虐待疑い 立ち入り調査8件

読売新聞和歌山 2015年10月14日

上半期全国5位 県警と児相連携成果
県警と児童相談所(児相)が連携して虐待の疑いのある家庭に立ち入り調査をした件数が今年上半期(1~6月)で8件に上り、全国で5番目に多かったことが県警への取材でわかった。上位4都府県は東京や大阪などの大都市圏だった。県警は「児相と訓練や協議を重ねてきた成果。子どもの安全確保のためにあらゆる手を尽くしたい」と前向きに評価している。(村山卓也)
「お前らに関係ないやろ」「帰れ」。男性が家の中からどなり声をあげる中、警察官や児相職員がドアチェーンを工具で切断。約10人が一気に家の中に入り、小学生の男児の保護に至る――。
県警と児相が9月、合同で田辺市内で実施した虐待の疑いがある家庭への立ち入り調査の訓練ではこんな場面が展開された。
児童虐待防止法では、虐待が疑われる家庭に児相の職員らが立ち入り、調査をすることができると定められている。任意調査が基本だが、親が拒んだ場合、裁判所の許可を得て強制的に立ち入ることも可能だ。また立ち入り調査に際して、警察に応援要請もできるようになっている。
県警によると、援助要請で目立つのは、「児童の不登校が続いているが、学校の担任や児相職員が面会に行っても、保護者が会わせてくれない」というケース。「不登校」と偽って親が虐待していることもあるという。
児相から警察への援助要請が多かった自治体は大阪(16件)、東京(12件)、愛知(11件)、神奈川(9件)。この次が8件で和歌山と千葉が並び、その次は7件の北海道と埼玉だった。和歌山以外は比較的規模の大きい自治体が上位に名を連ねている。
人口規模が小さいながらも和歌山が上位に入った背景には、2013年7月、和歌山市で当時2歳の長男が父親の虐待によって死亡したとされる事件がその後、大きく報道されたことがあるとみられる。この事件では、過去にも父親が長男への暴力で逮捕され、不起訴(起訴猶予)となっていたが、地検、児相などの関係機関の情報共有が十分になされず、その後の悲劇を防げなかったという苦い教訓を残した。
県子ども未来課によると、「子どもが泣き叫ぶ声が聞こえる」など虐待の疑いがあるとして児相に通報や相談があった件数は、2012年度718件、13年度793件、14年度932件と年々増えているという。
県警や児相は増加する虐待事案に対応できるよう13年から警察官2人を児相に出向させているほか、同年から合同での立ち入り調査の訓練も始めた。
こうした取り組みが実を結び、12年は3件だった援助要請件数は13年6件、14年12件と増加。県警幹部は「援助要請の増加は現場レベルで情報交換や連携がスムーズにいっていることの証し」と分析する一方、「虐待事案が依然として減らない現状を示す数字でもあり、必ずしも喜べるものではない」と気を引き締める。
県警の楠山隆・少年課長は「深刻な虐待では警察と児相の連携の緊密度が子どもの生死を分けるようなケースがあるかもしれない。実践的な訓練を今後も重ねていく」と話している。

負担を懸念、進学断念

秋田魁新報社  2015年10月14日

県立高校3年の女子生徒(17)が昨年、学校の進路希望調査の回答を「進学」から「就職」に変えた。卒業後、自身の力で学費を捻出するのは難しいと考えたからだ。福祉に関心があり、大学や短大への進学を夢見ていたが、勉強にお金が掛かることを考えると「どうにもできない」と思った。

児童養護施設の寮で就職試験の勉強に励む女子生徒

4人きょうだいの末っ子。経済的な事情で両親が子どもを育てられなくなり、2歳の時から県内の児童養護施設で暮らしている。自身の生活で我慢を強いられる場面はこれまで何度もあった。

小学生の時、友達みんなが持っていた携帯型ゲーム機や、はやりの服は買えなかった。「持っていないことが恥ずかしい」と感じ、話題には入らないようにした。
施設からもらえる月々の小遣い(高校生で4千円)は、卒業後の住居費や自動車運転免許の取得を見据え、幼少期から大半を貯蓄に回してきた。今も携帯電話は持てないし、中学で取り組んだ部活も、遠征費や部費が払えなくなることを考え、高校では諦めた。
小学生のころ、下校後に家族の待つ自宅に帰る友達の姿をうらやましく見ていた。「どうして自分は親元に帰れないのだろう」。思春期になると、行き場のない、怒りのような気持ちが募った。
施設の職員に叱られたある日、「どうせ血がつながってないくせに」と言い返したことがある。親身になってくれるのは分かっていても、職員は家に帰ればそれぞれの家庭がある。そう思ったら八つ当たりしたくなった。自分のことだけを見て、自分のためだけに時間を割いてくれる親がいないことが、つらかったという。

県子育て支援課によると、県内には四つの児童養護施設があり、4月1日現在、170人(定員216人)が暮らす。入所の理由は親からの虐待のほか、親の経済的理由、病気による養育困難などさまざまだ。生活や教育に必要なお金は「措置費」として、国と都道府県が負担しているが、子どもたちが施設で暮らせるのは原則18歳までだ。
女子生徒は、施設の先輩で、親の援助を受けず自力で大学や専門学校に進んだ人を知らなかった。それだけに進学の道を選ぶことへの不安は大きかったし、生活基盤を整えつつ、学費を支払っていく見通しは立たなかった。「自分の将来の道は、施設に入った時点で決まっていたんだ」。そう思い、進路希望を変更した日は社会から突き放されたような寂しさを覚えたという。
現在は就職に向けて学科試験の勉強や作文、面接の練習に励んでいる。「もともとは前向きな性格」と自己分析。「できないことより、できることに目を向けた方がいいじゃないですか」
一生懸命仕事をして遊び、結婚し、幸せな家庭を築く―。そんな将来像を思い描いている。「施設の後輩が目標にしてくれるような人になるのが夢」。だから、うつむいてはいられないと自身に言い聞かせている。

絵本の読み聞かせの効果と楽しませるコツ

ラーニングパーク 2015年10月13日

絵本を子どもに見せながら読んで聞かせる「読み聞かせ」は、子どもと本の出会いを生む大切なきっかけとなるものです。「読み聞かせ」をすることで、子どもの頭の中で物語をイメージする助けになったり、言語の発達につながったりするといわれています。
ここでは「読み聞かせ」の効果や、その方法などについてご紹介していきます。

読み聞かせの効果は?

子どもの感情を豊かに
日本大学大学院総合科学研究科で行われた実験によると、読み聞かせ中には子どもの脳の大脳辺縁系が活発になっているという結果が得られたそうです。
大脳辺縁系というのは喜怒哀楽を生み、その感情に基づいた行動を決めている部分。
大脳辺縁系へ良い働きかけを行うと、感情を豊かにしてあげることができるといわれています。

精神状態が落ち着く
アメリカでベストセラーとなった『読み聞かせハンドブック』(The Read-Aloud Handbook)を著したトレリースは、人間の声は、親が子どもの精神状態を落ち着かせるための最も強力な道具であるといわれています。
読み聞かせは大人と子どもの親密な人間関係を基盤としており、同じ喜びを分かち合い共感する…そんな安心できる時間を提供することもできます。

読み聞かせのコツは?

絵本に集中させることがポイント
読み聞かせのポイントのひとつが、子どもたちを絵本に集中させることにあります。
あまり大げさな声色の変化をつけたり、ジェスチャーを加えたりすると子どもたちは絵本ではなく読み手の方に意識を向けてしまうため、あまり過剰な演出は入れず、声の高さや大きさ程度の変化に留めておいた方がよいでしょう。

はっきりと、ゆっくりと読んであげる
子どもが夢中になっているかどうかを確かめながら、ゆっくりと読み進めることがポイント。言葉を覚えるきっかけにもなるため、ひとつひとつの言葉の発音を丁寧に、美しく読んであげることも大切です。
また、絵をじっくりと見せるためにも、ページは少しゆっくりめにめくってあげた方がよいでしょう。

子どもの質問にはしっかりと向き合おう
保育士さんのような、大勢の子どもたちに読み聞かせをするときは別ですが、自分の子どもに読み聞かせをするのであれば、子どもの質問にはしっかりと答えてあげましょう。
子どもたちは夢中になればなるほど、好奇心がわき、様々な質問をしてきます。
そんなときは無理に読み聞かせを進めることをせず、ひとつひとつ疑問に答えてあげると、子どもたちの好奇心を満たし、いろいろな知識を身につけることができるようになるのです。

読み聞かせは子どもの心を豊かにしてくれる大切な機会。もしかしたら読み聞かせをきっかけに、自分で本を読むのが好きになってくれるかもしれません。また親子のコミュニケーションとしても大切なツールのひとつですので、ぜひ活用してみてください。

パパの育児参加 職場に「イクボス」がいてくれると心強い!?

ラーニングパーク  2015年10月14日

子育てにもっと参加したくても、仕事との兼ね合いで、積極的に参加できないパパもいます。子育て中は、身近に理解のある「イクボス」がいてくれると心強いですね。

「イクボス」ってどういう意味?
少しずつ耳にすることも増えてきた「イクボス」という言葉。「イクボス」とは、子育てに積極的な男性「イクメン」に対応して作られた言葉で、主に男性従業員や部下が育児に積極的に関わることに理解のある経営者や上司のことです。

「イクメン」は増えている? 男性の育児参加の現状は?
少しずつ耳にすることも増えてきた「イクボス」という言葉。「イクボス」とは、子育てに積極的な男性「イクメン」に対応して作られた言葉で、主に男性従業員や部下が育児に積極的に関わることに理解のある経営者や上司のことです。

「イクメン」は増えている? 男性の育児参加の現状は?
厚生労働省の平成26年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は2.30%。男性が育児休業などの育児制度を利用することをよしとしない雰囲気の企業や上司は、残念ながらまだまだ多いのが現状です。また、「子育てにもっと協力したい」という気持ちがあっても、「時短勤務の取得は言い出しにくい」「残業なしでは退社しにくい」と感じているパパも少なくありません。

企業もノウハウを蓄積中。イクボスの浸透はこれからの課題!
近年、女性の社会進出や育児に対する考え方の変化などから、父親も子育てに参加できる働き方の実現が求められるようになってきています。仕事と育児を両立しやすい環境をつくるためには、経営者や管理職の意識改革が重要。企業間でイクボス育成のノウハウを共有したり、セミナーを行ったりと、環境整備に向けて動き出している企業も増えています。父親が仕事を気にすることなく子育てに参加できる時間が増えるよう、今後に期待しましょう。
女性が働くことは珍しくなくなってきていますが、「育児や家事は女性の仕事」という考え方がいまだ一般的。イクボスが増え、社会の構造が少しずつ変化することで、性別の区別なく、誰もが子育てと仕事を両立できる環境が整ってほしいですね。