子供の貧困6人に1人 連鎖を断ち切るには

日本テレビ系(NNN)  2015年10月27日

キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。26日は、「子どもの貧困」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

子どもの貧困 6人に1人
子どもの貧困率というデータがある。ざっくり言うと、平均的な人の半分以下の経済状況で暮らしている子どもの割合のことだ。日本の子どもの貧困率は2012年の時点で16.3%と過去最高を更新した。6人に1人という割合だ。途上国などと違って日本では貧困が見えにくいと言われる。
そんな日本で心配されているのが、教育面でのハンディ。日本は教育が充実していると思われているが、実は、行政が教育にかける予算をGDP(=国内総生産)と比べた割合は2.7%で、ヨーロッパを中心とした先進国、OECD(=経済協力開発機構)諸国の平均よりかなり低い。
これは、日本では公的な負担が少ないので、家庭が担う部分が多いということ。つまり、経済的に厳しい家庭の子どもが教育の面でハンディキャップを負いやすいということだ。

無料の学習塾~NPOの取り組み
そうした子どもたちを支援するために、無料で開かれている学習塾があった。東京・足立区のNPOが運営する「輝塾」は、年収が250万円以下の家庭に暮らす小学4年生から中学3年生を対象にしている。教室は区内に2か所で、週に1回、学校の宿題や受験勉強を教える。他の塾で教えている先生がボランティアで教えていて、月謝は無料。現在通っている子どもは13人で、その多くが1人親家庭だという。生活のリズムが崩れていたり、勉強の習慣自体がなかったりというところからのスタートだということだが、この塾に通ううちに、休みがちだった学校にも行けるようになったケースもあるそうだ。
「輝塾」を運営する片野さんは、「多くの子が塾に通っている中、経済的にそれがかなわない子は“塾に通えない”という疎外感を持つケースもあるので、あえて“塾”という名前をつけた」「勉強を楽しいと感じ、やり抜く経験を積み重ねれば自立につながる」と話している。

政府にも新たな動き
厚生労働省によると、NPOなどが運営するこうした学習支援は、少なくとも全国300の自治体に広がっている。民間に広がる支援を取り込もうと、政府にも新たな動きがあった。
先週、首相官邸で関係閣僚らが集まって子どもの貧困対策を話し合う会議が開かれた。会議では、政府などでつくった「子供の未来応援基金」に協力を呼びかけることを決めた。これは、政府が民間から寄付を募るということだが、この政府の姿勢に対しては、「行政が解決すべき子どもの貧困という問題で、民間の寄付に頼るのはいかがなものか」という疑問の声も上がっている。
関西国際大学の道中教授も、「頑張れば生活を改善できるという道筋があれば、親から子への貧困の連鎖を断つことができる」「社会を良くすることができるので、教育支援は本来、公共ですべき」と指摘している。
一方で、公的な財源も無尽蔵ではないから、限られた予算の中で効率的な支援を考える必要がある。そのヒントとなるのがこの「子供の未来応援プロジェクト」のホームページ。政府が今月、開設した。特徴は、困っている子ども自身の目線で検索できること。例えば、「制服を買うお金がない!どうすればいい?」などの文章を選ぶと、支援してくれる公的な機関の連絡先が分かるようになっていて、困っている子ども本人と行政を直接つなぐことができる。

きょうのポイント
きょうのポイントは「支援をつなぐ」。子どもの貧困に対する支援の輪は広がってきているが、全ての子どもを支えるためには支援の網の目を細かくすることも必要だ。「子供の未来応援プロジェクト」のホームページも公的な機関の連絡先は出るものの、先ほどの「輝塾」のような民間のNPOなどは対象外。今後は、政府の取り組みと、すでに活動しているNPOなどの支援をつなぐための工夫にも重点を置いていくべきではないだろうか。

ひとり親家庭、8割が暮らし「苦しい」 県が調査

山形新聞 2015年10月26日

県は母子・父子家庭といった「ひとり親家庭」の経済状況や必要な支援策に関する独自の実態調査を行い、結果を取りまとめた。全体の9割が就業しているが、特に母子家庭は4割が世帯収入200万円未満にとどまり、8割が現在の暮らしを「苦しい」と感じていることが分かった。児童扶養手当や子どもの学習支援の拡充を望む意見が多く、県は本年度策定する次期県ひとり親家庭自立促進計画(2016~20年度)と子どもの貧困対策推進計画(同)に調査結果を反映させる。
県子ども家庭課によると、県内のひとり親家庭は国勢調査を行った10年10月1日現在、母子が9468世帯、父子が2399世帯の計1万1867世帯で1995年以降、増加傾向にある。今回の調査はひとり親家庭3千世帯を無作為に抽出して実施。4割に当たる1185世帯から回答があった。
就業状況では母子、父子ともに9割が就業しているが、母子の正規雇用は52.2%にとどまっている。父子は72.9%。世帯総収入は母子が年間100万~200万円未満が32.2%で最も多く、200万~300万円未満27.5%、300~400万円未満13.6%と続いた。100万円未満は6.2%。父子は200万~300万円未満が最多の26.6%で、300万~400万円と400万~500万円未満が21.2%となった。
暮らしの状況については、母子家庭の81.9%、父子家庭の80.3%が「苦しい」と答えた。困っていることを複数回答で尋ねたところ、「生活費」が母子23.4%、父子20.8%で最多。これに「子育て」が母子16%、父子14.1%で続いた。

児童扶養手当など拡充を要望
今後充実してほしい施策として、母子、父子家庭ともに3割近くが「児童扶養手当の増額」を求めた。母子は15.7%が「子どもの学習支援の充実」、父子は18.3%が「ひとり親家庭等医療費助成の所得制限緩和」を望んだ。
公的制度の利用状況も調査。児童扶養手当、医療費助成については認知度が高かったが、教育訓練講座の受講を後押しする自立支援訓練給付金、児童福祉法に基づく母子生活支援施設といった支援メニューは認知度、利用割合ともに5割を切っており、同課は「支援を必要としている人にどう制度を周知するかも今後の課題」としている。

“ブラックバイト”で明光義塾に是正勧告

日本テレビ系(NNN) 2015年10月26日

全国展開している個別指導塾の最大手「明光義塾」が、アルバイト学生への賃金を支払っていないとして厚生労働省の是正勧告を受けていたことがわかった。
厚生労働局から、今月、是正勧告を受けたのは、「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパン本社と、フランチャイズとして各地で「明光義塾」の教室を運営する4社。
明光ネットワークジャパンは、直営教室の宮城県内の教室で、講師のアルバイト学生に授業前後の準備などに必要な毎日1時間分以上にあたる給与を払っていなかったという。
労働組合に相談した23歳の大学院生の申し出を受け、労働基準監督署が調べたところ、賃金未払いが労働基準法違反にあたるとして今月6日付で是正が勧告されたという。
明光ネットワークは、「是正指導に基づいて誠実に対応し、フランチャイズ各社にも指導していく」としている。

「明光義塾だけ?」賃金不払いで厚生労働省から是正勧告

IRORIO 2015年10月26日

3時間で2000円
全国で個別指導塾「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンが、厚生労働省から行政指導を受けていたことが分かった。
報道によると、同社が宮城県内で運営している塾で、アルバイトとして働く男子大学院生に対して、労働時間に見合った賃金が支払われていないことから、10月6日付けで仙台労働基準監督署から是正勧告が行われた。
弁護士ドットコムニュースの記事によると、男性の勤務に対しては、90分の授業について「コマ給」と呼ばれる1600円と、授業前後30分間の手当として400円が支払われていたとのこと。
しかし授業前後に必要な時間が1時間半を超えていたことから、男性は個別指導塾ユニオンに相談の上、行政に申し出を行ったとしている。
授業の90分と前後の1時間半を合わせれば3時間だ。そこに2000円(1600円と400円)しか払われていないとすると、時給は約667円となる。
宮城県の最低時給は726円(今年10月3日以降、それ以前は710円)であり、明らかに違法な状態だ。

他のフランチャイズにも
弁護士ドットコムニュースや読売新聞の記事によると、東京や埼玉にあるフランチャイズ教室に対しても、今月6日から22日にかけて、同様の是正勧告があったとしている。
今回の事件について、明光ネットワークジャパンでは、「今後実態を調査し、全国の教室で勤務管理を見直す」(NHK)、「調査をして未払いが確認されれば対応する。フランチャイズ教室の運営会社には法令順守を指導した」(読売新聞)などと回答している。
またホームページ上にて「本日の報道について」として、謝罪とコンプライアンスの徹底、再発防止を行うと発表している。

ネット「他にもあるのでは?」
NHKや読売新聞報道の「今後実態を調査」「調査をして」や、ホームページの文中に「事実関係を確認の上」とあるが、本当に事実を把握していないのだろうか。
北朝鮮が拉致問題で「調査する」と答えるのと変わらないくらいに、信用できない回答と考える人も多そうだ。
これまでにもメディアが報道してきたように、学習塾の賃金体系に問題があったことを知っている人は多いだろう。塾を運営する企業が「知らなかった」と答えたとすれば、管理能力を問われるに違いない。
インターネットの掲示板や記事に寄せられたツイートには「他にもあるのでは?」や、塾講師アルバイト経験者と考えられる人からの「○○も払っていない」のような意見があった。同業他社の動向にも注目だ。