虐待・育児放棄・貧困……この国には施設で暮らす子どもが4万人もいる! あなたの身近にも必ずある施設の実態とは?

現代ビジネス 2015年8月21日

この国では4万人の子どもが施設で暮らしている
親元で暮らせない子どもたちを家庭に代わって社会保障費で育てることを「社会的養護」と言いますが、日本にはいま、社会的養護下にある子どもたちが約47,000人にいます。親の貧困や虐待など理由はさまざまですが、ほとんどの子どもたちは親がいるにもかかわらず、親元で暮らすことができていない状況にあるのです。
そのような子どもたちが生活する場所として、前回は里親をはじめとした「家庭養護」の形態について説明しましたが、今回は「施設養護」について紹介します。施設には6つの形態があり、子どもの年齢、行われるべきケアや治療の度合いによって生活する場所が変わります。
これから説明する6つの形態を全て合わせて約40,000人の子どもたちが施設で生活していますが、その存在を知っている人はほんの一部だと思います。
その理由の一つは、施設で暮らす子どもたちは虐待や育児放棄等で十分な愛情を受けずに育っていることが多く、親は自分を愛していないから、自分は愛される価値がないから、自分は親と暮らせないと思い込み、子どもたち自身が自分を責めていることにあります。中高生になると、周りとは違う環境で暮らしていることをうまく自分の中で落とし込めず、隠しているケースもたくさんあるのです。
さらには信じられないことかもしれないですが、新しい施設をつくるという話になると、自身が暮らす学校区に施設がつくられることで、いわゆる「不良の子どもたち」が増えるのでは? という懸念から、反対されるケースも存在します。
そういった反対の声がある中で施設がつくられたりすると、施設の子どもがちょっとしたトラブルを起こした時には「やっぱり」という目で見られてしまうことから、施設職員も目立たないように息を潜めていることも少なくありません。
その結果、施設でボランティアや寄付などが必要であっても、地域に助けを求めることができない状況にあります。
虐待を受けて、親から孤立した子どもたちが、地域の住民からも冷ややかな目で見られ、社会からも孤立してしまっている現状があるのです。この背景には、施設やそこに入所する子どもたちの状況がきちんと理解されていないという問題があると思っています。
いったいどんな施設でどんな状況の子どもたちが生活をしているのか、わかりやすく解説していきましょう。

①0歳から2歳の子どもが暮らす「乳児院」
「乳児院」は、管轄の児童相談所によって保護された0歳から2歳くらいまでの乳児が暮らす施設です。産後うつや出産による体調面の変化など、一時的な親の病気によって短期間預けられることもあれば、育児放棄も含む虐待等によって長期間にわたり保護されるケースもあります。
乳児院の入所理由として、平成21年度の調査によれば、母親の病気(精神障害や内科系・産婦人科系・外科系疾患、ガンなど)によって預けられる場合が28.3%、虐待あるいは父母の怠惰によって保護される場合が23.9%、借金や貧困など経済的理由で養育ができない場合が6.7%となっています。また最近では、一時期話題となった「赤ちゃんポスト」に預けられた乳児も、乳児院に送られることが多くなっています。
私の身近にも、出産後に母親の心身の状況が不安定になり、父親は家庭の稼ぎや妻のサポートに専念するため、子どもを乳児院に1年ほど預けたという家庭がいくつもあります。ただし乳児院に預けられた後、親元に帰る子どもたちは約6割で、4割の子どもたちは児童養護施設等の児童福祉施設(約30%)か、里親家庭(約7%)に保護され、親元に戻れない場合も少なくはありません。
乳児院は、現在全国各地131ヵ所あり、3,000人以上の乳児たちがそこで暮らしています。連携が必要になることから、病院や児童養護施設等に併設された乳児院もあります。例えば東京都では、東京都済生会中央病院附の属乳児院や日本赤十字社医療センター付属の乳児院がそれにあたります。全国の乳児院リストはこちら(http://www.nyujiin.gr.jp/nyujiinlist.html)からご覧いただけます。

②1歳から18歳の子どもが暮らす「児童養護施設」
次に、社会的養護下にある子どもたちの半分以上が暮らす「児童養護施設」について説明をします。
児童養護施設は、全国に約600近くあり、社会的養護下の1歳~18歳までの子どもたちが暮らしています。近年は、すぐに自立が難しいことから20歳までの延長機能もあります。

各都道府県別児童養護施設の数
東京都が管轄する施設は60近くあり、全国の施設数の約10分の1にあたります。そのほか、ほとんどの主要市区町村には1つ以上の児童養護施設がある状況なので、みなさんのご自宅の近くにもあるかもしれません。全国の児童養護施設のリストはこちら(http://www.zenyokyo.gr.jp/pdf/list.pdf)からご覧いただけます。
児童養護施設に入所する子どもたちは、厚生労働省による2013年度の統計上は6割が虐待を受けていることになっています。しかし、実際に施設で働く職員の方々は、施設で暮らすほとんどの子どもたちが育児放棄も含む虐待を受けてきていると言います。乳児院よりも保護される時期が遅いケースも多いことから、虐待を受けた期間が長く傷も根深く、克服が難しいケースもあるそうです。

児童養護施設で暮らす子どもが受けた虐待の種類

③精神的な病気を抱えた子どもたちが暮らす「情緒障害児短期治療施設」
「情緒障害児短期治療施設」では、心理的問題を抱える子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を行っています。
ここは、3ヵ月~1年ほどの一定期間、治療に専念するための場所となっており、児童相談所で一時保護された子どもの心理状況や虐待によるトラウマの深刻さによって、児童養護施設ではなくこちらの施設に措置されることがあります。
この施設には、社会的養護下の子どもたちだけでなく、不登校や自閉傾向で学校に適用できない子どもたちもいます。東京都には情緒障害児短期治療施設がないため、児童養護施設がこの役割を兼ねていることも少なくありません。より専門的なケアが必要であるにもかかわらず、児童養護施設でその役割を担っていることは問題だという指摘もあります。

④犯罪や不良行為を起こす子どもたちが暮らす「児童自立支援施設」
「児童自立支援施設」は、犯罪や不良行為を起こした、もしくは起こしかねない児童等が暮らし、生活指導などが行われる施設です。
罪を犯し、少年院からくる場合もありますが、児童自立支援施設は、非行からの回復を目的とした少年院とは異なり、家庭の代わりを果たす「児童福祉」を目的にした場所です。管轄が、少年院は法務省となりますが、児童自立支援施設は厚生労働省であることからも違いがわかります。
児童自立支援施設には、主に13から15歳くらいまで年齢の子どもたちが入所していますが、法律上は18歳まで入所できます。
児童自立支援施設に来る子どもたちの中には被虐待児童や、発達障害を持つ子どもなどが近年増えてきており、児童養護施設との線引きが難しい、とも言われています。
虐待などで大人から不適切な関わりを常態的に受けていた場合、児童養護施設にいる子どもたちも非行に近い言動をしてしまうことは少なくありません。私自身も、児童養護施設から児童自立支援施設に送られるケースを何度か目にしたことがあります。

⑤DV被害者や経済的貧困にある母子が暮らす「母子生活支援施設」
「母子生活支援施設」は、ほかの施設とは異なり、子どもだけで入所する場所ではありません。配偶者のいない母親と児童を保護し、生活支援をするとともに、退所後の相談や援助も行うことを目的としています。
各世帯に、人数によってワンルームから2DKほどの部屋が用意され、基本的には母子が独立して暮らせるようになっています。
夫のDV被害から逃げている母子が暮らしているケースもあるため、外見は一般的なアパート・マンションで、施設であることがわからないようにしており、インターネットでも住所を明かしていないケースが多いです。この施設には、母子支援員や少年指導員、調理員、保育士、警備員等の職員がいて、母子をサポートする体制が整っています。

母子生活支援施設は平成19年の厚生労働省の調査によると、全国に272施設、全国で4,056世帯、10,608人の利用者がいます。そのうち、東京に37施設あり、全体の1割以上にあたります。
入所の背景は、最も多いのは夫などの暴力(48%)、次は実家に帰ることもできず、家賃が高くて部屋を借りられないなどの住宅事情(22%)となっています。また、入所している母親の約7割が働いていますが、ほとんどが非正規雇用であり、多くの世帯が5~10万円の収入で生活をしています。DV被害により、夫には頼れないのはもちろん、身を隠していることから他に頼る宛もなく、子育ても仕事も母親1人で抱えているケースが多くなっています。

⑥施設を退所した子どもなど暮らす「自立援助ホーム」
「自立援助ホーム」は、児童養護施設を退所した子どもたちほか、義務教育を終了した20歳未満の児童が共同生活を営む場所です。ここでは、日常生活の援助や生活指導、就業支援が行われています。
現在、全国に約100ヵ所の施設があり、400人ほどの15~20歳の子どもたちが生活をしています。入所の理由は、虐待から逃れるために家を飛び出したり、児童養護施設を退所したけれど1人暮らしするほどの経済的な余裕がない等です。
自立援助ホームは基本的に6人定員の一軒家形式になっています。一軒家にそれぞれの個室が用意されており、施設職員が交代制で勤務しています。虐待等で家庭から逃げてきた子どもたちもいるため、母子生活支援施設同様、外からは自立援助ホームであることがわからないケースも多いです。
入所する子どもたち自身が30,000円~40,000円の寮費を払っているケースがほとんどで、そこには1日1回の食事と水道光熱費等が含まれています。
2009年の全国自立援助ホーム協議会調査研究委員会の発表によると、自立援助ホームで暮らす子どもたちの約8割は中卒で、高校中退者や不登校児童も多くなっています。
大学全入時代において、中卒者の就職は非常に厳しく、家庭を頼ることもできないことから、望まないかたちで水商売や犯罪等に巻き込まれることもあります。また、アジア圏からの留学生や出稼ぎ労働者も増えてきている中で、中卒者がアルバイトや契約社員として働くことも非常にハードルが厳しく、30,000~40,000円の寮費が支払えないケースも少なくないと言います。

あなたの地域にも施設がある
以上、社会的養護下にある子どもたちが暮らす施設養護の6つの形態について説明をしてきました。
東京の場合、ほとんどの地域にいずれかの施設が存在します。ぜひ、みなさんの近くの施設を調べ、一度伺ってみてほしいと思います。そこでどんなボランティアの募集があるのか、みなさんの子どもたちと同じ学校に通っている子どもはいないか、何か自分にできることはないか、考え行動してみてほしいと思います。
たくさんの辛い経験を経て施設に来た子どもたちも多くいます。虐待を受けたことや親と離れて暮らしていることは子どもたちのせいではないこと、子どもたちにはたくさんの味方がいるということを、施設職員だけでなく、地域の大人をはじめとした身近な大人たちが伝えていく必要があると思うのです。

「明日の食費がない」「子育ては苦しみばかり」 【ルポ】シングルマザーの貧困

フライデー?2015年5月28日

貧しさゆえに、母親が自分の子供を殺してしまう――そんな悲愴な事件が全国で発生している。母子家庭の2世帯に1世帯が貧困にあえいでいるという。彼女たちの悲鳴を聞いた。

部屋の中はカビだらけ
「普段の食事は、ホットケーキの粉を水だけで溶いて焼いたものだったり、乾麺タイプのうどんを茹でたりしたものが中心です。ご飯は二日に一回2合炊いて、2人の子供に食べさせ、残ったら自分も食べるという感じですね。調味料を買うおカネがないので、ケチャップやマヨネーズ、ソースなどはここ4年で一度しか買ったことがありません。時々野菜に、スーパーでもらったドレッシングなんかをかけると、調味料のない薄い味に慣れているからか、子供が『カラい』と顔を歪めますね。とにかく、子供におなかいっぱい食べさせてあげたい……それが一番の望みです」
小学校1年生の娘と保育園に通う息子をもつ、シングルマザーの相原鈴子さん(仮名、30代)。夫の度重なる暴力に耐えかね、5年前に、子供を連れて家を飛び出した。おカネもほとんど持たないままたどり着いたのは、まったく土地勘もなく、頼る人もいない神奈川県の郊外だった。
ガソリンスタンドに勤務する彼女の月々の収入は9万円ほど。夫からの慰謝料・養育費の送金はなく、一度として生活が楽だったことはない。生活保護も受けておらず、家賃5万9000円を払えば、生活はカツカツになる。
親子3人で住むアパートは築年数約40年、リビング6畳・寝室6畳の二間だ。駅から徒歩15分と不便で、日当たりも風通しも悪いため、部屋の中はカビだらけ。これが原因で相原さんと娘は喘息(ぜんそく)になったという。
「冬はとても寒いのですが、光熱費がもったいないので、お風呂は3分の1しかお湯を溜めません。もうすぐ家賃4万円台のアパートへの引っ越しを考えていますから、住環境はますます悪くなるでしょうね」
そう言って哀しげな表情を浮かべた。

「3000円だけ、貸してください…」
女性の貧困が深刻化している。特に全国で約120万世帯にのぼる母子家庭(シングルマザー)の困窮が顕著だ。統計によると、母子家庭の平均年収は、一般世帯の半分にも満たない。
2012年の貧困(世帯年収約122万円未満)率は、子供がいる現役世帯(世帯主が18-64歳)全体では15.1%なのに対し、ひとり親世帯では約55%にまで跳ね上がる(ひとり親世帯の約9割が母子家庭)。2世帯に1世帯以上が、貧困に苦しんでいるのだ。
「シングルマザーの経済状況は、危機的なものになっています。なかには生きることすら困難になっている人もいる」
こう指摘するのは、60年以上にわたり母子家庭を支援してきた公益団体「ひとり親Tokyo」の髙田伊久子会長だ。
「昔は離婚して女ひとりで子供を育てることになっても、家族の支援があったり、安定した雇用があったのでなんとかなった。ところが核家族化と雇用の非正規化が進んだことや、元夫も非正規雇用で収入が少なく、慰謝料・養育費をもらえないというケースが増えたため、シングルマザーの貧困が深刻化しました。実際にうちに相談に来る人は、月収10万円以下で生活している女性が中心で、家賃が払えずに『3000円だけでいいので、貸してください』と懇願する人もいます」
東京の郊外に生後9ヵ月の娘と住む甲本由香さん(仮名、20代)は、出産直後に夫と口論することが多くなり離婚。それまで住んでいた夫の実家を追い出され、途方に暮れた経験を語る。
「仕事も辞めていて収入がなかったので、娘の出産祝いで食いつなぎました。手持ちのおカネが1万円を切って、これはもうダメかもしれないと思ったこともありました」
「学校の教材が買えない」
「とにかく、子供のためにおカネをかけられないのがつらい」と苦しい生活状況を明かすのは、埼玉県在住のシングルマザー・芦田絵美さん(仮名、30代)だ。

買い物をする時には「安くて、お腹にたまるもの」を中心に選ぶ。メニューは偏りがちだ
「県営住宅に住んでいるので家賃は3万円ですが、生活に余裕はありません。食材は100円以下のものを中心に買い揃え、主食はうどんやパスタです。米は高いのでほとんど買えません。なるべく味の濃い調味料を使って、子供たちの空腹感をごまかすようにしています。うどんなら、揚げ玉をたくさんのせる、とか。
一番苦しいのが、子供が学校で使う教材などの費用です。下の子供が小学校に入学するときに、2000円もする算数セットや、12色入りのマジックペン(1200円)を買わなければならなかったり……。ほとんど使わない鍵盤ハーモニカが、なぜ5000円もするんだろうとか、そんなことを考えるのがイヤですね(苦笑)。上の子供が高学年で野球が好きなんですが『中学校に行っても、野球部はダメだよ』と言ってます。ユニフォームや用具を揃えるのに、10万円はかかるから、とても手が出ません」
一時期は住むところにも困っていた甲本さんと芦田さんは、生活保護を受けることでかろうじて生活を立て直したが、母子家庭支援NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子氏によると、支援制度の存在を知らない女性も少なくないという。
「インターネットを使う環境がないために、生活保護制度や支援団体を調べられないという女性がいます。役所の申請には、所得証明や戸籍謄本など証明書類も必要ですが、書類を揃えるのが大変で結果的に支援を諦めるという人もいるのです。また、地域社会に知られたくない、車保有が認められないなどの理由で生活保護を受けないという場合もある。実際、生活保護を受けているシングルマザーは、全体の14%程度でしかありません」

急増する「母子心中」
安定した職に就けず、さらに行政からも支援が受けられない女性の選択肢のひとつが、風俗だ。最近では「女子寮完備」や「入店すれば支度金30万円支給」などの”特典”をうたう「人妻系風俗店」が増えている。実際に寮はあるものの、相当古いアパートだったり、売り上げの中から「寮費」として一定額を引かれるケースがほとんど。
また、勤務内容がハードな割には実入りが少なく、「一日3人客をとって、ようやく人並みに暮らせる程度の収入」(勤務経験のある30代女性)だという。しかし、住むところさえない女性のなかには、風俗での仕事が「最後の砦(とりで)」となっている人がいるのも事実だ。
そういった店でも働けない女性は、最悪の場合、「死」を選択することもある。
近年、生活に行き詰まり、母子ともに餓死したり、母親が子供を手にかけてしまうという事件が多発している。「反貧困ネットワーク埼玉」の藤田孝典氏が説明する。
「貧困に苦しむシングルマザーは、精神疾患になってしまうケースが多い。子供に『おなかいっぱいご飯が食べたい』『なんでうちは貧乏なのか』などと泣かれて、精神的に追いつめられてしまうんです。私のところにも、泣きながら『子供に暴力を振るってしまった』『一家心中を考えている』と相談に来る方がいる。一歩間違えば事件につながるのではないかと感じることは、少なくありません」
昨年9月、千葉県銚子市では痛ましい事件が起こった。県営住宅の一室で、43歳の母親が13歳の娘を絞殺したのだ。背景には極度の貧困があった。
母親は、隣の市の給食センターで臨時職員として働き、娘の可純さんを育てていた。手取りは月7万円ほどで、家賃1万2800円の県営住宅に住んでいたが、’12年頃から滞納するようになり、千葉県が部屋の明け渡しを要求していた。
「母親が娘を殺したのは、県が部屋の明け渡しの強制執行を行う日の朝でした。母親は警察の調べに『住むところがないと、生きていけなくなる。生活苦から娘を殺して自分も死のうと思った』と供述しています」(地元紙記者)

「なぜ産んだんだ」と責められ
可純さんはバレー部に所属する、アイドル好きの活発な女の子だった。この4日前には、彼女の通う中学校で運動会があり、可純さんは応援団の一員だった。母親は、娘が応援団で使用したハチマキを使って、首を絞めたという。
「なぜ誰も救いの手を差し伸べなかったのか。千葉県の県営住宅の場合、生活困窮者であれば最大で家賃を月2560円にまで下げることが可能なんですが、自治体はそれを、母親から相談がなかったために説明しなかったのです。
また、母親は’13年の4月に一度、生活保護の受給の可否を市役所に問い合わせているのですが、『面会記録票』を見る限りでは、市の担当者が母親の話をまともに取り合っていなかったと思われます。生活保護が受けられていれば、あるいは家賃の減額制度を知っていれば、娘を手にかけるようなことはなかったはずです」(「千葉県生活と健康を守る会連合会」妹尾七重会長)

この一件だけではない。’13年5月には大阪市北区のマンションで28歳の母親と3歳の息子が餓死しているのが発見された。預金残高は数十円だった。また、’14年3月にはJR新大阪駅で、生活に困窮していた母親が1歳の女児を置き去りにするという事件も起きている。
前出の藤田氏は、こうした痛ましい事件をなくすためにも、母子家庭の支援制度をもっと充実させる必要があると言う。
「貧困対策の制度はある程度用意されていますが、それを利用するハードルは非常に高い。財政難から、生活保護の申請を出来るだけ受け付けないようにしようという自治体も増えています。たとえば福祉事務所の窓口に相談に行っても『なんで離婚したの』『もう少し働けるでしょ』などと責められることがある。
また、安倍政権発足以降、生活保護の支給額が従来より低く見直される傾向にあります。そもそも『もう限界だ』という状態だから相談に来ているのに、そこで追い返されれば途方に暮れるしかなくなります。シングルマザーは、社会の中でも特に立場の弱い人たちです。その人たちに救いの手を伸ばさない世の中でいいのか、と疑問に思います」
3歳の子を持つ20代後半の女性(兵庫県在住)は、本誌の取材にこんな心情を明かしてくれた。
「出産から1年が経った頃に県内の福祉事務所に生活保護の相談に行くと、『苦しい生活になることが分かっているのに、なんで子供を堕ろさなかったんですか』と言われました。悔しくても、言い返せなかった。自分が悪かったのかなって思ってしまって……。それ以来、子育ては苦しみばかりで、この子がいるから私は貧しいんだと思うようになってしまった。この子もこれから苦しい生活をするぐらいなら、と、そんなことを考えてしまうことがあるんです」

「働くお母さん」が自活できない格差社会――。これがいまの日本の、偽らざる姿だ。

給食費計4万円を滞納 催促に応じない保護者に強制執行/鶴ケ島市

埼玉新聞 2015年8月20日

鶴ケ島市は20日、学校給食費の滞納をめぐり、再三の支払い催促に応じなかったとして、さいたま地裁川越支部に支払い督促の申し立てを行った保護者に対して、同支部の債権差し押さえ命令を受けて保護者の給与から未納金回収の強制執行をしたと発表した。滞納した給食費の回収をめぐり、同市が強制執行したのは初めて。
市教委学校給食センターによると、この保護者は13年10月から14年7月までの子どもが通学する小学校と中学校の給食費計4万1811円を滞納。市は14年の1年間、手紙や自宅の訪問などで再三、支払いを求めたが、保護者には一度も面会できず、回答もなかった。
市は今年1月、同支部に支払い督促を申し立て、保護者の債務を確定させた。しかし、その後も保護者からの連絡がなかったため、市は強制執行を申し立て、同支部が7月、差し押さえ命令を出していた。
市は19日、保護者の給与から、滞納額に裁判費用や利息分などを加算した計5万6647円を回収した。

給食費未納に「児童手当から強制的に天引き」の検討始まる! いま求められている対策とは?

Mocosuku Woman 2015年8月18日

深刻化する公立小・中学校の給食費未納問題に対応するため、政府・自民党が「未納の給食費を児童手当から強制的に天引きできる」仕組みの検討に入ったことが報道されています。現行の児童手当法には「保護者の申し出があれば」給食や学用品などの費用を児童手当から差し引ける制度があり、自治体の約3割が同制度を使って給食費の未納に対応しているとのことです。

給食費未納で起こっている問題とは?
文部科学省が平成25年におこなった調査によると、全国の学校給食を実施している公立の小・中学校583校において、給食費の未納がある学校の割合は46.5%。本来の給食費の予算が確保できないため、給食の量や質を落とさざるを得ないというケースも各地で起こっており、「給食費を払っている世帯が、未納の世帯のぶんの給食費を払っている」という不公平が生じていることも問題です。

児童手当で給食費がまかなえるの?
冒頭に述べた自民党の検討案では、保護者の申し出がなくても強制的に児童手当から未納分の給食費を差し引けるため、督促(とくそく)に応じない家庭や、経済的に困窮しているわけではないのに「払わない」といったケースへの効果が期待されています。
また、中学卒業まで支給される児童手当は、いまのところ小学生の場合で第1子・第2子は月額1万円、第3子以降は月額1万5千円、年収が一定の基準を超える「所得制限」の家庭でも月額5千円が支給されているため、平均月額4~5千円程度といわれる給食費を基本的にまかなえるとのことです。

どのような対策が有効なのか?
こうした対策が検討される以前から、給食費の未納問題への対策として、裁判所を通じて未納世帯への支払い申し立てをする「法的措置」を取る自治体も増加していました。また、埼玉県北本市では、今年6月に公立中学校4校において「給食費未納が3か月続いた場合は、給食の提供を停止する」という措置を決定し、未納者を43名から3名に減らすという成果をあげています。
以前、上記の北本市の事例を記事で取り上げた際には、読者の方から多くのコメントをいただきましたが、なかでも多かったのが給食費を「前払いにすればいい」という意見と、給食自体を「任意にすればいい」という意見です。たしかに、前払いであれば「払えないのに、払わない」というケースは減少するように思われますし、給食を任意にすることは子どものアレルギーなどで「お弁当を持たせたい」という親にも対応しているように思われます。
今回の自民党案にもいえることですが、こうした対策を実施する場合、経済的な事情により「本当に払えない」家庭への配慮も重要となってきます。そうした救済措置とともに実施するのであれば、上記の案はどれも有効だといえるでしょう。
いずれにせよ、給食の目的を「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するもの」、「学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ること」と学校給食法が定めている意義は高く評価されるべきで、子どもが「学校で安心して昼食を食べられる」ことは大切です。そのことを十分に考慮したうえで「給食費未納への対策」が実施されることが、現在の状況にとって必要と思われます。

施設出身者大学就学支援 「努力報われる制度」 歓迎の声、来年度7人対象 静岡

産経新聞 2015年8月21日

児童養護施設や里親など社会的養護の下で育った子供が20歳以降大学などを卒業するまで、生活費や学費を助成する制度が県内で始まり、今年度は県中部の女子学生1人が助成対象に選ばれた。県によると、来年度は7人が助成を受ける予定で、経済的に苦しい環境に置かれている施設出身の子供たちの大学への進学を資金面で後押ししていきたい考えだ。

虐待などの理由で社会的養護の下で育った子供たちは20歳になるまでは国から生活費などの支援を受けられる。しかし、20歳以降はこの支援がなくなるため、「せっかく進学校に入学しても、高3になった時点で4年制大学への進学をあきらめざるを得ない子も多かった」(児童養護施設関係者)とされる。
20歳以降を対象にした支援制度は本県の制度が全国で初めて。県の制度では入学金などの助成はないため、高校在学中から一定額をためる必要はあるが、社会的養護関係者からは「大学進学をあきらめざるを得なかった子供にとって努力が報われる制度だ」と歓迎する声が上がっている。
厚生労働省の平成25年度の調査では、高校卒業者の大学、専門学校への進学率は約77%。これを里親と児童養護施設出身者に限ると、数字は約26%まで低下する。
国による生活費などの支援が大学入学後に切れてしまうことが理由として考えられるため、県は社会的養護の下で育った子供が大学や専門学校を卒業するまで施設に毎月25万910円、里親に毎月12万950円を供与する制度を創設した。
この制度により子供たちは施設や里親を通して卒業まで助成を受けることができる。原則として、希望者全員が助成の対象だ。
県による新制度の創設について、児童養護施設、静岡恵明学園児童部の加藤秀郷施設長(70)は「大学に行きたい子供に県の制度を伝えるとうれしそうな顔をしていた。国も手をつけていないところをよく補助してくれた」と評価する。ただ、金額面では不十分な側面も強く、県里親連合会の高井篤会長(64)は「高1の時点からアルバイトを始めるなど入学時の費用は自分でためる必要がある。高校生には『県の制度だけでは大学には行けない』と伝えている」と指摘している。

3位「黄熊」2位「皇帝」…キラキラネームランキング3期連続1位は?

リセマム 2015年8月17日

スマートフォン向けアプリ「赤ちゃん名づけ」を提供するリクルーティングスタジオは、2015年上半期キラキラネームランキングを発表した。3期連続で「苺愛(いちあ、べりーあ)」が1位に輝いた。

2015年上半期 キラキラネームランキング(1位~20位)
2015年上半期キラキラネームランキングは、「無料 赤ちゃん名づけ」アプリと「赤ちゃん名づけ実績No.1/無料 赤ちゃん名づけ(Web)」で、2015年1月~2015年6月にアクセス数の多かったキラキラネームをランキング化したもの。
1位は2014年上半期と年間、2015年上半期の3期連続で「苺愛」が1位となった。名前の読みは「いちあ、かもえ、ねね、べりーあ、まいあ、めあ、めるあ、もあ、もえ、もな」とさまざま。名前の由来は「愛しい苺」という投稿があった。
続いて2位「皇帝(しいざあ、ふらんつ)」、3位「黄熊(ぷう)」、4位「星凛(きらり、あかり)」、5位「唯愛(いちか、ゆめ)」がランクイン。ふりがなが付いていないと読めない名前が多く並んだ。
同サイトではこのほか、「2015年上半期 赤ちゃん名づけトレンド」「2015年動物にまつわる名前ランキング」「2014年~2015年男の子の名前ランキング」なども公表している。

2015年上半期キラキラネームランキング
1位「苺愛」(主な読み:いちあ、べりーあ)
2位「皇帝」(しいざあ、ふらんつ)
3位「黄熊」(ぷう)
4位「星凛」(きらり、あかり)
5位「唯愛」(いちか、ゆめ)
6位「永恋」(えれん)
7位「空蒼」(くう、あせい)
8位「志暖」(しのん)
9位「華琉甘」(かるあ)
10位「絆琉」(はる、ほたる)
《リセマム 工藤めぐみ》

“毒母”とのバトル「命がけで自分の理想像、押し付けられ」…女たちの苦闘

産経新聞 2015年8月20日

「実の母が重い」。母と娘との愛憎渦巻く関係がここ2、3年、注目されている。母との確執を告白する女性芸能人らの半生記が続々出版されたほか、親が子供に毒のような影響を及ぼす「毒親」「毒母」という言葉も使われるようになった。血を分けただけに、義理の関係の嫁姑問題より深刻だともいわれる“母と娘の確執”の裏に何があるのか。

「あなたが生まれてこなければ」
「実は、うちも『毒母』なんです。母と会ったのは、この15年で3回だけ。最後は4年前、母のがんの手術に保証人として立ち合ったとき。あの人に近寄ったら大変です」
東京都台東区の女性会社員(44)はこう話す。
「母は自分のことは自分で決めなさいといいながら、私がこうしたいというと反対する。服装に口出ししたがり、ジーンズは禁止。でも、服と進路のこと以外は関心がなく、気分次第で干渉してくる」
地方の商家の末娘として生まれた母親(71)は、「女の子に学は要らない」との方針で育てられ、商業高校を卒業して料理や洋裁を学んだ。学歴にコンプレックスがあるのか、女性の進路に干渉し、女性は中学3年のとき、受験のため部活動をやめるよう強いられたという。
自身は3人きょうだいの一番上。大学進学を機に実家を出たが、いわゆる「できちゃった婚」だった父母が50代で熟年離婚したとき、母親は月に何度か長電話をかけてきて父親について愚痴をこぼした。その揚げ句、「あなたが生まれていなければ」といわれ、母親との関係修復は困難になった。その後も、実家から母親の時計や貴金属を持ち出したぬれぎぬを着せられ、「この盗人!」と罵倒された。翌日、実家内で見つかり、母親からわびの手紙が届いたが、無視している。
こうした“母と娘の確執”の存在が広く認識されたのは平成25年頃だ。芸能人らが母との関係を軸に自らの生い立ちを赤裸々につづった半生記の出版が増えた。中には摂食障害などの精神疾患を伴う重いケースもある。
例えば、女優の遠野なぎこさん(35)はこの年、自著「一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ」(ブックマン社)を刊行して話題になった。「母に愛情をぶつけては、かわされる」と書き、長年苦しんできた摂食障害が始まったのは太らないために食べて吐くことを母親から教わったのがきっかけだったことを明かしている。
母と娘の関係がやっかいなのは、愛情が絡んでいることもあるようだ。
トップモデルとして世界的に活躍した冨永愛さん(33)は昨年発売の自著「Ai 愛なんて 大っ嫌い」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で、「母の身勝手さに対する嫌悪感と、それでもわたしたち姉妹を手放さなかった母への愛着。その両方にはさまれて、こどものころのわたしの母に対する思いは複雑だった」と書いた。

「ストレス感じる」37%
不動産・住宅情報サイト運営会社の調査部門「オウチーノ総研」(東京都港区)が今年3月、首都圏の20~30代女性を対象に実施した「母娘関係に関する実態調査」(有効回答471人)では、回答者の69・9%が「母親との仲は良好」と回答し、「悪い」は5・5%にとどまった。それでも、「母との関係にストレスを感じることがあるか」との問いには36・5%が「ある」と答えていた。
「母親から依存や束縛を感じることがあるか」との問いには23・2%が「ある」と回答した。そう感じる理由としては「母に何かあるとすぐ電話をしてくる」(39歳既婚)「何かと部屋に上がり込んでくる」(24歳未婚)といった過干渉や金銭的な依存、「いまだに門限がある」(34歳未婚)といった束縛が挙げられた。同総研では「仲の良さがうかがえる一方、距離感が近いからこそ、他人なら気にならないようなこともストレスにつながりやすいようだ」と分析している。
「母親がうっとうしいのは、それが愛だと押し付けてくるから。命がけで娘を自分の理想像に近づけようとする。娘は育ててもらったのだからと、自分を押さえ込もうとし、苦しくなる」
こう話す漫画家、さかもと未明さん(49)も昨年刊行の自著「まさか発達障害だったなんて」(PHP新書)で母親との確執を告白した。22歳のときに実家を出てから、母親とはほとんど話していない。
幼い頃は、すぐに泣いたり興奮したりする子供だった。いじめられっ子で友達とうまく遊べない一方、学校の成績がとても良く、高校は地元の名門進学校に進んだ。しかし、母親は「大学へ行くと結婚しなくなるとお父さんが言っている」「生意気な娘がいい気になると困る」と大学進学を反対。進学を希望したさかもとさんは、入学金を納付してもらうために土下座して懇願したという。

自分責めず、距離を置く
飛び抜けてできる部分とできない部分があるさかもとさんに対し、母親は平均点の子供になってほしかったようだ。一方、自身は母親の服装などをいろいろ理屈をつけて批判した。合わない親子だったが、互いに愛情がなかったわけではない。「私を愛しているから、常識の通じる子供にしようとしたと思います」とさかもとさん。
自著では、自身がADHD(注意欠陥・多動性障害)とアスペルガー症候群(対人関係の困難など)が重複した発達障害と診断されたことを公表した。精神科医から「母親も発達障害の可能性がある、娘を理解するために必要な部分が欠損していたのだから許さないといけない」といわれ、救われたという。同じ悩みを抱える女性に「家族だからこそ、こじれる場合がある。自分を責めずに、早く自活して実際に距離を置くこと」と助言している。(寺田理恵)

女性社長に腹部を蹴られた男性が脾臓破裂で死亡。出血性ショックとは?

Mocosuku Woman 2015年8月18日

愛知県大府市で17日、アルバイトの男性が勤務先の会社社長に腹部を蹴られ、死亡するという事件が起きました。司法解剖の結果、男性は脾臓破裂による出血性ショックだったことがわかりました。ここでいう「ショック」とは、具体的にはどんな状態を指すのでしょうか?

ショック状態=脳や臓器の酸素不足
「ショック状態」という言葉は、日常では、「驚く」や「衝撃を受ける」といった意味で使われます。一方、医療現場で「ショック状態」と言う時、状況は非常に緊迫しています。端的に言って、生命に関わる事態です。
医療における「ショック状態」とは、何らかの原因で血液の循環がうまくいかず、血圧が下がって生命の危険がある状態のことを指します。
例えば、大量出血やアレルギー反応などを起こすと、血液の循環がうまくいかず、脳や臓器などが酸素不足に陥ります。これがショック状態です。
これは非常に危険な状態で、緊急に治療をしなければ高い確率で命を落とします。ショック状態に陥ると、顔面が真っ白になる、血圧が下がる、意識が遠のく、脈が弱くなるといった症状が現れます。

5種類のショック状態とその原因
ショック状態にはさまざまな分類がありますが、大きく次の5つに分けることができます。今回の被害者の症状である「出血性ショック」は、「循環血液量減少性ショック」に含まれます。

循環血液量減少性ショック
重い火傷や脱水、ケガや事故による大量出血が原因で、身体の血液量が減ることで起こるショックです。

心原性ショック
心臓の何らかの異常があって起こるショックです。「急性心筋梗塞」や「不整脈」など心臓の病気と関係があり、ポンプである心臓から全身に送られる血液の量が減ることで起こります。

敗血症性ショック
敗血症とは、肺炎などすでに患っている何らかの病原体や特定の細菌が血液中に入り込み、全身の感染症を引き起こす病気です。敗血症は非常に重い病気で緊急の治療を必要とし、悪化するとショック状態に陥ります。

神経原性ショック
ケガによる脊髄損傷や、激痛、麻酔などが引き金となって神経の反射が起こる場合があります。その際、心臓から送り出される血液の量が減ったり、心臓から離れたところにある手や足の血管が開いて血液を心臓に送り返すことができなくなったりすることで起こるショックです。

アナフィラキシーショック
テレビや新聞で取り上げられることもありますが、薬や昆虫の毒、アレルギーの原因となる食べ物などが体内に入った際、全身に急激なアレルギー反応が出ることによって起こるショック状態です。

身近な人がショック状態になったらどうする?
たとえ医療従事者でも、ショック症状に冷静に対応するのは簡単ではありません。まして一般の人がそんな場面に居合せたでもたら、頭が真っ白になってしまうかもしれません。
しかし、ショック状態は一刻を争います。まずは、焦らず落ち着きましょう。そして、救急車や周囲の人などに助けを求めることです。また、現在ではさまざまな公共施設にAED(自動体外式除細動器)が設置されており、万が一の心肺停止の際に、これを使用することで命を助けられることもあります。AEDの操作方法など、救急対応に関する市民講座なども開かれているので、参加してみるのもよいでしょう。

“パクリ疑惑”は佐野氏だけじゃない 「激似デザイン」は世界中に

日刊ゲンダイ 2015年8月20日

きっと針のムシロだろう。五輪エンブレムのデザイン盗用問題の渦中にある佐野研二郎氏(43)。同じくパクリが疑われたサントリーのトートバッグについては一部盗用を認め、デザインを撤回している。
その盗用したデザインのひとつが、矢印に「BEACH」と記した看板。このデザインの“本家”を主張する米ジョージア州のデザイナー、ベン・ザリコー氏は告訴も検討中としているが、実は彼の看板だってオリジナルかというと「?」だ。
ザリコー氏はこれを14年前に制作したというが、「Google画像検索」で調べてみると、似たような看板がゾロゾロ。中にはザリコー氏より古い看板もあるから、“やぶ蛇”が心配になってくる。
「Googleの画像検索にデザインを入力すると、類似のものが一覧で出てきます。今は素人でも簡単に模倣品を調べられ、パクリのパクリのパクリ画像まで調べられます。今回、佐野氏のやったことはコピー&ペーストですからプロとして言語道断。ですが、デザインは意図せずに似てしまう可能性だってあります」(ITジャーナリスト・神田敏晶氏)

ディズニー、ゆるキャラ、大手企業ロゴまで
ディズニーアニメ「ファイアボール」の主人公ドロッセルも、初音ミクに少し似ているような気が……。まあ、ディズニーに限ってはそれはないだろう。
山口県宇部市が製作した「エコハちゃん」の着ぐるみは、ピカチュウに似すぎているとして活動を自粛中だ。原画の作者はピカチュウを人生で一度も見たことがないと主張しているので、その言葉を信じたい。
企業ロゴだって似ている。米空調大手の「キヤリア」と自動車の「フォード」もソックリと評判。ちなみに、三菱財閥の「スリーダイヤ」は、実際には三菱鉛筆(資本関係はない)の方がオリジナルで、許可を受けて使っているだけだ。
「似ているだけで、すぐにパクリと決めつける風潮はどうかと思います。少なくとも、プロのデザイン事務所がバレるリスクを犯してまでパクるメリットは少ないはず」(神田敏晶氏)
コピペはアウトだが、他の作品にインスパイアされたものならアリということだ。