東アジア・太平洋地域の子どもへの暴力・虐待で経済的損失は年間2090億ドルにも

DMMニュース 2015年6月4日

【2015年6月2日、バンコク(タイ)発】
ユニセフ(国連児童基金)は、子どもに対する暴力や虐待による経済的損失が、東アジア・太平洋地域の国々で年間2,090億ドル(地域全体のGDPの2%)に上るとの試算を発表(「東アジア・太平洋地域における子どもへの暴力による経済的損失の試算」)。これは、専門家チームに委託した調査により明らかになったもので、同地域に関してこの種の試算が行われるのは初めてです。
「私たちはみな、子どもに対する暴力は道徳的に間違っており、止めなければならないことを知っています。加えて今回の調査は、子どもへの暴力に関して対策をとらないことが、国や地域社会に、深刻な経済的損失をもたらしていることを明らかにしました」と、ユニセフ・東アジア太平洋地域事務所ダニエル・トゥール代表は述べています。
「政府は、子どもへの暴力について早急に行動をとらなければなりません。それは、子どもたち自身のためであり、また、将来の世代の幸福のためでもあります」
今回の調査は、これまでに公表された子どもへの暴力・虐待の現状についての報告書に続くものです。暴力・虐待の5つの形態について、精神的健康、身体的健康、生活・行動面への影響等を分析した結果、地域全体の経済的損失はそれぞれ、精神的虐待が659億ドル、性的虐待399億ドル、身体的虐待396億ドル、ネグレクト324億ドル、家庭内での暴力の目撃が310億ドル、と試算されました。
ユニセフは、また、子どもへの暴力・虐待は、すでに負荷がかかっている保健医療制度に更に負担がかかる、暴力や犯罪性が増加するなどの、社会・経済的な影響も及ぼすとしています。さらに、暴力や虐待は、社会に貢献できる人材へと成長する機会を子どもたちから奪い、その子どもたちがもたらしたであろう地域社会への潜在的貢献を失わせる可能性もあるのです。

調査結果の一部:
【暴力の広がり】
・子どもへの暴力・虐待は、東アジア・太平洋地域において、国の所得レベルに関わらず起きている。14%~37%の子どもが、少なくともひとつの形態の暴力・虐待を経験している。
・高所得国では、女性の42%が精神的虐待を経験し、男性の32%が家庭内暴力を目撃している。

【健康への影響】
・低所得国の男性の精神疾患のうち、25%が子ども時代の身体的虐待と関連。同様に、低中所得国の女性の精神疾患の31%が子ども時代の性的虐待と、高所得国の女性では19%が子ども時代の精神的虐待と関連している。

【経済的損失】
・子どもへの暴力・虐待による経済的損失は、高中所得国でGDPの3.45%と最も大きく(うち最大の1.26%が精神的虐待によるもの)、高所得国では1.45%(うち最大の0.42%が精神的虐待によるもの)であった。

今回の調査と並行して、カンボジアでは、ユニセフの支援により、全国的な子どもに対する暴力についての調査が初めて実施されました。「ユニセフは、子どもに対する暴力を予防し、被害にあった子どものためのサービスが向上するよう、カンボジア政府の取り組みを支援しています」と、ユニセフ・カンボジア事務所ラナ・フラワー代表は述べています。「この調査によって、カンボジアにおける子どもへの暴力の規模が明らかになり、変化を起こすべきだと力強く訴えることができるようになったのです」
東アジア・太平洋地域のすべての政府は、子どもの権利条約を批准し、それにより、子どもを暴力や虐待から守ることにコミットしています。その約束を果たすためには、社会的サービスへのより大きな資金配分など、さらなる努力が必要です。
「すべての子どもは、自身の身体的・精神的成長を阻害し、彼らの社会や経済の成長をも阻害する暴力から自由に生きる権利があります」トゥール代表は言います。
「子どもに対する暴力は、見えない場所でおきることが多いですが、人々が一緒になって、それが受け入れられないものだと大きな声で主張すれば、防ぐことができるものなのです」

保育園で「父の日」「母の日」行事の中止相次ぐ ひとり親の子どもに「つらい思い」させないため

J-CASTニュース 2015年6月4日

5月の「母の日」と6月の「父の日」には、例年保育園や小学校でさまざまな行事が行われる。両親の似顔絵や自分の手形を作り、両親へ渡すという流れが定番だ。当時の作品を「宝物」のように持っている人も多いのではないだろうか。

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しかし、そんなイベントが近年減少傾向にあるらしい。理由は片親世帯など複雑な事情を持つ家庭が増えたためだ。多くの保育園が、ひとり親などの子供への配慮としてイベントを取りやめている。

母の日に関する行事はあっても、父の日はない例も
2015年6月2日付け高知新聞電子版は、高知県内で母の日や父の日関連のイベントを取りやめる保育園が増加していると報じた。保育園の中には、間にあたる5月下旬に「ファミリーデー」を設定し、家族にプレゼントを作るところもあるようだ。
母子家庭で育った保育士が「保育園のころに寂しかった。大人になってもこの時期はつらい」と話したり、保護者会からの申し入れがあったり。そんな理由がきっかけで取りやめる園が多いという。高知新聞が調査したところ、高知市内にある全保育園の約7割に相当する61園が特別なイベントを行っていなかったという。
ひとり親世帯は増加の一途をたどっている。2010年の総務省「国勢調査」によると、1995年に全国で約308万世帯だったひとり親世帯は、2010年に約450万世帯まで増える。保育園への入園希望者数はうなぎ上り。当然、ひとり親を持つ子どもは保育園でもごくありふれた存在となってくる。
そんな事情もあるのか、母の日や父の日の行事を取りやめる保育園は珍しくないようだ。ツイッターでも、
「母の日、父の日でカードを書くなどのイベントは一切ありませんでした」
「父の日も母の日も、うちの保育園特別行事なし」
などと報告するユーザーは多い。母の日に関する行事はあっても、父の日はない、またはその逆もあるようだ。もちろん地域間での差はあるかもしれないが、Q&Aサイトや掲示板、SNSでは数年前からこうした書き込みが見られる。
東京都内のある保育園は、母の日や父の日については以前からイベントを行っていないと明かし、その理由について、

「ひとり親の方もいらっしゃるので配慮しなければなりません」
と語った。

そもそも父の日や母の日を「やめたらいいのに」という声
そもそも父の日や母の日を「やめたらいいのに」という声もある。ツイッターでは「親のエゴ」「本当に子どもが望んでるのか?」という厳しい指摘も出ている。
学研が運営する保育園・幼稚園教諭のためのポータルサイト「保育CAN」には、母の日や父の日関連行事をどうすればいいか、数年前から現役保育士や幼稚園教諭の相談が絶えない。
母の日制作や父の日制作で子どもに何を作らせようか、家族への感謝の気持ちを表すにはどうしたらいいか、など悩みはさまざまだ。
母の日や父の日以外で、子どもが作ったものを両親に渡すというイベントを設定する保育園もあるようだ。
「保育CAN」には、「ありがとうのプレゼント製作」として親族全員を対象にしたプレゼントを作る、勤労感謝の日に家族へ向けてプレゼントを作る、授業参観の日にプレゼントを渡す、などさまざまなパターンが書き込まれている。

ひきこもり対策で企業に税優遇 京都府、全国初の条例案

京都新聞 2015年6月4日

京都府は、18日開会の府議会に提案する「若者就職支援条例案」をまとめた。若者に多いひきこもりやニートの就労支援に力を入れるのが特徴で、関連する活動に取り組むNPOや企業には府税を優遇する。府によると、若者の就労支援に特化した条例は全国初めてという。
条例案では、ひきこもりやニートについて、社会復帰の手助けやビジネスマナーの訓練などの就労支援を行うNPOや一般社団法人、就労体験を受け入れる企業を「就職支援団体」として知事が認定する。
認定支援団体になれば、事業のための土地建物の購入に伴う不動産取得税を1回に限り2分の1に軽減する。企業向けには、認定支援団体を通じて正規雇用した事業主を認証する制度を新たに設け、府の物品購入時に優先調達する。
若者の雇用に関して「正規雇用による安定した雇用の確保・職場定着」を企業の努力義務とする。府も、非正規雇用ではない「短時間正社員」「地域限定正社員」という働き方の導入を呼びかける。
府は条例が成立すれば、7月にも審議会を新設し、府としての具体策を示す実施方針を定める。
2010年の内閣府調査によると、15歳以上39歳以下のひきこもりは全国に約70万人、府内には約1万4千人いると推定している。
府は若者の就労支援として、07年に国と府が同じ場所で就労支援にあたる「京都ジョブパーク」(京都市南区)を設置した。就職内定者数は年々増えているが、ひきこもりやニートは少ないという。
府労働・雇用政策課は「少子化で労働力が大幅に減る中、中小企業などに若者を雇用するニーズは確実にある。ひきこもりのほか、発達障害や精神的不調を抱える人の中にも働く意欲や能力が高い人がいるため、支援を考えたい」としている。