ひとり親の子どもたちのために 児童扶養手当の2人目以降の加算額を1万円にキャンペーンスタート

赤石千衣子 しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 2015年10月23日

10月22日、「子どもを5,000円で育てられますか?貧困で苦しむひとり親の低すぎる給付を増額してください!」インターネット署名キャンペーンがスタートしました。
子どもを5,000円で育てられますか?貧困で苦しむひとり親の低すぎる給付を増額してください!
まず、たくさんの方が有志として名前を連ねてくださったことを感謝とともに報告します。
ドラマ「シングルマザーズ」で熱演した、女優の沢口靖子さんも、名前を連ねています。
当日厚生労働省の記者会見で、作家の乙武洋匡さんやジャーナリストの白川桃子さん、ファザーリンクジャパンの安藤哲也さんそしてこの問題に真摯に取り組んでいる認定特定非営利活動法人フローレンスの駒崎弘樹さん、キッズドアの渡辺由美子さんの発言を聞きながら、こんなに応援してくれる人がいる、ひとり親の子どもたちの問題に取り組もうとしている人たちがいると感じました。これまで何年も何年も、シングルマザーの当事者団体として、孤独なとりくみをしてきたわけですから。
さて、紹介されていない論点を、この日、時間がなくて伝えられなかったこととともにお伝えします。
キッズドアの渡辺由美子さんは、学習支援をしている子どもたちのお母さんにアンケートをしたところ、お子さんが1人のひとり親さんでは、ひとりあたりの就労収入は83万円だが、子ども二人の家庭では、81万円(非就労世帯を含めると45万円)、子ども3人だと33万円、子ども4人の世帯では35万円と下がっていくことを報告し、子どもが多くなればなるほど、ひとりあたりの収入が減ってしまう現実をリアルに伝えました。
その結果、進学をあきらめる、あるいは進学先のランクを2~3ランクも下げてしまう子もいるという現実があるということです。
お子さんが多いほど、労働時間を長くしなければ、食べていけないので「必然的なネグレクト状態」か、母親が「病気になる」といった言葉もありました。
必然的なネグレクト、という言葉が事実を言い当てています。
乙武洋匡さんは、東京都杉並区の学校で教員をしていた体験から、経済力の差が勉強の成績に反映してしまう現実や、サッカーができても、経済力のある子しかサッカーのクラブチームに行けない、将来が閉ざされてしまう現実を話し、どんな境遇に生まれてもチャンスが平等でなければいけないと強調されました。
白川桃子さんは、こうしたひとり親家庭の支援が不十分であることは少子化を招いてしまう、こんな状況なら産みたくないと女性たちは思う、ということで、合計特殊出生率が回復したフランスの施策では、子どもが多いほど手当額も増額されると伝えてくれました。
ファザーリングジャパンの安藤さんも社会的養護の子どもたちの支援、そして特に父子家庭も、仕事と子育ての両立が困難で、所得が低くなっている現実を伝えました。
そしてひとり親当事者の田中直子さん(仮名)は、高校生の子どもと小学生が3人いて、毎日毎日、驚くほど食べるので、ほんとうに食べさせるだけで必死である、今後子どもが中学生になれば、児童手当も減額されるので、児童扶養手当の2人目以降の加算額を増額してほしい、と話していました。自分のものは何も買わないで、子どもたちのためにお金をかけている、でもやはり大変なので、つい子どもを怒ってしまいがちだ、と悩みも話しました。
私からは、ひとり親の子どもたちが犠牲になる事件が相次いでいる、この先も何もしなければ、犠牲になる子どもが増えると話しました。
こうしてキャンペーンが始まりました。
さて、児童扶養手当とはどんな制度なのでしょうか。少し補足しておきます。
現在 児童扶養手当は父(母)と生計を同じくしない児童が育成される家庭に支給されるということになっています(1985年以降)。
ですので、1人目の児童にいくら、2人目の児童にいくら支給されるのではなく、まとめてひとり親に払われる手当です。
現在、所得が低い、年収130万円までは、満額支給の4万2000円が支給されますが、所得が上がるごとに減額され、365万円(年収)の場合、9910円が支給されることになっています。子どもが二人だと5000円の加算、3人だとさらに3000円の加算がつきます。
1961年に児童扶養手当法は成立、1962年から施行されました。母子福祉年金がその前年から施行され、死別の母子には年金が支給されるようになったため、離婚の母子家庭も同じように生活が困窮しているということで生別母子家庭にも現金給付が必要だということで発足した手当です。
発足後、1970年代には、中学卒業時までだった児童扶養手当が18歳までに延長されるなど改善し、手当額も1962年には800円で児童二人の場合は加算額が400円、3人以降の増額が200円で発足し、徐々に1人の場合の額は増額されましたが、2人目以降の加算額はなかなか増額されませんでした。
加算額は大変遅くなりながら、1973年に1人の場合6500円、2人の場合の加算は800円、3人の場合の加算400円に。その後1970年代を通じて、1人の場合の額は伸長していきますが、2人以降の加算額はなかなか上がらず、1980年には1人の場合は29300円、2人の場合の加算額は5000円、3人以降の加算額は2000円となりました。その後2人の場合の増額は35年間増額されなかったのでした。(児童扶養手当法令通達集より)

そもそも、この児童扶養手当というのは、母子福祉年金を補完するものとして、離婚などの世帯に支給されていたので、母子福祉年金と支給額は同額の時期が20年以上続いたのですが、国民年金法の改正とともに1985年に母子福祉年金と切り離され手当額も遺族基礎年金の半分以下となってしまいました。
推測ですが、加算についての考え方が確立されないまま、20数年間、児童扶養手当の2人目以降の加算額を増額せずに放置されてきた、というのが現状なのではないでしょうか。
多子になるほど、貧困率が上がります。
一般世帯で、子どもが一人の場合の貧困率は17.0%、2人の場合は13.6%ですが、3人となると19.7%、4人以上では33.5%となります。
当たり前ですが、子どもが多くなれば、貧困になりやすいのです。
複数子の加算額の増額すればすべての問題が、解消するわけではありません。
しかし、あまりにも放置され、ひどい状況である、この児童扶養手当の2人目以降の加算額を増額することを手始めに、改善していきたいと思います。
あまりにもおかしい、2人目以降5000円の手当額を1万円に。これで、子どもが1週間は食事ができる額ではないかと思います。
ひとり親家庭への理解を広げていきましょう。

「理屈では納得しない子」をパッと動かす方法 どうしてもダメなときに使える「間接話法」

東洋経済新報社 2015年10月9日

【質問】
初めまして。2人の娘と1人の息子、3人の子どもの母親です。悩みは、末っ子の長男がなかなか勉強をしようとしないことです。私から言われて仕方なく勉強机に座っていますが、自主的に勉強すると言う姿勢ではなく仕方なしにと言う態度です。かと言って、親に反抗するような態度もなく素直であることは間違いないのですが……。われわれ親が家にいると、ついテレビをつけっぱなしにしている状態なのも悪いのですが、子どもから自主的に家の手伝いや勉強をしてくれるよにするには、どうすればいいのかと日々悩んでいます。
親の勝手な願望かもしれませんが、男の子ですから、勉強する時は勉強し、遊ぶ時は思いっきり遊ぶというメリハリのついた生活環境を与えてあげたいと思っています。親の側に課題があることは重々承知ですが、どうすればいいでしょうか。(仮名:露木さん)

【石田先生の回答】
自主的に動くようにするための3つの方法
お便りありがとうございます。日々、にぎやかで楽しそうな家庭の雰囲気が目に浮かぶようです。しかし、お母さんとしては、お子さんが自主的に勉強したり、お手伝いを積極的にやる子どもになってもらいと思うのも無理はありませんね。しかし現実は、なかなかそうはいきません。これはどこの家庭でもそれほど変わりません。
さて、ご相談の中で、「両親がいるとテレビをつけっぱなしにしている」とありますが、もしお子さんにもっと勉強やお手伝いをしてほしいと思っておられるのなら、やはりメリハリがついた環境を作ってあげることは大切なことです。特に子どもは、適切な環境でなければ、よほど意志が強い子か、強い動機が生じるものがなければ、自主的に行動することは難しいものです。テレビがついていれば、テレビを見てしまいます。そういうものなのです。
テレビだけが問題であれば消してしまえば済むことですから、それで解決しますが、それでもなかなか自主的に行動を起こさないというときは、対応方法として3つあります。
1つ目は以前、この連載でもご紹介しました、「『子ども手帳』を使う」方法です。これは私が偶然発見したものですが、子どもの自主的行動を促すツールです。家庭でおカネをそれほどかけず(自作の場合は無料で)に簡単にできますので、ぜひ試してみてください。詳しくは、こちらの過去記事を参照ください。
2つ目は、「メリハリをつける生活を送るにはどうすればよいか」というテーマについて、家庭内で話をする場を設けることです。自分のことは自分で解決させる習慣をつけさせるようにするのです。ただし、このとき重要なことは、「叱る場」「怒る場」とならないようにすることです。目的はただひとつ、「どうすればメリハリがつけられるようになるか」だけです。そして、自分で決めさせ実行させるようにします。ただ、それでも実行しない場合もあります。そのときは、次の第3の方法を参考にしてください。
それは、「間接話法を使う」というものです。この方法は私がこれまで子どもたちを指導する際によく使ってきた手法で、生徒を自主的に行動させるための強烈なテクニックです。「間接話法」という名は私が勝手につけたのですが、この意味は、「行動を促したい生徒に直接的に話をするのではなく、間接的に聞かせることで行動へと駆り立てる方法のこと」をいいます。

要領がいい「次男次女」の法則を使うといい
家庭内でも兄弟姉妹がいる場合、どうしても親は上の子のだらしなさ(時に下の子がだらしないという場合もある)について叱ります。そうすると下の子はそれを見たり、聞いたりして、怒られる前にきちっとするという現象がよく起こります。だから下の子は要領がいいと言われますが、これは間接話法が的確に利いているためなのです。直接言われると「理屈で納得はするが、感情では納得できない」のが人間です。大人もそうですよね。また、言われたとおりにやっても、それは主体的ではなく、あくまでも「言われたからやった」という状態にすぎないのです。ですから、いつまでも自分からという自主性は身につかないのです。
昔の人はいい言葉を作りました。「人の振り見て我が振り直せ」。これは人の振りを視覚的に見た場合ですが、この古言もある意味、間接的手法でしょう。人の心理をよく読んでいますね。
では、私が実際に授業で行った場合の話をしましょう。たとえば生徒に数学の問題演習をやらせていて、私が教室を巡視しているときにある生徒(田中君)に対して言った言葉です。
私:「田中君。どこでつまずいているの?」
田中君:「やり方はわかるんですが、どうしても答えが合わないんです」
私:「原因はどこだろう?」
田中君:「計算間違いかも」
私:「ん~、見たところ間違えていないようだよ」
田中君:「じゃあどこだろう?」
(この段階では、周囲の生徒は、自分の問題演習に集中している)
私:「この3の(5)の問題は、いちばん間違えやすい問題だよね。テストによく出る部分だよ。さっき黒板で強調したところは覚えているかな?」
(ここで、周囲の生徒は「いちばん間違えやすい」「テストによく出る」という言葉に反応する。私は、「いちばん」「テスト」という言葉をあえて使って、周囲の生徒の耳をこちらへ向ける)
田中君:「ああ、そうか。最後の部分だ」
(ここで、周囲の生徒は、自分のやった問題を振り返り、気づいた生徒は消しゴムで消して書き直している)
面白い現象です。周囲にいた生徒たちは、自分の間違いを直接指摘されたわけではありませんが、近くにいる生徒が指摘されたことをよく聞いているのです。「壁に耳あり、障子に目あり」で集中して聞いていたがための現象なのです。

今までの私の経験上、この間接話法では、次のような利点があります。
①素直に自分の誤りを正すことができる
②集中して聞くことで、内容を記憶することができる(印象に残りやすい)
③自主的に行動を起こす
直接言われると、逆に本題に集中できない
私たち大人でも、喫茶店で、横で話している人たちの会話をじっくり聞いてしまい、頭に入ってしまったということは一度ならずともあるのではないでしょうか。勉強していて、隣の人の話がノイズになって集中できなくてイライラしても、その隣の人の話をなぜかすべて覚えているという笑えないことも起こりますね。また、上司が部下を指摘するときも、指摘された本人よりも、それを聞いている周りの社員の方がよく聞いているということもあります。
直接言われる(これを「直接話法」と呼んでいる)と、言われた本人は、次に何を話そうかと考えながら聞いていたり、相手の感情を感じ取りすぎて本来聞くべき内容に集中できず、理解力が低減してしまいます。また、直接言われたことでショックを受けてしまう人もいます。(言われた内容は残らず、言われたという“事実”だけが残る)要するに、横で間接的に聞けば冷静に聞けるということもあるのです。
この間接話法はぜひ一度試してみてください。聞かせたい相手が聞こえるように別の人に対して話をすることで、本来伝えたい人にかなりの効果を挙げることができます。露木さんの場合ですと、娘さんとの話の中に入れるなどでしょうか。もちろん嫌みに聞こえるような話し方はよくありません。嫌味はすぐに気づかれます。あくまでも自然な形か、一般的な話に聞こえるようにするとよいでしょう。
このように、子どもが自主的に行動するようになるには、色々なアプローチがあります。今回は3つの方法についてお話しました。ぜひ参考にしてみてください。

石田 勝紀 緑進学院 代表取締役
小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには?
約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。この連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。

息子に手を焼く人に伝えたい「男の子の本質」

東洋経済オンライン 2015年10月23日

元保育士で、NHK Eテレ『すくすく子育て』をはじめ、テレビや新聞、雑誌などでも活躍中の小崎恭弘さんは、お母さんたちからよく、こんなぼやきの声を聞くそうです。
「うちの子は、本当に言うことを聞かない」
「落ち着きがないから、しかってばかり」
「優しく言い聞かせるのではダメなんでしょうか?」
本記事では、著書の最新刊『うちの息子ってヘンですか?』から、男子育児の「しんどさ」を解消する秘訣を紹介します。もし、あなたの奥さんが息子に手を焼いているのなら、次のことを伝えてみてはいかがでしょうか? ■ お母さんのしつけのせいではありません!

僕は、3人の兄弟の長男として育ち、今は3人の息子の父親であり、「男の子のプロ」を自認しています。かつては、西宮市の公立保育所で12年間、いわゆる「保父さん」として勤め、今は大阪教育大学で学生たちに「保育」を教えています。
僕が育児に関する講演会などをすると、男の子のお母さんから、こんな質問を受けることがあります。
「なぜ、うちの息子はじっとしていられないのでしょう?」
「どうして、男の子は高いところに登りたがるのですか?」
「なぜ、あえて水たまりに入るのか。そんなルールでもあるんですか?」
お母さんからすると、わが息子ながら、その行動の一つひとつが理解不能です。
それでは、当の本人に一度聞いてみてください。「どうして、そんなことするの?」とダイレクトに。
たぶん多くの息子たちは「ん?  何が?」と不思議そうな顔をすると思います。だって、説明なんかできませんし、その質問の意図さえ、わからないでしょうから。
ちなみに、以下のエピソードは、すべてうちの息子の実話です。
・ママに「ありがとう」と言われ、うれしくて恥ずかしくて、突然走り出し逃げ出す
・ビー玉と鼻の穴、どちらが大きいのか比べたくなり、鼻の穴に入れて取れなくなる
・おじさんからお小遣いに100円玉をもらったのがうれしくて、兄弟に見せびらかしたのち、取られるのが嫌だから飲み込む
・おしっこはどこまで飛ばすことができるのか、試してみたくなり、おしっこしながら便器から離れていき、トイレ中をおしっこまみれにする
一見すると、すべて「わけわからん!」行動です。でも、「うれしくて恥ずかしくて」「どちらが大きいのか比べたくなり」「取られるのが嫌だから」「試してみたくなり」など、彼らなりの理由はあるのです。
でも、その理由は、何かをしでかしたあとの結果論として、推察していることです。そのときには、もらって喜んでいた100円玉を飲み込むなんてこと、「男の子のプロ」の僕でさえ予想していませんでした。
ですから、息子のことがわからなくて当然。そのうえで、わからないものとつき合っていくという覚悟を決めていきましょう。
お母さんと息子は、「大人と子ども」「女性と男性」「親子」という対極の立場にいます。そして、息子の「わけわからん」行動は、決してお母さんのしつけのせいではないのです。
次からは、お母さんが理解しがたい行動の中から、主だった特性についてご紹介してまいります。

特性その1:男の子はオタク
息子さんの好きなものは何ですか?  電車、車、飛行機、虫、何かのヒーロー……きっとこの中に最低ひとつは思い当たるものがあるでしょう。
男の子、女の子を区別して育てようとしたり、何かを与えたわけでもないのに、なぜだか男の子はこれらのアイテムにハマっていくものです。
電車好きな男の子は、乗り物図鑑でもあればひたすら眺め続けます。そして、うまく言葉もしゃべれないうちから、電車の名前は覚えていったりします。「ひかり」「こだま」なんかはまだ序の口! 「AIZUマウントエクスプレス」「ウィークエンドフレッシュひたち」などになると、お母さんは電車なのかなんなのか、わからなくなるのでは?
車にしてもそうです。お母さんにはどれを見ても同じように見えますが、息子はそのようないい加減な見方を許しません。
「ドアの形が違うの!」
「エンジンの音が全然似てないでしょ!」
もう、マニアックなオタクが家の中に住んでいると思ってください。

オタク道を究めさせよ!
男の子は、自分の目の前にあるものがすべてです。過去や未来、他人からすすめられたものにも、いっさい興味がありませんし、気にもしません。
なぜって?  それが男の子だから。そこに理由はありません。もう、そういうものなんです。象に「なぜ大きいの?」と問うようなものです。「象だから!」。これ以外に答えられません。
お母さんたちは、よく息子に「なぜそんなことするの?」と聞いていますが、私が代わりに答えましょう。「男の子だから!」
男の子は、興味の範囲や内容も、とても狭いです。そして偏っています。お母さんからしたら、何が良いのか、楽しいのかさっぱりわかりません。そして、いつになればコレら(例:ダンゴムシを100匹並べる、電車しりとりをエンドレスで続ける)が終わるのかもわかりません。たぶん本人にもよくわかっていないのだと思います。
ですから、ある程度のところで見切りをつけさせ、その次のことができるように配慮してあげましょう。そのときのコツは、突然の変更を強いないこと。「あと○回で終わりだよ」などと少し前に知らせる、あるいは「ここまでねー」と気持ちの区切りをつけさせることです。
そして、好きなものをうまく使うこと。オタクにはオタクの対応法でいきましょう。
たとえば、電車好きな男の子には、「おもちゃの電車で遊ぶ→線路で実際の電車を見る→路線図を見せる」といった具合です。路線図で、今日見た電車はどこの路線のどこの駅のものかを教えてみてはいかがでしょう。
あるいは、「電車好き→電車を工作する→電車以外の工作」と、作る楽しさを引き出し、指先の器用さを育ててみてはいかがでしょう。
「うちの子、こんなに電車好きで大丈夫?」「昆虫好きで大丈夫?」などと心配する必要はありません。たとえば、電車好きの男の子はそれをテーマに自分の世界を作り、おもちゃを集めたり、遊んだりしながら、認識力を高め、自我を形成し、知識を吸収して、学びの土台を積み上げていきます。
学ぶ力は遊ぶ力から育ちます。また、興味関心の幅が狭いということは、別の見方をすると、そのことに深い関心を寄せる、集中力があるということです。その子の得意な分野をうまく引き伸ばしてやりましょう。

特性その2:男の子はプライドが高い
男はプライドのかたまり――たとえば、パパは、人に道を聞くのを嫌がりませんか?
僕は苦手です。「道を知らない自分」がどうしても許せない。そう、男とは面倒くさい生き物なのです。つねに周りの目を意識している。いかに自分が見られているかを考えている。それは、小さな男の子でも同じです。
髪型を気にしてみたり、自分のこだわりのシャツやズボン以外、身につけるのを嫌がったり、カバンのシールの位置が気に入らないと泣き叫んだり……お母さんからすれば「本当にどうでもいいこと」にこだわる、美意識を持っているのです。
とってもちっちゃいプライドにしがみつき、それ以外は受け付けません。順番や手順、自分の好きなこと、得意なこと、こだわっているもの、大切にしているもの……それらに対して過剰に反応し、守ろうとします。
そんなちっちゃな男の子のでっかいプライド、大事にしてあげてくださいね。

プライドが崩れた…。ほめられれば一気にパワー充電!
お父さんもお母さんもつい、「男の子なんだから、泣くのはやめなさい」「男の子なんだから、もっとシャキッとしなさいよ」などと、声をかけてしまうことはありませんか?
そして、男の子たちは素直なものだから、いつもその期待に応えようと一生懸命になり、時として、その期待以上に頑張ることがあります。サービス精神が旺盛というか、いつも相手のことを気にかけている優しい一面があるのです。
しかし、残念なことに、いつも成功して満点が取れるとは限りません。うまくいかないときは、余計に落ち込み、失敗を認めたくないので、気持ちがぐちゃぐちゃに乱れてしまいます。そうして極端な行動や考えに走ってしまいがちです。自分でもどうしていいかわからないのでしょう。
自信のあるものがうまくいかなかったり、お母さんや友だちができていることが自分はできなかったり、弟や妹などに負けたりすると悔しくて悲しくて涙がこぼれます。
そんなときには、さりげなくフォローしてあげたり、ほかの良い面や頑張っているところに目を向けたりしてほめてやってくださいね。すると、一気にパワー充電して、新しいことを見つけて突き進んでいきます。たとえば、
「試合は負けたけど、すごくいい声、出せていたね!」
「今日がいちばん、カッコよかったよ!」
みたいな感じがいいですね。
男の子の場合、選ぶなら、0か100のように極端になりがちです。うまくいかないときにカンシャクを起こす姿を思い浮かべてみてください。うまくいっているときはすごくうれしそうで自信満々なのですが、少し失敗するともう泣き出して、バタバタと暴れたりしてまったく周囲が見えなくなったりします。男の子ってそんな生き物なのです。