<厚労省>児童虐待の対策 検討課題を公表

毎日新聞 2015年9月8日

厚生労働省は7日、児童福祉司を国家資格化して専門性の向上を図るなど、児童虐待対策の今後の課題をまとめた報告書を公表した。児童虐待に関する厚労省の専門委員会がこの課題について議論し、年内に意見をまとめる。これを踏まえ、厚労省は来年の通常国会で児童福祉法の改正を目指す方針。
報告書は厚労省の別の委員会が8月にまとめたもの。検討課題として、虐待する親から子を保護する「介入」と親子への「支援」の担当者を分け、児相の対応を強化することや、虐待の死亡事例の4割以上が0歳児であることから、望まない妊娠をした女性の情報を確実に把握することなどを挙げている。【古関俊樹】

【届け、施設・里親家庭出身者の声】~日米若者8人が自らの経験語る~

Japan In-depth 2015年9月8日

虐待や貧困などによって実の親のもとで暮らすことが出来ず、施設や里親の家庭で育つ子どもたちのことを、社会はどう見るだろうか?実際にそういった環境で育った若者たちは、自分たちに「レッテル」が貼られていると感じるという。
そのレッテルとは、日本では「かわいそうな子」、そしてアメリカでは「悪い子」。そんなイメージを変えていきたいと、日本とアメリカの若者たちが共に活動を始めている。
6日、東京都新宿区で開かれた、アメリカのNPO団体・IFCA (International Foster Care Alliance:イフカ)のイベントには、児童福祉に携わる人々など70人が集まった。IFCAとは、児童福祉システムの向上の為に当事者の声を発信している団体で、東京とワシントン州シアトルに事務所を置き、日米両国の児童福祉に関する情報交換など様々な活動に取り組んでいる。この日は、アメリカと日本からそれぞれ4人ずつ、施設や里親家庭で育った経験を持つ若者たちが参加し、自らの体験や制度の問題点などについて発表した。
アメリカの里親家庭で育ったバレリー・スケルトンさんは、里親家庭や施設に入る子どもたちがどのような感情を抱えているのか考えて欲しいと、参加者とアクティビティーに臨んだ。まず、小さな紙に「子どもの頃大事にしていたもの」と「誰にも知られたくない秘密」を書く。そしてそれらを丸め、携帯電話や時計など今身に付けている貴重品と一緒に黒いゴミ袋に入れて会場のスタッフに手渡す。

バレリー・スケルトンさん
当然、多くの人が不安感や怒りを抱くが、それはバレリーさんが13歳の時、突然里親家庭に入居した時の状況を想像させるものだ。大切な物や自分に関する情報を、何の説明もなく奪われることが、子どもの心にどのような傷を残すのか・・・それを想像し、実の親の家庭がどのような状況であっても、子どもたちは出来るだけ苦痛のない方法で保護されるべきだと訴えた。
日本の若者たちも、「渡米プロジェクト」に参加するなどして、アメリカの児童擁護について学んでいる。この団体に参加して2年になるという星子良枝さんは、アメリカで導入されている里親家庭支援の仕組みについて語った。ベテランの里親を中心に地域の複数の里親家庭が支え合うというシステムは、「日本でも取り入れられる」と力を込めた。そんな星子さんも、施設や里親家庭で育ち、実の両親のことを知らない。自分の生い立ちをオープンに話し、同じ境遇の子ども達の為に活動に参加しようと思うまでには時間が掛かったという。「ここでこんな風に話していることも数年前は信じられなかった」と胸の内を明かした。

このほか会場では、日本の児童福祉の問題点として、施設を出る18歳から成人するまでの間の「空白の2年」が挙げられた。日本の若者が「保証人がおらず、クレジットカードが作れなかった」「部屋を借りる時に困った」などといった体験を語った一方、アメリカの若者たちからは、当事者らが声をあげ、施設を出た後の支援制度が改正されたことが紹介された。
IFCAでは今後、厚生労働省などに児童福祉に関する提案を盛り込んだ要望書を提出することも予定している。自身が社会的擁護を受けてきた「当事者」の声は、日本の児童福祉を子どもたちにとってより良いものにしていく為の、大きな力になるはずだ。

強大な権限を持つがゆえ、キャパオーバー…児童相談所を分割・リストラせよ!?

おときた駿ブログより転載 2015年9月8日

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
9月議会の登壇に向けて、質問の内容の選定に入っています。
なにせ、持ち時間が10分程度しかないのでね…

本日も社会的養護について関係者と意見交換を行っていたのですが、話題に出てきたのは児童相談所の規模・権限について。

「里親措置・特別養子縁組までまったく手が回っていない」
「対応が後手後手で、一時保護所の滞在期間が長期化している」
「全般的に、要保護児童に対する対応が迅速に行われない」

などと批判をされがちな児童相談所ですが、その実は強大な権限を持つことも同時に指摘されています。

「児童相談所」でグーグル検索をすると、
「拉致」「連れ去り」などの予測変換が多く出てきます。
虐待などの相談・対応が後手に回っているという批判の一方で、
「あらぬ虐待の疑いをかけられて、子どもを強制的に保護されてしまった」

という事例もまた多く報告されているようです。
確かに児童福祉法第三十三条によって、児童相談所の所長は必要であれば保護者の同意なく児童を保護することができます。

これは警察が令状なしで(現行犯以外の)逮捕を乱発できるようなもので、 適切に使われれば大きな実行力とスピードが期待される反面、 濫用されてしまえば極めて大きなリスクが生じます。

しかもその後、児童相談所の裁量によって保護者への面会を禁じ、年単位で交流をさせないことも可能なのです。

「適切な保護」と「(保護者の意に反した)強制的な連れ去り」の判断は、 当然のことながら極めて難しいものです。虐待の事実を保護者が認めないケースで、 児童相談所による保護を拒否することができてしまえば、命が失われる事態も発生しかねません。

しかし日本の児童相談所は、先進諸国と比べて問題が多いことも事実と言えます。
例えばオランダなどでは、

「保護者や学校からの虐待相談に応じる部門」
「実際に強制保護・一時保護を決断して実行する部門」
「その一時保護が適切なものであったのかどうか、判断・検証する部門」

がすべて独立して存在しています。
そのためチェック&バランスが働き、どこかに不適切な対応があれば指摘を受けやすい、発覚しやすい仕組みになっているわけです。

ところが我が国の児童相談所は、その内部に上記機能のほぼすべてを抱え込んでいます。
組織が自浄作用を働かせて、自ら過ちを見つけるのは極めて難しいのは言うまでもありません。
(各自治体に設置されるチェック機関「児童福祉審議会」も、形骸化が強く指摘されている)

また、相談窓口と実務部隊・権限者がすべて一緒になっていることも問題で、 本来であれば

「子どもとうまく向き合うことができない」
「育児ノイローゼになりそうで困っている」
「心に余裕がなく、子どもに手をあげそうになってしまう」

などの相談を(ある種気軽に)できるはずが、

「そんな内容の相談を児童相談所にしようものなら、
虐待の疑いをかけられて子どもが連れ去られてしまう!」

と、悩みを抱え込んでしまう保護者が発生する可能性も指摘されています。

そして実際に一時保護となってしまった後のケースについては、時折私のような議員事務所にも相談・連絡が入ることがあります。
その際、
「絶対に自分の名前を(児童相談所に)知られたくない」
「児童相談所が知れば、余計に子どもを返してもらえなくなる」

とおっしゃるケースが非常に多いです。
しかし児童相談所しか、この問題にアプローチできる機関は存在しません。

この場合議員としては残念ながら、双方の事情を聴取して判断しなければ問題解決に動けないため、あくまで匿名を希望される方の相談には対応できないというのが現状です…。

アメリカでは、日本の児童相談所にあたる行政機関は8つのセクターに分かれているとも言われています。
実際に何度も指摘しているように、児童相談所の職員たちは増え続ける事例に完全にキャパオーバー化していますから、上記の問題も含めて、 役割ごとの分化と機能強化を検討していくべきでしょう。
児童相談所の権限規定まで行くと国政マターになってしまいますけど、 適切な第三者機関が存在しないと言われている現状においては、 議会・議員がしっかりとチェック機能を果たしていかなければなりません。
個別のケースには複雑なものが多く、力になれないこともありますが、しかるべきエビデンスを集めながら最終的には公的な監視機関の設立、そして児童相談所の分割が実施される提言につなげていきたいと思います。

3人に2人、病院に「満足」=入院患者、過去最高―厚労省調査

時事通信 2015年9月8日

厚生労働省は8日、入院先の病院に満足している患者の割合が3人に2人に上り、調査を始めた1996年以降で最高となったと発表した。
調査は3年に1度行われ、昨年10月に全国488施設で実施。外来、入院患者の計約15万3000人から回答を得た。
その結果、病院の全体的な満足度を尋ねたところ、入院患者の66.7%が「満足」と答え、「普通」が23.5%、「不満」は4.6%だった。施設規模が大きいほど満足度は高かった。
満足とした入院患者は96年の53.7%から増加傾向が続いていた。外来患者は57.9%が満足と回答し、過去2番目に多かった。

2枚目は社会に役立つNPOの名刺、新しい働き方が人気

オルタナ 2015年9月7日

本業の名刺のほかに、NPOなどもう1枚の名刺を持つ働き方が広がっている。30日、都内で開かれた「二枚目の名刺 夏フェス2015」には、2枚の名刺を持つスタイルに関心のある社会人や、活動先となるNPOの担当者など、348人が集まった。(編集部=辻陽一郎)

職業スキルを社内から社外へ
主催するNPO法人二枚目の名刺(東京・渋谷)は、社会人とNPOをつないでいる。「サポートプロジェクト(SPJ)」という仕組みでは、様々な本業を持つ社会人がチームをつくり、3カ月を1クールとして、サポート先団体の経営課題プロジェクトに取り組む。6年前に始めた事業で、SPJには延べ208人(団体側のメンバー除く)が参加した。
基調講演では、一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎教授が「これからの時代は、経営資源の多重活用が必要だ」と話した。日本には資源がないので、最大の資源は人。
「社会人一人ひとりは、働きながら多くの資源を蓄積している。必要なのは、これを会社だけでなく外の世界に使っていくこと」(米倉教授)
朝から晩まで働いて、経済を支える時代は終わった。本業以外の時間を有効に使うような、多様な働き方が生まれることで、社会全体にイノベーションが起こってくる。

職場以外のチャレンジが成長に
トークセッションでは、サポートプロジェクトへ取り組む社会人と、支援先のNPOスタッフらが登壇した。
メーカーで働きながらサポートプロジェクトに参加する加賀宝さんは仕事のあとや休日など空いた時間を活用し、毎週5時間くらいを費やしている。
このプロジェクトに参加して変わったことは、「世の中変えられるかもしれない、と思えるようになったこと」だと言う。
児童養護施設の運営資金調達プロジェクトに参加した安東直美さんは、「仕事とは違う場でチャレンジができて、自分を知り、自分の強みを知ることができた」と話す。
一方、支援先となるNPO法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター(東京・大田)の玉田さとみさんは、「期待していることはスキルではなく、一緒に考えてくれること。全く違う価値観を持つ人たちからは、自分たちにはない新しい発想が生まれる」と説明する。
サポートメンバーのアイデアから新しい企画がはじまった例もある。高校生のろう者の現状を伝えるため、クラウドファウンディングを資金源にドキュメンタリー映画を作成する企画だ。
「私たちは車、社会人メンバーはガソリンのような存在です。彼らのエネルギーを借りることで、自分たちが走ることができる」(玉田さん)
サポート先のNPOスタッフと直接話をする機会もあり、参加者は熱心に説明を聞きながらメモを取り、興味のある団体とは名刺交換も行っていた。今回のイベントを機に、2枚の名刺を持つ働き方はますます広がっていくだろう。