上半期としては過去最多を更新する児童虐待  問題点を専門家が解説

ラーニングパーク 2015年10月22日

警察庁のまとめによると、2015(平成27)年上半期(1~6月)に児童虐待事件として検挙した件数は376件に上り、上半期としては過去最多を更新したことがわかった。このままいけば年間を通じて児童虐待事件は過去最多となる可能性が高そうだ。この点について、ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に解説してもらった。
2015(平成27)年上半期に全国の警察が検挙した傷害や暴行などの犯罪のうち、児童虐待に絡んだ事件は合計376件(前年同期比18.6%増)に上り、上半期では過去最多となりました。児童虐待事件の内容は、暴行など「身体的虐待」が8割以上を占めており、次いで「性的虐待」、脅迫など「心理的虐待」、育児放棄など「怠慢又は拒否」の順となっています。これらにより検挙された保護者などの数は、前年同期より約2割多い387人で、子どもとの関係を見ると、「実父」が44.4%、「実母」が21.4%、「養・継父」が17.3%、「内縁(の夫)」が10.3%などとなっています。
全国の警察が児童虐待事件として検挙した件数は年々増加しており、15(同27)年上半期の件数を06(同18)年上半期と比べると3.1倍にも上っています。ただ、これらの児童虐待事件は、暴行や脅迫などの犯罪として警察が検挙したという最悪のケースと想定され、児童虐待のうちの氷山の一角にすぎないでしょう。実際、全国の警察は、児童虐待が疑われるとして15(同27)年上半期に約1万7,000人の子どもを児童相談所に通告しています。
他人の家庭の問題に口を出したくないという意識は、一般社会にまだ強く残っているようですが、児童虐待防止法では、すべての国民に児童虐待を発見した際の通報を努力義務(学校など公的機関は通報義務付け)として課していることを、忘れてはならないでしょう。厚生労働省は、15(同27)年7月から児童相談所への通報のための電話番号を「189(いちはやく)」に統一し、警察や消防と同様に3桁の番号でつながるようにしました。文部科学省も7月に、虐待に関する情報を学校間で共有すること、少しでも虐待が疑われる場合は学校で組織的に対応し、関係機関に通報することなどを、都道府県教育委員会などに通知しています。子どもたちを守るためにも、社会全体がもっと児童虐待に関心を持つことが必要だといえます。

性的虐待、4カ月早く相談 児童養護施設長逮捕で京都市に

京都新聞 2015年10月22日

施設に入所していた少女にみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反容疑で京都市左京区の児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、市児童相談所(児相)に母親から初めて通告があったと市が議会に報告してきた昨年12月より4カ月早く、8月にも性的な被害につながりかねない内容の相談を受けていたことが21日、分かった。この相談では虐待行為が確認できなかったため市は議会に報告しなかったという。
児相によると、昨年8月20日と22日、少女の母親が児相に電話で「施設長にホテルを予約してもらっていると子どもが言っている」などと相談。市は同9月に母親から、10月に施設長から聞き取り調査をしたが言い分が食い違い、追加調査を進めようとしていた。
その後12月に、母親が「施設長との間にみだらな行為があった」と児相へ通告。施設長逮捕後の9月、市議会教育福祉委員会で市は、この時点を初の通報と報告していた。
この日の市議会決算特別委員会総括質疑で、村山祥栄市議(京都)が「相談の事実が議会への報告資料にはなかったかのようになっている。重大な事実隠蔽だ」と批判。委員会後の取材に市保健福祉総務課の担当者は「相談内容を調べたが虐待行為の事実が確認できず、逮捕に関する経過のみを報告した」と述べた。

女子高生参加させ乱交パーティー 容疑の中学教諭ら逮捕 神奈川

産経新聞 2015年10月22日

県警少年捜査課などは21日、都内のホテルで女子高生を参加させた乱交パーティーを開いたとして、児童福祉法違反(淫行させる行為)や売春防止法違反(周旋)などの容疑で、都立中学校教諭、坪内駿一容疑者(27)=東京都板橋区坂下=と横浜市南区南吉田町の無職、冨山肇容疑者(54)を逮捕したと発表した。2人とも容疑を認めている。
逮捕容疑は、共謀して平成25年9月26日、都内の高級ホテルで開催したパーティーに女子高校生=当時(16)=を参加させ、1万3千円で山梨大医学部に通う男子大学生=同(27)=にわいせつな行為をさせたとしている。冨山容疑者は翌月にも、別の女子高校生=同(16)=を参加させ、同じ男子学生にみだらな行為をさせたとしている。
同課は、この男子学生を児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで書類送検した。
同課によると、冨山容疑者はインターネットのアダルトサイトの掲示板でパーティー開催を告知、参加者1人当たり1万円から1万3千円を徴収していた。坪内容疑者はホテルの手配などを行っていた。パーティーの常連客は関東を中心に約100人いたといい、23年4月~27年4月に約240回開催していた。

厚木5歳児白骨遺体事件 弁護士の切り札「被告のIQは69」

週刊女性PRIME 2015年10月22日

わが子を餓死させたとして殺人罪などに問われた元トラック運転手・齋藤幸裕被告(37)の裁判員裁判は22日、横浜地裁で判決が言い渡される。
死亡推定5歳の理玖くんは、ゴミ屋敷同然の部屋で白骨遺体として見つかった。なぜ悲劇は起こったのか。
法廷で居眠りする姿からは想像できないが、運送会社勤務時代の元上司によると「週1日しか休みがなく1日10~11時間働いていました。まじめで無遅刻、無欠勤。評価は上位20%のA評価でした」と仕事はできたようだ。
しかし、職場では悩みごとを話すことはなかった。親しい同僚もいなかった。私生活では20代前半でデキ婚。妻の妊娠を喜んだという。
「お互いに子どもが好きだったし、妊娠はうれしかったです。結婚式はお金がなかったので、身内だけで挙げました」
そのとき、お腹にいたのが理玖くんだ。被告の父親は法廷でこう語った。
「妻が家を出て、頭の中が真っ白になったと思う。働きながら養育し、疲れ果てて育児を放棄してしまったと考えています。良識ある処罰を望むしかないです。(ひとりで子育てした2年間は)本人にとっては長かったのでは。よくやっていたと思います」
被告の妹も、こうかばった。
「よく頑張ったと思います」
現在も通院中という母親は出廷せず、弁護士によって上申書が読みあげられた。
《2人暮らしになったのに、助けを求めなかったのは、私の身体の調子が悪かったからだと思う。とても残念です》
言葉こそ多くない。しかし、わが子のやさしさを信じ、自分のふがいなさを責める母親の心情が込められていた。
法廷での被告は根っからの悪人には見えない。殺人罪の裁判で居眠りするのは信じがたかったが、むしろ、弁護士がたしなめようとしないのが不思議だった。一般市民から選ばれた裁判員の心証は悪くなるからだ。
弁護側尋問に対しても、なんでもかんでも妻のせいにしたり、ときに自分を責めたり、ちぐはぐな印象を受けた。エロ雑誌を細かくちぎって紙吹雪にして理玖くんを喜ばせたエピソードや、妻が家出した後は自慰行為で我慢したことを訴えるなど不謹慎な発言も。
どういう弁護方針なのかわからなかった。しかし、弁護士は裁判長に「これだという核心をつくものがある」と話していた。
その狙いが明らかになったのは8日の結審だった。検察側は「親の意識が欠落した自己中心的で無責任な行動。情状酌量の余地はなく、最も重く処すべき事案」として懲役20年を求刑。弁護士は最終弁論で、裁判官と裁判員にメモを配って言った。
「被告は覚えていない。被告のIQは69である」
メモの詳しい内容はわからない。しかし、IQの低さを理由に情状酌量を求めるものだった。
IQとは知能指数。『辞林21』(三省堂)によると、平均値は100。一般的に70~130の間に95%の人がおさまり、50~70は軽度知的障害とされる。被告のIQをいつ、どのようにテストしたかは傍聴席には明らかにされなかった。メモには書いてあるのかもしれない。弁護士は言う。
「事件当初の報道で、児童相談所が悪いなどと言っていたが、私は“(被告の)自己責任じゃないか”と思っていた。しかし、彼は家族からも周囲からも孤立していた。地域の助けもなかった。この法廷でつじつまの合わないことを言っているのはIQが低いからです。彼だけに責任を負わせていいのでしょうか」
弁護士の切り札に、法廷は一瞬で凍りつき、そして静まり返った。判決は22日に言い渡される。