あたりまえって何だろう?ノーマライゼーションとは

介護のほんね 2015年7月28日

ノーマライゼーションってどんなもの?
現在の日本では、ほとんどのものやシステムが障害を持たない人を前提に作られています。障害を持つ人にとっては不便なことも多いため、施設などに「隔離」された状態で暮らしている人も多いようです。そんな中、広がりを見せつつあるのが「ノーマライゼーション」という概念。これは、さまざまな条件や環境を整えることで障害のある人も障害のない人と同じように生活できる社会を目指そうという考え方です。

ノーマライゼーションの考えが生まれたキッカケ
ノーマライゼーションの考え方は1950年代、デンマークで生まれました。当時の知的障害者が暮らしている施設は、まるでナチスの強制収容所のようだったとか。そのため、知的障害者の親たちが生活環境の改善を求めて法律改正を訴えたことが始まりです。
その活動は北欧諸国に広がり、やがて世界へと波及します。国連でも「知的障害者の権利宣言(1971年)」「障害者の権利宣言(1975年)」が次々に採択されました。日本にノーマライゼーションが紹介されたのはちょうどこの頃。その後、国連が採択した拘束力のある「障害者権利条約」には、現在154カ国が批准しています。

ノーマライゼーション、日本では?
日本が「障害者権利条約」に署名したのは2007年のこと。ですが、実際に条約への批准が承認されたのは、国内の障害者基本法の改正などの法整備が追い付いた数年後のことでした。
実はこれに先立ち、さいたま市では「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」が制定されています。これは、「条例について話し合う100人委員会」として参加した市民の意見を反映した、政令指定都市初のノーマライゼーション条例となりました。

さいたま市「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)」
この条例では、言葉の定義や障害者に対する差別や虐待の禁止、障害のある人が地域で暮らしていくための支援などがわかりやすく規定されています。特に簡明版では、視覚障害のある人への文書での通知が差別にあたることなどが具体的に説明されています。ノーマライゼーションを理解する上でもとても役立ちそうですね。

さいたま市、ノーマライゼーションへの実際の取り組みとは
さいたま市では、この条例に基づいた障害者支援の一環として工賃増額モデル事業を行っています。これは、障害者の工賃を増額するためのアイデアを公募し、プレゼンテーションで選ばれたものに助成を行うというもの。他にも授産製品の販売所を区役所内に設けるなどの取り組みも行われています。また、障害のある人と健常な人が一緒に参加できる競技会の開催など、多方面からノーマライゼーションに取り組んでいます。

これから他の自治体でも、さまざまなノーマライゼーションへの動きが広がっていくといいですね。

「わかっていてもやめられない」強迫性障害の実態

nikkanCare.ism 2015年7月30日

「汚れがとれない気がして執拗に手を洗い続ける」
「不安になり外出前に何度も施錠やガス栓の確認をする」
これは、不安障害の一種である“強迫性障害”の症状です。元サッカー選手のベッカムなど、強迫性障害であることを公表している芸能人やアスリートも少なくありません。
今回は、厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス 強迫性障害」から、強迫性障害についてみていきましょう。

わかっていてもやめられない強迫性障害
強迫性障害の症状としては、「意味がないことがわかっていて、やめたいと考えているのに、何度も同じ行動を繰り返してしまう」ということがあげられます。
「本当は汚くないのに、何度も手を洗い続けてしまう」というような、衛生的な強迫観念にとらわれる人は、とても多く、全体の4割を超えます。
また、「人を傷つけてしまったのではないか」と考え、実際には事故などを起こしていないにも関わらず、来た道を何度も引き返してしまう人もいます。
さらに、カギをきちんと閉めたと確認しているのに、途中で不安になってしまい、出先からUターンしてしまう、というケースもあります。
患者はこれらの強迫症状に強い苦痛を感じていることが多く、無視したり、止めようと努力したりするのですが、不安に強くとらわれるあまり無視できなくなってしまっています。

強迫性障害にはわからないことも多い
強迫性障害は、まだわからないところが多い病気です。有病率は調査によって大きく異なっていますし(国内ではおよそ1%~2%程度だと推測されています)、発症の原因もはっきりとはしていません。
強迫性障害になりやすい要因としては、強迫性パーソナリティーや感染症、神経免疫機能などがあると考えられています。
また、多くの患者が、対人関係や仕事上のストレス、妊娠・出産などのライフイベントがきっかけとなって発症しているようです。

強迫性障害はどうやって治療する?
基本的には、薬と認知行動療法(恐れていたことを明確化して、少しずつ強迫行為をしないようにしていくこと)を組み合わせることで、治療していきます。
これらの治療方法を受ければ、強迫性障害が100%治るかというと、そうではありません。しかし、治療を継続することによって、60%~90%の人は症状が改善されるとも言われており、治療は十分に有効なのです。
また、強迫性障害の治療には周囲の理解も重要です。この場合、周囲は、単純に「本人の要求の通りにしてあげよう」と考えてはいけません。要求はどんどん激しいものになっていき、症状の悪化が起こるおそれも十二分にあるからです。
患者だけでなく、周囲の人間も積極的に医師のアドバイスを受ける必要がある障害だと言えますね。

正しい給水方法は?低ナトリウム血症にご用心

ダイヤモンド・オンライン 2015年7月31日

なぜか真夏になるとあちこちで開催される「耐久レース」。自転車、マラソン、トレイルランニングと競技はさまざまだが、参加者は競技中の水分補給に頭を悩ませるだろう。
実はこの水分補給、一歩間違えると「低ナトリウム血症」という致命的な状態を引き起こすこともある。先日、米国から競技中の水分補給に関するガイドラインが発表された。
低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が極端に低くなった状態を指す。兆候は意識が遠のくような感じや、手足のむくみ、吐き気や頭痛など。放置すると錯乱など脳機能障害の症状が現れ、昏睡状態から時には死に至る。
運動誘発性の低ナトリウム血症(EAH)は、アスリートが水やスポーツドリンクなどを必要以上にがぶ飲みしたときに発生しやすい。エクササイズ時間が4時間を超える運動や、軍事教練なみのジムワークのEAHリスクは高く、当然、耐久レース関係は最も症例報告が多い。
ちょっと驚くのは、低強度のエクササイズでも油断は禁物であること。何と、ビクラムヨガ(いわゆる、ホットヨガ)もEAHリスクが高いのだ。発汗率が低いところにもってきて、生真面目に水分補給をし過ぎると体格の小さい女性はすぐに「がぶ飲み状態=低ナトリウム血症」に陥る。また、運動慣れしていない人の汗はナトリウム濃度が濃い、つまり体内からナトリウムが失われてしまうために、EAHリスクが高くなってしまうという。
EAH新ガイドラインの勧告は至ってシンプルだ。いわく、「喉が渇いたときだけ、水分を補給するように心がけること」。渇く前の水分補給を指導された経験があると受け入れ難いかもしれないが、今の世界の趨勢は「渇いたら、飲む」である。
さて、自分の給水が適正かを確認するには、いつもの給水付きで運動前後の体重を比較するといい。運動前より体重増なら給水過剰。適正な給水量は、体重減少量÷運動前の体重×100=脱水率(%)で2%程度だ。3%を超えるようなら、逆に給水不足である。

「外回りの営業職にも残業代を払ってほしい」元積水ハウス社員が「労働審判」申し立て

弁護士ドットコム 2015年7月30日

残業代が支払われないのに月80時間近くの時間外労働を強いられ、肉体的・精神的な負担から退職を余儀なくされたとして、大手住宅メーカー「積水ハウス」(本社・大阪市)の元社員の男性2人(いずれも20代)が7月30日、未払い残業代などを求めて、東京地裁に労働審判を申し立てた。
申し立て後、東京・霞ヶ関の厚生労働省記者クラブで開いた記者会見で、申立人のAさんは「先輩などから『駅前でナンパしてこい』『寮にデリヘルを呼べ』と命令されることもあった」と、悔しさをにじませて語った。

先輩に「デリヘルを呼べ」と言われた
申立書などによると、申立人のAさんとBさんは、新卒で同社に入社し、外回りの営業職を担当。同社では、外回りの営業職について、事業所の外で働いているため正確な労働時間を算定しにくいとして、「事業場外みなし労働時間制度」を適用していた。そのため、残業代が支払われなかったが、実際には、Aさんは多い月で約67時間、Bさんは約79時間の時間外労働を強いられる状態だったという。
また、Aさんは、過労死ライン(月80時間)に迫る長時間残業だけでなく、上司や先輩からのパワーハラスメントにも悩まされていた、と主張する。
日常的に「お前は空気が読めない。日本語が通じない」と嘲笑されていた。さらに、休日の前日に開かれる飲み会への参加を義務づけられ、上司や先輩から吐くまで飲酒するよう強要されたという。
Aさんによると、社内でのパワハラに加えて、社員寮でも先輩による嫌がらせがあった。ある日の深夜、Aさんが自室にいたところ、突然押し掛けてきた5~6人の先輩社員に部屋を荒らされた後、「デリヘルを呼べ」と命令された。
先輩社員が部屋の外で見張っていたため、Aさんは仕方なく女性を呼んだ。何もしないまま時間をつぶし、代金のみ支払って、女性に帰ってもらったそうだ。「なぜ先輩たちがそんな命令をしたのか意味が分かりませんが、外で監視されているので断れなかった」
Aさんは、労働審判の申し立てのなかで、パワハラによって心身の苦痛を受けたとして、損害賠償を請求している。

入社1年目で退社を余儀なくされた
会社でも自宅でもストレスにさらされたAさんは、しだいに不眠や頭痛、腹痛といった症状がでるようになった。「適応障害」の診断を受け、休職して療養していたが、これ以上同社で働くことが難しいと判断し、入社後1年経たずして自主退職した。今も当時のことを思い出すだけで、精神的に動揺してしまうという。
一方、申立人として名乗りを上げたもう1人の男性であるBさんも、外回りの営業職だったため、「事業場外みなし労働時間制度」が適用され、残業代が支払われなかった。しかし、実際には、多いときで月79時間の時間外労働を強いられたという。心身ともに限界を迎えたBさんは、入社後約11カ月で自主退職した。
「今でも、あの辛い日々を思い出したくはありませんが、誰かが行動を起こさないとあの会社は変わらないと感じ、今回、労働審判を起こすことにしました」と、Bさんは労働審判を申し立てた理由を語った。
2人の代理人の明石順平弁護士は、AさんとBさんが「会社から貸与された携帯電話やiPadで、事業所の外でも上司と頻繁に連絡を取っていた」などとして、上司が労働時間を把握しにくかったとはいえないと指摘し、次のように話した。
「業界トップクラスのこの会社で、『事業場外みなし』という制度を使って、残業代を支払っていないという現状がある。おそらく、他の住宅販売会社の中にも、この制度を適用して、残業代の支払いをまぬがれているところがあるのではないか。そうした会社にも、影響が及ぶと思う」と、今回の労働審判の意義を語った。
積水ハウスの広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「申立書が届いていないのでコメントできない」と話している。

あなたの配慮が必要です。ご存知ですか「ヘルプマーク」

介護のほんね 2015年7月24日

助けが必要なサインかも。「ヘルプマーク」ってご存知ですか
ヘルプマークとは、周囲からの配慮を必要としているものの見た目ではわからない方のためにつくられたマーク。マタニティマークのように身に着けることで、周囲からの援助を受けやすくするというものです。2012年、助け合える社会の実現を目指して東京都が制定・作成しました。
2014年8月までに配布された数はおよそ5万個。じわじわと普及してはいるものの、まだまだ認知度はそう高くないのが現状です。

ヘルプマークが必要な「配慮が必要な人」ってどんな人?
ヘルプマークの対象となるのは、義足や人工関節などを使用してぱっと見はわかりづらいけれど実は障害を持っている方。同じく見た目ではわかりにくい難病患者や、妊娠初期の女性も対象です。
本人自身が障害や病気、妊娠していることが周囲に伝わりづらい外見だと自覚しているケースは少なくありません。ですから、中には優先席に座るのをためらってしまう方もいます。また「健康そうなのだから、座席を譲るべきだ」と判断され、眉をひそめられてしまうことも。
ヘルプマークをつけて周囲に状態を知らせることで、このような思いをすることは避けられます。支援が必要なことがわかりやすいため、周囲も声をかけやすくなりますね。

ヘルプマークはどこでもらえるの?
ヘルプマークは、都営地下鉄各駅(一部を除く)の駅務室や都営バスの営業所などで手に入れることができます。証明書類などは特に必要なく、本人以外に家族も受け取りが可能です。また、都営地下鉄や都営バスの車内ではヘルプマークに関するポスターやステッカーを標示し、配慮を促しています。
2015年現在、ヘルプマークは東京都内のみで実施されている取り組み。今後は全国的にもヘルプマークが普及していくと良いですね。

ヘルプマークをつけた人を見かけたら…
電車やバスのなかでヘルプマークをつけている人を見かけた場合、ぜひ積極的に座席を譲るようにしましょう。困っているような素振りがあれば、勇気を出して声をかけてみてください。
また、災害時や緊急時などにも支援が必要となる場面があるかもしれません。ヘルプマークをつけている人は、あなたの思いやりのある行動を待っていますよ。