成人までの2年「福祉の空白」親失踪の兄妹、施設頼れず

朝日新聞デジタル 2015年10月11日

昨年10月、大阪府内のアパートの一室。弁護士の男性(36)がドアを開けると、室内は薄暗かった。電気はつかず、カーテンのない窓から街灯の光が差し込み、ごみに埋もれた部屋を照らす。床には、携帯電話を充電するための乾電池が50個以上転がっていた。
住んでいたのは高校3年で18歳の少年と、無職で17歳の妹。一緒に暮らしていた父親は3週間ほど前に失踪した。家財道具は炊飯器と洗濯機と毛布1枚で、所持金は110円。ハムスターだけがえさを与えられ元気だった。弁護士は「このままでは死ぬ」と感じた。
児童福祉法の「児童」は18歳未満をさす。児童養護施設への入所は児童に限られ、2人がすぐに入れる施設は見つからなかった。
弁護士は親から引き離し2人を独立させようと家を探したが、20歳未満のため親権者の同意がないと契約もままならない。生活保護の受給も渋られた。「みんなが少しずつ泣いてこの子らを助けませんか」と説得して回った。
事情をくんだ大家が部屋を貸してくれ、生活保護を受けて布団も買った。「布団なんて3年ぶりやな」。少年は言った。

福祉施設児童虐待問題 被疑者不詳で告発へ 兵庫・高砂市

神戸新聞NEXT  2015年10月10日

療育支援が必要な未就学児が通う児童福祉施設「高砂市立高砂児童学園」(兵庫県高砂市阿弥陀町)で園児への虐待があった問題を受け、同市は10日、暴行の疑いで、高砂署に被疑者不詳で近く告発状を提出する、と発表した。
同園では昨年6月以降、園児の腕につねられたようなあざが見つかるなど虐待が疑われる事例が4件あり、市は今年7月、外部の識者を交えた「個別ケース会議」で2件を虐待と認定していた。
その後、市は同園を所管する福祉部や「職員懲戒審査委員会」で、どの保育士が虐待したのかについて調査。4件は全て同じ女性保育士のクラスであったが、この保育士は「心当たりがない」と話しているという。市は「虐待行為のみを認定し、実行者が特定できないままでは根本的な解決につながらない」とし、告発を決めた。
告発の対象は疑いが出た4件全て。記者会見した登幸人市長は「市立施設で起こった事案で大変遺憾。子どもにおわびする。警察と十分に連携を取り、捜査に協力したい」と述べた。(小林隆宏)

警察署に5時間待機も 休日、夜間の少年保護

宮崎日日新聞 2015年10月11日

宮崎県内の警察署で所在なく長時間待たされる少年たちがいる。親からの虐待、非行によって保護されたものの、家庭の事情から帰宅できず、通告を受けた児童相談所も一時保護の受け入れに時間を要するためだ。その大半は夜間、休日の時間外に発生し、引き渡しまで5時間を経過する事例もある。本来は児相が行う一時保護を、事件事故に追われる当直体制の警察が担っており、ロビーや取調室で待たされる少年たちの中には、自傷行為を繰り返すなど早急に特別なケアが求められるケースもある。

児童手当未払い:新規受け付け154世帯分 職員が作業怠る 博多区 /福岡

毎日新聞 2015年10月11日

博多区保健福祉センターは9日、5〜8月に新規で受け付けた児童手当申請のうち、154世帯分計284万5000円を支払っていないミスがあったと発表した。この日は支給予定日で、市民から「振り込みがない」との連絡があり、発覚した。該当世帯への支給は16日になるという。
9日夜、同センターが記者会見して明らかにした。それによると、申請データの入力を担当していた臨時職員(当時)から「他の職務が忙しく、新規の入力が間に合わない」と報告を受けた子育て支援課の20代の男性職員が、1カ月遅れの対応でも良いと思い込み、自ら手伝うなど締め切りまでの入力作業を怠っていた。センター内部でもチェック機能が働いていなかった。
児童手当は年3回、4カ月分ずつを支給する。9日の支給は6〜9月分で、154世帯の支給額は1世帯あたり5000〜6万円だった。
同センターの柚木健次・子育て支援課長は「組織として業務管理ができていなかった。大変申し訳ない」と陳謝した。【林由紀子】