フリースクール 「学びの質」をどう担保するか

読売新聞社説 2015年7月6日

不登校の小中学生が通うフリースクールでの学習も、一定の条件下で義務教育とみなす――。
自民、民主など超党派の議員連盟が、そんな内容を盛り込んだ法案の今国会提出を目指し、検討を重ねている。2017年4月の施行を念頭に置いたものだ。
フリースクールは、個人やNPO法人などが運営する民間の施設だ。全国に約400~500か所あり、教育相談や学習指導を行う。不登校の子供の受け皿としての役割を果たしている。
学校以外の選択肢も法的に認めようとの方向性は理解できる。
無論、義務教育における小中学校の重要性は変わらない。学習指導要領に沿った授業を受けることで、児童・生徒は基礎的な知識や思考力を身に付ける。級友との集団生活を通じて、協調性や社会性も育まれる。
一方で、いじめなど様々な要因から、学校に行けなくなる子供は少なくない。不登校の小中学生は13年度に約12万人を数え、6年ぶりに増加に転じた。
学校がまず、問題解決の努力を重ねるのは当然だが、それでもなお、登校できない子供には、フリースクールのような場が必要なケースもあるだろう。
議員連盟の構想では、不登校の子供がフリースクールなどでの学習を希望する場合、保護者が個別学習計画を作成し、市町村の教育委員会の認定を受ける。教委は定期的に子供の学習場所を訪問し、取り組み状況を把握する。
現在は、フリースクールに通う間も、元の学校に籍を残したまま、出席扱いなどにして、校長の裁量で形式的に卒業させている。
これに対し、新たな仕組みでは、教委が計画通りに学習が進んだと判断すれば、義務教育を修了したと認定するという。
問題は、学習の質をどう担保するかだ。フリースクールは設立に関する許認可が不要で、行政上の監督も受けないため、指導の方法や内容にはばらつきがある。
自由な雰囲気を大切にする教育の特徴を踏まえた上で、文部科学省には、市町村教委による修了認定などの参考になるガイドラインを示すことが求められる。
公的支援の在り方も焦点となる。フリースクールは法律上の学校ではないため、運営者ではなく、授業料を負担する家庭を支援対象にする案が有力だ。
その場合、国や自治体はどの程度まで支援すべきなのか、議論を深めることが肝要である。

看護師資格への准看護師「実務10年」を半減へ

読売新聞 2015年7月5日

厚生労働省は、准看護師が看護師を目指して通う通信制学校(2年課程)の入学要件について、「10年以上の実務経験」という現行の規制を大幅に緩和する方針を固めた。
同省は5年程度とする方向で、年末までに詳細を詰めて省令を改正する。早ければ2017年度の入学者から適用される。
現在、看護師を目指し通信制に入学する准看護師は年約3000人。規制緩和は働きながらキャリアアップを目指す准看護師を支援する狙いがある。
准看護師が看護師になるためには、2年間全日制の看護師学校などに通うか、医療現場での10年以上の実務経験を経て通信制を2年間受講し、国家試験に合格する必要がある。働きながら看護師学校に通うのは困難で、看護師を目指すには通信制が現実的という。

自分や家族に介護が必要になった時に心配なことは?

@DIME 2015年7月6日

今年8月から、公的介護サービスを受ける際の自己負担額が見直されることとなった。介護保険料の継続的な上昇に加えて、要介護認定者の負担も増える可能性が出てきた。保険ショップ『保険クリニック』を運営するアイリックコーポレーションは、実際の介護の経験やその実態、介護に対する認識などを、0歳~60歳までの男女500 名を対象にアンケートを実施した。その結果、半数が介護を“自分ごと”と回答したことがわかった。しかし資金の準備は10%どまりであることも明らかになった。
平成27年8月には、第1号被保険者(65歳以上)で一定以上の所得がある人は、公的介護保険サービスを受ける際の自己負担額が、現状の1割から2割負担に引き上げられることが決まっている。「一定以上の所得」については、本人の合計所得金額が160万円以上、かつ同一世帯の第1号被保険者の年金収入とその他合計所得金額が単身世帯で280万円以上または夫婦で346万円以上に該当した場合と条件が付く。
厚生労働省の試算によると、引き上げの対象となるのは65歳以上の被保険者のうち所得上位20%に相当するとみられている。この20%に該当するかどうかに関わらず、要介護者だけでなく、家族やその職場などにおいて身近となってきている問題に対して、早くから何らかの形での対策を講じておくことは大切だ。

自分や家族に介護が必要になった場合の心配なことは?
お金              424人
自分や家族の負担        287人
仕事              125人
介護する(される)期間      119人
介護の方法が分からない     109人
介護施設が見つからない     105人
公的制度の利用方法が分からない  96人
住まい              93人
心配なことはない         29人
その他               2人

介護の心配は『お金』と『家族や自分の負担』
自分や家族に介護が必要になった場合の心配事を聞くと、1位は『お金』、2位は『自分や家族の負担』、3位は『仕事』だった。今後も介護者認定者が増え続ける超高齢化社会を考えると、さらに保険料の負担増やサービスの縮小などの可能性も考えられる。

自分は介護を受けることになると思うか?
はい   231人(46.2%)
いいえ  269人(53.8%)

自分が介護を受けることがあると思うか聞いたところ、約46%があると答えた。40歳~60歳では約50%(124人)、20歳~39歳でも約43%(107人)がはいと回答し、若い世代でも介護に対して他人事ではなくなっているようだ。

自分や家族に介護が必要になった場合の、介護資金の準備はしているか?
している   49人(9.8%)
していない 451人(90.2%)

約46%が介護を受けると思っているけど、介護資金の準備をしている人は約10%止まり……自分が介護を受けると思っている人が約46%、そしてほとんどの人が介護の心配は「お金」と答えているのに、実際に介護資金の準備をしている人は約10%(49人)だった。今後も社会保障費用が増えていくことを考えると、少しずつでも万が一のための自助努力は始めた方がいいかもしれない。

介護資金の準備は何でしている?
預貯金  36人
株式   16人
生命保険 13人
介護保険 11人
投資信託  8人
外貨預金  7人
不動産   4人

介護資金の準備の方法を聞いたところ、ダントツの1位は預貯金。ついで株式、保険の順番だった。生命保険と介護保険を合計すると24人が利用している。平成24年1月1日以降の契約から生命保険料控除に「介護医療保険料控除」が新設された。所得控除の総額が増えたので、預貯金と保険を上手く組み合わせて利用するのが賢い選択だ。

あなたは介護をしているか。または介護をしたことがあるか。
している     25人(5.0%)
していた     81人(16.2%)
したことがない  394人(78.8%)

介護経験を聞いてみたところ、現在介護している人は5.0%(25人)、介護したことがある人が16.2%(81人)でした。5人に1人は介護経験がある事が分かった。40歳~60歳までが多く、現在介護している人は8.0%(20人)、介護したことがある人が18.4%(46人)。20歳~39歳でも、40人介護経験者がいた。現在介護している人は2.0%(5人)、介護したことがある人が14.0%(35人)。※20~39歳:250名、40~60歳:250名

介護をしていて困ったことは?
自分が自由にできる時間がない   60人
介護にかかる費用の確保     42人
先の見通しが立たない      38人
介護施設が見つからない     22人
仕事を退職(休職)した     21人
相談先がわからない       19人
介護サービスを利用したがらない 17人
周りが協力してくれない     10人
困ったことはない         8人
その他              2人

介護経験者に介護をしていて困ったことを聞くと、1位は『自分が自由にできる時間がない』、2位は『介護にかかる費用の確保』、3位は『先の見通しが立たない』だった。その他の意見では、「精神的ストレス」「自分の休息ができない」が挙がった。生命保険文化センターの調査によると、介護期間は平均56.5カ月(4年9カ月)。1カ月当たりの平均介護費用は7.7万円。介護には時間とお金がかかることがわかる。
※生命保険文化センター「平成24年度生命保険に関する全国実態調査」

「自分が介護を受けることになった」と仮定した場合、誰に介護されたい?
配偶者   165人(27.3%)
子ども   117人(19.4%)
嫁・婿    18人(3.0%)
親・兄弟   23人(3.8%)
介護職員  261人(43.2%)

自分が介護を受けることになったら、配偶者や子どもに介護されたい人が約47%(282人)、ついで介護職員が約43%(261人)でした。家族に受けたい人と、家族ではない専従者に受けたいで意見が分かれた。その他の意見としては「介護される前に亡くなりたい」という回答が多く寄せられた。

アンケート詳細
サンプル数 : 500名(男性250名、女性250名)
年   齢 : 20歳~60歳
調査方法 : Webアンケート
調査期間 : 2014年10月1日~10月3日