・福祉サービス・人材の融合検討チーム」では、高齢者介護・保育・障害者向け施設の一体化を進めることや、介護福祉士・保育士などの資格を一本化することを検討しており、5月中に具体策や方針をまとめる予定、としています。こうした背景には、今後少子高齢化により、福祉人材の確保が難しくなることが挙げられています。しかし、とくに資格の一本化については、現場から賛否の声も噴出しているようです。詳しくみてみましょう。

保育現場は「福祉資格一本化」をどう見る!?
保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開する、株式会社ウェルクスでは、この4月に、保育に関するお役立ち情報を提供する『保育のお仕事レポート』サイト上にて、保育士や幼稚園教諭をはじめとした読者100名に、福祉資格の一本化について、アンケートを実施しました。
その結果、77.0%の回答者が福祉資格の一本化反対、と回答する結果になりました。一方で賛成と回答したのは13.0%、どちらとも言えないと回答したのは10.0%でした。

厚労省が検討中の「介護福祉士・保育士などの資格一本化」制度 当事者の意見は?
反対派から目立った意見としては、
「保育や介護は全くの別物と感じるから」が51%、「サービスの質が下がると思うから」が18%、「知識習得のために研修などに参加する余裕がない」9%でした。

厚労省が検討中の「介護福祉士・保育士などの資格一本化」制度 当事者の意見は?
一方で、賛成と回答した人の意見としては、
「選べる職場が増えるから」が50%、「幅広く福祉に関わってみたいから」が25%、「人材採用が楽になるから」19%などの、採用側の意見も聞かれました。

フィンランドで定着している「福祉資格一本化」とは
今回日本の「福祉資格の一本化」で参考にされたのは、フィンランドで1993年に始まった「ラヒホイタヤ」制度と言われています。
これは看護師のほかに、准看護師や歯科助手、保育士やホームヘルパーなど10の資格を一本化したものです。フィンランドでラヒホイタヤに就く場合は、介護、看護、リハビリケアにおいて、高度で専門的な教育を受ける必要があり、また一定の医療行為についても一部は実施できるようになっており、福祉の現場で柔軟に対応できるような人材育成を行っているそうです。
資格を一本化するということは、福祉人材を雇う側からしても、介護内容に沿った有資格者をその都度そろえなくても済むメリットがあり、有資格者にとっては、状況によって働き場所を選べるメリットがある、というわけです。

福祉人材が大量に不足する2025年問題
厚生労働省では、将来的な福祉人材の不足の数を
・介護職員数・・・2025年に約33万人
・保育士数・・・・2017年度末に約7万人
と推測しています。
しかし、今回のアンケートでは、賛成、反対、という単純な回答では難しい、現場からの貴重な意見が寄せられており、政府がどのような具体策・方針で今後進めようとしているかに、関係者の注目が集まっています。

<保育士や幼稚園教諭など、現場に携わる人からの意見>
同じようでも重要性がそれぞれ異なる!
排泄、食事、日常生活全般のサポートをすることはどちらの資格も同じですが、排泄一つでも子どもと高齢者とでは重要性は異なります。幼稚園教諭、保育士、介護福祉士の資格を持っていますが統一は反対。(20代女性)

障がい児の対応など必要性もあるが立場が低い!
医療の進歩と共に障がい児も増えている。保育や介護どちらかだけの分野では補うことができないことを感じているが、行政の求めることが増えれば、携わりたいと思っている人にとって狭き門になってしまう。一方で、広げてしまえば間違えた接し方をしてしまう…。そんな厳しく難しく、求められるものが多い割に、この分野の地位や名誉、給料が低過ぎる。そこを一緒に上げていくべきだ。(40代女性)

質の低下は働く側も預ける側も困る…
子どもと老人では対応が全く異なると思います。それによって学ぶべき内容がかわり、統一資格にしてしまうと膨大な知識が必要となり資格を取りたくても時間がかかってしまう、お金もかかってしまう、勉強を短期で済まそうとして知識不足のまま資格を取れてしまうなど様々な問題が多いと思います。そうしたことから質の低い保育、介護となるのは働く側も預ける側も困ります。今それぞれの資格を持ち仕事をしている人は勉強をし直すのでしょうか?それはまた負担になります。絶対に反対です。(20代女性)

被害申告率低い性犯罪事件の実情 被害者支援へ福井で連携本格化

福井新聞ONLINE 2015年5月21日

福井県内の強姦・強制わいせつ事件は年間数十件の被害が確認されている。ただ、性犯罪は被害申告率が低く、県警の認知件数に含まれない「暗数」が多いの実情だ。警察や病院、行政機関は泣き寝入りする被害者に手を差し伸べようと、昨春から本格的に連携を取り始めた。一方、支援の仕組みの周知はまだ不十分といえ、関係機関の個人情報の共有をめぐって課題もある。

被害者の7割沈黙
県警の昨年の認知件数は強姦4件、強制わいせつ31件。犯罪被害者支援の39機関でつくる県連絡協議会会長の川上賢正弁護士は「『暗数』を含めば何倍にも膨れあがるだろう」と指摘する。
全国の強姦被害者117人を対象にした内閣府の昨年度調査によると、被害者の67・5%が誰にも打ち明けず、警察に相談したのはわずか4%にすぎない。
申告をためらう一因として、被害者が病院や警察、児童相談所など何カ所も足を運び、その都度つらい体験を話さなければならないことが挙げられる。窓口を一本化する「ワンストップ方式」なら負担軽減を望め、「暗数」を減らせるのでは―。関係機関の議論を踏まえ、福井市の県済生会病院が昨年4月、院内に開設したのが「性暴力救済センター・ふくい(通称ひなぎく)」だ。
緊急避妊治療からカウンセリング、警察の聞き取りまで院内で受けられる。同センターは弁護士や行政担当者への仲介役も担う。
3月末までに38人分の相談があり、被害から20年以上たって「初めて他人に話した」という女性もいた。匿名での相談受け付けも可能で、“敷居”を低く構えたことから「暗数」の掘り起こしにつながっている。センター長の細川久美子産婦人科部長は「関係機関の意識が高まってきた。県内の支援体制を見直す契機になったのではないか」と手応えを感じている。

「もっと情報を」
昨年、強制わいせつ被害を受けた県内の女性は悩み抜いた末、県警に経緯を話した。体を触られた恐怖で夜道を歩けなくなっていた。
捜査員や女性弁護士が親身に相談に乗ってくれたという。「世間の目を心配したが、公判では私の名前を伏せてもらえた。被害者への気配りがしっかりしていた」。被告と顔を合わすことなく損害賠償の手続きも終えた。
女性は「申告したことで気持ちに一区切り付いた」と振り返る。一方で、「最初は相談窓口の存在や、訴えた後の流れが分からずに戸惑った。助けを待っている被害者に支援情報をもっと届けてほしい」と求めた。
「ひなぎく」を核とした各機関の連携面にも課題は残る。細川センター長によると、いずれかの窓口が相談を受け付けても「個人情報」が壁となって柔軟に共有できず、治療や捜査が後手に回るケースがあった。
継父や実父が加害者という10代女性の被害も後を絶たず、経済的な依存を伴う場合には特に被害申告を困難にさせるという。学校が気付けるかどうかが重要だが、「どの時点で外部に報告すべきか悩ましい」と話す養護教諭は少なくない。
暴行の痕などの証拠保全は一刻を争うため、早めの申告が捜査に欠かせない。「極度のストレスを抱え込み解離性同一性障害(多重人格)になった被害者もいる」。県内の医師も治療面から早期の訴えを促す。細川センター長は「孤独に悩む人を一人でも減らしたい」と話している。

「電子たばこ」から発がん性物質を検出-ホルムアルデヒド、厚労省研究班が報告

医療介護CBニュース 2015年5月21日

香料成分などを含む液体を電気で熱して発生させた煙を吸う「電子たばこ」について、国内で流通している一部の製品から発がん性物質のホルムアルデヒドが検出されたことが21日、厚生労働省の研究班の報告で分かった。研究班が調べた9銘柄のうち8銘柄からホルムアルデヒドが検出され、中には紙巻きたばこよりも高い濃度が検出された製品もあったという。研究班は、ホルムアルデヒドなどによる健康影響の可能性が示唆されるとしている。【丸山紀一朗】
この研究は、国立保健医療科学院の欅田尚樹・生活環境研究部長を主任者とする厚生労働科学研究委託事業によるもの。研究班は、この日に開かれた厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の「たばこの健康影響評価専門委員会」の会合で、内容を報告した。
報告によると、研究班は電子たばこの液体9銘柄について各5製品を購入し、各製品から発生する煙を3回ずつ集め、そこに含まれる成分を分析した。その結果、8銘柄からホルムアルデヒドが検出されたほか、発がん性が疑われているアセトアルデヒドも同じ8銘柄から検出された。また、皮膚や粘膜の刺激作用などがあるグリオキサールやメチルグリオキサールといった、紙巻きたばこにはほとんど含まれない成分が検出された銘柄もあったという。
研究班はこのほか、「ニコチンを含まない」とうたっている国内流通の電子たばこ103銘柄を調べたところ、約半数に当たる48銘柄からニコチンが検出されたことも明らかにした。研究班によると、検出されたニコチンの濃度は紙巻きたばこの1000分の1程度だというが、国内ではニコチンを含む電子たばこの販売は禁止されている。
たばこの健康影響評価専門委員会の谷川武委員長(順天堂大大学院医学研究科教授)は、これらの報告を受け、「電子たばこの使用による健康影響の存在は否定できないものの、各疾患との相関や関連は現状では明らかでない」とし、今後も引き続き健康への影響を確認していく必要があると述べて議論をまとめた。

カンピロバクター食中毒 運動神経に障害…難病の原因にも 対策は「生は避け十分な加熱」

産経ニュース 2015年5月21日

屋外でバーベキューを楽しむ機会などが増える夏にかけ、カンピロバクターによる食中毒が増加する。鶏肉が原因となることが多く、刺し身やたたきなどの生食の他、加熱不足でも起こっている。筋肉を動かす運動神経が障害されるギラン・バレー症候群を引き起こすこともあり、内閣府食品安全委員会は「肉は十分加熱し、生や半生で食べることは避けて」としている。(平沢裕子)

鶏肉で多発
カンピロバクターは、鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息している細菌。厚生労働省によると、昨年発生した原因物質が判明している食中毒のうち、最も件数が多かったのがカンピロバクターで全体の3割を占めた。
中でも多いのが鶏肉が原因となっているケース。食鳥処理の過程で汚染されやすく、市販の鶏肉の6~8割から菌が検出されたとの調査結果もある。
「新鮮だから大丈夫」と鶏肉を生で提供する飲食店があるが、カンピロバクターに汚染されている場合は、鮮度に関係なく食中毒となる可能性が高い。また、菌量が少なくても発症することがあるため注意が必要だ。
東京都台東区の飲食店で4月下旬、コース料理を食べた約50人のうち23人がカンピロバクターによる食中毒を発症した。鶏のささ身を湯引きしてポン酢であえた料理が原因とみられ、同店は「刺し身と違い、湯引きしているから大丈夫だと思っていた」と打ち明ける。
東京都健康安全研究センターが鶏のささ身を使い、9秒間湯通ししたところ、外側の色は白く変化したが内部は生肉の色のまま。菌も生存していた。軽く湯を通す程度の加熱では食中毒になる恐れがある。
台東保健所生活衛生課は「『飲食店で提供されるものは安全』と思っている消費者は多い。鶏肉は中までしっかり火を通したものを提供してほしい」と飲食店に呼びかけている。
一方、焼き鳥やバーベキューなど加熱して食べる料理でも生焼けのことがある。食べる前に肉の内部の色を見て、火がきちんと通っているかを確認しよう。

交差汚染に注意
カンピロバクターによる食中毒は、原因となる食品を食べてから2~7日(平均3~4日)たってから発症するのが特徴だ。主な症状は腹痛や下痢、発熱、嘔吐(おうと)など。
腸管出血性大腸菌のように重篤化で死亡することはほとんどないが、症状が治まってから1~2週間後に、ギラン・バレー症候群を発症することがある。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手や脚に力が入らなくなる難病だ。約7割は回復するが、中には後遺症で歩行に介助が必要となる人もいる。日本では、ギラン・バレー症候群の患者の約3割がカンピロバクター感染が原因とみられている。
調理器具などを介して感染が広がる交差汚染にも注意が必要だ。例えば、汚染された鶏肉を扱ったまな板や包丁に付いた菌が生で食べる野菜などに付着し、それを食べたことで食中毒になることもある。
食品安全委員会は予防のため、(1)肉は十分に加熱(75度以上で1分以上)(2)肉と他の食品と調理器具などを分ける▽肉に触った後は十分手を洗う-などを呼びかけている。

鹿児島、宮崎は生食用に「基準目標」
厚生労働省は、焼き肉店で5人が死亡した腸管出血性大腸菌O(オー)111による食中毒事件を契機に平成24年7月、牛レバーの生食提供を食品衛生法で禁止。その後、E型肝炎ウイルスの感染リスクが高い豚の肉やレバーを生で提供する店が増え、豚についても近く生食提供を禁止する。
一方、鶏肉の生食については、死亡リスクが低いことから、「現状では法律での規制は考えていない」とする。
鶏肉を生食してきた鹿児島と宮崎の2県は、食中毒リスクの低減のため、生で食べる鶏肉の細菌量などについて独自に「基準目標」を定めている。ただ、宮崎県衛生管理課は「基準目標はリスクを減らすためのもの。生食を推奨しているわけではない」とし、消費者には加熱して食べるよう呼びかけている。