夢実現へ支援を 児童養護施設出身者ら 横浜でスピーチコンテスト

カナロコ by 神奈川新聞 2015年6月29日

児童養護施設出身の若者の夢の実現を支えようと、奨学金支援プログラム「カナエール」のスピーチコンテストが28日、横浜市中区の市開港記念会館で開かれた。同プログラムで進学した6人が未来への情熱を発表。約360人の聴衆が夢をかなえる第一歩を見守り、エールを送った。横浜では昨年に続き2回目。
児童養護施設や里親家庭などで育った専門学校生や大学生が登壇し、自身の体験を踏まえて見つけた夢を披露した。「子どもは笑って成長するのが仕事」と持論を紹介し、子どもの成長に関わる仕事を目指す男性や、難民の姿に「自分よりも困難な人がいる。もっと頑張ろうと思い、彼らに救われた」という難民支援の道を望む女性らがスピーチ。児童養護施設の職員を目指す男性は来場した子どもたちに「自分も多くの大人に支えられた。周りを頼って」と呼び掛けた。夢は看護師という女性は「施設にいる子どもたちを応援して下さい」と聴衆に訴えた。
同プログラムを運営するNPO法人ブリッジフォースマイル(東京都)によると、児童養護施設など出身の若者は親を頼れず、大学や専門学校に進学して卒業するには学費と生活費を全て自分で賄う必要がある。「希望格差」に苦しむ中、全国平均75%の進学率は20%にとどまり、進学しても働きながら学び続ける生活に疲弊し、中退率は30%で全国平均の3倍に上る。
同プログラムは、スピーチコンテスト出場などを条件に一時金30万円と卒業まで毎月3万円の奨学金を支援。「資金」と「意欲」の両面からサポートする。

酒鬼薔薇が手記「絶歌」で書けなかった本性とは?「異常な性への関心」

アサ芸プラス  2015年6月29日

神戸連続児童殺傷事件の惨劇から18年。加害者の元少年Aが初めて事件についての手記「絶歌」を出版した。形ばかりの謝罪とグロテスクな犯行の描写。自己顕示欲に終始した「黒い肉声」は、出版の是非を問う大騒動へと広がっている。“A”自身がこの本で封印した「性と暴力」の核心を全暴露する!

〈1997年6月28日。 僕は、僕ではなくなった。
陽なたの世界から永久に追放された日。(中略)
「少年A」──それが、僕の代名詞となった〉

神戸連続児童殺傷事件の犯人・元少年Aによる手記「絶歌」はこう始まる。
自分が被害者だと言わんばかりの書き出しと「あとがき」と題した謝罪は294ページ中わずか7ページ。内容については後述するが、この手記は6月11日に発売されるや、出版流通大手トーハンの週間ベストセラーランキングで1位となった。初版10万部という最近では異例の大部数はすでに完売状態、さらに5万部の増刷が決定している。
被害者遺族らに事前に承諾を得ることなく出版したこともあり、出版元の太田出版には遺族から本の回収を求める声が上がっている。遺族感情に配慮し、取り扱わない書店が出るなど、出版自体の是非が問われる社会問題となった。
ここで18年前の禍々しい事件を振り返っておこう。
1997年2月、兵庫県神戸市須磨区で小学生が次々に襲われる事件が発生。およそ3カ月の間に2人が殺され、3人が重軽傷を負う残忍な犯行だった。中でも、殺害した男児の首を切断し、中学校の校門に掲げた猟奇的な行為と、「酒鬼薔薇聖斗」の名前で神戸新聞に声明文を送りつけるなど大胆な劇場型の犯行は日本中を震撼させた。
その1カ月後、逮捕された犯人が14歳の中学生だったことで、この事件に対する恐怖と驚きは、戦慄と絶望に変わったのだ。「少年A」は逮捕後、関東医療少年院に収監され特別な矯正教育を施されたあと、05年1月に本退院した。手記によれば、親元を離れ、プレス工場や溶接業など肉体労働の仕事を転々としたという。犯行当時はあどけない中学生だったAもすでに32歳。3年前から執筆を始め、出版社に持ち込んでいたらしい。
手記中、Aは猟奇的な犯行を、さらにどす黒く上塗りするグロテスクな性衝動を明らかにしている。
小学校5年時、亡き祖母の部屋に忍び込んで、初めての精通を体験したのだ。

〈僕はおもむろに押入れから電気按摩器を取り出した。(略)何の気なしにペニスにも当ててみる。その時突然、身体じゅうを揺さぶっている異質の感覚を意識した。まだ包皮も剥けていないペニスが、痛みを伴いながらみるみる膨らんでくる〉

このあともたびたび祖母の部屋で按摩器を使用して自慰に耽っていた酒鬼薔薇。事件前から動物を虐待していたが、こうした特異な性癖は極度にサディスティックな性衝動に進んでいった。小5の時に初めて猫を殺すのだ。

〈そのブロックを、体重をかけ、力いっぱい踏みつけた。ゴキュと頭蓋骨の砕ける小さな音が鳴り、猫の動きが止まった(略)ペニスの芯がハンダゴテのように発熱した。次の瞬間、熱く腫れ上がったペニスに激痛が走った。尿道から釣り鐘を引っこ抜いたような痛みだった。射精していた〉

何が読み取れるのか 「絶歌」出版を考える

聞き手・柏崎歓 聞き手・高津祐典 2015年6月29日

神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)=事件当時14歳=が書いた手記『絶歌』から、私たちは何を読み取ることができるのか。2人の識者に聞いた。

荻上チキさん(評論家)
前提として、表現の自由を確認しておきましょう。加害者本が多数出る中で、「元少年A」に限っては何も言ってはならない、なんて話はありえません。そのうえで言えば、僕は内容面でも形式面でも、本書を評価しません。
僕は元少年と同世代です。当時はメディアにより、「酒鬼薔薇世代」「キレる少年」とひとくくりにされていました。20年が経ち、犯罪への語り方も変化しています。少年犯罪が増加・凶悪化しているという「誤報」も最近では減り、「心の闇」などでなく療育や福祉の重要さが語られるようになりました。そうした今にあって、この本は20年前で時が止まっている。
『絶歌』で著者は、第一部で事件当時の自分を語り、第二部で退院後の話を書いています。いかにも90年代的な言葉遣いがちりばめられた第一部は、痛々しくて読むのが苦痛でした。冗舌ですが表層的。むしろ第二部だけでも本書は成立したでしょう。退院後のケアの話に特化し、専門家を交えて掘り下げれば、社会にとってずっと役に立つ本になったと思います。つまり著者が読者を見てないんですね。
評価しない経緯面というのは、やはり被害者家族への軽視です。印税を賠償金にあてるという話も出ているようですが、そもそも賠償金というのは謝罪のための行為。当事者が嫌がる行為で生まれたお金をあてるというのは矛盾している。内容も経緯も、編集と版元の役割が大きいでしょう。読者の方々に言いたいのは、しばらく経てば騒動も忘れられるでしょうが、犯罪研究は進んできているので、ぜひ良質な研究書にこそ触れてほしいということですね。(聞き手・柏崎歓)

斎藤環さん(精神科医・筑波大教授)
少年の性的衝動が残虐な犯罪に結びつくと、これだけ端的に書かれるのは珍しいことです。昨今、続けて起きている少年少女の殺人事件とはベクトルが違う。
彼は祖母への愛着から性的な発展がいびつな方向に向かい、嗜虐(しぎゃく)的な方法でしか快楽が得られなくなります。その後、手段が急激にエスカレートしていく過程は、アルコールなどの依存症者のパターンとよく似ています。最初は猫を殺すことで満足していたのが、次第に耐性がついて同じ刺激では満足できなくなる。
彼は他人と違う衝動を抱えた劣等感が強く、孤立感を抱えたまま自己を追い詰めていった可能性があります。どうすれば良かったかと言われれば、そうした性的嗜好(しこう)が思春期には特別なものではないことを説明できる大人が、じっくり彼の話を聞く機会を持つことが抑止効果を持ち得たかもしれません。
性的嗜好を自覚すれば、後はどうコントロールするかになります。依存症から離れるには代替物が必要です。彼はコラージュや紙細工を創って衝動を昇華しようと努力をしていますが、それでも昇華できないものを手記という形で封じ込めようとしたのかもしれません。嗜虐行為の代わりの行為をしないと、生きる心地がしないのでしょう。表現がセルフケアになっているのだと思います。
十分な贖罪(しょくざい)意識はないかもしれませんが、内省力は戻りつつあるようです。文学的な印象を残す表現が多いですが、象徴的表現をたくさん使うのは健全化の証拠なんです。再犯を抑止する意義はあると思います。
出版されてしまった現状を踏まえて考えるなら、しっかり受けとめて内容についても議論を深めるべきだと思います。(聞き手・高津祐典)

妊娠・出産を理由に「更新拒否」「退職勧告」「パートになれ」…それってマタハラじゃないの?

Mocosuku Woman 2015年6月29日

6月29日、在日米国商工会議所などが開催する「ウィメン・イン・ビジネス・サミット」(東京都)で演説した安倍晋三首相は、マタニティーハラスメント(マタハラ)の防止を促進することを宣言しました。マタハラに対する法的な措置を含め、企業の取り組み強化策を推進する考えを示し、「安倍政権は、女性の活躍を応援する手を緩めることはない」と強調しています。マタハラは、セクハラやパワハラと並ぶ3大ハラスメントのひとつとされ、少子化問題への影響も指摘されています。ここではマタハラとはどのような問題なのかを考えてみましょう。

「マタハラを受けている」と思ったときは
厚生労働省が配布しているリーフレットには、マタハラに当てはまるものとして次のような例が挙げられています。
・これまで1年契約で業務を更新してきたが、妊娠を伝えたら「次の契約更新はしない」と言われた。
・上司から「産休・育休は認めない」と言われた。
・妊娠を報告したら「退職してもらう」と言われた。
・正社員なのに、妊娠したら「パートになれ」と言われた。
妊娠・出産・産休・育休などを理由とする解雇などの不利益な取り扱いは、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法で禁止されています。職場で「マタハラを受けているかも」と感じた人は、都道府県労働局雇用均等室に相談しましょう。相談は無料で、匿名でも可能です。

マタハラ防止は企業の責任
妊娠・出産、産休明けの人は、出産の準備や子どもの都合で突然休まなければならないことがあります。フルタイムでは働けないので、時短勤務になるケースも多いでしょう。もし、こうした時短勤務を非効率なものと見なし、フルタイムで働ける人以外を排除していたら、少子化問題はいっこうに解決しないでしょう。人材をルール無視で酷使したり、社会全体で分担すべき課題を他の企業に押し付けて自社の利益だけを追求する姿勢は、ブラック企業にも通じるものがあります。

フォローする立場の人を含めた対策を
妊娠・出産・産休・育休に取り組む人が不当な待遇を受けることは許されません。一方で、妊娠・出産・産休・育休に取り組む人を歓迎できない雰囲気が、悪意や単なる無理解だけに由来すると考えるのも一面的といえます。
ぎりぎりの人員で何とか仕事を回している企業は少なくありません。妊娠・出産・産休・育休で1人が抜けた場合、新たな人員が補充されれば良いのですが、残った人たちだけでフォローする状況も少なくないはずです。たたでさえ余裕のない勤務体制の中、フォローのための予期せぬ業務まで加われば、今度は周囲の人たちが疲弊してしまいます。マタハラ問題が、妊婦さんVS企業という単純な図式では語れない理由です。
マタハラ問題は、「私たちはどのように働くべきか」という非常に大きな、社会的問題と結びついています。このため簡単に回答を出すのは難しく、社会全体で長期的に取り組んでいく必要があります。それと同時に、「今、困っている人」は早急に救済していくべきでしょう。いまマタハラを受けている人に、社会の変化を待っている時間はありません。「マタハラを受けている」と感じたら、会社や公的機関の相談窓口を利用しましょう。

サラリーマンの小遣いダウン、2番目の低さ、ランチ代は増加-新生銀

Bloomberg 2015年6月29日

サラリーマンの今年の小遣いは過去2番目に低い金額だったことが、新生銀行の調査で分かった。アベノミクスの恩恵はサラリーマンの財布までは届いていないことになる。
同行が29日発表した「2015年サラリーマンのお小遣い調査」によると、平均小遣いは月額3万7642円で前年から1930円減った。これは1979年の調査開始以来最も少なかった1982年に次ぐ低水準。調査は、4月15日から17日にかけて20-50代の男性サラリーマン約1000人を対象に行った。
新生銀は「年代別では20代、30代はほぼ昨年の水準を維持したものの、40代、50代は4000円以上の減額となり、養育費・教育費などの家計への負担感がお父さんのお小遣いを直撃した」とみている。
小遣いが減る一方で、男性会社員の平均昼食代は昨年の541円から601円にアップした。増加は3年連続。新生銀行は「消費税や物価の上昇によって、外食などの値上げが広がったことによるもの」という。