子供の貧困対策 発起人会議が寄付呼びかけ決議

産経新聞 2015年10月19日

政府は19日、「子供の未来応援国民運動」の発起人会議を首相官邸で開き、経済的に苦しい家庭の子供を支援するNPOなどに助成するため今月1日に創設された「子供の未来応援基金」へ寄付を呼びかける決議を採択した。来年度から、余った食品を必要な家庭に届ける各地の「フードバンク」活動や児童養護施設を退所した若者の進学援助に取り組む団体などへの助成を目指す。

キレる小学生~増加する暴力問題とその背景を考える

Yahoo!ニュース 2015年10月21日

先月文科省が発表した『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によると、2014年度に小・中・高校で発生した暴力行為は54242件で、全体としては前年度よりも5103件減少していましたが、小学校では増加傾向にあり、7年間で3倍に増加しています。問題視されることが増えてきた小学生の暴力行為について、背景を考えてみたいと思います。

キレる小学生の増加
今回の調査では、特に低学年において暴力行為が増えているという結果だったのですが、塾業界においても暴力だけでなく、座っていることが出来ない生徒や、突然怒り出すなど感情をコントロール出来ない生徒は年々増加している印象です。クラスに教師以外の大人を配置するといった対策を講じている教育機関もありますが、対処療法的なものでは根本的な解決に繋がりません。
神奈川県の小学校教諭Aさんは「知らない大人やあまり親しくない大人が教室にいると、大人しく出来る子もいます」としながらも「結局すぐに慣れちゃいますし、関係なく暴れる子もいますから、システム化するのは難しいですね」といいます。また、「ちゃんと原因を突き止めようにも、授業以外の業務が多く子どもたちの生活面までなかなか手が回らない」という意見もあり、学校側の「無関心」や、気にはしつつも結果として「放置」状態にあることも問題を加速させている要因の1つと考えられます。
塾業界においても、問題を抱えている生徒は保護者と連絡がスムースに取れない傾向があり、積極的に家庭と関わることを避ける講師や教室スタッフも少なくありません。また塾の場合、週に1、2時間程度しか生徒と接しないため、その生徒に深く関わろうというモチベーションが低いとも考えられます。

ネグレクトと虐待の影響
文科省は「貧困による保護者のネグレクトなどの要因があるのではないか」という見解を示していますが、実際、学校や塾でのスケジュールを把握していない保護者や、お弁当は毎日ファストフードというような家庭も多く、自分の子どもの生活態度や成績に対して「自己責任」とする意見や、「知らない・興味ない」といった「他人事」として捉えている保護者も目につき、保護者会などへの参加率も年々減少しています。
2010~2014年に横浜の小学生約400人にアンケートを採ったところ、半数以上が一週間以内に家族から何らかの暴力を受けているという結果でした。直接身体を殴る蹴るつねるなどの暴力よりも「怒鳴る」「ものを投げる」「壁を蹴る」「両親や家族が喧嘩をしている」などが多く、「無関心」だけでなく成績や生活態度、友達関係に対する「過干渉」や、家族の状態や機嫌に巻き込まれていることにも問題があるのではないかと感じます。実際、問題を起こす生徒の大半の保護者が、「無関心」か「過干渉」、あるいは家庭内トラブルを抱えている傾向が見受けられます。
警察庁によれば、今年上半期に虐待の疑いで児童相談所に通告された18歳未満の児童は17000人以上に上り、この4年間で3倍になりました。その中でも子どもの前で行われるドメスティックバイオレンス「面前DV」による心理的虐待が3分の2を占めています。何を見て、あるいはどの程度で傷つくかも個人差があるので、周囲大人の配慮が求められます。

生徒層の拡大とノウハウの不足
指導歴30年のベテラン塾講師Bさんは「クラスに2人以上座っていられない生徒がいると、もう授業どころではないですね。算数なんて特に無理だと思います。塾なんだから他の生徒への影響を考えて欲しい」と、経営方針に問題があると指摘します。
学校と比べて問題視されることが少なかった塾業界で、暴力などの問題が目立つようになってきた背景には、少子化の影響で低学年から生徒を募集する塾が増えてきたことが挙げられます。同時に「預かってくれる時間が長い」という理由で中学受験塾などに通わせるケースもあり、今までなら塾に通わなかった層の生徒が増えてきています。そもそも低学年を扱うノウハウを持っていない塾や経験のない講師の対応のまずさが、生徒のストレスとして暴力行為の一因になっているのではないかとも考えられます。
小学生に限らずですが、様々な理由による睡眠不足や運動不足、また承認欲求が満たされていないことも攻撃性と相関があるとされます。それらを自分でコントロール出来ない小学生に対して、関係する大人が1人でも多く積極的に関わることで、改善できることがあると感じます。しかし、共働きや家庭の問題で無自覚にネグレクト状態になっている家庭も多いといいます。また特に都市部において地域の大人が子どもたちに関わり難くなっている今、家庭や学校が担いきれない問題を、塾などの機関がサポート出来る可能性を期待します。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE・教養の未来研究所)

保育士が思わず「ありえない」と思ってしまうような理不尽な要求やクレームとは

@DIME 2015年10月21日

保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開する、株式会社ウェルクスは、読者を対象に行ったアンケートに基づいた独自のコンテンツを発表した。これは保育士の保護者対応について、理不尽な要求やクレームを受けた経験について聞いたもので、現代の一部の保護者が保育に求めることや、その背景に隠された社会的な課題が伺える内容になっている。今回、アンケートに協力したのは、保育士をはじめとする20名の読者。まずは今までの業務の中で、思わず「ありえない」と思ってしまうような理不尽な要求やクレームを受けた経験があるかどうかを聞いた。すると、20人中、90%にあたる18人が「経験がある」と回答する結果になった。日頃保育業務にあたる中で、保護者の方から思いもよらない要求をされる機会はやはり多くあるようだ。
実際にあった要求・クレームには、
・行事の役決めで「うちの子可愛いから、主役以外はありえない」と言われた。
・「絵を描くのが下手なのは保育士のせいだ!」と役所までクレームを入れられた。
・衣服なども一切用意してきてくれないにもかかわらず、家ではできないので、トイレトレーニングをしてくださいと言われた。
・保育園で汚した服は全部洗濯して返してほしいとアンケートに書かれた。
などが挙げられた。今回、回答した人に、近年保護者からの理不尽な要求・クレームが増えていると感じると思うかを聞いたところ、「増えている」と回答したのは全体の70%。「今までも変わらない」が15%、減っていると回答した人は0だった。中には「要求はしないものの、自分勝手な方が多くなってしまった気がする。園から丁寧に手紙を出しても読んでくれずに、子どもが忘れ物や間違いで、悲しい思いをすることもある」という回答もあり、理不尽な要求をすることだけでなく、保護者が果たすべき役割を果たしてくれないという課題もあることが伺える。
現代においては、核家族化、地域交流の希薄さなどから、子育てにおいて他者と関わるという機会がとても少なくなっている。また少子化、晩婚化により、子どもを産み育てることが貴重になったことから、子どもを大切にしたい、守りたいという意識が過度に強くなっていることも、集団の中で理不尽な要求をする保護者を生むひとつの要因になっているだろう。
また、ネット社会により情報交換が簡単にでき、ネットで例えば園への不満を公開して意見を求めれば、全国各地の同じ立場の保護者が後押しをしてくれるような環境にもある。また、共働きがいわば”当たり前”の社会となり、両親とも忙しい中、それでも我が子には少しでも良い思いをさせてあげたいという思いもあるのかもしれない。理不尽な要求、クレームは、その保護者のみに原因があるだけではなく、社会全体として抱える問題の影の部分であるとも言えるのではないだろうか。

調査概要
・実施期間:2015年9月18日~9月30日
・実施対象:保育士(80.0%)・幼稚園教諭(15.0%)・その他保育関連職(5.0%)
・回答者数:20人(平均年齢:31.5歳)
・男女割合:女性/100%

IQは平均120! 驚異の幼稚園は何が違うのか

東洋経済オンライン 2015年10月20日

「厩焚けたり。子、朝より退きて曰く、人を傷えりやと。馬を問わず」
「子、四を以て教ふ。文、行、忠、信!」

私立・東京いずみ幼稚園(足立区)の朝の風景。教師がホワイトボートに貼った論語のフレーズを指示棒で指すと、子どもたちが元気な声で読み上げる。ふりがなはいっさい付けられていない。書かれているのは漢字とレ点などの返り点のみ。論語だけではない。「無我夢中」「傍若無人」「粉骨砕身」「付和雷同」……。教師が四字熟語の書かれたカードを次々と見せると、子どもたちは即座に反応して読み上げる。
月日の表示は「神無月」(10月)と旧暦も掲示。各クラスの入り口には漢字で「蒲公英(たんぽぽ)」「薔薇(ばら)」などと書かれた札が掛けられている。園歌の歌詞など教室の掲示物もすべて漢字で表記。子どもたちのスモックや体操着についている名札もすべて漢字で書かれ、それを見てお互いの名前を呼び合う。
この東京いずみ幼稚園に通うのは、決して特別な子どもたちではない。多くは足立区や周辺の葛飾区など下町育ちの子どもたちだ。なぜ就学前の幼稚園児が難しい漢字を読めるのか。背景には東京いずみ幼稚園が30年以上前に先駆けて導入した「石井式国語教育」と呼ばれる漢字教育がある。

「幼児にとって『漢字』はやさしい」
教育学博士の石井勲氏が提唱する「石井式国語教育」。コンセプトは「幼児にとって、漢字はカナよりやさしい」というものだ。漢字はひらがなよりも直線が多く、また一つひとつが具体的な意味や内容を示しているため、幼児には絵を見るのと同じように認識されるのだという。
『論語』『源氏物語』『百人一首』などの名文やことわざ、単語、熟語などをカードに記して子どもたちに見せ、子どもたちは文脈の中で文字の形や意味を覚えていく。発達段階の中で、特に言葉の吸収が早いのが3~6歳の子どもたちだという。語彙が広がれば、それが思考力や理解力の土台となる。
東京いずみ幼稚園では、ほかにも独特の音感教育を取り入れている。子どもたちはアイマスクで目隠しをして、保育士がピアノで弾く和音の音名をハンドサインとともに示す。視界を遮り、聴くことだけに集中する訓練だ。年少クラスでは間違える子どももちらほらいるが、年中や年長になれば大半が絶対音感を備えてしまう。
だが、こうした教育法は導入当初、親たちの反発を呼んだ。
「『教え込み、先取りではないか。こんなことをさせるために幼稚園に入れたわけじゃない』と」
小泉園長は当時を振り返る。戦後の日本の教育は、「子どもは自由に、のびのびと育てるのがよい」という自由教育が主流。「『早教育』という言葉には、非常にネガティブなイメージがあった」(小泉園長)。東京いずみ幼稚園の教育方法もこうした早教育の一貫ととらえられたのだ。

みるみるうちに現れた、子どもたちの変化
親の反応を尻目に、子どもたちにはみるみるうちに変化が表れた。とりわけ、毎朝の出欠を取る時間を子どもたちは特に喜んだ。漢字で名前を書いたカードを見せながら、ランダムに名前を呼んでいくと、驚くほどの集中力を見せたという。3歳の子どもが1週間のうちに、漢字で書かれた自分の名前を読むようになり、2週間もすればクラスメートの名前を読むようになった。
こうした独自の教育は「人の話を集中して聞き、理解する力につながる」と小泉園長は言う。子どもたちが先生の話をすぐに理解するので、音楽会や運動会も少ない練習時間で結果を挙げられるようになった。早教育のネガティブなイメージは徐々に変わっていった。「ソニー創業者のひとりである井深大氏などが、幼児期の教育の重要性を説いたのも転機となった」(小泉園長)。
いまや、幼児期における教育の重要性は世界的に認知されている。教育を「科学」する――。これまでの日本の教育議論に不足していた部分だろう。週刊東洋経済は10月24日号(19日発売)の特集『教育の経済学』で、その最前線を追っている。 東京いずみ幼稚園の卒園児のIQ(知能指数)は平均で120以上。一般的には100が平均といわれており、いずみ幼稚園卒の園児のIQは高い。「幼児期に教育をすれば、“できない子”は生まれない」(小泉園長)。こうした教育方式が反響を呼び、練馬区から1時間半をかけて3年間通学する子どもも出てくるほどだ。東京いずみ幼稚園の事例は、幼児の持つ限りない潜在能力を感じさせる。

JKビジネスと子どもの着エロ「児童福祉法で禁止して」NPOなど11団体が国に要望

弁護士ドットコム  2015年10月21日

女子高生等による「JKビジネス」や、15歳未満の児童を写した「着エロ」を規制するよう求めるNPO法人など11団体が10月21日、塩崎恭久厚労大臣宛てに要望書を提出し、厚労省で記者会見を開いた。
売春によって傷ついた少女から相談を受けているというNPO法人ライトハウスの藤原志帆子代表は「子どもたちの性が簡単に売り買いされ、法律や社会が子どもたちを守ってくれない現状がある」と指摘し、法規制の強化を訴えた。

「児童福祉法」と「児童虐待防止法」を改正するよう要望
今回の要望書では、「『着エロ』や『ジュニアアイドル』ものとして、幼稚園や小学校低学年の子どもの半裸や水着姿の写真集やDVDが公然と販売され、これらの子どもたちに『握手会』や『撮影会』と称して多くの男性が群がるという異常な事態が生じている」などと指摘し、法規制を求めている。
着エロは業者などが児童ポルノ法違反で検挙されている事例もあるが、今回の要望書では15歳未満の児童を被写体にした半裸・水着姿などの「着エロ」については、児童福祉法違反とすべきだと主張している。
対象を15歳未満にしたことについて、後藤啓二弁護士(NPO法人シンクキッズ—子ども虐待・性犯罪をなくす会代表理事)は「着エロの被害者は低年齢のケースが多いからだ」と説明した。
後藤弁護士によると、業者の誘いを受けた親が、年端もいかない子どもにそうした行為をさせているといい、「親が子どもを性的対象として売るもので、明らかな児童虐待であり、法律をもって禁止すべき」だとしている。

JKビジネスについては・・・
また、JKビジネスについては、「JKビジネスに従事する子どもは、強姦や買春被害にあう危険性が高く、多数被害にあっている」などとして、「性的好奇心に応じたものと認められる」なら、接客やマッサージ、会話のようなサービスでも児童福祉法と児童虐待防止法違反とするよう求めている。
この点について、後藤弁護士は「接客やマッサージといっても、実態は性的好奇心に応じるものということはよくある。接客そのものがダメといっているのではなく、実態で判断してほしいということだ」と話していた。

具体的にはどんな内容?
要望書が求める法改正は、具体的には次の2点だ。
(1)児童福祉法34条を改正し、次の事項を禁止行為として追加する(最低限他の多くの条項と同様懲役3年以下の罰則とする)。
・満15歳に満たない児童の半裸あるいは水着その他これに類する衣服を着用した姿を被写体とした写真、映像を撮影し、あるいは販売、頒布する行為及びこのような行為をさせ、又は勧誘する行為。
・児童を名目のいかんを問わず撮影、接客、散歩、マッサージ、添い寝、会話その他の性的好奇心に応じたものと認められるサービスを提供する業務に従事させ、又は勧誘する行為。
(2)児童虐待防止法2条2項(性的虐待の定義)に次の事項を追加する。
・児童に名目のいかんを問わず撮影、接客、散歩、マッサージ、添い寝、会話その他の性的好奇心に応じたものと認められる業務に従事させること。

この要望書は今後、河野太郎・国家公安委員会委員長や、加藤勝信・一億総活躍担当大臣宛にも提出し、法規制を求めていくとしていた。