不登校の背景に貧困 大学教授が横浜で講演

カナロコ by 神奈川新聞 2015年6月26日

横浜市児童・生徒指導中央協議会が25日、同市中区内で開かれ、川崎の中1男子殺害事件でも注目された不登校の問題をテーマに、教育と福祉の連携体制について話し合った。講演した大阪府立大の山野則子教授は「不登校の子どもの背景に少なからずある貧困やネグレクトの問題に目を凝らし、教育と福祉がそれぞれの役割を担うことが大事だ」と呼び掛けた。
協議会には小中学校の児童支援、生活指導の専任教諭や福祉関係の職員、少年担当の警察官らが参加。
山野教授はスクールソーシャルワーカーとして自身が関わった事例を挙げながら、貧困の問題に目を向ける必要性を説いた。
6畳一間に幼稚園から高校生まで7人が暮らす父子家庭のケースでは、プライベートの場がなく、年ごろの子が着替えもままならない状態で家に寄りつかなくなり、不登校に。非行で補導された。また、小さな子は室内が不衛生で病気になっていたが、病院にも行っていなかったという。
山野教授は「学校から見える姿は非行や病気という部分だけ。しかし、その背景にある6畳一間に7人が住むという現状を知らなければ、問題は解決しない」と話した。
トラック運転手の父親は生活保護や就学援助が申請できるとは知らずにいたが、ケースワーカーが親身に寄り添った結果、生活保護を受けることになり、家賃が抑えられる公営住宅に転居。不登校や非行が改善するのに長い時間はかからなかったという。
「仕事を3カ所も掛け持ちしている母子家庭の親もいる。疲れた母親に朝起こしてもらえず、子どもは遅刻しがちになり、不登校になるケースもある」
山野教授は近年増えている生活保護率が、昭和40年ごろの数字と同じであると指摘。就学援助の対象となる児童・生徒の割合は全国で15・6%に及んでいるデータなどを示して、「不登校の背景にこうした貧困の問題があることを認識しておくべきだ」と述べた。
また、学校と児童相談所など教育と福祉が互いの組織の弱みを認識し、共有することの重要性を挙げ、「それぞれの立場が違えば考え方も違うのは当然だ。葛藤が当たり前と思って始めれば、連携はうまくいく」とアドバイスした。

子の不登校、焦らないで 無理強いせず周囲に相談を自治体の教室も有効

日本経済新聞 2015年6月25日

約12万人。全国の不登校の小中学生の数だ。多くは友達や先生とのちょっとした人間関係のこじれがきっかけで、学校から足が遠のく。親は突然のことに戸惑い、「とにかく行きなさい」と無理強いすると子どもを追い詰める。周囲に相談し、焦らず子どもの気持ちの回復を待つのが大切だ。
「みんなが協力してくれない。もう学校は嫌」。東京都に住む主婦(47)は、昨年10月に中学生の娘に突然打ち明けられた。登校時間が迫る朝のことだ。娘は大きな学校行事を控え、クラスをまとめるリーダーを任されていた。表情に生気がなく、その日は休ませたが、それが不登校の始まりだった。
翌月はほぼ全休となった。担任の先生によれば特段クラスで孤立していた様子もなく、いじめなど特定の原因もなかった。「何が嫌なの?」「何で行かないの?」。問い詰めてもベッドから出てこない。「娘が不登校になるなんて想像もしなかった」と打ち明ける。
不登校とは病気など特段の理由もなく、年間30日以上学校を休むことを指す。文部科学省の調査によると、2013年度の不登校児童・生徒(小中学校)は約12万人で6年ぶりに増加した。きっかけの上位は「友人との関係」54%、「生活リズムの乱れ」35%、「勉強が分からない」32%(複数回答)。
子どもが不登校になった時、担任の先生への相談が全てのスタートだ。不登校は学校にとって珍しい事例ではなく、相談するのに遠慮や引け目はいらない。
最近は専門職を配置する学校も増えている。臨床心理士などが務める「スクールカウンセラー」は児童生徒の悩み相談に乗り、保護者や教職員に対応策などを助言する。社会福祉士や精神保健福祉士による「スクールソーシャルワーカー」は貧困や就学環境などに問題がある場合に、児童相談所や福祉事務所などと連携し、解決に当たってくれる。
不登校の原因が担任の先生にあるかもしれないと思う時は、直接学校に相談しにくいものだ。自治体や各教育委員会が開設する、教育相談窓口が有効だ。
ただ不登校からの復帰は簡単ではない。いじめ・嫌がらせの改善や教職員の見守り強化など学校側の働きかけなどで再び登校するようになる児童生徒は年間3割ほど。原因を取り除いても、心理的に元の生活には戻りにくい。
勉強する意欲はあるが、登校できない児童生徒向けに、市区町村が「教育支援センター(適応指導教室)」を開き、運営する動きも広がっている。学校に通う代わりに同センターに行き、勉強したりレクリエーションを楽しんだりする。現在全国に約1300カ所ある。
東京都新宿区の教育支援センター「つくし教室」には現在10人の小中学生が通っている。平日の午前9時半~午後3時。毎日ではなく週1~2回の通いにとどめる子どももいる。原則同じ学年の子どもたちでグループを作り一緒に学ぶが、対人関係が苦手な場合は個別指導に切り替える。
「できることを少しずつ重ねていき自信の回復を図る。学校とも連携し、最終的には学校への復帰を目指している」(区教育委員会教育支援課)。昨年度は17人が所属し、うち9人が中学3年生だった。全員が進学を希望し、希望通り全員が今春高校に進んだ。
学校生活になじめない場合はフリースクールに通う手もある。所属する学校長の判断で、フリースクールへの登校を小中学校での出席に振り替えも可能だ。そうすれば小中学校から卒業を認定してもらえる。ただフリースクールは内容も様々。NPO法人フリースクール全国ネットワーク(http://freeschoolnetwork.jp/)は全国約80カ所の情報を提供している。親と子どもがしっかり見学し、納得できる施設を選ぶことが重要だ。

きっかけも解決策も様々
不登校のきっかけは様々で解決法は1つではない。冒頭の主婦は書籍「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」(リーブル出版)に救われた。娘の行動や性格などで良い点を毎日3つ見つけて、本人に伝える手法だ。娘を見る姿勢が肯定的に変化し、不登校を責める気持ちが和らいだ。すると娘の表情も明るくなり「学校に行く」と言い出した。「焦りが娘を追い詰めていた」と振り返る。
NPO法人東京シューレ理事長の奥地圭子さんは「無理に行かせようとしてはいけない」と助言する。奥地さんは元教師。自分の子どもが不登校になったことをきっかけにフリースクールを立ち上げた。6月上旬に開いたイベントでは4人の親が体験談を話した。
最初は混乱したが、現在は高校や大学に通っていたり、特技を生かして働いていたり。全員が学校に戻ったわけではないが、自立している。奥地さんは「子どもには成長する力がある。進みたい道を進めるように子どもに寄り添い応援する姿勢が大切だ」と助言する。
(女性面編集長 石塚由紀夫)

性暴力救援センター・大阪 加藤治子代表(2)来所者の6割以上が未成年

読売新聞 2015年6月26日

全国でワンストップ支援組織をつくる動きが広がっていますね。
内閣府が昨年度、都道府県などの自治体を対象に、性暴力被害者のためのワンストップ支援組織に関する調査研究をサポートするモデル事業を始めたことで、自治体による体制整備の機運が高まりました。現在、20か所余りでワンストップセンターが設立中、または準備中ですが、課題は山積しています。相談センターを医療機関と離れた場所に設ける「連携型」のセンターも多く、被害者が来所する常設の場所を医療機関の中に作ることがなかなかできていません。協力医療機関の確保が困難なことや、公的資金が出ない、十分な数の支援員を確保できない、24時間対応ができないなど、さまざまなハードルがあります。
SACHICOの5年間の活動を振り返ると、日中よりも、時間外の来所の方が多くなっています。再診率が8割を超えているのは、初診時に引き続き診察する必要性を説明し、診察日の予約を入れ、来所しやすくしていることや、継続した支援を求めてくる被害者が多いからです。地域ごとの事情もあり、連携型でスタートする自治体が多いのが現状ですが、「駆け込み場所」となる医療機関が定まっていないと、きめ細かな対応ができず、初診後、被害者の足が遠のいてしまうのではないかと懸念しています。各自治体には、医療機関をベースに24時間、いつでも対応できる「病院拠点型」を目指してほしいですね。
SACHICOでは来所者の6割以上が未成年なのですね。
身近な人から性虐待を受けた子は、12歳ぐらいで打ち明けられるようになることが多いです。支える側の大人が動揺し、「なぜもっと早く言わなかったの?」「もう結婚できないかもしれない。かわいそうに……」などと言うことがあります。たとえ子どもを慰めようと思って言った言葉でも、これらは二次被害につながり、子どもを傷つけてしまうことがあるのです。「汚れてしまった」と思い込んでいる子には、診察した上で、「あなたは何も変わっていない。将来、普通に恋愛もできる」と伝えます。支える大人は、被害を開示したことに対し、「よく打ち明けてくれたね」とねぎらうような言葉をかけることが大事です。
学校内で起きたケースでは、被害者が安心して登校できるよう、教員を交えて話し合い、対処法を助言することもあります。実際に起きてしまった場合、先生方はとても動揺し、対応に悩みます。生徒が被害を打ち明ける時、養護教諭を頼るケースも多いので、大阪府では、国のモデル事業を活用して昨年度、養護教諭らを対象に性暴力被害について知ってもらうための研修を行いました。
スマートフォンの普及が助長する被害も問題になっています。
家出少女が安らぎを求めて不特定多数の男性とつながり、児童相談所から「性非行」として紹介される例が目立ちます。背景には身体的虐待、性虐待、ネグレクト、貧困など、さまざまな問題が絡んでいます。家の中に居場所がなく、その寂しさを紛らわせようと、スマートフォンのアプリで簡単につながって、被害に遭っている子もいます。少女たちには被害意識がなく、「相手は優しかった」と言いますが、実際にはその場だけの関係で、男とは連絡がつかない状態になっており、その人の名前も住所も分かりません。相手が体目当てで近づいてきたことは明らかです。仮に分かったとしても、相手が「合意の上だった」と言えば、刑事事件にすることは困難です。
自分のことを大切にされた覚えがない少女たちには、支援の場で「あなたのことを本当に大切に思っている大人もいるよ」ということを感じてもらおうと、支援員とともに話をします。残念ながら、性非行を繰り返し、何度も児童相談所から連れてこられる子もいるのが現実で、問題の根深さを感じます。

早いと18歳から発症…映画『アリスのままで』にみる、もし自分が「若年性アルツハイマー」になってしまったら?

Mocosuku Woman 2015年6月26日

厚生労働省の調査によると、平成23~24年国内の認知症患者は、MCI(軽度認知障害)も含めると、推定860万人。65歳以上の4人に1人に相当します。この傾向は今後ますます進んでいきます。
また、65歳以上の老年性認知症とともに、65歳未満の若年性認知症(若年性アルツハイマー病)も、全国で約37,800人(推計)、推定発症年齢の平均は51.3歳プラスマイナス9.8歳という統計も公表されています。早いと18歳から発症という指摘もあります。
今週末6月27日、若年性アルツハイマー病を取り上げた映画『アリスのままで』が公開されます。ここでは、今現在関心が集まっている「若年性アルツハイマー」について簡単に解説します。

若年性アルツハイマーについて
一般的にアルツハイマーは、主に65歳以上の高齢者に多くみられる脳そのものが萎縮してしまう病気です。しかし、働き盛りの40~50歳代の中高年の間でも、アルツハイマーに似た症状が出る患者が増えていることから、この患者を若年性アルツハイマーと呼んでいます。
アルツハイマー病は認知症の一種です。記憶・動作・認知など知的機能が継続的に低下するのが認知症ですが、とくに、アルツハイマー病は脳の神経細胞が死んでいく「神経変性疾患」の代表格です。
大脳の表面に広がる大脳皮質が萎縮してしまい、βアミロイドというタンパク質が脳内にたまり、脳のゴミ「老人斑」がつくられます。また、マイネルト核と呼ばれる神経細胞が変性・脱落してしまって、アセチルコリンという神経伝達物質が減少します。
若年性アルツハイマーは、どちらかというと男性より閉経後の女性に多い傾向です。また、遺伝性の強い脳疾患ですから、初期症状の兆候が見えて、かつ親族間に若年性アルツハイマー病の人がいた場合は、早めに専門医に診てもらうことが肝心です。
他にも交通事故などで頭に強い衝撃や、脳障害を起こしたり、脳梗塞などを発症したことのある方は注意が必要です。

うつ病と間違えやすい?若年性アルツハイマーの症状
初期には、頭痛やめまい、不眠などがみられます。不安感や自発性の低下、抑うつ状態にもなります。仕事でのストレスやうつ病と間違えやすいですが、発症すると自己中心的になり、頑固になり、他人への配慮がなくなります。放っておくとどんどん進行していくので、早期発見、早期対策が重要です。
顕著な症状は、日常生活に支障がでるほどの記憶力の低下です。今日が何日かわからない、季節がわからない、同じことを何度でも訊くなどが目立ちます。また、好きだった趣味やゲームのやり方がわからず、てこずります。どこに置いたかわからず、いつも何かを探している状態です。さらに、計画を立てて行動すること、数字を処理することができなくなります。
お料理ができなくなる、集中力がなくなり、今までできてきたことに時間がかかるようになると、請求書の支払いや家計簿の計算をすることが難しくなります。
目で見たものや空間的な関係を理解できなくなる場合もあり、距離感がわからずぶつかったりすることも。スムーズに会話ができなくなるので、人と関わることをやめてしまいます。

あなたは大丈夫?セルフチェックしてみよう

□親族間に若年性アルツハイマー病にかかった人がいる
□頭痛、めまいなどの回数が増えた
□他人への配慮がなくなり、周囲の人から自己中心的になったと言われることが増えた
□人の名前が思い出せないことが増えた
□脈絡のない文章を書いてしまうことがある
□通いなれた道のはずなのに迷ってしまうことがある
□住所や日付を書き間違えることが増えた
□重要だと思っていたはずの約束さえ忘れる回数が増えた
□仕事の能率が下がったり、台所での作業も要領が悪くなった
□最近、ムキになったり怒りっぽくなった気がする
□閉経を迎えている(女性)

これらはあくまで簡単なチェックです。認知症は早めに発見・対処すれば、症状の進行を遅らせることができると言われていますので、気になる方は、もの忘れ外来や神経内科外来などを受診してください。

若年性アルツハイマーの予防方法は?
<食生活が重要>
塩分や動物性脂質の摂り過ぎに注意しましょう。青魚のEPAやDHAは、血液をサラサラにしてくれる効果があります。また、野菜に含まれているビタミン群(E,C,βカロチン)を食べるようにしましょう。赤ワインなどに含まれているポリフェノールも効果があります。納豆は、若年性アルツハイマーの予防食と言われています。

<頭やからだの運動>
ダンスや手先を使ったことをすることは、脳細胞を刺激します。日頃から読書をしたり、文章を書いたりしましょう。囲碁や将棋、麻雀、ゲームなど頭を使い考えることを日頃からすることも大事です。

<早期発見、早期診断>
アルツハイマー病だと早期に診断を受ければ、進行を遅くすることができますし、家族の方も準備をする時間が取れます。周囲の人が気がついたら、すぐ受診しましょう。

<その他>
質の良い睡眠をとることは、脳を休ませます。タバコは血管を収縮させるので、吸わないほうがいいでしょう。アルコールは多量に飲むと脳を萎縮させる原因になります。
日頃から、笑顔で生活できるように、人間関係や身だしなみにも気を配り楽しく生活することが若年性アルツハイマーの予防になります。

「癌ならよかった、恥ずかしくないから」
50歳で若年性アルツハイマー型認知症と宣告された言語学者アリスと、その家族の葛藤を描いた映画『アリスのままで』。病気が進行するにつれ、支障が目立つようになり「癌ならよかった、恥ずかしくないから」という本作中のセリフには、記憶を失い、自分が自分らしくいられなくなる認知症という病気への不安や恐怖が表れています。
綿密な取材を基に主人公を演じたジュリアン・ムーアが、アカデミー賞はじめ、22個もの主演女優賞を受賞し、主要映画賞と世界三大映画祭の主演女優賞を制覇したことでも話題になっています。
世界中で話題になってきた「認知症」。遠い未来のことでも、他人事でもなく、身近な問題として、家族が話し合うよいきっかけともなる作品ではないでしょうか。

映画『アリスのままで』6月27日公開:http://alice-movie.com/
監修:坂本 忍(医学博士)

あなたの履歴書、企業が見るのはちょっとだけ-架空の人物見抜けず

ウォール・ストリート・ジャーナル 2015年6月25日

求職活動中のフランク・スタインは素晴らしい経歴を持っていた。米国の一流大学を卒業し、ジョンソン・エンド・ジョンソンやラッセル・レイノルズといった大手企業の採用担当者を務めたこともある。彼の履歴書には採用担当者を満足させるキーワードがずらりと並んでいた。
一つ問題があるとすれば、スタインは実在する人間ではないことだ。この事実は履歴書の最後にきちんと明記されていた。
スタインは求職者に対する企業の対応を覆面調査する目的で、人材コンサルティング会社キャリアエクスローズが生み出した架空の人物だ。それでも彼が応募した100社の中で、履歴書を最後まで読み、スタインが実在しない人物であることを認識した企業はわずか2社だけだった。
キャリアエクスローズの創設者、マーク・メーラー氏は「採用担当者は履歴書の最初の3段落しか読んでいない」と指摘。「求職者が見てもらえるのはそれだけ」で、採用担当者はその後、自動生成したキーワードでふるい分けし、何百人もの応募者を数十人に絞り込んでいるという。
米フォーチュン誌は毎年「世界で最も働きがいのある企業ベスト100社」を選んでいる。キャリアエクスローズはこの100社に入った企業の人材募集サイトに毎年、覆面調査のための偽の履歴書を送っている。グーグルやゴールドマン・サックス、デロイトなど、人気企業の採用慣行を見抜くためだ。
だが結果は総じて求職者にとってはつらいものだ。応募したのに返事が来ないといった不満は毎年のように聞かれる。
今年は、スタインが応募した100社のうち不採用の通知も何も送らなかった企業は64社に上った。メーラー氏は、履歴書を提出して数カ月経った後でも返事が来なければ求職者は「途方に暮れる」と話す。同社が行った求職者への調査では、圧倒的多数が「自分を採用する気があるのかないのか、それだけでも知りたい」と回答している。
そのほか、スタインに面接の連絡をしてきた企業は6社あった。すでに別の人材が見つかった、またはスタインの経歴がこの職種には不十分だとして不採用の連絡があった企業は28社だった。

5月の完全失業率は横ばい、求人倍率は23年ぶりの高水準

ZUU online 2015年6月26日

総務省が6月26日に発表した5月の完全失業率(季節調整値)は3.3%で。前月と同じだった。1997年4月の3.2%以来、18年ぶりの低水準を維持した。
就業者数(季節調整値)は6357万人で前年同月比19万人増、雇用者数は5619万人で前月比18万人増だった。完全失業者数は218万人で前年同月に比べて1万人減少した。
また、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(同)は前月から0.02ポイント上昇の1.19倍だった。2カ月連続の改善で、1992年3月以来23年ぶりの高水準となった。

派遣社員をなぜ3年でクビにするの? — 池田 信夫

アゴラ 2015年6月26日

これまで国会で2回も流れた労働者派遣法の改正案が、やっと衆議院を通りました。委員会では乱闘騒ぎになりましたが、今回の法案はそんな悪法なんでしょうか?
東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061902000244.html)によると「委員会を傍聴した都内の派遣社員の女性は『三年後には辞めてもらうと言われている。一人一人の生活がかかっていることを、賛成した議員はどう考えているのか』と話し、泣き崩れた」そうですが、これは逆です。
今は専門26業種についてだけ派遣社員を認め、無期限に働けることになっているのに、今度の改正では派遣の対象を全業種に広げた代わり、すべての業種で3年で雇い止めという労働基準法の有期雇用の規定が適用されます。これは今に始まったことではなく、すべての有期雇用は同じです。
だからこの泣き崩れている女性(どうせ東京新聞の作文でしょうが)が怒るべき相手は、厚生労働省です。派遣社員も含めて、すべての有期雇用を無期限にすればいいのです。ところが厚労省は労基法を変えないで派遣法だけを変えたので、こういう変なことになったのです。
なぜ役所は、有期雇用を3年までと規制してるんでしょうか。それは「無期限の契約が増えると、正社員の仕事が非正社員にうばわれる」と労働組合が反対しているからです。でもこうして正社員以外の雇用を制限したら、正社員はふえるでしょうか?
残念ながら、現実に起こっていることはその逆です。請負契約の規制がきびしくなったら派遣社員に、そして派遣社員の規制がきびしくなったら(何も規制のない)パート・アルバイトになっただけです。図のように派遣社員などの規制が強化された民主党政権の時代から、正社員の比率は5%ポイントもへって62%になりました。
おかげで月給ベースのサラリーマンがへって時給ベースの非正社員がふえ、賃金が下がったので雇用がふえ、失業率が下がったのです。これが政府が唯一の「アベノミクスの成果」としてほこっている雇用回復の実態です。
今回の規制強化で、26業種の中で特に多いSE(システム・エンジニア)は大きな影響を受けます。彼らはシステム開発や保守のために企業に常駐して技術を蓄積し、給料も普通のサラリーマンと変わりません。それを3年でクビにしてしまう厚労省は「ハケンなんて社員じゃない」と思ってるんでしょう。
「正社員」という変な制度があるのは日本だけで、英語でもseishainとしか表現できません。これは戦時中に労働者を「産業戦士」としてお国のために働かせるためにできた制度で、そのころ労働組合も今のような企業別の「一家」になりました。
戦後70年もたって「一家」なんかなくなったのに、いまだにそれを守っているのは、「家長」の正社員のおじいさんの既得権を守るためです。それと一緒になって乱闘騒ぎまで起こす民主党は、労働者の味方ではなく、労働組合の味方ですね。

「精神障害での労災認定」が過去最多に 自分も当てはまる!?と思ったらどうすればいい?

Mocosuku Woman 2015年6月26日

過労や職場の対人関係のトラブルから「精神疾患(障害)」にかかり、平成26年度に労災と認定された人が、前年度比61人増の497人となり、昭和58年度の調査開始以来、過去最多となったことが6月25日、厚生労働省の集計でわかりました。労災認定された497人のうち、未遂を含めた自殺件数は99件あったということで、深刻な状況です。
昔に比べて働き方が多様化している現代、どのような理由で精神障害に陥ってしまう人が多いのでしょうか。また、仕事でメンタル的にキツくなってしまったときは、どのように予防したらいいのでしょうか。

精神障害による労災認定が増えたのはどうして?
労災認定には、おもに「脳や心臓疾患の認定」と「精神障害による認定」の2つがあります。精神疾患やそれによる自殺が、精神障害による労災として認定されるようになってきたのはここ数年の事で、脳・心臓疾患の認定基準以上に、認定されるまでに難しい面があったそうです。
しかし、精神障害の労災申請者は過去6年連続で増加しているため、厚労省では平成23年、「精神障害による労災認定基準」の見直しを行いました。これにより、よりわかりやすく、迅速に労災認定が行われるようになってきたました。増加の背景にはこうした面もあります。

どんな業種で多いの?
平成26年度の精神障害による労災請求件数の多かった業種は、以下のようになっています。
「製造業」・・・・・・・245(56)件
「医療,福祉」・・・・・236(163)件
「卸売業,小売業」・・・213(90)件
「運輸業,郵便業」・・・・144(25)件
「建設業」・・・・・・・・74(3)件
「情報通信業」・・・・・・73(20)件
「教育,学習支援業」・・・・60(32)件
「宿泊業,飲食サービス業」・55(24)
「金融業,保険業」・・・・・54(24)件
()内は女性です。

年齢別では、
「40~49歳」・・・・・454件
「30~39歳」・・・・・419件
「20~29歳」・・・・・297件
の順に多くなっています。

年齢別だけでみると、一般的には責任ある仕事を任せられるようになる30代や、部署を管理したり、職場で人の上に立って引っ張っていくような立場となる40代に多いのが特徴です。昔と比べて働き方が多様化していることも関係しているでしょう。

「精神障害」で労災認定された要因とは?
平成26年度に、精神障害の発病で労災支給が決定した件数からみると、その事由の上位5件は、以下のようになっています。
「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」72件
「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」69件
「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」55件
「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」50件
「(重度の)病気やケガをした」43件
精神障害での発病は、外部からのストレスとそのストレスへの個人の対応力の強さとの関係で発病すると考えれらています。そのなかで上記のように労災が認定されるケースとは、そのストレスが「仕事による強いストレスによるもの」と判断できる場合に限られています。
つまり、業務以外での心理的負荷が強かったり、その人の既往症やアルコール依存など、私生活上でのストレスが強い場合には、どれが発病の原因なのかを医学的に慎重に判断する必要があるのです。

仕事でメンタル的にきつくなってしまったら
そもそも労働者が会社に対してが、○○ハラスメントや長時時間労働の苦痛を訴えたり、うつ病などの精神疾患であることを堂々と訴えられるような環境は、あまりないでしょう。
解雇されるのでは?嫌がらせを受けるのでは?という心配から、精神的につらくなっても周囲に相談できずに、追い込まれてしまのうのが現状です。
しかし、「仕事が原因だ」と本人が思い込んでいるだけのケースもあります。労災認定されれば解雇制限や治療にかかる補償が受けられますが、そのためには原因が仕事だということが判定されなくてはなりません。まずはひとりで悩まずに心療内科などの医療機関を受診しましょう。
また、精神障害の労災補償や労災保険給付などに関する質問は、以下で相談を受け付けています。
・労災保険相談ダイヤル:0570-006031
(平日9:00~17:00)

最寄りの都道府県労働局、または労働基準監督署でも労災補償の内容やフローについて教えてくれますよ。