肥満は親の経済格差に影響されると日本医科大学が発表

マイナビニュース 2015年6月8日

日本医科大学 衛生学・公衆衛生学の可知悠子助教らはこのほど、「親の経済格差が子どもの肥満に及ぼす影響」の調査結果を明らかにした。同研究結果は2015年5月23日に「Journal of Epidemiology」オンライン版で発表している。
欧米では親の経済状況が悪いほど、その子どもが肥満になるリスクが高くなることが多数報告されている。現在、日本では同様の報告がなかったことから、全国の子どもを対象に親の経済状況によって肥満の割合が異なるかどうかを分析した。
対象者は、厚生労働省が全国規模で無作為抽出により実施している「国民生活基礎調査」と「国民健康・栄養調査」に参加した学童期(6~11歳)と青年期(12~18歳)の各397名の子ども。月間の家計支出額の平均値を「低(学童期15.0万円、青年期16.5万円)」「中(学童期24.2万円、青年期27.6万円)」「高(学童期39.0万円、高45.2万円)」の3群に分けて分析した。
その結果、学童期の49名(12.3%)、青年期の36名(9.1%)が肥満の基準(※)に当てはまることがわかった。また、青年期では、月間平均家計支出額が「低(16.5万)」の場合、「高(45.2万)」と比較して、肥満の割合が3.4倍高いことが明らかとなった。
しかし学童期では、家計支出が「低(15.0万)」と、「高(39.0万)」との間に、肥満の割合に有意な差はみられなかったという。
※世界的に用いられている International Obesity Task Force の基準による

「寿命を延ばすだけ」でいいのか?人間らしい生活に必要なQOLとは

nikkanCare.ism 2015年6月8日

「健康で長生きしたい」というのは、誰もが望むことだと思います。
しかし、場合によっては、健康であることと長生きをすることは両立が難しくなることもあります。
今回は、厚生労働省の健康情報サイト『e-ヘルスネット』を参考に、“QOL”について考えていきましょう。

QOLとは何か
QOLというのは、「quality of life」という言葉の略語です。これは一般的に、“人生の質”、“生活の質”という風に訳されます。
この言葉は、医療においては、“患者さん一人ひとりが、自分自身にとって意味のある、人間らしい生活を送ることを表す基準”として使われます。
本来人が健康的な日常生活を維持するためには、7つの健康習慣(朝食・睡眠・喫煙・間食・飲酒・運動・体重のコントロール)が必要だとされています。これらを改善していき、QOLを高めていくことを考えることが大切です。

「栄養をとれていればいい」ではない
厚生労働省が取り上げている「QOLと食事」によると、食事の持つ“精神的な効果”についても考える必要があるとのこと。
私たちは食事に対して、さまざまな喜びを見出しています。目で味わい、鼻で味わい、舌で味わいます。食事の意味とは、単純に“栄養を摂取する”ということだけにとどまりません。
状況にもよりますが、点滴で栄養を摂取するだけであったり、見た目がまずそうなものであったり、香りがひどいものであったり、愛情が感じられない料理であったりすれば、満足感を味わうことは難しいでしょう。たとえ、それが栄養価的には問題がないものであったとしてもです。

「生きること」とは
これは、リハビリテーションなどについても同じことが言えます。
リハビリの場合、基本的には、自分自身で日常生活を行えることを目的とします。もちろんこれも非常に大切なのですが、これを追及するあまり、患者さんが過度な肉体的および精神的な負担を覚える、ということであれば、これはQOLの観点から見て、適正とは言いがたいでしょう。
また、延命のためだけに、非常に副作用の強く、きつい痛みをもたらす薬を使い続けることが、果たしてその人に意味があるのか?という問題とも、QOLという考え方は関わってきます。

栄養摂取のために食事をとることも、自立を目指すために厳しいリハビリに耐えることも、延命のために薬を使うことも、もちろん間違ったことではありません。それを目的にする人もいますし、どのような医療が合うか、というのは一人ひとり違うからです。
しかし、あなたの両親や配偶者といった大切な人、あるいはあなた自身がこのような立場に立たされたときには、“生きながらえること”、“自立すること”だけを目的とするのではなく、“どのように生きれば気持ちよく生きられるか”ということも考えてみてください。

ブラック企業、問題は「低賃金」よりも「長時間労働」?

マイナビニュース 2015年6月8日

全研本社は6月8日に、同社が運営する働き方と天職を考えるウェブマガジン「瓦版」で、ブラック企業に対するユーザーからの意見をまとめて発表した。
厚生労働省は2015年5月18日から、悪質なブラック企業に対し、是正勧告の段階で社名を公表することを決定した。これまでは、労働基準法違反容疑などの書類送検が公表の基準だったが、より厳しく対処することで、従業員に違法な労働を続ける企業を取り締まり、労働環境の改善を図るとしている。対象は大企業となっている。
今回の調査では瓦版ユーザーを対象に、男性170人、女性164人の計334人が回答。年代は、20代が209人、30代が73人、40代が31人、その他が21人。
ブラック企業の定義については、「長時間労働」と回答した人が44%。次いで「パワハラの横行」が33%となった。「低賃金」と回答した人は14%と少ない結果に。同社は、低賃金の会社はその分仕事量が少なく、裏を返せば、ブラックな長時間労働の会社は、給与こそ並みでも、労働時間が異常に長いのではと考察している。
「その他」の自由回答では、「サービス残業100時間超」、「人が定着しない」、「利益のみの追求で人を大切にしない」、「業務以外の打ち合わせが多い」などが挙げられた。

尋常ではない疲れが半年以上続く!「慢性疲労性症候群」とは

Mocosuku Woman 2015年6月8日

「慢性疲労性症候群」がインターネットを中心に話題になっています。厚生労働省が行った実態調査では、患者の約3割が日中の大半を寝たきりで過ごさねばならないほど重症だそうです。ここでは、慢性疲労性症候群とはいったいどんな病気なのか、見ていきましょう。

慢性疲労性症候群とはどんな病気か
「慢性疲労性症候群」(ChronicFatigueSyndrome:CFS)とは、身体を動かすのも難しいほどの強い疲労慢性的に続く疾患です。原因不明で、症状が6か月以上の長期間にわたるため、日常生活にも支障をきたします。米国では、10万人あたり38人が慢性疲労性症候群を発症していて、最近では患者数がさらに増えていると言われています。主に20~50代の人に起こり、患者全体では女性のほうが男性より約1.5倍多くなっています。成人なら誰もがかかり得る病気と言えます。実際、健康だった人が風邪や気管支炎などに罹患したことをきっかけに、症状が長引き、それを引きずったまま発症することが多いと言われています。休んでも疲れが改善しない、摂食障害や不眠などがある人は注意が必要です。全身の検査をしても他の病気や異常が見つからなければ、慢性疲労症候群が疑われます。

激しい疲労感を中心とした症状
慢性疲労症候群の主な症状は、激しい疲労感です。朝起きた時からひどい疲労を感じ、それが1日中続くという状態が6か月以上も及びます。またこの疲労感は、身体活動や心理的ストレスなどによってさらに悪化します。なお、仕事や育児など、疲労の原因がはっきりしている場合は単純な「慢性疲労」であり、慢性疲労症候群ではありません。慢性疲労症候群のもう1つの特徴は「微熱」です。疲労感と併せ、平熱より0.5~1.5度ほど高い状態が半年以上続きます。また、風邪を引いたときのように喉の痛みや頭痛などもすることがありますが、解熱鎮痛剤を使用してもあまり熱や痛みが治まりません。

うつ病などと混同されることがある
このほか、自律神経の異常により、寝つけない、眠りが浅い、早く目が覚めるなどの「不眠」や、朝起きられない、日中に極度の眠気に襲われるといった「過眠」の症状が見られます。気分の落ち込みが続き、仕事に出られなくなる場合もあります。うつ病に似ていますが、うつ病の「抑うつ」症状は朝に重く、午後に軽減される傾向があるのに対し、慢性疲労症候群は午後のほうが憂うつ感が強まる傾向があります。注意力や集中力の低下なども見られ、物忘れなど認知症のような症状が出る場合もあります。その他、関節痛、筋肉痛、腹痛などの症状が現れることもあります。これらの症状から、うつ病や精神疾患、更年期障害、自律神経失調症などと誤診されるケースがあるようです。

原因には諸説あるも決め手を欠く
慢性疲労症候群が原因が明らかになっていないだけでなく、原因が1つなのか複数なのか、身体的なものか精神的なものかなども議論が続いている状態です。有力な説としては、ストレスをきっかけに神経系の働きに異常が生じて免疫の働きが低下する→体内に潜伏していたウイルスが活性化→ウイルスを抑え込むために体内で免疫物質が過剰に産生される→過剰に作られた免疫物質が脳の働きに影響を及ぼして強い疲労感や諸症状を引き起こす──というものがありますが、定かではありません。また、慢性疲労症状群には、ある特定の遺伝子に関する異常があることも報告されています。いずれにせよ、病気のメカニズムが明らかになるにはまだ時間がかかりそうです。

慢性疲労症候群の診断と治療
慢性疲労症候群の診断を確定できる検査はありません。そのため、同様の症状を起こす疾患を除外するために検査をします。結果、どの病気でもないという場合に「慢性疲労症候群」の診断が下されます。慢性疲労症候群の症状の多くは、時間が経つと軽減します。ただし、長期にわたる休養や安静はかえって体力が低下してしまい悪化させることがあります。医療専門家の監督の下に、ウォーキング、水泳、サイクリング、ジョギングなどの有酸素運動を定期的に続けることにより、疲労感を改善し、身体機能を高めることができます。また、行動療法や心理療法が用いられることもあります。

日頃の生活とストレス処理が大事
慢性疲労症候群の初期症状は風邪に似たものなので、内科を受診しましょう。風邪とは違うなと感じたら心療内科でもかまいません。この病気にかかりやすいのは、真面目で責任感が強い人、日頃から忙しく過度なストレスを抱えている人などだと言われています。自分にあったストレス発散方法を見つけないと、慢性疲労症候群にはまり込んでしまう可能性があります。また、睡眠不足が重なると疲労が蓄積されるため、質の良い睡眠をとれるように工夫しましょう。食事もファストフードやコンビニ弁当などで済ませたりせず、3食きちんとバランスのよい食事をとるように心がけましょう。