子ども時代の不幸は、子ども時代で終わらない 『居所不明児童』著者が語る、虐待が生む負のスパイラル

ウートピ 2015年6月15日

小中学校のころをふり返ってみてください。いわゆる「お勉強」だけでなく、集団生活の送り方、人との距離の取り方、目上の人との接し方などなど、私たちは思っている以上に多くのことを学んできました。挙げればキリがないほどで、教育基本法でも義務教育を「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培う」ものとしています。
では、そんな大事な時期を丸ごと奪われている子どもがいるとしたら?
「消えた子どもたち」といわれる「居所不明児童」。みずからの意思で登校を拒否しているわけではなく、虐待や貧困、家庭崩壊が原因で社会に「いない」ことになっている子どもたち。厚労省の調査によると、2014年5月時点でそんな子どもたちの数は2,900人以上に上るといいます。これまでほとんど表面化してこなかった存在を取材し、『ルポ 居所不明児童: 消えた子どもたち』(ちくま新書)に著したジャーナリストの石川結貴さんに、その実態と背景にある問題を伺いました。

住民票がない子どもたち
本書に出てくる子どもたちは「居どころがわからない」というより「社会から見えなくなっている」状態に置かれています。なかには11歳から家族とともにホームレス生活、という過酷な人生を歩んできた亮太くん(仮名)の例も……。なぜここまでの事態に陥るのでしょう?
石川結貴さん(以下、石川):貧困や虐待も行政とつながれば基本的に支援の対象となりますが、居所不明児童にはその支援が届かない。それは彼らに「住民票」がないからです。ふつうに生活していると住民票ってあまり意識しませんが、各種支援も国民健康保険も、子どもがどの小学校に通うことになるかも、すべて住民票が基になって自治体から案内がいくものです。
なのに、たとえばDV被害から逃れるためといった特別な場合は別として、A市に転出届を出さず、住民票を残したままB市に転居してしまうと、A市からの通知が宛先不明になります。そこで役所が調査して「居住実態がない」と判断されると、住民票が抹消されます。こうして住所不定となったら最後、その子たちは“見えなく”なり、学校とも生活保護などの支援とも結びつかなくなる可能性があるんです。

誰にも拾ってもらえなかった「SOS」
居所不明になった子どもたちの声は、まったく聞こえてこないものなのですね。家族という密室から声が漏れることすらないまま、死んでしまうという痛ましいケースが本書にはいくつも紹介されていました。
石川:今年4月にも、事件当時3歳の男の子が両親によってウサギ用ケージに監禁され、殺され、荒川に捨てられたという事件が発覚しました。4歳の女児も保護されましたが、標準体重の半分以下だったそうです。そんな小さな子たちが自分から外に向かって声を発するなんて、無理ですよね。皮肉な話ですが、この家庭では子どもが7人いて生活保護や児童手当を不正受給していて、行政の担当者が頻繁に家庭訪問をしていたから事件が発覚したんです。
亮太くんにしてもホームレスを何年も続け、一時的に行政との接触がありながらも、彼のSOSは誰にも拾ってもらえなかった。彼は17歳で罪を犯しますが、逮捕され裁判にかけられることでやっとその過酷な生育歴があきらかになりました。

子どもの存在が見えないということは、その過酷な状況どころか死まで隠せてしまうということなのですね。
石川:お隣の家であってもその家に何人子どもがいるか知らないし、まして名前もわからないのが、いまの社会ですから。昨年、神奈川県厚木市で発覚した、死後8年近く経ってから白骨死体で発見された男の子の事件が象徴的ですよね。この子も2006年には小学生になっているはずでしたが、一度も登校できなかった居所不明児童です。
こんなふうに誰にも知られないまま葬られた子どもがいままでどのくらいいたのか……。文部科学省の学校基本調査によると、居所不明児童は53年間で2万4,000人にも上りますが、実際のところ正確な数は把握できませんし、過去までさかのぼるとなるともう完全に闇の中なんです。

集団生活を学べずに社会からドロップアウトしてしまう
本書を読んでいると子どもにとって学校という場がいかに大事なのかがよくわかります。
石川:貧困家庭の子で「給食を食べられる」という理由で登校する例もありますが、どんな理由でも学校にだけは通いつづけたほうがいいと私は思います。学校で過ごす毎日の時間って、子どもにとってすごく大事! 勉強だけでなく社会の常識や人間関係など、いろんなことを学べます。
居所不明にかぎらず、虐待家庭の子は、私たちが「習った」という意識もなく身につけている常識のようなものが、すっぽり抜けていることがよくあります。夜寝るときにパジャマに着替えることを知らない。ドライヤーそのものを知らないから、お風呂あがりも髪が濡れっぱなし。いわゆる生活習慣や一般常識が身についていないのです。さらに社会に出て働こうとしても「履歴書って何?」となるし、契約書の文字が読めない。行き着く先は、女の子ならセックスワーク、男の子ならブラック系の非正規雇用や犯罪組織というパターンも少なくないです。

亮太くんもそんな環境にありながら知的好奇心を失わず、独学で漢字を勉強したりしています。ふつうに学校に通えていたら、彼にはいろんな可能性があったのに……。
石川:虐待家庭の子や居所不明児童を救うことは、未来の私たちの社会を救うことでもあります。セックスワークや犯罪組織からもはじかれて若年ホームレスになり、20代のはじめから生活保護という例もあれば、刑務所に入ってしまう例もあります。そのコストを負担するのは、社会全体です。
そうした道をまぬがれても、子ども時代の不幸が子ども時代で終わらない。子どもを産んでも育て方を知らないため虐待をしてしまい、結果、子どもを施設にあずけることになる。必ずしも負のスパイラルが起きるわけではありませんが、可能性としては高くなります。いまそんな環境にある子たちを救えば、未来の子どもたちをも救うことになる……そのことを知ってほしくて、本書を書きました。
居所不明児童の置かれている状況を知れば知るほど、子どもたちには一片の罪もなく「これはひとえに、大人の問題である」と痛感します。後篇では、取材をとおして見た大人側の闇について、石川結貴さんに引き続きお話いただきます。
後編に続く

わが子に障害があったら仕事はどうなる?

東洋経済オンライン 2015年6月16

新しい命を宿した時、多くの女性がまず考えるのは、「健康に産まれてきてほしい」ということではないだろうか。だが、時としてその願いが叶わないこともある。わが子に障害があるとわかったとき、仕事はどうなるのか。

仕事を辞めるなんて思っていなかった
中村洋子さん(46)はこの春、福岡市内の短期大学で、保育士・幼稚園教諭を目指す学生に幼児体育や子どもの体の発達について教える常勤講師の職に就いた。中村さんには2人の子どもがいる。今年13歳になる二女は、歌舞伎メーキャップ症候群という疾患を持って産まれた。切れ長の目などの特徴的な顔立ちが、歌舞伎の隈取を思わせることからこうした名前が付けられている。口蓋裂や低身長、骨格異常などさまざまな体の症状のほかに、知的障害も伴う。
「また、こういう場所に戻れるとは思っていませんでした」。大学の研究室でこう言って晴れやかな笑顔を見せた中村さんだが、その言葉からは、ここへ至るまでの道のりが決して平たんなものではなかったことがうかがえる。
22歳で体育大学を卒業後、1年間の非常勤講師を経て、山口県内の大学で講師や専任助手と、順調にキャリアを積んでいた中村さん。28歳で結婚し、2000年に30歳で長女を出産する。産休・育休を経て、元の職場に復帰。公私ともに充実した日々を送る中、第2子を妊娠する。「大学の仕事は本当にやりがいがあり、辞めるなんて気持ちは欠片もありませんでした」。当然、育休が明けたら仕事に復帰するつもりだった。
2002年、二女を出産。ところが出産後間もなく、上あごの奥の方が裂けている軟口蓋裂という症状があることを医師から告げられる。ミルクを自分で飲めないため、そのまま大きな病院のNICU(新生児特定集中治療室)に運ばれ、鼻から胃へ管を通しながら哺乳をすることになった。

退院後も鼻腔からの哺乳は続き、育休を消化しながら、「これは育児なのか看護なのか」という生活が始まった。そんなある日、中村さんが職場に顔を出すと、事務担当者が言った。
「いつ仕事に復帰されますか?」
「娘がああいう状態ですから、預け先が見つからなくて」
「では、退職の手続きですね」
「えっ?」
そこで初めて、自分は仕事を辞めなければならないということに思い至った。口蓋裂であってもすぐにミルクを自分で飲めるようになる子もいれば、ずっと飲めないままの子もいる。中村さんの二女は後者だった。懸命に預け先を探すも、当時はミルクを自分で飲めない子を受け入れてくれる保育施設は見つからず、退職願を出すほかなかった。
軟口蓋裂を閉じる手術を経て、二女が初めて自分で口から食べ物を食べることができたのは、2歳半の時だった。その後、少しずつ外でもご飯が食べられるようになった。中村さんの心にも余裕が生まれ、幼稚園や保育園に通わせたいと考えるように。その第一歩として、児童デイケア(障害のある子どもを対象に、日常生活の指導や集団生活への適応訓練を行う通所施設)に通わせることにした。

「教える」ってやっぱり楽しい
「あなた、体育の先生だったんでしょう。子どもたちに体操を教えてくれませんか」。ある日、中村さんは二女も通うデイケア施設のスタッフにこんな依頼を受けた。自閉症の子どもたちに運動遊びの時間を作りたいということだった。その間は別のスタッフが二女を見てくれるというので引き受けた。そして感じたのは、やっぱり教えるって楽しいということだった。
外で働くのが難しいなら、自宅で何かを教えることをしたい。この先、もしこの子が外出もできないような状況になったとしても、自宅に人がいっぱい来るという環境を作ることができれば、この子にとってもいいのではないか――。
中村さんがそう考え始めたちょうどその頃、近所に元看護士が運営する託児所ができた。そこに二女を預けて着付け教室に通い始める。すると、思いも寄らない仕事が舞い込んできた。中村さんがほかの生徒にアドバイスする様子が講師の目に留まり、欠員が出ていた小学校の臨時パソコン講師の職を紹介されたのだ。
やってみたい。でも、二女を長時間預けて仕事ができるのだろうか。託児所に相談すると、保育士が背中を押してくれた。「頑張ってお仕事して。応援するよ」
小学生が相手だから、パソコンの操作は難しいことを教えるわけでもない。専門の分野でもない。「それでも再び“先生”という仕事ができてうれしかった」と、中村さん。これが、仕事復帰への第一歩だった。
その後中村さんは、短期大学で幼児体育の非常勤講師の仕事を紹介される。自分が専門とする分野で、念願の仕事を手に入れた。二女は、体が細くて知的な遅れもあったが、体力もついて保育園にも問題なく通えるようになっていた。そんな充実した日々の中で、ある思いが湧き上がってくる。
それは、子どもが元気になったからといって、自分がやりたいことだけをやっていていいのだろうか、ということだった。二女のことで手いっぱいだった頃、積極的に長女の世話を買って出てくれた近所の人たち。働き始めることについて背中を押してくれた着付け教室の講師や保育士。お世話になった人たちにお礼も言っていない気もしていた。
そこで、地域の母親が子どもを預かり合いながら、体を動かしてリフレッシュできる育児支援団体「すこやかライフサポーター」を設立。さらに、発達障害や多胎児、ハンディキャップがある子どもの母親をサポートする支援団体「プリズム」を2013年に設立した。「かつての自分のように、大変な思いをしているお母さんを支えたい。そうしたお母さんたちの“声にならない声”を発信していきたいのです」

助け合える仲間がいる心強さ
保育士を育成する専門学校の増加に伴い、中村さんの非常勤講師の仕事も増えてきた。仕事の合間を縫って団体の活動も活発に行われるようになった。そんな忙しい日々のさなかに、ある事件が起こった。子どもたちとのレクリエーション中に腕と足を骨折。そして2カ月間の入院生活を余儀なくされたのだ。
家族の食事や長女の塾・習い事の送迎、二女の服薬管理など、家の中でも担っている仕事は山のようにあった。夫も精いっぱい協力はしてくれるが、それでも限界がある。どうするか。
途方に暮れた家族を助けてくれたのは、近所の友人たちだった。すぐに友人らでチームが結成され、子どもの送迎担当、食事担当などシフトが組まれたのだ。おかげで夫は欠勤することもなく、高齢の両親の手を借りることもなかった。
「二女は日頃から地域のいろんな人に会わせて、コミュニケーションをとるように心がけていました。てんかんを起こした現場に居合わせた友人もいます。最初はびっくりしていたけど、一度見ると、『ああ、これくらいで治まるんだね』ってわかってもらえた。だから彼女たちには、二女の面倒を代わってあげられるのは自分たちだという使命感があったのかもしれません」(中村さん)。
2015年4月、長女は中学3年生となり、二女は特別支援学校の中学部に入学。そして中村さんは、新たに常勤の専任講師として勤務することとなった。
キャリアの中断を余儀なくされたが、その一方で、障害のある子どもを育てた経験は、先生という自分の仕事に、新たな視点をもたらしてくれたと、中村さんは語る。
子どもを預けて仕事に復帰した当初は、不安もいっぱいだったという。子どもが体調を崩して仕事を休むこともあった。それでも、周囲の助けも借りながら、そのときできることを精いっぱいやることが、次のステップにつながっていった。先が見えなかった日々を経て、再びキャリアを積み上げていく。

現役保育士さんに聞く!子供が泣きやむ音楽とは?

M-ON!Press(エムオンプレス) 2015年6月15日

≪泣き止み動画を見せられない状況ではこの方法で!≫
子供のグズりは世のお母さんたちの切実な悩みである。“子供は泣くのが仕事”なんて言われるぐらいだし、仕方がないのはわかってるんだけど、毎日のことだからやっぱり疲れてしまう……。そこで今回は、毎日たくさんの子供たちと触れ合う保育士さんにお話をうかがうことに。お子さんがすっと泣き止みやすい状況には共通点があり、なかでも音楽が重要なカギを握っているのだとか。都内の保育園で働く保育士のりなさんにお話を聞きました!
「ちょっと前に泣き止み動画って流行りましたよね。『ムーニーちゃんのおまじない』とか『ふかふかふかのうた』とか。元々の趣旨は違うかもしれないけど『パパンがパンダ!』もそうですね」
『ムーニーちゃんのおまじない』で子供が泣き止む確率は96%だそうです。ただ職場で子供たちに動画を見せることは難しいので、先輩と泣き止み動画の真似をしてみることにしました。ただ真似をして歌ったり踊ったりしても見てくれないので、いくつかの動画を研究しました。その中で子供にとって自分が泣いている状況と“真逆の世界”を作ってあげることが大事、というところに行き着きました。
例えば“おぎゃーおぎゃー”って泣いてる子供にとってお母さんが慌てふためいたり、いらいらしたりするのというのは“同調”なんです。子供はさらに泣きたくなっちゃうんですね。“真逆の世界”というのは、同調とは逆で、思わず“?”とひるんでしまうようなものです」
慌てたり、いらいらしたりするのが“同調”というのはすごく納得。理論はわかったけど、具体的には何をすれば……?
「例えばボイス・パーカッションなど。もちろんできてなくていいんですよ(笑)。それっぽくいつもと違う音が出ていればいいんです。あと歌なのか話なのかわからないような不安定なリズムとメロディで語りかけるとか。ひらがな2文字や擬音にリズムを付けて話すとか。普段私たちが聴くような音楽ではなくて、“これ『歌』って呼んでいいの?”というくらいの聞き慣れないものがいいと思います。そうすると、ポカンとした表情で静かに、じーっと見てくれるんです」
なるほど。いつもと違う音楽と言われるとなんだか難しそうだが、聞き慣れないという観点ならばちゃんとした歌になってなくていいのですね。これなら誰にでもできそう!

O型や肥満傾向の人は蚊に刺されやすい! 虫よけ対策の基本を学ぶ

ダイエットクラブ 2015年6月15日

6月15日、都内にて『みんなで防ごうデング熱! 親子虫よけ教室』が開催された。
同イベントは、ヒトスジシマカが媒介する感染症(デング熱)などの感染リスクの意識を高め、予防のための正しい虫よけ方法を紹介するために行われたもの。

「みんなで防ごうデング熱! 親子虫よけ教室」の様子
会場となった、東京都中野区の学校法人常盤学園やよいこども園には、同園の園児とその保護者が集まり、小児科医の粂川好男氏(杉並堀ノ内クリニック小児科院長)による講演会が実施された。
まず始めに粂川医師は、「蚊に刺される人が減れば、デング熱は流行りにくくなります」と言い、蚊が本格的に吸血行動を行う時期は、気温が25度前後になる6月ごろで、草むらや木陰、蚊が産卵しやすい場所(水が溜まるゴミや設備の側)に、蚊が発生しやすいことを説明した。
続いて、人を刺すのは産卵時のメスの蚊だけで、卵の栄養源として血液を吸うことや、体温・湿度、吐く息や皮膚から出る二酸化炭素、汗などに反応して、蚊は人を感知していることを紹介。
さらに、「体温が高い人、肥満傾向の人、やや汗かきの人、黒い服を着ている人、お酒を飲んでいる人、血液型がO型の人は、蚊に刺されやすい傾向があります」と、粂川医師は話していた。
また、「蚊に刺されにくい服装(長袖、長ズボンの着用)」と「虫よけ剤の使用」が虫よけ対策の基本だと話したあと、厚生労働省が虫よけに効果がある成分として認めているのは「ディート」と「レモンユーカリ油」の2つしかなく、ディートに関しては、濃度が高いものほど虫よけの効果が持続することを説明した。
最後に粂川医師は、スプレータイプの虫よけ剤を使用するときのコツを紹介。虫よけ剤を直接体にスプレーするだけだと塗りムラが出てしまうため、まず手のひらに虫よけ剤を吹きかけ、それを蚊に刺されやすい部位(首の横、二の腕の外側、ひざの裏、くるぶし)に塗ったあと、手のひらを使って、各部位に虫よけ剤を広げるのが、正しい塗り方だと話していた。
なお、今回のイベントを主催した「みんなで防ごう! デング熱プロジェクト」のサイトでは、デング熱対策最新ニュースや、蚊・虫よけに役立つリンク集などが公開されている。

“着エロ”も18禁扱い、「貧乳」バナーは禁止…アマゾンジャパン“アダルトコンテンツ取り扱い厳格化”資料の中身

おたぽる 2015年6月15日

今月、通販サイト「Amazon」を運営するアマゾンジャパン株式会社がアダルトゲーム/ビデオの倫理団体を招き、7月からのアダルトDVD販売方法に関する説明会を開催していたことが、本サイトの取材でわかった。説明会では、アマゾンジャパンが商品登録にあたってのガイドラインを通知していることも判明。同社はこれまで商品のガイドラインについて「コンプライアンスに準じて対応している」とするのみで、一切の取材を無視してきた。今回、初めてその一端が明らかになったことになる。
今回の説明会では、アマゾンジャパン側から同社映像事業部・音楽事業部コンテンツ管理部の担当部長が出席。「Amazon」ではアダルトゲーム/ビデオについて、コンピュータソフトウェア倫理機構事務局(ソフ倫)・日本映像倫理審査機構(日映審)・コンテンツ・ソフト共同組合(CSA)・ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)・日本映像ソフト制作・販売倫理機構(制販倫)・全日本ビデオ倫理審査会(AJCS)の6団体の審査を受けた商品だけを登録可能とすることを通知した。
また関係者の話では、口頭で「外部から犯罪や児童ポルノに関する削除の要請があった場合、対応せざるをえない」との説明がなされたという。これに加えて、着エロ系のアイドルDVDについてもアダルトカテゴリーでの登録を必須とし、アマゾンジャパン側がアイドルカテゴリでの販売が可能か否かを判断するとのこと。アイドルDVDの制作会社に対しては、前述の6団体で審査を受けることを推奨しているという。
配布された商品登録に関する資料には「アダルトメディア商品に関するガイドライン」が記載されているが、ここでは次のような項目も存在する。
・Amazon.co.jpは、以下の基準に基づき、極めて不適切と見なされるアダルト商品を当サイト上から削除します。:(a)主たるテーマとして、同意のない性交渉が、極めて暴力的(または虐待的)および写実的に描写されている作品、および、(b)主たるテーマとして、獣姦が描写されている商品。
・Amazon.co.jpは、学術的、芸術的、政治的または科学的価値のあるコンテンツと見なされる商品については、当サイト上での販売を継続します。
同様に配布された「アダルトDVD・ブルーレイ バナー・メール掲載規定」という資料は、アダルトストアでのバナー掲載やユーザーが任意で購読できるデリバーズメールについて説明するものだが、ここでは「Amazon.co.jpが掲載NGとしている一例」も記されている。NG事例のうち、「テキスト・表現方法」については次のように示される。

暴力的表現(レイプ・拷問など)、最大級表現(最大・世界一など)、誹謗中傷(変態など)、精神的圧力、差別、欠点の訴求(貧乳など)、犯罪行為(痴漢・売春・監禁など)の助長など、お客様に不快感を及ぼす恐れがある表現を含む商品タイトルやコピーは掲載不可。
説明会では野口氏から「アマゾンとしては、新作の売上を重視しており、マーケットプレイスの商品について、規約違反の商品を削除する等、対応している」との説明もあったという。アマゾンジャパンでのメーカー新作とマーケットプレイスの売り上げ割合は、2015年現在でマーケットプレイスが42%を占めている状況とされた。特にアダルトDVDの売り上げのうち、55%は中古(旧作)販売とのことだ。
同社は今年1月、児童ポルノにあたる出品を放置していたとして家宅捜索を受けており、これを契機として各団体の審査を必須にすることで、安全かつ利幅の大きい販売方法へのシフトを検討したものと考えられる。
また前述の「削除の要請があった場合、対応せざるをえない」という説明に見られるように、各団体の審査を受けた商品でも任意に削除される可能性があることを示唆している。これは、販売前の審査を行わない雑誌・書籍にも対応すると見られ、現に今年5月末頃には雨蘭氏のマンガ『無邪気の楽園』(白泉社)が「Amazon」から一斉に削除されている。
もはや、なくてはならない販売ルートとなった「Amazon」。ガイドラインに従っても削除されうるという厳しい状況が明らかとなった。
(取材・文/昼間 たかし)

企業はどうやって密かに値上げするのか?こうです

ウォール・ストリート・ジャーナル 2015年6月15日

スパイス・メーカーの米マコーミックは今年初め、同じ包装でほぼ同じ価格で25%減量したコショウの出荷を始めた。消費財メーカーは、洗剤からヨーグルトに至るまで、中身を減らすこうした昔ながらのやり方で実質値上げを行っている。食料品業界では「量減らし」、トイレットペーパー業界では「枚数減らし」と呼ばれている。
包装の中身を少なくする技術は、専門用語で「非機能性過剰スペース包装」という。ポテトチップの袋を開けて中身が少なくなっていることに気づく消費者にとっては耳慣れない言葉だろうが、倹約家の消費者とコストの増加に悩む企業にはなじみがある。
マコーミックは今年初め、赤と白のアルミ大型缶のコショウの量を8オンスから6オンスに、中型缶を4オンスから3オンスに、小型缶を2オンスから1.5オンスにそれぞれ減らした。連邦規制に従い、減量された新含有量は、缶のラベルに「含有量」として記載されている。
同社のウィルソン最高経営責任者(CEO)は1月、コショウの原料コストが過去5年間急騰しているが、これ以上値上げする余裕はなかったと、量減らしの理由を説明した。同CEOは「販売価格は、これ以上上げられないぎりぎりのところになっている」と語った。
同社が量減らしをしたことは、古くからのライバル・メーカーのワトキンス社の怒りを買った。ワトキンスは、包装のサイズを変えずにコショウの量を変えるのはごまかしであり、ワトキンスを不利な立場に置くものだと批判し、マコーミックは上げ底の包装を規制する連邦法に違反しているとして、今週同社を提訴した。
連邦法では運送中に事故が起きないよう商品を保護したり、包装に際してどうしても隙間が出来たりする場合などには、包装の中が詰まっていなくても許される。しかし、スペースが空きすぎると訴訟の対象になる。
ワトキンスは、マコーミックが同法に違反していると主張し、減量した新しい缶の販売を停止するよう求めるとともに、損害を被ったとして賠償を請求している。これに対しマコーミックの広報担当は、小売店に事前通告し、包装のバーコードを変える標準的な手続きをとったと指摘し、「当社の優先事項は、大幅な値上げを避けながら、商品の中身や質を維持することにある」と語る。また、古い缶から新しい缶に切り替えるには時間が掛かり、スーパーマーケットの棚に両者が混在することもあると説明している。
ワトキンスが訴えの根拠としているのは、商標管理とともに虚偽広告や虚偽行為を対象とするランハム法。弁護士らは、同法を適用できるかどうかは、分別のある人が騙されるかどうかがカギとなると指摘する。