<不妊治療>「産んだ女性が母親」自民部会が特例法案了承

毎日新聞 2015年8月5日

卵子提供など第三者がかかわる不妊治療で生まれた子どもの親子関係を規定する民法の特例法案を、自民党の法務部会と厚生労働部会の合同部会が5日、了承した。卵子提供や代理出産では産んだ女性を母親、精子提供では提供に同意した夫を父親と定める。党政務調査会などの議論を経て今国会への提出を目指す方針だが、他の重要法案の審議日程の関係で成立するかどうかは不透明だ。
1898(明治31)年にできた現在の民法は、第三者がかかわる妊娠・出産を想定しておらず、治療を依頼した夫婦と第三者のいずれを法律上の親と認めるかの明文がない。法案は、不妊治療技術の進歩に伴って家族関係が複雑化する中、生まれた子の法的な立場を安定させることを目的とする。不妊治療に限定した規定になるため、民法の改正ではなく、議員立法による特例法案とした。
法案は、卵子提供や代理出産で妊娠・出産した際の母は出産した女性とする。夫の同意を得た妻が夫以外の男性の精子提供を受けて生まれた子については、夫が子の父であることを否認できないと定める。
親子関係については、1962年に最高裁が「産んだ女性が母」とする判決を出し、法務省法制審議会も2003年、不妊治療で生まれた子について「産んだ女性が母」とする中間試案を示した。07年には、最高裁がタレントの向井亜紀さんと、代理出産で生まれた双子との母子関係を認めない判断を示した。また、最高裁は13年、性同一性障害で女性から男性に性別変更した夫が、第三者の精子提供を受けて妻が出産した子を嫡出子(法律上の子)と認めた。今回の法案はこれらの判例や過去の議論に沿った内容となった。
一方、合同部会は、卵子提供や代理出産を認める条件を定める法案についても審議してきたが、意見集約できなかった。このため、今回の特例法案の中に、国会に審査会を設置して2年以内に結論を出すとする付則を盛り込んだ。【阿部周一】

民法と現代の隙間埋める狙い 不妊治療のルール法制化は見送り
卵子提供や代理出産について「産んだ女性が母親」などと認定する自民党合同部会の民法特例法案は、100年以上前にできた民法と、不妊治療が普及した現代との法的な隙間(すきま)を埋め、遺産相続や国籍などをめぐる当事者間の争いが起きないようにする狙いがある。
国内では、1948年に始まった第三者の精子を使う人工授精(AID)で既に1万人以上が生まれた。毎年300~400人の不妊に悩む女性が海外で卵子提供を受けているとの推計もある。7月には、国内で無償ボランティアからの卵子提供をあっせんするNPO法人が、提供卵子を用いて受精卵を作製したと発表した。
5日了承された法案は、親子の遺伝上のつながりを重視する価値観とは相いれないが、既に治療が広がっている現実に対応するため国の審議会や医療現場からは早期の法整備を求める声が上がっていた。
一方、重要課題は先送りされた。合同部会は代理出産の是非をめぐり党内の意見が分かれたため、どのような治療を認めるかといった不妊治療のルールの法制化を見送った。だが、親子関係を規定する法案が成立すれば、卵子提供や代理出産が法的に明文化され、国内外での実施を事実上追認することになる。
現在、日本産科婦人科学会(日産婦)の代理出産を認めない指針があるが、法的拘束力はない。精子・卵子提供について日産婦は「国が制度整備すべきだ」として容認も禁止もしていない。今後、共通ルールがないまま、一部の医療機関が独自に実施する状況が広がる可能性もある。第三者がかかわる不妊治療では生まれてくる子が遺伝上の親を知る「出自を知る権利」も重要な課題だが、現状では先送りされたままだ。【阿部周一】

日本でも広がる「SIB」、特別養子縁組や介護予防など「社会問題を解決する投資」

ZUU online 2015年8月4日

社会問題を解決するために政府・行政が取り組む事業に民間の企業・団体が資金を投資、事業成果に応じてリターンを受け取る「SIB」が注目されている。これは「Social Impact Bond(ソーシャル・インパクト・ボンド)」の略。行政にとっての利点は、税金などで資金を調達する必要がなく、思い通りの成果が得られなかった場合も財政負担が残らないことだ。
世界で最初のSIBと言われているのが、2010年のイギリス・ピータバラ刑務所の例だ。18歳以上の男性服役者3,000人を対象に、再犯率を下げるための取り組みを実施するための費用500万ポンド(約7億円)を民間が投資。再犯率が減少して収監コストが下がった場合など、その分を投資家に還元する。

日本でも横須賀市でスタート
イギリスで始まったSIB。アメリカやオーストリラリアなどにも広がり、最近では日本でも取り組みが始まっている。
神奈川県横須賀市が特別養子縁組を促進する事業に、日本財団が資金約1,900万円を提供し、児童養護施設などにかかるコスト軽減を目指すもの。日本財団によれば日本で初めてとなるSIB。契約の調印は2015年4月で、目標は2016年3月までに特別養子縁組を4組成立させることだ。
児童養護施設にかかる市の負担は、1人あたり900万円弱(18年間)といわれる。今回のSIBが成功すれば、市の負担は計3,500万円以上軽減される見込み。特別養護縁組を成立させるためにかかる人件費などを差し引いても、1,630万円の費用削減が期待できる。今回はパイロット事業のため、SIBが成功しても日本財団はリターンを受け取らないという。

介護予防分野で公文が進出
最近では、介護予防分野でのSIB活用も始まっている。
公文教育研究会が認知症予防のためにSIBが導入できるかなどを調査する事業を、経済産業省から受託した。公文によれば、介護予防分野のSIB調査としては日本初の事例だ。
経産省が取り組んでいるのは、「健康寿命」を延ばすための事業。健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送ることができる期間のこと。平均寿命との差は、日常生活に制限のある不健康な期間と考えられるため、経産省はこの差をなくそうと取り組みを続けている。
公文は、介護予防分野にSIBの導入が可能かどうか、また認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があるとされる「学習療法」「脳の健康教室」などで高齢者の介護度を改善することで、介護にかかる公的費用を削減できるか‐-などを調査する。
児童養護や介護などで始まったSIBの取り組みが、問題の解決や行政負担の削減など期待される成果を出せれば、若者の就労支援をはじめ、より幅広い分野での導入が進むはずだ。

【戦後70年 東北の記憶】赤ちゃん斡旋事件(上) 「命守るため法改正を」

産経新聞 2015年8月4日

「急告、生まれたばかりの男の赤ちゃんをわが子として育てる方求む」
昭和48年4月20日、宮城県石巻市の地元紙に、小さな広告が掲載された。依頼したのは石巻市の産婦人科医、菊田昇医師=当時(46)=だった。
しかし、この広告が議論を巻き起こす。2日後に、一部新聞が報道。34年から48年まで、菊田医師が100人を超える赤ちゃんを斡旋(あっせん)していたことが分かったからだ。斡旋は医師法に抵触する行為だった。
菊田医師が34年から赤ちゃんの斡旋を始めたのは、中絶を望む妊娠7カ月の女性の申し出を断ったことがきっかけという。当時の報道によると、その後女性が別の病院で中絶したことを知り、「いっそのこと産んでもらい、子宝に恵まれない人に世話する方がいい」と考えたという。

国会の参考人に
報道の反響は大きく、そのわずか2日後には、参院法務委員会に菊田医師が参考人として呼ばれることに。そして、こう訴えた。「赤ちゃんの生命を守るためにも、実子特例法を制定してほしい」
それまでの養子縁組では、相続などで生みの親との法的関係が残ることや、本人の戸籍に「養子」と記される。母親の戸籍に子供を産んだ事実が残ることから、望まない妊娠で中絶を望む人も多かった。
菊田医師は「子供を助けるためには、法を犯すこともやむを得なかった」と釈明。養父母を実の親と同様に扱う制度を求めた。
当時、望まない妊娠をして中絶する母親が後を絶たず、妊娠5カ月以上で、母胎が危険な状態での中絶も少なくなかった。問題発覚前の45年の人工中絶は約75万5千人。きちんとした病院で処置を受けない中絶を含めると、100万人を越えるとされた。平成25年度の約18万6千人に比べると、その多さが分かる。

賛否両論
「信念の強い男だった」。菊田医師の代理人を務めた仙台市の佐々木泉弁護士(86)はそう話す。「医師として許されないことは分かっている。それでも子供を助けなければいけない」と力説する菊田医師の姿が印象に残っているという。
当時の新聞には「母親の命と子供の命、両方を考えた結果」「違法だが勇気ある行為」などと賛同する投書や意見が相次いだ。一方、識者からは「将来、近親婚などの危険性もあり、トラブルになりかねない」「医師法に違反しないやり方をとるべきだ」などの批判も。50年3月には日本母性保護医協会から、同9月には日本産科婦人科学会宮城県地方部会から除名される。
52年8月には愛知県産婦人科医会から医師法違反罪などで告発され、刑事事件に発展。53年3月、仙台地検が略式起訴し、仙台簡裁は罰金20万円の略式命令を出した。
行政処分も出る。54年6月には、厚生省が菊田医師を6カ月の業務停止にした。菊田医師は処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴したが、63年6月の最高裁で敗訴が確定した。
ただ、「違法」と認定される一方で、法改正は着実に進んでいた。57年9月、法務省の法制審議会が制度の見直しを開始した。(上田直輝)

【昭和48(1973)年】
水俣病1次訴訟で、熊本地裁が原因企業チッソの責任を認める判決を出す。プロ野球では、巨人が9年連続日本一(V9)を達成。第4次中東戦争が勃発し、原油が値上がり、第1次オイルショックへとつながった。

【戦後70年 東北の記憶】赤ちゃん斡旋事件(下)

産経新聞 2015年8月5日

昭和62年9月、参院本会議で、養子と養父母の間に実の親子並みの強固な関係を認める「特別養子縁組制度」法案が可決された。満場一致だった。
従来の制度では、戸籍の父母欄には実父母も記載し、「養子」と明記する。これに対し新たな制度では、養父母だけを記載し、続柄も「長男、長女」のみとした。
医師法に違反したことに対しては批判が出たものの、「赤ちゃんの命を救うために法改正が必要」という菊田昇医師の訴えは、多くの支持を集めた。菊田医師をめぐる訴訟の代理人を務めた佐々木泉弁護士(86)は「菊田医師は大喜びしていた」と振り返る。翌年には、厚生省(当時)の出した業務停止の処分をめぐる訴訟の上告審で敗訴したが、佐々木弁護士は「違法と分かった上で、法改正のために動いた菊田医師の目的は達せられた」と、法廷で闘った意義を強調した。

世界で認められる
新しい制度でも、実の母親の戸籍に子供を産んだ事実は残る。菊田医師はその後も「子捨て、子殺しをなくすため、実母の公の戸籍に出産事実不記載を」と訴え続けた。
一連の活動は世界で認められる。平成3年4月、国連の「世界生命栄誉賞」を受賞。慈善運動に力を尽くしたマザー・テレサも受けた賞だった。
しかし、その栄誉を本人が感じた日々は長くはなかった。その年の8月、病気のため65歳でこの世を去った。
佐々木弁護士は、亡くなる直前、入院中の菊田医師を見舞った際、こう語りかけられたという。「不幸な子供の命を救いたいんだ」。最後まで自分の信念を話す姿がそこにはあった。
制度が施行されて以来、年間300人以上、多いときには1千人を超える子供が特別養子縁組で新たな家族に迎え入れられていった。25年度には474人が特別養子縁組された。
一方で課題もある。通常の養子縁組と違い、特別養子縁組制度では里親に登録するための研修が義務化されていない。実の親子と同様の強固な関係を認める特別養子縁組では、原則6歳未満の幼い子供と、血縁関係のない大人が法的に親子になり、一度結ぶと離縁できない。このため、どんな子供でも受け入れるという強い気持ちでいないと、後悔することにもなりかねないという。

普通の幸せを得る
ただ、この制度で多くの子供たちが救われている。宮城県中央児童相談所は、今年度1件、26年度1件、25年度3件の特別養子縁組を斡旋(あっせん)した。昨年、特別養子縁組を結んだ男児(6)は、生まれた直後から乳児院で育ち、里親に登録していた現在の両親のもとに預けられた。同担当者は「特別養子縁組がこの子にごく普通の親子と変わらない、幸せな生活をあげた」と制度を評価する。
佐々木弁護士は「1人の医師の行動が、何千何万もの子供を救った」と、当時の新聞のスクラップをめくりながら話した。そこには、子供たちのために奔走する菊田医師と佐々木弁護士が肩を並べて写っていた。(上田直輝)

親・子どもにとっての「小1の壁」問題、子育て支援に望まれている新たな課題とは?

Mocosuku Woman 2015年8月4日

子どもの小学校入学。それは、家族にとって生活がガラリと変わる出来事です。親や子どもにとって、障壁となる事態も起こる…、これをいわゆる「小1の壁」と呼んでいますが、近年では内容にもある変化が起きているようです。詳しくみてみましょう。

親の仕事への影響
共働き家庭においては、それまで保育園などで夕方まで、あるいは延長保育を利用して比較的遅い時間帯まで子どもを預けられていたのが、小学校に入った途端、13~16時ごろに帰ってきます。また、夏休みなどの長期休みもあり、共働き夫婦の一方(ほとんどの場合は母親)の仕事や家庭生活に、影響が出やすくなります。
学童保育に預ける道もありますが、それでも預かる時間は「18時まで」というところが主体となっています。さらに学童保育にも「待機児童問題」があり、全国学童保育連絡協議会の平成26年調査によると、「学童保育の待機児童数は、潜在的待機児童を含む推定で約40万人程度」とされています。厚生労働省が公表した保育所入所待機児童数(平成26年10月現在)の4万3,184人と比べると、学童保育の待機児童数(推定)はより深刻な問題といえます。

質の向上が求めらている保育現場
小1の壁問題では、待機児童問題と保育時間ばかりに目が向けられがちですが、学童保育の「質の向上」についても見逃せません。
厚労省では、「平成27年4月より放課後児童クラブ運営指針を新たに策定し、国として放課後児童クラブに関する運営及び設備についてのより具体的な内容を定め、地方自治体に通知をした」としています。
この指針を見ると総則で「子どもの健全育成と遊び及び生活の支援」をうたっています。この文面には「教育」という文字は入っておらず、あくまで保育の域に止まり、もの足りなさを感じる保護者もいるでしょう。
一方で、運営については、「子ども数は40名以下、放課後児童支援員(=職員)は2名以上」とされ、従来のガイドラインの「子ども数は最大70名、放課後児童支援員1名以上」に比べると改善されました。

勉強についていけない!?「小1の壁」とは
小学校低学年の子どもにとっては、「遊びも大事!」、「学年の異なる集団生活も大事!」、「安心して過ごせる場所も大事!」、「宿題等をする時間も大事!」です。夫婦共働き家庭にとっては、子どもを安心して預けられ、さらに子どもの学力向上も図れれば、願ったり適ったりかも知れませんが、学童保育では「学習」に主眼が置かれていないため、子どもの基礎学力の向上には期待できそうにありません。
未だ一部に限られますが、民間の学童保育施設と塾がコラボする例や私立小学校が学童保育を手掛けるところも散見されはじめており、そこでは学習中心のカリキュラムも一部取り入れられています。
子ども自身、勉強が好きになれずに学力が身につかないといった「小1の壁」も懸念されています。教育に力を入れている幼稚園もあることから、小学校にあがった時点で周囲と差ができてしまっていることに、焦りを感じる親もいます。
子どもの基礎学力の向上を図るためには、学習補助教材の購入や塾や習い事で補うことが選択肢になります。文科省の子どもの学習費調査(平成24年)によると公立小学校1年生の補助学習費(塾代や通信教育教材費など)は月額7,250円程度、その他学校外活動費(習い事やスポーツスクールなど)は月額9,000円程度、合計で1万5,800円程度という調査結果でした。
ひと昔前までは、公立小学校に入学すれば子育て費用は減少するのが常でしたが、共働き家庭では、学童保育にかかわる費用に加えて塾や習い事など、負担が増加してしまう可能性が高まっているのです。
これからは、子どもを「預かる」だけでなく、幼児~小学校まで一定水準の「教育の質」を担保することも、国の『子育て支援策』の課題であると言えるでしょう。

音声で突然、「あなたのコンピュータでウイルスが検出されました」と警告して来る「PCサポート」サイトに注意

INTERNET Watch 2015年8月4日

「あなたのコンピュータでウイルスが検出されました」という音声がPCから聞こえてきたが大丈夫か――。こうした内容の相談が相次いで独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に寄せられているとして、偽のウイルス検出警告にだまされてしまわないよう注意を呼び掛けている。
IPAが受けた相談によれば、インターネット利用時に気が付かないうちに「PCサポート」というウェブサイトにたどり着き、突然、冒頭のような音声メッセージが流れ、サイトに記載されている連絡先に電話をかけるよう促されたという。
相談者の中には、この音声メッセージを聞いて不安になり、示された連絡先に実際に電話をかけてしまった例もあった。電話では「遠隔サポートによるウイルス駆除を行う」として、まず遠隔操作ソフトのインストールを案内され、実際に何らかの遠隔操作が行われた後、有料ソフトの購入を促されたとしている。

(IPAのプレスリリースより)
IPAによると、このサイトへは、バナー広告などの不用意なクリックあるいはリダイレクトなどによって誘導された可能性があるという。また、サイトにアクセスすれば自動的に音声メッセージが再生される仕組みのため、アクセスしたPCが実際にウイルスに感染しているかどうかチェックしているわけではないと説明。不安を感じても、画面に示された連絡先に電話をかけないよう呼び掛けている。
あわせてIPAでは、ウイルス感染の確認はセキュリティソフトによるスキャンで行い、感染が確認された場合はセキュリティソフトの指示に従って対処するよう呼び掛けている。
IPAにはこうした手口に関する相談が5月に1件、6月に9件、7月に8件寄せられた。また、このサイトの存在については、トレンドマイクロ株式会社でも5月末に把握しており、その時点で日本から約7000件のアクセスがあったことが確認されているとして、注意喚起を出していた。

「眠れない」は病気のサイン?睡眠障害とは

nikkanCare.ism 2015年8月4日

誰もが一度や二度は、眠れない経験をしたことがあるのではないでしょうか。しかし、このような症状が1ヶ月以上続くのであれば、それは“睡眠障害”かもしれません。
睡眠欲というのは非常に強いものです。日中でも眠気がとれない状態の場合、物事に集中することが難しくなります。居眠りの危険だけなく、集中力と判断力の低下による事故などにもつながってしまいかねません。
今回は、厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス~睡眠障害」より、この問題を見ていきます。

日本人の5人に1人が不眠に悩んでいる
睡眠障害にはいろいろな種類がありますが、そのなかでももっとも多いのは、やはり“不眠”です。日本人の場合、約21%が“眠れないこと”で悩んでおり、約15%が“日中の眠気を自覚している”という調査結果が出ています。今や、不眠に悩むのは特別なことではありません。
しかし、睡眠不足が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などになりやすくなることがあると言われています。特別なことではないからといって、不眠をそのままにしておくのは危険です。

睡眠障害は不眠だけではない
睡眠障害というと多くの人が不眠をイメージしますが、それ以外にも様々な症状が含まれます。
「夜に十分寝ているのに日中に眠気が襲ってくる」、「眠るときに末端部分がむずむずとしてきてなかなか眠れない」、「まだ起きる時間ではないのに、意図しない時間に起きてしまう」といった症状も見られます。
睡眠障害の原因は、個人によって違います。ストレスをためた結果として症状が現れる人もいますし、病気を原因とする人もいます。また、単純に眠るための環境が整っていないために睡眠障害が起こるケースもあります。

まずは環境から整える
睡眠障害にはさまざまなものがありますが、ここでは基本的には“不眠”の解決策を紹介します。
睡眠障害を解消するためには、眠りやすい環境を整える工夫が欠かせません。遮光カーテンを使って光が入らないようにしたり、騒音が聞こえないようにしたりすることがその代表例です。また、身体的にも環境を整える必要があります。覚醒効果のあるカフェインの摂取をつつしむことなどがこれにあたります。
「眠らなければいけない」という思い込みもストレスにつながりますから、「眠らなくてもいいから、とりあえずベッドに横になってみよう」と考えて、気分を楽にすることも重要です。

このような工夫をしても症状が改善しない、ということであれば、病院に行くようにしましょう。現在は睡眠導入剤が薬局で手に入るようになりましたが、睡眠障害にほかの病気が隠れている可能性は否定しきれません。安心を得る意味でも、病院に足を運ぶようにしてください。
また、処方された睡眠薬は、お酒と一緒に飲むのは厳禁です。睡眠薬を飲まない場合であっても、安易にお酒の力を借りて眠ることもやめておきましょう。お酒は、確かに睡眠導入を容易にしますが、眠りの質は落ちてしまいます。
ほかにも、過去nikkanCare.ismでは快眠法をいくつかご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

その質問、就職差別です! 「お父さんの職業は?」「彼氏いる?」

withnews 2015年8月5日

就職活動の面接で企業から尋ねられる質問の中には、差別になるものもあります。「外食をどれくらいしますか?」は生活水準を調べることにつながるのでアウトです。「彼氏いる?」のような、女性に限定した質問も男女雇用機会均等法違反になります。

業務に直接関係ない個人情報は違法
企業にとって面接は、学生の素質を見るための重要な機会です。一方で、プライバシーに踏み込んだ質問は、法律違反になる場合もあります。
1999年に職業安定法が改正されて、業務に直接関係ない個人情報を集めることは違法になりました。違反が発覚すれば、各地の労働局から会社に対して指導が入ります。

本人に責任のないことで判断は差別
「本籍地はどこですか?」
「自宅はどのあたりですか」
「父親の職業は?」
「両親の学歴は?」
「外食をどれくらいしますか?」
「自分の部屋を持っていますか?」
「支持政党は?」
「今付き合っている人はいるの?」
「結婚の予定は?」
「出産しても働き続けられますか?」

これらの質問はすべてNGです。能力とは無関係で、本人に責任のないことを採用の判断材料にするのは差別につながるからです。

【部落差別などにつながる】
「本籍地はどこですか?」
「自宅はどのあたりですか」

【家族の状況は本人の責任とは無関係】
「父親の職業は?」
「両親の学歴は?」

【収入水準による差別につながる】
「外食をどれくらいしますか?」
「自分の部屋を持っていますか?」

【個人の思想信条にかかわること】
「支持政党は?」
「愛読書は?」

【女性に限定しての質問は男女雇用機会均等法違反】
「彼氏はいるの?」
「結婚の予定は?」
「出産しても働き続けられますか?」

「緊張を解くため…」理由にならない
NGの質問は、たとえ企業の担当者が「緊張を解くための雑談」と弁明しても、許されません。厚生労働省就労支援室によると、就職差別につながるおそれがある採用面接をしたとして全国の労働局が職業安定法に基づき是正指導したのは、2013年度で989件に上っています。
今年は採用活動の後ろ倒しにより、内定者を早めに確保したい企業が就職活動を終えるように強制する「オワハラ」を迫る例も出ています。悪質な差別質問や、オワハラをするような企業は「ブラック企業」の可能性もあります。選ばれる側であっても、学生は法律を調べて面接に臨むなど、自分を守る必要がありそうです。